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Drug Atlas · B35 Targeted cancer therapy / 分子標的薬

ベムラフェニブ

vemurafenib

分類
Targeted cancer therapy / 分子標的薬
商品名(日本)
ゼルボラフ
商品名(EU)
Zelboraf
科目
PharmacologyPathologyPathology (Histopathology)
トピック
B35: Drugs used in cancer treatment V (Small molecule signal transduction inhibitors. Retinoids)病理学 B/24:腫瘍治療(外科・放射線・化学療法・分子標的・免疫療法)病理学 C/102:メラノサイト系腫瘍組織病理 H2-099B:悪性黒色腫の危険因子・分子病理・所見
副作用
発熱皮疹関節痛薬疹
対象疾患
Erdheim-Chester病ランゲルハンス細胞組織球症悪性黒色腫有毛細胞白血病
原因となる疾患
化膿性肉芽腫角化棘細胞腫

🧠 全体像:はBRAF V600E変異を狙い撃ちする低分子阻害薬の第一号で、と同時に2011年承認された。MAPK経路とBRAF+MEK併用の一般論はに譲り、ここでは固有のparadoxical activation(BRAF野生型細胞で形成を介しMAPK経路をかえって活性化させる現象)と、それに由来するの誘発、、そして黒色腫以外でこの薬が推奨の中心に載るでの位置づけに焦点を当てる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 位置づけ 特徴
(単独または併用) BRAF V600E阻害薬の第一号(2011年承認) と同日承認。・関節痛・が多い
同じBRAF+MEK二重阻害の併用療法 発熱が特徴的。では全体のがやや良好

⭐ 未治療進行黒色腫675例のBRIM-3試験(対照、Chapman PB, et al. N Engl J Med. 2011;364:2507-2516)の初報では48% 対 5%、6か月84% 対 64%と大きく上回った。の中央値13.6か月 対 9.7か月は、その後の追跡報告(McArthur GA, et al. Lancet Oncol. 2014;15:323-332)で示された数値である。

機序

flowchart TD
    A["BRAF V600E変異細胞<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='monomer'>単量体</span>で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='constitutive activation'>恒常活性化</span>)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vemurafenib'>ベムラフェニブ</span>が選択的に結合・阻害"]
    B --> C["MAPK経路(RAF→MEK→ERK)を遮断"]
    C --> D["腫瘍細胞の増殖抑制"]
    E["BRAF野生型細胞<br>(潜在する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='RAS mutation'>RAS変異</span>細胞)"] --> F["BRAF-CRAF<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heterodimerization'>ヘテロ二量体形成</span>"]
    F -.->|"paradoxical activation"| G["MAPK経路がかえって活性化"]
    G --> H["潜在<span class='jp-term jp-term-diagram' title='RAS mutation'>RAS変異</span>クローンの増殖が加速"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cutaneous squamous cell carcinoma, cSCC'>皮膚有棘細胞癌</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='keratoacanthoma'>角化棘細胞腫</span>・<br>新規母斑・二次性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='RAS mutation'>RAS変異</span>腫瘍"]
    G --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='MEK inhibitor'>MEK阻害薬</span>併用でMEKを<br>直接阻害し活性化経路も遮断"]

💡 なぜBRAF変異細胞では抑制、野生型細胞では逆に活性化するのか。 はBRAFのに結合する際、BRAF-CRAFを安定化させる。V600E変異細胞はで経路を駆動するため単純に阻害されるが、野生型細胞(特にを併せ持つ細胞)ではこのがCRAFを介した再活性化につながる。・の多くに(特にHRAS)が見つかり、既存の潜在病変の増殖が加速する(Su F, et al. N Engl J Med. 2012;366:207-215)。coBRIM試験(未治療の・転移性BRAF V600変異陽性黒色腫495例を、+群と+プラセボ群に)でも、併用により二次性が減っている1。

⚠️ この「減った」に付ける数値は、原著ではなく添付文書から採る。 coBRIM原著のが述べているのは「二次性の数が併用療法で減少した」という定性的な記述までで、頻度の数値は示されていない1。同じ試験の頻度を数値で示しているのはの米国添付文書で、またはが単剤群20%対併用群6%(併用群での初発までの4か月)である。は逆に併用群4.5%対単剤群2.4%、二次性原発黒色腫は併用群0.8%対単剤群2.4%で、減っているのは・の系統だけである2。

