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Drug Atlas · B4 Other / その他 · 必修

アフィカムテン

aficamten

分類
Cardiac myosin inhibitors / 心筋ミオシン阻害薬
商品名(EU)
Myqorzo
科目
Pharmacology
トピック
B4: Positive inotropic drugs
承認適応
肥大型心筋症
相互作用
リファンピシン

🧠 全体像:は、と同じ標的(ATPase)・同じという機序を持つ、いわば「次世代版・切れの良い」である。両者の違いはそのものではなくの設計にある——半減期が約80時間(3〜4日)との6〜9日より短く、代謝も単一のCYP2C19に依存しないため、のレスポンスが速く、による曝露のばらつきも小さい。「効きすぎたときに元へ戻すスピード」がこのクラス全体の安全性を左右するため、この半減期の違いがそのまま臨床上の使い勝手の違いになる。

薬効群の中での位置づけ

というクラス自体が新しく、現時点で臨床使用できるのはこの2剤のみである。

標的・機序 ATPase活性の 同一(ATPase活性の)
承認 2022年(第1号) 2025年12月(第2号)
主代謝経路 CYP2C19(約74%)中心 CYP2C9が主体、・CYP3Aは補助的、CYP2C19の寄与は乏しい
半減期 約6〜9日(で最大約23日) 約75〜85時間(約3〜4日)と短い1
の影響 CYP2C19多型で曝露が大きく変動しの根拠になる 単一酵素への依存が低くの影響を受けにくい
間隔 数週間単位(半減期が長いため) 2〜8週ごと(漸増・評価とも比較的速い)2
REMS あり(CAMZYOS REMS Program) あり(MYQORZO REMS Program)

⭐ 「機序は同じ、切れ味()が違う」という対比構造がこの2剤のすべて。 の短い半減期は、過度な低下が起きた際に薬効がより早く消退するという安全性上の利点につながる一方、1日1回投与を維持するための設計(消失が速すぎない範囲での用量設定)という工学的な工夫の産物でもある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypertrophic cardiomyopathy, HCM'>肥大型心筋症</span>では<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiac myosin'>心筋ミオシン</span>の<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='cross-bridge'>クロスブリッジ</span>形成が過剰"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypercontractility'>過収縮</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='left ventricular outflow tract'>左室流出路</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dynamic obstruction'>動的狭窄</span>(LVOTO)"]
    C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aficamten'>アフィカムテン</span>がミオシンに<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='allosteric'>アロステリック</span>かつ可逆的に結合"] -.->|"ATPase活性を選択的に阻害"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myosin head'>ミオシン頭部</span>が<br>省エネルギー状態へシフト"]
    D --> E["収縮に関与できる<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cross-bridge'>クロスブリッジ</span>数が減少"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myocardial contractility'>心筋収縮力</span>が低下しLVOT較差が軽減"]
    C --> G["半減期が短いため<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='drug holiday (treatment interruption)'>休薬</span>・減量後の効果消退が比較的速い"]
    E --> H["過度に働くと収縮力が落ちすぎ<br>心不全(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='left ventricular ejection fraction'>LVEF</span>低下)を来しうる"]

💡 の機序をそのまま踏襲していると理解してよい。 アクチン-ミオシンの相互作用点そのものではなく別部位に結合し()、結合は可逆的で、を収縮に関与しない省エネルギー状態へシフトさせる。試験で問われるのはこの機序の中身よりも、半減期の違いがもたらす臨床上の帰結(・のスピード)であることが多い。

薬物動態

項目 値・特徴
経口、1日1回(食事の有無を問わない)
代謝 CYP2C9が主体。・CYP3Aも一部関与するが、CYP2C19の寄与はわずか
半減期 約75〜85時間(中央値約80時間)1
定常状態到達 約2週間

⭐ 複数の代謝経路に分散しているため、単一酵素のや単剤の阻害薬併用による曝露変動が起こりにくい。 これはがCYP2C19という単一酵素に強く依存し、その(で半減期が最大約23日まで延長)が用量設計を左右するのと対照的である。ただし強力なCYP3A(リファンピシン)との併用ではが約79%低下するため禁忌となる2。

適応

症候性の(oHCM)における・症状の改善2。と同様、(β遮断薬)・()でも症状が残る例への追加治療として位置づけられる。

用法・用量

は1日1回5 mg。<55%では開始も増量も推奨されない。投与開始後および用量変更後は2〜8週ごとに心エコーを行い、とValsalva負荷時の(LVOT-G)の2つで次の5通りに分岐する2。

Valsalva LVOT-G 対応
≥55% ≥30 mmHg 5 mg増量(最大20 mg/日)
≥55% <30 mmHg 用量維持
<55%かつ≥50% 問わない 用量維持(減量しない)
<50%かつ≥40% 問わない 5 mg減量(20→15→10→5)。既に5 mgなら7日以上
<40% 問わない 7日以上

