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Drug Atlas · B16 Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬 · 必修

エチニルエストラジオール+レボノルゲストレル

ethinylestradiol + levonorgestrel

分類
Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬
商品名(日本)
アンジュトリキュラー
商品名(EU)
MicrogynonTriquilar
科目
Pharmacology
トピック
B16: Progestins and antiprogestins. Contraceptives
禁忌疾患
片頭痛・一次性頭痛症候群乳癌深部静脈血栓症肺血栓塞栓症先天性・後天性血栓性素因
副作用
悪心頭痛血栓塞栓症
相互作用
グリセオフルビンヒペリシン(セイヨウオトギリソウ)リファンピシン
対象疾患
異常子宮出血(機能性子宮出血)多嚢胞性卵巣症候群
原因となる疾患
結節性紅斑深部静脈血栓症脳卒中肺血栓塞栓症

🧠 全体像:は、(COC)の教科書的な代表薬である。()単独でも・濃化・子宮内膜菲薄化の3機序は成立するが、エストロゲンを加えることで抑制による確実なと、の少ない安定した周期コントロールが得られる。この「安定性」の代償として、肝臓での促進を介した()リスクが、単剤にはない形で乗ってくる——これがCOCとPOP()を分ける本質的な違いになる。

薬効群の中での位置づけ

B16グループは「避妊薬をどう作るか」で3系統に分かれ、本剤はそのうちの複合避妊薬(COC)を代表する。

系統 代表薬 特徴 主な使い分け
複合避妊薬(COC) エストロゲン+で確実な・安定した周期 エストロゲンに禁忌がない女性の第一選択
・ エストロゲンなし。リスクが低い 授乳中、エストロゲン禁忌、喫煙・35歳以上
(〜72h)・(〜120h) 性交後の事後投与 定期避妊の失敗・無防備な性交後
/SPRM PR拮抗 ・

⭐ (第2世代)を選ぶこと自体が、リスクという観点では「保守的な選択」になる。 第3世代()や含有COCはリスクが含有COCの約1.5〜1.8倍とされ、初めてCOCを処方する場面では含有製剤が優先されることが多い。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ethinylestradiol + levonorgestrel'>エチニルエストラジオール+レボノルゲストレル</span>を投与"] --> B["エストロゲンが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='follicle-stimulating hormone'>FSH</span>分泌を抑制"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dominant follicle'>主席卵胞</span>が選択されず排卵が起こらない"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='levonorgestrel'>レボノルゲストレル</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='luteinizing hormone'>LH</span>サージを抑制"]
    D --> C
    A --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical mucus'>頸管粘液</span>の濃化(精子通過を阻害)"]
    A --> F["子宮内膜の菲薄化(着床に不適な状態)"]
    A --> G["肝臓での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='clotting factor synthesis'>凝固因子合成</span>を促進"]
    G --> H["⚠️<span class='jp-term jp-term-diagram' title='venous thromboembolism, VTE'>静脈血栓塞栓症</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='venous thromboembolism'>VTE</span>)リスク上昇"]

💡 リスクの主犯はではなくエストロゲン()である。 エストロゲンは肝臓でのを促進する方向に働き、これは単剤(POP)にはない機序。だからこそ喫煙・35歳以上・血栓症既往・のある女性では、の世代を選ぶ以前に「エストロゲンを含む製剤そのものを避ける」判断が優先される。

薬物動態

項目 値・特徴
代謝 主に肝臓でにより代謝
相互作用の方向 (リファンピシン、、など)で代謝が促進され、避妊効果が減弱する
半減期 製剤・成分の血中濃度プロファイルにより異なる(・など複数の製剤設計がある)

適応

領域 使いどころ
避妊 (COC)の第一選択(エストロゲンに禁忌がない場合)
・の調整 服薬周期を利用した、の症状緩和
ホルモン治療の選択肢の一つ(放出と並ぶ)
妊娠を希望しない・高アンドロゲン症状への第一選択(低用量から開始)
疼痛の初期治療としてと並ぶ選択肢

