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Drug Atlas · B25 Other / その他

コラゲナーゼ・クロストリジウム・ヒストリチカム

collagenase clostridium histolyticum

分類
Other / その他
商品名(日本)
ザイヤフレックス
科目
PharmacologyPathology
トピック
Core34: Characterisation of biological medicinal productsC/97: Fibroblast-myofibroblast differentiated soft tissue tumors
承認適応
Dupuytren拘縮Peyronie病
副作用
注射部位反応末梢浮腫腫脹出血四肢痛
対象疾患
表在型線維腫症

🧠 全体像:⚠️ 「」という語はコーパスの大半で薬剤を指していない——Clostridium perfringensやEntamoeba histolyticaの、創傷治癒で基質を分解するが同じ名で呼ばれる。本ノートが扱うのはそれらとは別で、Clostridium histolyticumの発酵からした注射用の医薬品である。使いかたの幹はひとつ——「線維化してできた索やプラークを、切らずに酵素で弱くしておき、あとから力で断つ」。だからこの薬は注射だけで完結せず、必ずな手技(では指伸展、ではモデリング)と対になる。そして「コラーゲンを溶かす」という機序そのものが最大の危険でもある——腱・・もコラーゲンでできている。

薬効群の中での位置づけ

線維化した組織そのものを標的にする数少ない薬剤である。線維化を「予防する」薬ではなく、すでにできあがったの塊を物理的に弱くするの酵素製剤で、適応もも「その塊がどこにあるか」で決まる。

標的 の索 のプラーク
対になる手技 (注射の24〜72時間後) モデリング(2回目注射の1〜3日後)
治したいもの 関節の 勃起時の
最も恐れる有害事象 ・靱帯損傷 ()

機序

Clostridium histolyticumの発酵から分離・した2種の微生物(AUX-IとAUX-II、それぞれクラスIとクラスIIに相当する)を定められた質量比で含む1。2種の酵素が相補的に働くことで、単独では切りにくい構造のコラーゲンを効率よくする。

索やプラークへ注射された酵素は、そこに詰まったを局所で消化して索の張力を落とす。この時点でやが自然に治るわけではなく、翌日以降のな手技で弱くなった索を破断させて初めて可動域や形が戻る。

⚠️ 選択性は「注射した場所」でしか担保されない。 酵素そのものは病的な索と生理的な腱・・海綿体を区別しない。添付文書は、腱・など手のコラーゲン含有構造へ注射すると・靱帯損傷という永続的な損傷を、へ注射するとを生じうると明記している1。の正確さがこの薬の安全性そのものである。

薬物動態

1バイアルに0.9 mgを含むで、してへ局所注射する1。作用は注射部位に限局し、を前提とした投与設計ではない。

⚠️ であることが上の最大の含意である。 によりが生じうるほか、重篤なアレルギー反応が起こりうる。市販後のではアナフィラキシーが報告されている1。

適応

適応 承認された対象
な索を有する成人1
なプラークと、治療開始時に30度以上のを有する成人男性1

⚠️ では「の治療」であって、疼痛やの治療ではない2。痛みをとする患者に改善の期待値で説明すると、がずれる。

💡 添付文書とガイドラインで対象がずれる。 添付文書は「30度以上」としか書いていないが、AUAガイドラインは・30度超90度未満・勃起機能が保たれた患者に、モデリングと併用して投与してよい(中等度推奨・エビデンスB)としている2。承認の枠は広く、推奨の枠は狭い。

用法・用量

適応ごとにも手技も異なる。混同しない。

1回量 な索1本あたり0.58 mg 標的プラークへ0.58 mg
投与の単位 1回の受診で同一手の2関節まで 1〜3日あけた2日に1回ずつの注射2回+モデリング1回で1治療周期
対になる手技 注射の24〜72時間後に 2回目注射の1〜3日後にモデリング
反復 1本の索に対し4週間隔で最大3回 6週間隔で最大4周期

出典はいずれも添付文書である1。

禁忌・注意

  • 禁忌:①尿道を含むPeyronieプラーク、②本剤または他の治療用途に用いられるに対する過敏症の既往1。
  • ⚠️ ——治療における()その他の重篤な陰茎損傷。 では本剤投与1,044例中5例(0.5%)、重度のは1,044例中39例(3.7%)に報告された。本剤は(リスク評価・低減戦略)プログラムを通じてのみ入手できる1。
  • 抗凝固薬:以外の抗凝固薬を注射前7日以内に投与された患者では慎重に用いる1。
  • 手では腱・への、陰茎では海綿体へのが永続的損傷につながる1。

副作用

頻度25%以上の副作用は適応で異なる1。

適応 頻度25%以上の副作用
(注射した手の腫脹など)、、注射部位出血、注射部位反応、注射した四肢の疼痛
、陰茎腫脹、陰茎痛

CORD I試験(308例)でも頻度の高い有害事象は局所の腫脹・疼痛・皮下出血・掻痒と一過性の・圧痛であり、治療関連の重篤な有害事象は3件——2件と1件——であった。・の有意な変化、全身性アレルギー反応、神経損傷はみられていない3。

有効性の大きさ

  • :CORD I試験で、最終注射30日後にが0〜5度まで改善した割合は64.0%対6.8%(P<0.001)、は43.9度から80.7度へ改善した(は45.3度から49.5度、P<0.001)3。
  • :IMPRESS I/IIの1年後成績は+モデリングでが平均17度(34%)改善、+モデリングで平均9.3度(18.2%)改善であり、⚠️ とのは7.7度にとどまる2。

