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Disease Atlas · 神経 · 腫瘍

神経節膠腫

Ganglioglioma

臓器系
神経腫瘍
科目
Neurology
トピック
神経内科 G3-06:脳腫瘍の病理学的分類
上位概念
中枢神経系腫瘍(成人・小児)
鑑別疾患
多形黄色星細胞腫毛様細胞性星細胞腫胚芽異形成性神経上皮腫瘍
合併症
水頭症
治療薬
ダブラフェニブ+トラメチニブ
症状
焦点発作痙攣発作頭痛
画像所見
壁在結節
適応薬
ダブラフェニブ+トラメチニブ

🧠 全体像:は、神経細胞成分とグリア成分が混在する混合腫瘍で、(DNET)と並ぶ長期てんかん関連腫瘍(LEAT)の代表であり、⭐ の主要な原因の一つである1。⭐ **BRAF V600E変異が最高頻度の遺伝子異常で、DNET・と並んでこの変異を高頻度に持つ腫瘍群を作る。⚠️ **切除範囲がてんかん転帰を左右する——全摘出との違いが、寛解率を大きく分ける12。

疫学・臨床像

とDNETを含むグループは全一次CNS腫瘍の約0.5〜2%を占め、主に小児期・若年成人に発生し、30歳以上での診断はまれである1。⭐ 最も一般的な発症症状はで、他に頭痛・焦点神経脱落症・がある1。あるコホートでは手術年齢の中央値が16.1歳(生後4か月〜64.5歳)、男性が63.5%だった2。

⚠️ を来しやすい。 腫瘍内記録では、DNET・のいずれにも固有の活動が確認され、グルタミン酸受容体の増加と受容体の減少による過興奮性状態が想定されている1。

画像所見

では腫瘍がの拡大や第3・の拡大(水頭症を示唆)を来しうる1。石灰化はの35〜50%に認められ、DNETの約10%より高頻度である1。

⭐ ・・血管芽腫と同じく、嚢胞と()の組み合わせを取りうる代表的腫瘍の一つである3。

病理

神経細胞成分(またはNSE陽性)とグリア成分の混合腫瘍で、グリア成分は様または様の形態を取ることが多い1。

分子——BRAF V600E変異

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ganglioglioma'>神経節膠腫</span>"] --> B["BRAF融合変異<br>(約25%)"]
    A --> C["BRAF V600E点変異<br>(13〜56%、最高頻度)"]
    B --> D["MAPK経路の活性化"]
    C --> D

⭐ BRAF関連の変化がで最も高頻度に見られる遺伝子異常である。 融合変異が約25%、点変異(V600Eを含む)が13〜56%に認められる1。別のコホートではBRAF V600E陽性率が48.4%(30/62例)だった2。

⚠️ BRAF V600E陽性群は発症・手術年齢が若い。 てんかん発症年齢の中央値は陽性群9.5歳に対し陰性群15.2歳、手術年齢は陽性群14.1歳に対し陰性群23.7歳だった(いずれも統計的有意差あり)2。

💡 BRAF V600E変異は・DNETでも高頻度で、この3腫瘍が並んで語られる理由になっている。

治療——切除範囲がてんかん転帰を決める

⭐ 治療の主体は外科的切除であり、切除範囲がてんかんの転帰を直接左右する。 全摘出を受けた患者の79%が術後てんかん寛解を達成したのに対し、部分摘出では43%にとどまった。全摘出に周囲組織の一部切除を加えると、寛解率は87%に上がった1。

別のコホートでも同じ構図が確認されている。51.6%・拡大摘出33.9%・部分摘出14.5%という切除範囲の内訳で、術後上のは33.9%に認められ、1年後のてんかん寛解率(ILAE class 1/1a)は67.7%だった2。

⚠️ とBRAF V600E変異はいずれも再発の独立した危険因子である。 では、のが10.4、BRAF V600E変異のが4.00だった2。⭐ BRAF V600E陽性例ほど、残存を残さない積極的な切除戦略がされる。

放射線療法の役割は限定的である(大半が grade 1のため)。BRAF変異陽性例には、・・エンコラフェニブなどのBRAF阻害薬が新興のとして検討されており、2023年にはを要するBRAF V600E陽性のに対しが承認された14。

鑑別診断

びまん性星細胞腫、、、、リンパ腫、、(とくに内病変)、、脳炎が鑑別に挙がる1。

⚠️ DNETとは同じLEATだが、石灰化頻度(DNET約10% 対 35〜50%)と分子背景(DNETはFGFR1が中心、はBRAFが中心)で区別できる1。

予後

、若年発症、焦点性部分発作という発作型は術後てんかん転帰の良好な予測因子である。てんかんが短いほど小児のも良好とされ、迅速な診断・治療が重要である1。

まとめ

  • は神経細胞成分とグリア成分の混合腫瘍で、DNETと並ぶ長期てんかん関連腫瘍(LEAT)の代表。両者合わせて全一次CNS腫瘍の0.5〜2%で、小児・若年成人に多い。
  • ⭐ BRAF V600E変異が最高頻度の遺伝子異常(点変異13〜56%、あるコホートでは48.4%)。陽性群は発症・手術年齢が若い。
  • 画像は・と同じ「嚢胞+」を取りうる。石灰化は35〜50%とDNET(約10%)より高頻度。
  • ⭐ 治療は外科的切除で、切除範囲がてんかん転帰を決める。 全摘出79%対部分摘出43%(別のコホートで残存無し67.7%)という差があり、⚠️ (HR 10.4)とBRAF V600E変異(HR 4.00)がともに独立した再発危険因子。
  • BRAF阻害薬(など)はを要する例の新興の選択肢。
  • 鑑別はDNET・・など。DNETとは石灰化頻度と分子背景(FGFR1 対 BRAF)で区別する。