薬物動態

項目 値・特徴
代謝 主にで代謝される基質であり、・を阻害する
半減期 約57時間(定常状態到達までおよそ15〜21日)
蛋白結合 >99%(アルブミン・)
食事の影響 で()が約5倍、Cmaxが約2倍に増加する。用法そのものは食事の有無を問わない3

⚠️ 阻害により、基質薬の血中濃度を上げうる。 阻害・との併用でも自身の血中濃度が変動する。

適応

領域 使いどころ
皮膚 BRAF V600変異陽性の・転移性悪性黒色腫(単剤または併用)
血液・系 米国ではBRAF V600変異陽性のにも適応(VE-BASKET試験22例、ORR 54.5%、Diamond EL, et al. JAMA Oncol. 2018;4:384-388)
血液腫瘍(の外) BRAF V600E陽性の再発・難治にリツキシマブ併用で用いる(下記の節を参照)。米国の添付文書の効能は上2つだけでは含まれない3

有毛細胞白血病での位置づけ

⭐ 悪性黒色腫と Erdheim-Chester 病のほかに、BRAF V600E阻害が治療戦略そのものを組み替えた疾患がである。 フランス語圏とFILO(French Innovative Leukemia Organization)による2024年の推奨は、一次治療に抵抗性、または一次治療後のが2年未満と短いに、BRAF V600E陽性なら+リツキシマブを推奨する(が2〜5年だった場合は+リツキシマブとの二択になる)4。

⚠️ である。 FILO 2024自身がこれを「This off-label treatment」と断っており4、米国の添付文書の効能も悪性黒色腫と Erdheim-Chester 病の2つで、は含まれない3。⭐ 一方日本では併用が承認されている——の電子添文の効能・効果に「BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の」が掲げられる5。承認状況は処方する国の添付文書で確かめる。

根拠になった第2相試験。 再発・難治の30例(前治療数の中央値3)に、960 mgを1日2回8週間、これと同時に開始して逐次に続くリツキシマブ375 mg/m²を18週間で計8回投与した単施設試験で、である予定治療終了時のに intention-to-treat 集団の26例(87%)が達した。の10例・リツキシマブ抵抗性の5例・のがある7例はいずれも全例がに達し、例26例のうち17例(65%)でが消失した。無増悪生存は追跡37か月の時点で78%である6。⚠️ 著者自身がで「小規模な試験(this small study)」と断っている単施設試験である点は落とさない6。

⚠️ 単剤では使わない。 FILO 2024は、・の単剤はもも劣りが検出感度以下にならないため、との併用を優先すべきだとしている4。💡 同推奨の用量表では、の投与期間が単剤では「960 mgを1日2回16〜18週間」、併用では「960 mgを1日2回8週間」(リツキシマブは18週間で計8回)と書き分けられている4。⚠️ ただし推奨の理由としてFILOが挙げているのはの深さと持続であって、投与期間の短縮ではない。

⭐ が無いことが、この疾患では固有の価値になる。 の一次治療であるは骨髄抑制と長期の免疫抑制を伴うが、FILO 2024はについて「not myelotoxic and less immunosuppressive than PNA」と述べる4。ここから、黒色腫では出てこない使い分けが生まれる4。

  • があって治療開始を遅らせられないとき:・骨髄抑制作用が無いことを理由に、低用量を療法として用いる。が好中球数を速やかに改善して感染制御を助けることが示されており、感染が制御できたら+リツキシマブへ切り替える。
  • があるとき:は50 mL/min以下、ペントスタチンは60 mL/min未満で禁忌とされるため、BRAF変異があればを代替としうる。
  • 妊娠中:の妊娠中使用にはデータが無く(悪性黒色腫での症例報告があるのみ)、FILO 2024は出産後まで治療を遅らせ、遅らせられない場合はを用いることを推奨している。

⚠️ (分類第5版のSBLPN)には当てはめられない。 この病型はBRAF野生型なので、そもそも標的が存在しない。名前が似ているので取り違えない。

用法・用量

悪性黒色腫では1日2回960 mg(240 mg錠4錠)を12時間ごとに内服する3。併用時は1日1回60 mgを28日中21日間併用する。・・QT延長に応じ・減量し、実際の用量は添付文書で確認する。でのレジメン(8週間+リツキシマブ)は上記の節を参照。