💡 同じ薬で効果の見え方がここまで違う理由は、対照が違うことにある。 の対照はの注射だが、の対照は+モデリングである。曲がった陰茎をに伸ばす操作そのものに効果があるため、の分は小さく見える。投与前の説明では、この差の大きさを率直に伝える2。

まとめ

  • Clostridium histolyticum由来のクラスI(AUX-I)・クラスII(AUX-II)を定められた質量比で含む用の酵素製剤。
  • 適応は「な索を有する」と「なプラークと30度以上のを有する」の2つ。
  • 注射だけでは完結しない。 では24〜72時間後の、では2回目注射の1〜3日後のモデリングと必ず対になる。
  • 用量はいずれも1回0.58 mgだが、間隔は4週で最大3回(Dupuytren)と6週で最大4周期(Peyronie)で異なる。
  • 禁忌は尿道を含むPeyronieプラークと、に対する過敏症の既往。
  • は(1,044例中5例、0.5%)と重度の(39例、3.7%)。プログラム下でのみ入手できる。
  • 手では・靱帯損傷、陰茎ではが最大の危険。コラーゲンを溶かすという機序がそのまま危険の理由である。
  • ではの治療であって疼痛・の治療ではなく、+モデリングとの差は平均7.7度にとどまる。

出典

  1. 1.XIAFLEX (collagenase clostridium histolyticum) for injection, for intralesional use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2026)改訂年月は2026年3月であること。製剤は*Clostridium histolyticum*の発酵から分離・精製した2種の微生物コラゲナーゼ(コラゲナーゼAUX-IとコラゲナーゼAUX-II)を定められた質量比で含む精製コラゲナーゼ・クロストリジウム・ヒストリチカムであり、1バイアルに0.9 mgを含む凍結乾燥粉末として供給され用時溶解すること。適応は①触知可能な索を有する成人のDupuytren拘縮、②触知可能なプラークと治療開始時に30度以上の彎曲変形を有する成人男性のPeyronie病であること。用法はDupuytren拘縮では触知可能な索1本あたり0.58 mgを注入し、1回の受診で同一手の2関節までとし、注射の24〜72時間後に指伸展手技を行い、1本の索に対して4週間隔で最大3回まで注射すること。Peyronie病では標的プラークへ0.58 mgを1〜3日あけた2日に1回ずつ注射し、2回の注射と1回のモデリング手技(2回目の注射の1〜3日後に行う)を1治療周期とし、6週間隔で最大4周期まで行うこと。禁忌は尿道を含むPeyronieプラークと、本剤または他の治療用途に用いられるコラゲナーゼに対する過敏症の既往であること。枠組み警告はPeyronie病治療における海綿体断裂(陰茎折症)その他の重篤な陰茎損傷で、臨床試験では海綿体断裂が本剤投与1,044例中5例(0.5%)、重度の陰茎血腫が1,044例中39例(3.7%)に報告され、本剤はXIAFLEX REMSプログラムを通じてのみ入手可能であること。警告として、腱・靱帯など手のコラーゲン含有構造へ注射すると腱断裂・靱帯損傷といった永続的損傷を生じうること、陰茎海綿体などコラーゲン含有構造へ注射すると海綿体断裂を生じうること、異種蛋白を含むため重篤なアレルギー反応が起こりうること、市販後臨床試験でアナフィラキシーが報告されたこと、低用量アスピリン以外の抗凝固薬を注射前7日以内に投与された患者では慎重に用いることが記載されていること。頻度25%以上の副作用は、Dupuytren拘縮では末梢性浮腫(注射した手の腫脹など)・挫傷・注射部位出血・注射部位反応・注射した四肢の疼痛、Peyronie病では陰茎血腫・陰茎腫脹・陰茎痛であること閲覧 2026-09-02
  2. 2.Peyronie's Disease: AUA Guideline(American Urological Association・2015)病巣内コラゲナーゼは、安定期・彎曲30度超90度未満・勃起機能が保たれた患者に対し、モデリングと併用して投与してよいこと(中等度推奨・エビデンスB)。IMPRESS I/IIでは1年後の彎曲改善が実薬+モデリングで平均17度(34%)、プラセボ+モデリングで平均9.3度(18.2%)であり、実薬とプラセボの平均差は7.7度にとどまること。投与開始前に陰茎の皮下出血・腫脹・疼痛・海綿体断裂の可能性を説明すること(臨床原則)。コラゲナーゼは彎曲に対する治療であって疼痛や勃起障害を治すものではないこと閲覧 2026-09-02
  3. 3.Injectable collagenase clostridium histolyticum for Dupuytren's contracture(The New England Journal of Medicine・2009)20度以上の関節拘縮を有するDupuytren病308例を対象とした前向き・無作為化・二重盲検・プラセボ対照多施設試験(CORD I)で、拘縮したコラーゲン索へ1回0.58 mgを30日間隔で最大3回注射し、注射の翌日に関節を用手的に伸展したこと。主要評価項目である「最終注射30日後に拘縮が完全伸展から0〜5度まで軽減した割合」はコラゲナーゼ群64.0%対プラセボ群6.8%(P<0.001)で、26項目の副次評価項目もすべてコラゲナーゼが優ったこと(P≦0.002)。関節可動域は43.9度から80.7度へ改善し、プラセボの45.3度から49.5度を上回ったこと(P<0.001)。頻度の高い有害事象は局所の腫脹・疼痛・皮下出血・掻痒と一過性の所属リンパ節腫大および圧痛であり、治療関連の重篤な有害事象は腱断裂2件と複合性局所疼痛症候群1件の計3件であったこと。屈曲力・握力の有意な変化、全身性アレルギー反応、神経損傷はみられなかったこと(抄録のみを閲覧しており全文は未取得)閲覧 2026-09-02