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Drug Atlas · B25 Laxatives / 下剤 · 必修

ラクツロース

lactulose

分類
Laxatives / 下剤
商品名(日本)
モニラックラグノスNF
商品名(EU)
Duphalac
科目
Pharmacology
トピック
B25: Drugs used in constipation (laxatives) and diarrhea. Drugs promoting digestion. Pharmacology of liver and biliary tract
禁忌疾患
イレウス・腸閉塞
対象疾患
肝硬変急性肝不全

🧠 全体像同じ1つの機序(による浸透圧効果+大腸細菌による発酵)から、まったく目的の異なる2つの薬効が生まれるという点で下剤の中でも特異な薬である。便秘薬としては「水を引く」の一つに過ぎないが、肝性脳症治療薬としては「大腸を酸性化しNH₃をNH₄⁺として便中へ閉じ込める」という別の顔を持ち、目標にする便通の回数も投与量も便秘治療とは違う。この二面性を切り分けて覚えることが本ノートの軸になる。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 特徴
Osmotic( 腸管内へ浸透圧で水を引く のみ大腸細菌による発酵という追加の生化学的効果を持つ
Bulk-forming 水を吸収し便量↑ 効果発現が最も遅いが最も穏やか
Stimulant を直接刺激 頓用向き

の中でだけが「消化されない」のではなく「大腸細菌に消化される」。 小腸には分解酵素がなく吸収されないまま大腸に達し、そこで腸内細菌が発酵して乳酸・酢酸などのを作る。この発酵産物が浸透圧をさらに高めると同時に大腸内を酸性化し、これが肝性脳症治療薬としての機序の土台になる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lactulose'>ラクツロース</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='non-absorbable'>非吸収性</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='disaccharide'>二糖</span>)を内服"] --> B["小腸で分解・吸収されず大腸へ到達"]
    B --> C["大腸細菌が発酵→乳酸・酢酸などの<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='short-chain fatty acid'>短鎖脂肪酸</span>を産生"]
    C --> D["浸透圧↑→腸管内へ水を引く"]
    D --> E["便秘薬としての効果(軟便化・排便刺激)"]
    C --> F["大腸内pH低下(酸性化)"]
    F --> G["NH3(拡散しやすい)がNH4+(拡散しにくい)へ変換"]
    G --> H["NH3の血中への再吸収が減り<br>便中へ排泄される(アンモニアtrapping)"]
    F --> I["アンモニア産生菌が抑制され<br>非産生菌が優位になる(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gut microbiota'>腸内細菌叢</span>の変化)"]
    H --> J["肝性脳症治療薬としての効果"]
    I --> J

💡 「便秘に使う量」と「肝性脳症に使う量」は目標が違う。 便秘治療は「排便があること」がゴールだが、肝性脳症治療は軟便を1日2〜3回という具体的な回数を目標に用量を調整する必要がある。少なすぎれば血中アンモニアが下がらず、多すぎれば下痢・脱水・電解質異常がかえって脳症を悪化させる誘因になるため、「多いほど良い」わけではない。

薬物動態

項目 値・特徴
吸収 ほぼ吸収されない(
代謝 大腸細菌による発酵が唯一の「代謝」
作用発現 便秘:数時間〜1〜2日。肝性脳症:効果判定に24〜48時間を要することが多い
排泄 未変化体・発酵産物とも糞便中

適応

領域 使いどころ
便秘 慢性便秘(として)
肝性脳症 肝硬変に伴う。反復例ではを追加する

⚠️ 血中アンモニア値だけで肝性脳症の重症度判定・治療調整を行わない。 アンモニア値は)と相関が弱いため、の増減は軟便の回数(1日2〜3回が目標)を指標に行うのが現行の考え方であり、アンモニア値を追いかけてしないよう注意する。

用法・用量

便秘:10〜20 mLを1日1〜2回から開始し、便通を見ながら調整する。肝性脳症:軟便が1日2〜3回になるようで調整し(初回はより高頻度・高用量から開始しすることが多い)、経口摂取が難しい例では注腸で投与することもある。感染・消化管出血・便秘・脱水・電解質異常・鎮静薬など脳症の誘因を並行して是正する。実際の用量は病態・で大きく変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌イレウス・腸閉塞
  • ⚠️ は脳症をかえって悪化させうる。 下痢・脱水・は腎でのアンモニア産生を増やし、肝性脳症の誘因そのものになるため「多く飲ませるほど良い」という誤解をしない
  • 糖尿病患者では糖分を含む製剤である点に留意する

副作用

頻度 内容
高頻度 腹部膨満、(特に投与初期)
注意 下痢、電解質異常(時)
重篤・まれ 高度下痢による脱水・循環不全、電解質異常を介した脳症の悪化

まとめ

  • 。大腸細菌に発酵されるという点が他の)と異なる。
  • 便秘薬としての顔と、肝性脳症治療薬としての顔は目的もの指標も別物。混同しない。
  • 肝性脳症では大腸を酸性化しNH₃をNH₄⁺として便中へ閉じ込めることでアンモニアの体内再吸収を減らす。
  • 肝性脳症でのは血中アンモニア値ではなく軟便1日2〜3回を目標に行う。
  • による下痢・脱水・電解質異常はかえって脳症の誘因になりうる。
  • 反復するにはを追加する。