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CIWA-Ar

CIWA-Ar

別名
Clinical Institute Withdrawal Assessment for Alcohol, Revisedアルコール離脱重症度評価尺度
臓器系
精神
科目
Psychiatry
トピック
精神医学 A-14:アルコール使用症の疫学・診断・離脱・アルコール幻覚症・経過
構成:症状
悪心・嘔吐振戦発汗不安知覚異常(触覚障害)幻覚(聴覚障害)幻視(視覚障害)頭痛見当識障害・意識混濁焦燥
適用疾患
アルコール使用障害

🧠 全体像:CIWA-Arは、のがすでに出ている患者で、その重症度を10項目・最高67点で数値化する評価尺度である。⚠️ はそのものを診断するためのツールではなく、離脱と診断された(あるいは強く疑われる)患者で「今どれだけ重症か」「治療にどう反応しているか」を追跡するためのモニタリング尺度である1。この違いを取り違えると、離脱以外の原因で似た症状を呈する患者にも機械的に当てはめてしまう。

目的と適用場面

内容
目的 症状の重症度を数値化し、薬物療法の要否・投与量を決める
対象 患者で、が出現している(またはリスクが高い)者。覚醒しており意思疎通が可能なことが前提
使う場面 離脱リスクのある患者の入院時から一定間隔で反復評価し、症状駆動型のベンゾジアゼピン投与の指標とする
評価しないもの の診断そのもの、意識障害・せん妄の原因鑑別

構成要素と配点

⭐ 10項目のうち9項目は各0〜7点、と意識のみ0〜4点で、合計は最高67点になる2。

悪心・嘔吐

0点 中等度 最高点(7点)
悪心・嘔吐なし 間欠的な悪心を伴う 持続する悪心、頻回の・嘔吐

振戦

0点 中等度 最高点(7点)
なし 上肢を伸展させた状態で中等度の振戦 上肢を伸展させなくても認める高度な振戦

発汗

0点 中等度 最高点(7点)
発汗を認めない に明らかな発汗の玉 全身がびっしょり濡れるほどの発汗

不安

0点 中等度 最高点(7点)
不安なく落ち着いている 中等度の不安、または緊張が推測される 重度せん妄・様状態に匹敵する急性パニック状態

0点 中等度 最高点(7点)
通常の活動性 中等度の落ち着きのなさ・そわそわ 面接の大半で歩き回る、または絶えず身もだえする

触覚障害

0点 中等度 最高点(7点)
認めない 中等度の 持続的な(かゆみ・ちくちく感・灼熱感・)

聴覚障害

0点 中等度 最高点(7点)
認めない 中等度の 持続的な

0点 中等度 最高点(7点)
認めない 中等度の 持続的な

頭痛・

0点 中等度 最高点(7点)
認めない 中等度 極めて高度

と意識(0〜4点、他の9項目より配点幅が狭い)

0点 1点 2点 3点 4点
、連続減算が可能 連続減算が不能、または日付に確信が持てない 日付の(2日以内) 日付の(2日超) 場所・人物の

解釈とカットオフ

合計点 重症度 対応
8点以下 軽症 通常は薬物療法不要。反復評価を継続
9〜15点 中等症 症状駆動型のベンゾジアゼピン投与を検討
15点超 重症 けいれん・のリスクが上昇。積極的な薬物療法と頻回の再評価が必要

上記のはStatPearlsのまとめ(8点以下は軽症、8〜15点は中等症、15点超は重症)に基づく目安である。8点をどちらの区分に含めるかは資料によって表記が揺れるため、ここでは軽症側に含めて重複がないよう整理した。施設のプロトコルにより境界値の運用(8点ではなく8〜10点を境にする施設もある)は多少異なる3。

💡 と固定用量投与の対比。 スコアに応じてベンゾジアゼピンを投与する症状駆動型は、あらかじめ決めた時刻・用量で投与する固定用量投与と比べ、入院期間の短縮との減少に関連するとされ、軽症〜中等症のうちで反復評価できる患者では優先される1。

⚠️ 限界と使ってはいけない場面

⚠️ 意思疎通が取れない患者には使えない。 は自己申告を要する項目(悪心、不安、頭痛、の内容など)を含むため、覚醒し会話ができる患者にしか使えない。挿管中、高度のせん妄、言語の壁がある患者などでは信頼できる採点ができず、代替の評価尺度(MINDSなど)を用いる3。

⚠️ 離脱以外の原因による症状と区別できない。 感染症、肝性脳症、、他の薬物による離脱・中毒でも類似した症状(、発汗、頻脈など)が出現し得る。の点数だけで離脱と決めつけず、他の原因を並行して評価する。

⚠️ 診断のためのツールではない。 症状がまだ出ていない患者の将来の重症化を予測する目的や、そのものを診断する目的には作られていない。あくまで「今の症状の重症度」を追跡するモニタリング尺度である1。

まとめ

  • は、すでに出現している症状の重症度を10項目・最高67点で数値化するモニタリング尺度である。
  • 9項目は各0〜7点、と意識のみ0〜4点で構成される。
  • 8点以下は軽症で薬物不要、9〜15点は中等症、15点超は重症でけいれん・のリスクが上がる。
  • は固定用量投与より入院期間・の面で優れるとされ、で反復評価できる患者に優先される。
  • 意思疎通が取れない患者・せん妄・離脱以外の原因による症状には使えず、離脱の診断自体にも用いない。

出典

  1. 1.The ASAM Clinical Practice Guideline on Alcohol Withdrawal Management(Journal of Addiction Medicine(American Society of Addiction Medicine)・2020)CIWA-Arは治療反応をモニタリングするために開発された尺度であり離脱症候群そのものの診断には用いないこと、症状駆動型のベンゾジアゼピン投与が固定用量投与と比べ入院期間の短縮・総投与量の減少と関連し優先されることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Assessment of alcohol withdrawal: the revised clinical institute withdrawal assessment for alcohol scale (CIWA-Ar)(British Journal of Addiction(Sullivan JT, et al.)・1989)CIWA-Arが10項目(悪心嘔吐・振戦・発汗・不安・焦燥・触覚障害・聴覚障害・視覚障害・頭痛/頭重感・見当識と意識混濁)からなり、見当識項目のみ0〜4点、他9項目は各0〜7点で構成される短縮版尺度であることを確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Alcohol Withdrawal Syndrome(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2024)CIWA-Arのカットオフ(8点以下は軽症、8〜15点は中等症、15点超は重症)と、CIWA-Arは覚醒・意思疎通が可能な患者にのみ使え、それができない重症例ではMINDSなど別の評価尺度を用いるべきという限界を確認した。閲覧 2026-08-19