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Drug Atlas · B25 Laxatives / 下剤

プルカロプリド

prucalopride

分類
Laxatives / 下剤
商品名(EU)
Resolor
科目
Pharmacology
トピック
B25: Drugs used in constipation (laxatives) and diarrhea. Drugs promoting digestion. Pharmacology of liver and biliary tract
承認適応
通過遅延型便秘
禁忌疾患
イレウス・腸閉塞クローン病潰瘍性大腸炎中毒性巨大結腸症
副作用
頭痛腹痛悪心下痢
対象疾患
慢性偽性腸閉塞

🧠 全体像:プルカロプリドは、腸管のを選択的に刺激して結腸の伝播性収縮(HAPC)を誘発する改善薬である。同じ5-HT4作動薬でも、心毒性のために市場から撤退した・テガセロドとはが大きく異なり——への親和性を150倍以上上回る濃度でも5-HT2A・5-HT2B・5-HT3・モチリン・-A受容体を介した作用を持たないことが確認されている1。「5-HT4作動薬=心臓に危険」という古い枠組みをそのまま持ち込まないことが、この薬を理解する出発点になる。

位置づけ

慢性便秘のうち、大腸そのものの神経筋協調が障害された(STC)に対して、プルカロプリドは・標準的下剤に次ぐ第一選択のとして位置づけられる。プラセボ対照試験の2011年では 6で臨床反応を示し、検査を組み込んだRCTでは投与群の22%がベースラインの遅延通過から正常通過へ転換した(プラセボ群はわずか5%)2。⭐ 「便を軟らかくする」下剤とは異なり、結腸の蠕動そのものを起こすという機序が、通過そのものが遅延しているSTCに噛み合う理由である。

系統 代表薬 STCでの位置づけ
作動薬 プルカロプリド 結腸の伝播性収縮を誘発 第一選択の
分泌促進薬 など からの水分泌を促進 STCに特化したエビデンスは限定的
・ ・ 便を軟らかくする/を刺激 多くは先行して試みられるが有効性の裏付けは乏しい

機序

flowchart TD
    A["結腸<span class='jp-term jp-term-diagram' title='submucosal plexus (Meissner plexus)'>粘膜下神経叢</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='5-HT4 receptor'>5-HT4受容体</span>に結合"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myenteric plexus (Auerbach plexus)'>筋層間神経叢</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholinergic'>コリン作動性</span>神経終末を刺激"]
    B --> C["アセチルコリン遊離増加"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high amplitude'>高振幅</span>伝播性収縮(HAPC)の誘発"]
    D --> E["結腸<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Transit time'>通過時間</span>の短縮"]

薬物動態

  • 吸収:は90%超と高く、食事の影響を受けにくい13。
  • 代謝・排泄:in vitroでの基質とされるが、の主体は腎からの未変化体排泄(尿中60-65%)で、非が約35%を占める1。半減期は約1日で、1日1回投与に適する1。
  • ⚠️ が主体であるため、ではが必要になる。 重度(<30 mL/min)では1mg/日へ減量し、透析を要するは禁忌である3。

適応

慢性特発性便秘(他の下剤で十分な効果が得られない成人)に対する症状治療として承認されている13。⚠️ 本コーパスでは日本国内未承認薬として扱う。 ・欧州(Resolor)で承認されているが、brandJa は登録しない。

用法・用量

  • 通常成人:1日1回2mg、食事の影響を受けないため服薬タイミングは問わない3。
  • 高齢者(65歳超):1mgから開始し、を見て2mgへ増量する3。
  • 重度(<30):1mg/日3。
  • :1mgから開始し、必要に応じ2mgへ増量する3。

禁忌・注意

  • 腸管の構造的・機能的異常による・腸閉塞、閉塞性イレウス、・などの重度、、透析を要する、成分過敏症が禁忌である13。
  • ⚠️ 新規発症・増悪するうつ病やの出現を監視する必要がある。 ・で自殺・・の報告があり、米国添付文書は投与開始後の数週間、特に注意して観察するよう求めている1。
  • の報告があり、不整脈・の既往がある患者では慎重に投与する3。⚠️ ただし前述のとおりの違いから、・テガセロドで問題となった重篤な心血管有害事象そのものはプルカロプリドでは見られていない2。

副作用

投与初期に多く、継続投与とともに軽減する傾向がある。2mg1日1回投与群では、頭痛19%(9%)・腹痛16%(11%)・悪心14%(7%)・下痢13%(5%)と、いずれもより高頻度に生じた1。

まとめ

  • プルカロプリドは選択的作動薬で、結腸の伝播性収縮を誘発する改善薬。
  • (STC)に対する第一選択ので、 6という強いエビデンスを持つ。
  • 心毒性で撤退した・テガセロドと異なり、への高い選択性から重篤な心血管有害事象は報告されていない。
  • が主体のためで減量が必要、透析を要する腎不全・腸閉塞/穿孔・重度・中毒性巨大結腸が禁忌。
  • ・うつ病増悪のリスクがあり、投与開始後は特に注意して観察する。
  • 日本国内では未承認薬(米国Motegrity・欧州Resolorとして承認)。

出典

  1. 1.MOTEGRITY (prucalopride) tablet, film coated(Takeda / DailyMed (U.S. FDA)・2025)2025年7月改訂版で、適応が成人の慢性特発性便秘であること、2mg1日1回投与群でプラセボ群と比べ頭痛19% vs 9%・腹痛16% vs 11%・悪心14% vs 7%・下痢13% vs 5%と高頻度に生じたこと、臨床試験・市販後で自殺・自殺企図・自殺念慮の報告があり新規発症/増悪するうつ病や自殺念慮の出現を監視するよう求めていること、経口バイオアベイラビリティが90%超・半減期約1日であること、in vitroでCYP3A4の基質であること、消失経路として腎排泄が主体(未変化体として尿中60-65%)で非腎排泄が約35%であることを確認した閲覧 2026-09-07
  2. 2.Idiopathic Slow Transit Constipation: Pathophysiology, Diagnosis, and Management(Medicina (Kaunas)・2024)全文を閲覧。5-HT4受容体作動薬プルカロプリドが通過遅延型便秘(STC)に対し最もエビデンスの強い第一選択のプロキネティクスであること、プラセボ対照7試験2,639例の2011年メタ解析でNNT 6であったこと、通過時間検査を組み込んだ2002年のRCTでは投与群の22%がベースラインの遅延通過から正常通過へ転換したのに対しプラセボ群はわずか5%であったこと、心電図異常や心血管有害事象との関連が指摘された他の5-HT4作動薬(シサプリド・テガセロド)と異なりこの点で問題が見られていないことを確認した閲覧 2026-09-07
  3. 3.Resolor 2mg film-coated tablets - Summary of Product Characteristics (SmPC)(Norgine / electronic medicines compendium (emc, UK)・2022)2022年12月2日改訂版で、適応が成人(性別を問わない)における他の下剤で十分な効果が得られない慢性便秘の症状治療であること、通常用量が1日1回2mg、65歳超では1mgから開始し必要に応じ2mgへ増量、重度腎機能障害(GFR<30)では1mg/日、重度肝機能障害(Child-Pugh C)では1mgから開始し必要に応じ2mgへ増量とされること、透析を要する腎機能障害・成分過敏症・腸穿孔/閉塞・クローン病・潰瘍性大腸炎・中毒性巨大結腸が禁忌であること、動悸の報告があり不整脈・虚血性心疾患の既往がある患者では注意を要すること、経口バイオアベイラビリティが90%超であることを確認した閲覧 2026-09-07