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Drug Atlas · B25 Laxatives / 下剤

リナクロチド

linaclotide

分類
Laxatives / 下剤
商品名(日本)
リンゼス
商品名(EU)
Constella
科目
Pharmacology
トピック
B25: Drugs used in constipation (laxatives) and diarrhea. Drugs promoting digestion. Pharmacology of liver and biliary tract
禁忌疾患
イレウス・腸閉塞
副作用
腹痛下痢
対象疾患
過敏性腸症候群

🧠 全体像C(GC-C)受容体を作動させる14アミノ酸ペプチドで、これは実はが結合するのと同じ受容体である。下痢を起こす毒素が使う経路を、便秘治療薬として「借用」しているという成り立ちが最大の特徴になる。腸管内だけで完結し全身にほぼ吸収されないため、腸を動かす下剤というより「局所だけに効くホルモン様シグナルを人工的に足す」薬と捉えると位置づけが掴みやすい。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 特徴
作動→cGMP↑→Cl⁻分泌↑ 腹痛軽減効果を併せ持つ唯一のクラス
を直接刺激 蠕動そのものを起こす
浸透圧で水を引く
で便量↑ 慢性便秘の第一段階

だけが「便を軟らかくする」以上のことをする。 細胞外cGMPがの知覚神経終末に働きを鎮めるため、の腹痛そのものを軽減するという他の下剤にはない効果を持つ。これが「便秘型IBSではが中心」とされる理由である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='linaclotide'>リナクロチド</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal epithelium'>腸管上皮</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='guanylate cyclase-C receptor'>GC-C受容体</span>に結合"] --> B["細胞内cGMP濃度が上昇"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='protein kinase G II (PKG-II)'>プロテインキナーゼGII</span>が活性化"]
    C --> D["CFTRがリン酸化され活性化"]
    D --> E["管腔側へのCl-・HCO3-分泌が増加"]
    E --> F["Na+吸収も抑制され腸管内へ水分が引き込まれる"]
    F --> G["腸内容が増加し通過が促進される(便秘改善)"]
    A --> H["細胞外へ漏出したcGMPが<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='submucosal'>粘膜下</span>の知覚神経終末に作用"]
    H --> I["痛覚<span class='jp-term jp-term-diagram' title='afferent fiber'>求心性線維</span>の興奮性が低下"]
    I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='visceral hypersensitivity'>内臓知覚過敏</span>が軽減される(腹痛改善)"]

💡 はもともと「下痢を起こす」ための経路。 ETECのSTa毒素がこの受容体を病的に活性化させを起こすのと同じシグナル伝達を、は治療域の用量でに軽く働かせている。に下痢が主な副作用になるのは、この機序の裏返しだからである。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収 全身にはほとんど吸収されない(腸管内で局所完結)
代謝 腸管内のプロテアーゼでに分解される
全身性相互作用 血中に入らないためCYP等を介した全身性の薬物相互作用はほぼ起こさない
服薬タイミング 食前空腹時の服用で下痢の頻度・重症度が減ると報告されている

適応

領域 使いどころ
(便秘型・IBS-C)の第一選択に位置づけられる作動薬。腹痛・を含めた症状全体に効果を持つ
慢性便秘 他クラスの下剤で効果不十分な慢性特発性便秘

用法・用量

経口。食前空腹時(食事の30分以上前が目安)に1日1服する。用量は適応(IBS-C か慢性便秘か)で異なる。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌イレウス・腸閉塞が既知または疑われる場合
  • ⚠️ 低年齢の小児では禁忌。 で重度脱水による死亡が報告されており、6歳未満には投与しない
  • 下痢が高度な場合は減量・を検討する

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢、機序に直結した最も多い副作用)
注意 腹痛
重篤・まれ 高度下痢による脱水(特に小児)

まとめ

  • 作動薬。ETEC(STa)と同じ受容体を治療域の用量で軽く働かせ、Cl⁻分泌↑を介して腸液分泌と通過を促進する。
  • 細胞外cGMPが知覚神経を鎮めるため、便通改善だけでなく(腹痛)も軽減する唯一の下剤クラス。
  • 全身にほぼ吸収されず腸管内で作用が完結するため、CYPを介した全身性相互作用がほぼない。
  • の下痢が最大の副作用で、食前空腹時投与で軽減しうる。
  • 低年齢の小児(6歳未満)には重度脱水のリスクから禁忌。
  • で中心的な位置づけを持つ。