⭐ 増量には「が保たれている」だけでは足りず、Valsalva LVOT-G ≥30 mmHg という残存閉塞の証拠が要る。 閉塞が取れていれば同じ用量で止める——効かせ過ぎれば収縮不全に振れるからである。⚠️ 50〜54%は「減量」ではなく「維持」である(減量が始まるのは50%未満)。低でしたあとの再開は、7日以上あけたうえでが≥55%に戻ってから、の5 mgで漸増をやり直す。が決まった後の評価は6か月ごと、が55%未満〜50%以上なら3か月ごとである2。実際の基準は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ :収縮不全による心不全のリスク。 と同様、投与開始前・投与中を通じて心エコーによる評価が必須2
  • ⚠️ MYQORZO Programに登録された処方医・患者・薬局を通じてのみ処方・調剤できる2
  • 禁忌:リファンピシンとの併用(のを約79%低下させ有効性を損なう)2。⚠️ 禁忌欄が名指しするのはリファンピシンだけで、「強力CYP3A」というクラスではない。 他の中等度〜強力CYP3A(カルバマゼピンで約51%低下)は禁忌ではなく減量管理の対象で、添付文書が警戒しているのはむしろを中止したときに曝露が跳ね上がることである。リファンピシンだけが別扱いなのは、CYP3Aに加えCYP2C19の強力なかつCYP2C9の中等度でもあるためで、の主代謝はCYP2C9である2
  • ⚠️ 、・とβ遮断薬の併用など、他のとの併用はなを来しうるため避ける
  • <40%への低下、または心不全症状の増悪では投与を中断する

副作用

頻度 内容
高頻度 高血圧(8% vs 2%)——添付文書で5%を超え、かつより高頻度に挙がる唯一の有害事象2
注意 低下(可逆性)。SEQUOIA-HCMの24週間で<50%への可逆性の低下は本剤群5例(4%)・プラセボ群1例(1%)で、中央値47%(範囲34〜49%)。⚠️ 添付文書は「これらの<50%への低下は投与中断を要さず、臨床的心不全とは関連しなかった」と記している——低下したら必ずする、ではなく上の表の閾値で判断する2
重篤・まれ 収縮不全による心不全

まとめ

  • と同一標的・同一機序(ATPaseの)を持つ、2剤目の承認(2025年12月19日承認)3。
  • 半減期が約75〜85時間との6〜9日より短く、代謝もCYP2C9主体で複数経路に分散するため、の影響を受けにくくのレスポンスが速い。
  • 用法はとほぼ並行(開始5 mg/日、評価に基づき最大20 mg/日まで漸増)だが、評価間隔は2〜8週ごと。
  • は収縮不全による心不全リスクで、MYQORZO Programでの登録と心エコーによるモニタリングが処方の前提条件——この骨格はと共通。
  • 強力CYP3A(リファンピシン)との併用は禁忌。他のとの併用もなを来しうるため避ける。

出典

  1. 1.A Phase 1 Dose-Escalation Study of the Cardiac Myosin Inhibitor Aficamten in Healthy Participants(PMC(JACC: Basic to Translational Science誌掲載の第I相試験)・2022)健常成人を対象とした第I相用量漸増試験で、アフィカムテンは用量比例的な薬物動態を示し終末相消失半減期は約75〜85時間(中央値約80時間)であることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.MYQORZO (aficamten) tablets, for oral use — full prescribing information(FDA(Cytokinetics, Inc.)・2025)開始用量は1日1回5 mg。2.2のTable 1が用量調整をLVEFとValsalva負荷時LVOT-Gの2軸で5通りに分けること(LVEF≥55%かつLVOT-G≥30 mmHgで5 mg増量・最大20 mg/日、LVEF≥55%かつLVOT-G<30 mmHgは維持、LVEF<55%かつ≥50%は用量維持、LVEF<50%かつ≥40%は5 mg減量で既に5 mgなら7日以上休薬、LVEF<40%は7日以上休薬)、投与開始後および用量変更後2〜8週で心エコーを行うこと、低LVEFによる休薬からの再開は7日以上あけてLVEFが55%以上に戻ってから開始用量5 mgで漸増をやり直すこと、維持量確立後の評価が6か月ごと(LVEFが55%未満〜50%以上なら3か月ごと)であること、LVEF<55%では開始・増量を推奨しないこと、収縮不全による心不全に関する枠組み警告があり投与前・投与中の心エコー評価が必須であること、MYQORZO REMS Programを通じてのみ処方・調剤できること、4項の禁忌が「リファンピシンとの併用」のみでありクラス規定ではないこと(リファンピシンはCYP3A・CYP2C19の強力な誘導薬かつCYP2C9の中等度誘導薬でAUCを79%低下させる。カルバマゼピンなど他の中等度〜強力CYP3A誘導薬はAUC約51%低下で禁忌ではなく減量管理の対象、警戒対象は誘導薬の中止時)、副作用のうち5%を超えかつプラセボより高頻度に発現したのは高血圧のみ(8%対2%)であること、SEQUOIA-HCMの24週でLVEF<50%への可逆性の低下が本剤群5例(4%)・プラセボ群1例(1%)に生じ中央値47%(範囲34〜49%)であったが、「これらの低下は投与中断を要さず、臨床的心不全とは関連しなかった」と記されていることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Drugs@FDA — NDA 219083 (MYQORZO, aficamten tablets)(U.S. Food and Drug Administration・2025)NDA 219083(申請者 CYTOKINETICS)の Original 1 の提出状況が AP(承認)で、その日付が2025年12月19日であることを確認した閲覧 2026-09-08