出典

  1. 1.Neuronal Brain Tumors(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2022)NCBI Bookshelfで閲覧した記事。神経節膠腫と胚芽異形成性神経上皮腫瘍(DNET)が主に小児期・若年成人の腫瘍で30歳以上での診断がまれであり両者で本グループ(全一次CNS腫瘍の約0.5〜2%)の大多数を占めること、最も一般的な発症症状がてんかん発作で他に頭痛・焦点神経脱落症・急性水頭症があること、両腫瘍が長期てんかん関連腫瘍(LEAT)と呼ばれ最大医学療法に対して難治性であること、腫瘍内脳波記録でDNET・神経節膠腫の双方に固有のてんかん原性活動が確認されグルタミン酸受容体(GluR)のアップレギュレーションとGABA受容体(GABA-R)のダウンレギュレーションによる過興奮性状態が想定されていること、側頭葉腫瘍のCT所見として側脳室下角の拡大・第3または第4脳室の拡大が水頭症を示唆し前頭葉周囲の低吸収域がCSF脳室外流出を示唆すること、石灰化がDNETの約10%・神経節膠腫の35〜50%に認められること、すべての神経節膠腫とDNETがシナプトフィジンまたはNSEなどの神経細胞マーカーで陽性でありグリア成分の多くが星細胞様または乏突起膠細胞様の形態を取ること、神経節膠腫でBRAF融合変異が25%・BRAF一塩基置換ミスセンス変異(V600Eを含む)が13〜56%と最高頻度の遺伝子変化であること、DNETではFGFR1変異が特に一般的であること、症候性の神経節膠腫とDNETの治療選択肢が外科的切除であり全摘出を受けた患者の79%が術後てんかん寛解を達成したのに対し部分摘出は43%にとどまったこと、全摘出と周囲組織の一部切除を組み合わせると87%が術後てんかん寛解を達成したこと、本グループの大半がWHO grade 1のため放射線療法の役割が限定的であること、BRAF変異陽性例に対しベムラフェニブ・ダブラフェニブ・エンコラフェニブなどのBRAF阻害薬が新興の補助療法として検討されていること、鑑別診断としてびまん性星細胞腫・毛様細胞性星細胞腫・多形黄色星細胞腫・乏突起膠腫・リンパ腫・上衣腫・髄膜腫(特に側脳室内病変)・転移性腫瘍・脳炎が挙げられること、より早い診断・若い患者年齢・焦点性部分発作という発作型が術後改善の好ましい予後因子でありてんかん罹病期間が短いほど小児の認知転帰が良好であることを確認した閲覧 2026-09-06
  2. 2.BRAF V600E Mutation in Ganglioglioma: Impact on Epileptogenicity and Implications for Surgical Strategy(European Journal of Neurology(Tomschik M, et al.)・2025)全文を閲覧した。神経節膠腫62例(105例から抽出)を対象とした検討で、男性が63.5%、手術年齢中央値が16.1歳(生後4か月〜64.5歳)であること、BRAF V600E変異陽性が30例(48.4%)・陰性が32例(51.6%)であること、てんかん発症年齢の中央値がBRAF V600E陽性群9.5歳に対し陰性群15.2歳、手術年齢中央値が陽性群14.1歳に対し陰性群23.7歳でありいずれも統計的有意差(p=0.019〜0.032)を認めたこと、切除範囲が全摘出(lesionectomy)51.6%・拡大摘出33.9%・部分摘出14.5%で術後MRI上の残存腫瘍が33.9%に認められたこと、術後1年時点のてんかん寛解率(ILAE class 1/1a)が67.7%(62例中42例)であったこと、多変量Cox回帰分析で残存腫瘍のハザード比が10.4(95%CI 2.63〜40.94、p<0.001)、BRAF V600E変異のハザード比が4.00(95%CI 1.23〜13.00、p=0.022)でありいずれも独立した再発危険因子であったこと(残存腫瘍とBRAF変異の交互作用のハザード比は0.15、p=0.024)を確認した閲覧 2026-09-06
  3. 3.Cyst with a mural nodule tumor of the brain(Cancer Imaging(Raz E, Zagzag D, Saba L, et al.)・2012)Europe PMCの全文で確認した総説。中枢神経系で「嚢胞+壁在結節」の形を取る代表的な腫瘍が血管芽腫・毛様細胞性星細胞腫・神経節膠腫・多形黄色星細胞腫であり、より稀なものとしてtanycytic上衣腫・脳実質内神経鞘腫・線維形成性乳児神経節膠腫・嚢胞性転移が挙げられることを確認した閲覧 2026-09-06
  4. 4.FDA approves dabrafenib with trametinib for pediatric patients with low-grade glioma with a BRAF V600E mutation(U.S. Food and Drug Administration・2023)2023年3月16日、FDAが1歳以上の小児患者を対象にBRAF V600E変異陽性で全身療法を要する低悪性度神経膠腫(WHO grade 1〜2)に対しダブラフェニブ+トラメチニブを承認したこと、多施設非盲検試験(CDRB436G2201、NCT02684058)でカルボプラチン+ビンクリスチンとの2:1無作為化比較が行われ奏効率がダブラフェニブ+トラメチニブ群46.6%に対しカルボプラチン+ビンクリスチン群10.8%であったことを確認した閲覧 2026-09-06