薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · C7 Antivirals / 抗ウイルス薬 · 必修

グレカプレビル

glecaprevir

分類
Antivirals / 抗ウイルス薬
商品名(日本)
マヴィレット
商品名(EU)
Maviret
科目
Pharmacology
トピック
C7: Agents against hepatitis viruses
標的微生物
C型肝炎ウイルス (HCV)
相互作用
アトルバスタチン

🧠 全体像(「-previr」)の中で最も新しい世代に属し、常にと配合(/)で使われる。最大の特徴は治療未経験・非肝硬変なら8週間という、他のpangenotypicレジメン(多くは12週間)より短い治療期間で終えられる点と、主に胆汁排泄で腎機能を問わず使用できる点。ただしクラスに共通する弱点として、肝臓に高濃度で分布するためでは禁忌というを抱える。

薬効群の中での位置づけ

NS3/4A阻害薬「-previr」 相方 ジェノタイプ 腎機能 特徴
問わず使用可 8週間の短縮レジメンが可能な数少ない選択肢
ジェノタイプ1・4のみ 問わず使用可 ジェノタイプ1aはNS5Aの事前確認が必要
オムビタスビル+(± 1・4 が必須。より単純な現行レジメンへ置き換わりつつある
ソホスブビル/ベルパタスビル 初回治療には使わず、DAA不応例の専用

すべて「-previr」でNS3/4Aプロテアーゼ阻害という機序は共通だが、肝硬変の重症度で使用可否が分かれる。 代償性肝硬変までは各-previr薬とも使用できるが、は全-previr系薬で禁忌という一貫したルールがある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glecaprevir'>グレカプレビル</span>がHCV NS3/4A<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serine protease'>セリンプロテアーゼ</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='active site'>活性部位</span>に結合"] --> B["ウイルスが翻訳した1本の巨大な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='polyprotein'>ポリプロテイン</span>を<br>機能蛋白(NS3・NS4A・NS4B・NS5A・NS5B等)へ切断する過程を阻害<br>(polyprotein processing阻害)"]
    B --> C["機能的なウイルス蛋白が産生されない"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='replication complex'>複製複合体</span>が組み立てられず<br>ウイルス産生が止まる"]
    A -.->|"NS3/4Aは宿主のRIG-I/MAVS経路を切断し<br>自然免疫を回避する機能も持つ"| E["本剤による阻害で<br>宿主の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='innate immune response'>自然免疫応答</span>も一部回復する"]

💡 NS3/4Aはウイルス蛋白の「加工」を担う酵素であり、宿主の自然免疫センサーを分解してウイルス自身を隠す働きも兼ねる。 はこの一つの酵素を止めることで、ウイルス蛋白の成熟阻害との一部回復という二重の効果を狙える。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収 食事とともに服用すると吸収が向上する(でさらに増加)
分布 肝細胞へ選択的に高濃度分布(OATP1B1取込みによる)
代謝 CYP3A基質。P糖蛋白・BCRPの基質かつ阻害薬でもある
排泄 主に胆汁・糞便排泄。はごくわずか
半減期 1日1回投与が成立する長さ

への依存が小さいため、重度でもなしで使用できる。 一方で肝細胞への取込みが選択的に高いため、では蓄積・肝毒性増悪のリスクが高まる——「腎に優しく肝に厳しい」という上の非対称性が禁忌の根拠になっている。

適応

領域 使いどころ
C型肝炎(、治療未経験・非肝硬変) との配合で8週間
C型肝炎(代償性肝硬変、または治療歴あり) 12週間(場合により16週間)へ延長
重度・透析例 への依存が小さいため、なしで使用できる数少ないレジメン

用法・用量

成人に300mg/120mgの配合錠を1日1回、食事とともにする。標準は8週間だが、肝硬変の有無・治療歴に応じて12〜16週間に延長する。実際のレジメン・期間は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 禁忌:中等度〜重度の(Child-Pugh B/C、。肝細胞への高濃度分布により肝毒性が増悪しうる(クラス共通の注意点)
  • ⚠️ との併用は禁忌。 OATP1B1・BCRPを介しての血中濃度が大きく上昇し、のリスクが高まる
  • 強力なCYP3A4(リファンピシンなど)との併用は本剤の血中濃度を大きく低下させ効果減弱のため避ける
  • HCV治療中〜治療後のに注意(治療開始前のスクリーニングが必須)

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛、疲労感
注意 悪心、
重篤・まれ の増悪(非代償例への誤投与)、

まとめ

  • (「-previr」)。HCVを阻害する。
  • 常にと配合(/)。に有効。
  • 治療未経験・非肝硬変なら8週間という、他レジメンより短い治療期間が可能。
  • 主に胆汁排泄でへの依存が小さく、重度・透析でも不要。
  • ⚠️ 中等度〜重度の)は禁忌——クラス共通の弱点。
  • ⚠️ との併用は禁忌リスク)。