💡 食事の扱いは「制限は無いが、揃えるほうがよい」。 米国の添付文書は用法を「食事の有無を問わず」とし、でも食事に関係なく投与されたと述べる一方、同じ文書がでが約5倍・Cmaxが約2倍に上がると記載している3。投与の可否を縛る制限ではないが、が食事条件で大きく動くので、服用のタイミングは日ごとに揃えるほうが解釈しやすい。

禁忌・注意

  • ⚠️ BRAF野生型腫瘍への投与は避ける:paradoxical activationでを促進しうるため、投与前のBRAF V600変異確認が必須
  • :誘発性の重度の日焼け様反応で、・・直射日光回避を指導する
  • QT延長:⚠️ 未補正の電解質異常・ 500 ms超・がある患者、およびQT延長作用が知られる薬剤を服用中の患者では、そもそも治療を開始しない(「併用を避ける」より強い規定である)。開始前と、開始後または延長を理由とした用量変更後の15日目・最初の3か月は毎月・以後3か月ごと(臨床上必要ならより頻回に)に心電図と電解質(カリウム・・カルシウム)を評価する。 500 ms超(Grade 3)でし、500 ms以下へ回復したら減量して再開する。心臓のリスク因子を是正してもが500 ms超かつ治療前値から60 ms超の上昇が続く場合は永続的に中止する3
  • 米国の添付文書には禁忌欄の項目が無い(「4 CONTRAINDICATIONS」は逐語で「None.」)3。⚠️ これは米国の文書についての事実であって、他国の禁忌欄が空であることを意味しない
  • :、症候群の報告があり、・・発熱を伴うではを直ちに中止する
  • :投与前後で定期的に評価する

副作用

頻度 内容
高頻度 皮疹、、関節痛、発熱、悪心、疲労
注意 ・(併用で頻度低下)、QT延長、
重篤・まれ 、症候群、二次性の非(腫瘍)

まとめ

  • BRAF V600E変異の第一号として2011年、と同時に承認された。
  • BRAF野生型細胞での形成によるparadoxical activationが・・新規母斑を誘発する核心的機序で、併用でこれを抑えられる(coBRIM試験)。
  • と比べ、(誘発性で・指導が必要)・関節痛・は側に、発熱は側に多いとするがある。
  • QT延長、、症候群に注意する。
  • 悪性黒色腫のほか、米国ではにも適応がある。
  • ⭐ BRAF V600E陽性の再発・難治では、リツキシマブとの併用(960 mg 1日2回8週間+リツキシマブ8回)が推奨される適応外治療で、単施設第2相試験30例のは87%。単剤では使わない(が低く短く、が残る)。が無いため、時のや例での代わりに使える。BRAF野生型のバリアントには当てはめられない。日本で承認されているのは併用のほうである。
  • 基質かつ阻害薬で、他剤の血中濃度に影響しうる。

