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Drug Atlas · C18 Antibiotics / 抗菌薬 · 必修

リファキシミン

rifaximin

分類
Antibiotics / 抗菌薬
商品名(日本)
リフキシマ
商品名(EU)
Xifaxan
科目
Pharmacology
トピック
C18: Metronidazole. Fidaxomicin. Rifaximin. Nitrofurantoin. Fosfomycin
標的微生物
Escherichia coliClostridioides difficile
副作用
悪心頭痛
相互作用
シクロスポリンA
対象疾患
クロストリディオイデス・ディフィシル感染症過敏性腸症候群肝硬変急性肝不全小腸内細菌異常増殖特発性細菌性腹膜炎

🧠 全体像は、リファンピシンと同じ標的(細菌のを持ちながら、の付加によって消化管からほとんど吸収されない(<0.4%)という一点だけで薬効の性格が決まる抗菌薬である。全身のには届かないためにはならず、代わりに「腸管の中に住む細菌をどれだけ減らせるか」で肝性脳症・(IBS-D)という畑違いの3適応を持つ薬になった。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 全身吸収 主な適応 特徴
リファンピシン 良好(全身に分布) 結核・・髄膜炎菌曝露後予防 強力なCYP450誘導があり、多数の薬物相互作用を起こす
ほぼなし(<0.4%) 肝性脳症の再発予防・・IBS-D 全身性の相互作用・副作用が少なくが良好
良好(リファンピシンよりCYP誘導が弱い) HIV合併結核 ・INSTIとの併用で選好される

標的分子は同じでも、がまったく違うから使い道もまったく違う。 リファンピシン・はどちらもRNAポリメラーゼβサブユニットに結合して転写を止めるが、は腸管内にとどまるため全身感染には無力な代わりに、の量そのものを大きく変えられるだけの高濃度を内で維持できる。この「全身に効かないことがになる」という発想は、C. difficileにだけ効くのと同じである。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rifaximin'>リファキシミン</span>が腸管内の細菌に取り込まれる"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='DNA-dependent RNA polymerase'>DNA依存性RNAポリメラーゼ</span>の<br>βサブユニットに結合"]
    B --> C["プロモーターからの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transcription initiation'>転写開始</span>を阻害"]
    C --> D["mRNA合成が止まり<br>蛋白合成ができず<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bactericidal'>殺菌的</span>に作用"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyridoimidazole ring'>ピリドイミダゾール環</span>の付加により<br>ほぼ吸収されず腸管内にとどまる"] --> F["作用は腸管内の細菌叢に限局"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Urease-splitting/urea-splitting bacteria'>尿素分解菌</span>を含む<br>アンモニア産生菌を減少"]
    F --> H["非侵襲性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Enterotoxigenic E. coli'>腸管毒素原性大腸菌</span><br>(ETEC)を減少"]
    F --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gut microbiota'>腸内細菌叢</span>の組成を変化させる<br>(IBS-D、詳細機序は未解明)"]

💡 肝性脳症に効く理由は「TSH経路」ならぬ「アンモニア産生菌を減らす」という一点。 腸内細菌、とくには蛋白質・尿素からアンモニアを産生し、それが門脈から吸収されて肝性脳症を悪化させる。は腸管内の細菌叢全体を非特異的に減らすことでアンモニア産生を抑える。としてアンモニアの腸管内トラップ・排出を促す)とは機序が異なるため、併用でな効果が期待できる。

薬物動態

項目 値・特徴
<0.4%。大部分が未変化体のまま便中に排泄される
分布 ほぼ消化管内に限局。血中にはほとんど検出されない
代謝 ほとんど受けない
排泄 ほぼ全量が未変化体として便中へ
特記事項 では腸管透過性の亢進によりわずかにが増加することがあるが、臨床的に問題となるレベルではないとされる

適応

領域 使いどころ
肝疾患 肝硬変に伴うの再発予防(通常と併用)、におけるの管理
消化器 非侵襲性の(IBS-D)、発熱・血便を伴わない非侵襲性の
感染症 多回再発するで、バンコマイシン投与後に続けて投与する後続療法として検討されることがある(標準治療ではなく専門医判断による)

用法・用量

肝性脳症の再発予防:550 mgを1日2回、する。通常と併用する。IBS-D:550 mgを1日3回・14日間投与し、症状がした場合は最大2回まで再投与できる。:200 mgを1日3回・3日間投与する。実際の用量・期間は適応・肝機能で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌への過敏症、腸閉塞などな消化管閉塞
  • ⚠️ 発熱・血便を伴う侵襲性の下痢(・カンピロバクター・サルモネラなど組織侵入性の病原体)には無効かつ不適。 にとどまる薬であるため、粘膜を越えて侵入した菌には届かない。このような下痢には全身性抗菌薬が必要
  • ではわずかにが増加し、相互作用のリスクがわずかに高まる
  • など強力なP糖蛋白阻害薬との併用でが有意に増加することがある

副作用

頻度 内容
高頻度 悪心(ほぼ吸収されないため全身性副作用は少ない)
注意 頭痛(IBS-D試験での報告)
重篤・まれ 過敏反応、C. difficile感染症(他の抗菌薬と同様の理論的リスクだが頻度は低い)

まとめ

  • リファンピシンと同じ標的(RNAポリメラーゼβサブユニット)を持つが、の付加でほぼ吸収されない(経口BA<0.4%)というだけで薬効が決まる。
  • 肝性脳症の再発予防(併用)・(非侵襲性)・IBS-Dという3つの畑違いの適応を持つ。
  • 侵襲性・発熱性の下痢には無効。にとどまる薬のため、組織に侵入した菌には届かない。
  • 全身に吸収されないため、リファンピシンのような強力なCYP450誘導・相互作用の問題が少なくは良好。
  • や強力なP糖蛋白阻害薬(など)との併用ではわずかにが増加する。
  • 多回再発するC. difficile感染症でバンコマイシン後のとして使われることがあるが、標準治療ではない。