用法・用量

標準的には1周期21日間の服用+7日間の(または期間)を1日1回服用する。・(周期を通じてホルモン量を段階的に変化させる)などの製剤設計があり、周期コントロールの安定性やの頻度が異なる。近年はを短縮・省略する連続投与レジメンも用いられる。実際の用法・用量・製剤選択は年齢・・希望する周期パターンで変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心、、(特に開始後数か月)
注意 頭痛、、気分変化
重篤・まれ 、(脳卒中・心筋梗塞、喫煙・高血圧合併でリスク増大)、

皮膚の副作用

英国SmPCは皮膚および皮下組織障害として、発疹・蕁麻疹を「まれでない(1/1000以上1/100未満)」、とを「まれ(1/1000未満)」に置き、をとして挙げている1。・も同じ「まれ」の頻度区分にある。

💡 は「原因を探す皮疹」なので、内服歴のなかで避妊薬は必ず確認される。 の2.9〜5%は薬剤性で、・臭素剤・経口避妊薬の関連が最も多いとされる2。⚠️ 総説が挙げているのは「経口避妊薬」という薬効群であって、特定の配合剤ではない。 本剤を名指しできる根拠は、この配合剤自身のSmPCがをまれな副作用として掲げていることのほうにある1。下腿前面に左右対称のが出た女性では、感染・・などと並べて内服中のCOCを鑑別に入れ、同時に妊娠自体もの原因の2〜6%を占めるため検査を行う2。

まとめ

  • 単剤(POP)にエストロゲンを加えたのがCOC。3機序(・濃化・子宮内膜菲薄化)に加え、エストロゲンによる抑制で確実なと安定した周期コントロールが得られる。
  • リスクの主因はエストロゲン(肝臓での促進)。 の世代選択より先に、そもそもエストロゲンを含む製剤が使えるかを判断する。
  • 禁忌となるのは片頭痛全般ではなくを伴う片頭痛。
  • (リファンピシン、、等)は避妊効果を減弱させる代表的な相互作用。
  • (第2世代)はリスクの観点で第3世代・より保守的な選択。
  • 避妊以外にも、、、のなど使いどころが広い。ただし英国SmPCの欄は「経口避妊とこの種の配合剤について認められている婦人科的適応」とだけ記され、特定の疾患名を挙げていない1。
  • 皮膚の副作用として・がまれ(1/1000未満)に起こる。を診たら内服中のCOCを鑑別に入れる。

出典

  1. 1.Microgynon 30 tablets - Summary of Product Characteristics(electronic Medicines Compendium(英国)・2023)エチニルエストラジオール30 µg+レボノルゲストレル150 µg製剤の英国SmPC(2023年2月13日改訂)の4.8「Undesirable effects」の副作用一覧で、皮膚および皮下組織障害の欄が「まれ(<1/1000)」の列に結節性紅斑(erythema nodosum)と多形紅斑(erythema multiforme)を挙げていること(「まれでない(≥1/1000, <1/100)」の列は発疹・蕁麻疹、市販後報告の列は肝斑)、静脈血栓塞栓症・動脈血栓塞栓症も同じ「まれ」の列に置かれ、クローン病・潰瘍性大腸炎が市販後報告として挙がること、4.1「Therapeutic indications」が「経口避妊、およびこの種のエストロゲン・プロゲストゲン配合剤について認められている婦人科的適応」とだけ記され特定の疾患名を挙げていないこと、4.2の標準的な用法が1日1錠21日間+7日間の休薬であることを確認した。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Erythema Nodosum: A Practical Approach and Diagnostic Algorithm(American Journal of Clinical Dermatology・2021)全文(PMC7938036)を閲覧。結節性紅斑の2.9〜5%が薬剤性であり、サルファ薬・臭素剤・経口避妊薬の関連が最も多いとされること、同総説が別の箇所でも経口避妊薬とアロマターゼ阻害薬を結節性紅斑の発症と関連する薬剤として挙げていることを確認した。妊娠そのものが結節性紅斑の原因の2〜6%を占めることも確認した。なお同総説は薬効群としての「経口避妊薬」を挙げるのみで、特定の配合剤名は挙げていない。閲覧 2026-09-05