出典

  1. 1.Combined vemurafenib and cobimetinib in BRAF-mutated melanoma(New England Journal of Medicine(Larkin J, et al.)・2014)抄録を通しで読み、coBRIM試験が未治療の切除不能・転移性BRAF V600変異陽性黒色腫495例をベムラフェニブ+コビメチニブ群とベムラフェニブ+プラセボ群に無作為化した第3相試験であることを確認した。二次性皮膚癌について抄録が述べているのは「併用療法で二次性皮膚癌の数が減少した」という定性的な一文だけで、皮膚有棘細胞癌の発現率の数値(3%・11%を含む)は抄録に一度も現れない。全文はNEJMが403を返し、Unpaywallが示すリポジトリ版も著者最終稿の登録のみで取得できなかったため、数値の裏づけには使っていない閲覧 2026-09-08
  2. 2.COTELLIC (cobimetinib) tablet, film coated — full prescribing information(Genentech / DailyMed (U.S. National Library of Medicine)・2026)コビメチニブの米国添付文書の Cutaneous Malignancies の節を逐語で確認した。coBRIM試験(Trial 1)でコビメチニブ+ベムラフェニブ群とベムラフェニブ群にそれぞれ生じた皮膚悪性腫瘍・前癌病変は、皮膚有棘細胞癌または角化棘細胞腫が6%と20%、基底細胞癌が4.5%と2.4%、二次性原発黒色腫が0.8%と2.4%であり、併用群での有棘細胞癌・角化棘細胞腫の初発までの期間中央値は4か月である閲覧 2026-09-08
  3. 3.ZELBORAF (vemurafenib) tablet, film coated — full prescribing information(Genentech, Inc. / DailyMed (U.S. National Library of Medicine)・2026)DailyMed のページを開いて製品名「ZELBORAF® (vemurafenib) tablet for oral use」と製造販売元 Genentech, Inc. を確認した。ハイライトに印刷された改訂表示は「Revised: 7/2026」で、ページ上部の「Updated August 28, 2026」は掲載側の更新日である(year は前者に拠った。同じ文書に含まれる Medication Guide の「Revised: 11/2017」は別文書の日付である)。「1 INDICATIONS AND USAGE」は①BRAF V600E変異を有する切除不能または転移性の悪性黒色腫(FDA承認検査で検出されたもの)と②BRAF V600変異を有する Erdheim-Chester 病の2つだけで、有毛細胞白血病は含まれない。Limitation of Use としてBRAF野生型の黒色腫には適応しないと明記する。「4 CONTRAINDICATIONS」は逐語で「None.」である。「2.2 Recommended Dose」は960 mg(240 mg錠4錠)を12時間ごとに食事の有無を問わず経口投与とする。「5.5 QT Prolongation」は、未補正の電解質異常・QTc 500 ms超・先天性QT延長症候群のある患者、およびQT延長作用が知られる薬剤を服用中の患者では治療を開始しないこととし、開始前と開始後(または用量変更後)15日目・最初の3か月は毎月・以後3か月ごとに心電図と電解質(カリウム・マグネシウム・カルシウム)を評価するよう求め、QTc 500 ms超(Grade 3)で休薬し500 ms以下へ回復したら減量して再開、心臓のリスク因子を是正してもQTcが500 ms超かつ治療前値から60 ms超の上昇が続く場合は永続的に中止するとしている。⚠️ 同じ文書のハイライト欄は「Withhold ZELBORAF for QTc of 500 ms or greater」=500 ms以上で休薬と書いており、5.5本文の「> 500 ms」と境界の書き方が食い違う。本ノートは本文5.5の書き方を採った。「5.1 New Primary Malignancies」はTrial 1で皮膚有棘細胞癌・角化棘細胞腫の発現率がベムラフェニブ群24%・ダカルバジン群1%未満であり、初発までの期間中央値が7〜8週であったとする。閲覧 2026-09-14
  4. 4.Recommendations for the Management of Patients with Hairy-Cell Leukemia and Hairy-Cell Leukemia-like Disorders: A Work by French-Speaking Experts and French Innovative Leukemia Organization (FILO) Group(French Innovative Leukemia Organization (FILO) / Cancers (Basel)・2024)Europe PMC の fullTextXML(PMC11201647)で全文を確認した。再発・難治の有毛細胞白血病について、一次治療に抵抗性の場合または一次治療後の奏効が2年未満と短い場合は「we recommend the use of vemurafenib plus R」とし、直後の文でこれを「This off-label treatment」=適応外使用と明記していること。奏効が2〜5年だった場合はクラドリビン+リツキシマブとベムラフェニブ+リツキシマブの両方を検討対象とすること。