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Drug Atlas · B7 Calcium channel blockers / カルシウム拮抗薬 · 必修

ベラパミル

verapamil

分類
Calcium channel blockers / カルシウム拮抗薬Antiarrhythmics / 抗不整脈薬
商品名(日本)
ワソラン
商品名(EU)
Isoptin
科目
Pharmacology
トピック
B7: Ca++-channel blockers and other vasodilatorsA13: Drugs used for treatment of gout. Drugs for headache syndromesB5: Drugs influencing cardiac electrophysiologyB8: Drugs influencing the oxygen demand and oxygen supply of the heart. Drugs improving microcirculation
禁忌疾患
慢性心不全徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)
副作用
便秘低血圧
相互作用
イバブラジンエスモロールエドキサバンカルベジロールジゴキシンシンバスタチンビソプロロールマバカムテンメトプロロール
対象疾患
高血圧症上室性頻拍症心房細動肥大型心筋症片頭痛・一次性頭痛症候群慢性冠症候群(安定狭心症)
原因となる疾患
徐脈性不整脈(洞不全症候群・房室ブロック)心室性不整脈(心室頻拍・心室細動)

🧠 全体像は非DHP系の原型()であり、非DHP系の中でも最も「な薬である。よりが強く、その分は弱い。だからこそ主戦場はよりも性頻拍・心房細動のにあり、消化管平滑筋への作用による便秘がこの薬を象徴する副作用になっている。加えて、カルシウム拮抗という機序からは一見結びつかないの予防という循環器の枠を超えた適応も持つ。

薬効群の中での位置づけ

まずDHP系()か非DHP系()かで分け、非DHP系の中でさらに心臓・血管への配分を見る。

薬剤 結合様式 心臓への作用 血管への作用
が最も強い が非DHP系で最強 弱い
より弱い) 中等度(心臓と血管の中間的性質)
など(DHP系) が優位 ほぼなし 強い(

非DHP系の中でもより心臓選択性が強く、は弱い。 このためは消化管平滑筋への作用による便秘が非DHP系の中で特に目立つ副作用になる一方、も併せ持つぶん効果がやや出やすい。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='verapamil'>ベラパミル</span>がフェニルアルキルアミン結合部位で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='L-type calcium channel'>L型Caチャネル</span>を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='use-dependent (frequency-dependent)'>頻度依存性</span>に遮断"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sinoatrial (SA) node'>洞結節</span>:Ca電流↓→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='automaticity'>自動能</span>↓→心拍数↓"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atrioventricular (AV) node'>房室結節</span>:Ca依存性の伝導↓→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='conduction velocity'>伝導速度</span>↓(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PR interval prolongation'>PR延長</span>)"]
    A --> D["心筋:Ca流入↓→収縮力↓(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='negative inotropic'>陰性変力</span>)"]
    A --> E["消化管平滑筋:Ca流入↓→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peristalsis'>蠕動運動</span>↓→便秘"]
    B --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='atrioventricular (AV) node'>房室結節</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='refractory period'>不応期</span>延長→SVTの停止・AFの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rate control'>レートコントロール</span>"]

💡 が「」になる理由はにある。 興奮頻度が高く脱分極を繰り返す組織()ほどチャネルが開いた状態=結合しやすい状態になりやすいため、そこに選択的に効く。DHP系は逆にが優位で、が浅い(脱分極寄りの)に選択的に効く。同じ「Ca拮抗薬」でも選択性を生む物理化学的な仕組みが違う。

薬物動態

項目 値・特徴
約20〜35%(が大きい)
代謝 CYP3A4(活性は本体の約20%)を生じる
相互作用の性質 CYP3A4・P糖蛋白の強い阻害薬でもある→他剤の血中濃度を上げる
半減期 単回投与で約3〜7時間だが、代謝がのためで延長しうる
静注 数分で効果発現。急性期のSVT停止に使える

はCYP3A4・P糖蛋白の基質であると同時に阻害薬でもある。 そのためジゴキシンや一部のスタチンなど、CYP3A4・P糖蛋白で代謝・輸送される薬の血中濃度を上げてしまう「両刀」の性質を持つ。

適応

領域 使いどころ
不整脈 の停止(アデノシンに次ぐ・代替の静注薬)、心房細動(LVEFが保たれている例)
循環器 )、高血圧症
頭痛 の予防における)。心電図モニタリング下で高用量を用いる

用法・用量

急性SVTの停止には緩徐にする。心房細動の・狭心症・高血圧にはし、製剤で1日1〜2回とすることが多い。の予防では他の適応より高用量(目安として1日240〜960 mg相当)を要し、高用量帯での・房室ブロックに備えて心電図モニタリングを行う。実際の用量は適応・年齢・肝機能で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌(HFrEF/による悪化)、)、静注β遮断薬との併用
  • ⚠️ を伴う心房細動(など)には禁忌。 の伝導を抑えることで興奮がへ偏って伝わり、へ移行しうる
  • CYP3A4・P糖蛋白の強い阻害薬。 ジゴキシンの血中濃度上昇(既存の相互作用として登録済み)に加え、など一部のスタチンではリスクが上がるため併用量に上限が設けられる
  • 経口β遮断薬との併用でもに徐脈・房室ブロックが強まりうるため、心拍数・PR間隔を確認しながら用いる

副作用

頻度 内容
高頻度 便秘(消化管平滑筋弛緩による、非DHP系の中でも特に目立つ)
注意 低血圧、徐脈、
重篤・まれ 、HFrEF例での、WPW合併心房細動での誘発

まとめ

  • 非DHP系Ca拮抗薬の原型()。非DHP系の中でも最もは弱い。
  • によりに選択的に効き、SVT停止・AFが主戦場。
  • 便秘は消化管平滑筋への作用による代表的な副作用で、非DHP系の中でも特に目立つ。
  • CYP3A4・P糖蛋白の強い阻害薬でもあり、ジゴキシンやスタチンなど他剤の血中濃度を上げる。
  • HFrEF、高度、WPW合併心房細動、静注β遮断薬併用は禁忌。
  • カルシウム拮抗という機序からは連想しにくいが、予防のでもある。