用量の表は逐語で「vemurafenib 960 mg twice daily for 8 weeks + R 375 mg/m2 8 infusions over 18 weeks (started at day 1 of vemurafenib)」であり、ベムラフェニブ単剤の欄は「960 mg twice daily for 16–18 weeks」であること。「The combination of R + vemurafenib should be preferred to BRAFi or MEKi alone because of their lower and shorter responses in monotherapy, with no uMRD」=BRAF阻害薬・MEK阻害薬の単剤は奏効が低く短く微小残存病変が検出感度以下にならないため抗CD20抗体との併用を優先すべきであること。「Vemurafenib is not myelotoxic and less immunosuppressive than PNA」=骨髄毒性が無くプリンアナログより免疫抑制が弱いこと。低用量でも有効でありうるため減量が多いこと。ベムラフェニブ+リツキシマブ後の再発では同じ併用の再投与が可能で有効でありうること。3次治療以降では、BRAF阻害薬+リツキシマブもMEK阻害薬も未使用でBRAF V600E陽性ならベムラフェニブ+リツキシマブを推奨すること。活動性感染があって治療開始を遅らせられない場合は、骨髄毒性・骨髄抑制作用が無いことを理由に低用量BRAF阻害薬によるブリッジ療法を推奨し、BRAF阻害薬が好中球数を速やかに改善して感染制御を助けることが示されていること、感染が制御できたらクラドリビン+リツキシマブへ切り替えることを述べていること。腎機能障害ではクレアチニンクリアランス50 mL/min以下でクラドリビンが、60 mL/min未満でペントスタチンが禁忌とされ、BRAF変異があればベムラフェニブを代替としうるとしていること。妊娠中の使用についてはBRAF阻害薬のデータが無く、悪性黒色腫での症例報告があるにとどまるとしていること。実務上は皮膚(皮疹・光線過敏症・基底細胞癌・有棘細胞癌・黒色腫)・関節(関節痛・関節炎)・眼・膵・肝(リパーゼ上昇・トランスアミナーゼ上昇)の有害事象に注意し、QT延長の可能性があるため心電図を定期的に実施すべきであると述べていること。閲覧 2026-09-14
  5. 5.メキニスト錠0.5mg/メキニスト錠2mg/メキニスト小児用ドライシロップ4.7mg 電子添文(ノバルティスファーマ株式会社(PMDA 医療用医薬品情報。2026年2月改訂・第8版、効能変更・用法及び用量変更)・2026)電子添文本文を自分で取得して確認した。作成又は改訂年月の表示は2026年2月改訂(第8版、効能変更、用法及び用量変更)である。「4. 効能又は効果」に「BRAF遺伝子変異を有する再発又は難治性の有毛細胞白血病」が掲げられており、日本ではダブラフェニブとの併用でこの適応が承認されている。17. 臨床成績の該当試験は、プリンアナログによる一次治療に不応もしくは当該治療の1年以内に再発した、または2つ以上の治療後に増悪した有毛細胞白血病患者を対象とし、トラメチニブ2 mg 1日1回連日とダブラフェニブ1回150 mg 1日2回連日の併用を検討した第II相非盲検非対照試験である。⚠️ この文書はトラメチニブの電子添文であり、ベムラフェニブの国内の承認状況については何も述べていない。閲覧 2026-09-14
  6. 6.Vemurafenib plus Rituximab in Refractory or Relapsed Hairy-Cell Leukemia(New England Journal of Medicine(Tiacci E, et al.)・2021)Europe PMC で抄録を通しで確認した(全文は取得していない。inEPMC・isOpenAccess とも N、PMCID 無し)。書誌は Crossref で NEJM 384巻1810-1823頁・2021年、筆頭著者 Enrico Tiacci として照合した。単施設の第2相試験で、再発・難治の有毛細胞白血病30例(前治療数の中央値3)にベムラフェニブ960 mgを1日2回8週間、これと同時に開始して逐次に続くリツキシマブ375 mg/m²を18週間で計8回投与した。主要評価項目は予定治療終了時の完全奏効で、intention-to-treat 集団で26例(87%)が完全奏効に達した。化学療法抵抗性の10例・リツキシマブ抵抗性の5例・BRAF阻害薬の前治療歴がある7例はいずれも全例が完全奏効に達した。血小板減少は中央値2週間、好中球減少は中央値4週間で回復した。完全奏効した26例のうち17例(65%)で微小残存病変が消失した。30例全体の無増悪生存は追跡期間中央値37か月の時点で78%、奏効した26例の無再発生存は追跡期間中央値34か月の時点で85%であった。事後解析では微小残存病変陰性であることとBRAF阻害薬の前治療が無いことが無再発生存の長さと相関した。有害事象は大半がGrade 1または2で、いずれも両剤で既知のものであった。結論は逐語で「In this small study, a short, chemotherapy-free, nonmyelotoxic regimen of vemurafenib plus rituximab was associated with a durable complete response in most patients with refractory or relapsed HCL」であり、著者自身が小規模試験であると断っている。⚠️ 抄録の Background が挙げるベムラフェニブ単剤の成績(奏効91%・完全奏効35%・治療中止後の無再発生存期間中央値9か月)は先行試験の紹介であって本試験の結果ではない。閲覧 2026-09-14