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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤

ミリキズマブ

mirikizumab

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
商品名(日本)
オンボー
商品名(EU)
Omvoh
科目
Pharmacology
トピック
B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)
承認適応
潰瘍性大腸炎Crohn病
禁忌疾患
結核(活動性)
副作用
頭痛発疹
監視検査値
肝酵素(AST・ALT)ビリルビン

🧠 全体像:ミリキズマブは・と同じIL-23のp19サブユニットを狙うで、この3剤の中で最も後発だが、(・Crohn病)に限定して先に広く承認されたという順序が特徴的である。ガイドラインでは、高度治療未使用例・既往例のどちらでも「中等度有効性」に区分され、・(既往例では高〜中等度)より一段低い評価に置かれている。

同じ抗IL-23 p19抗体との違い

項目 ミリキズマブ
抗体の由来 完全ヒト(-umab) ヒト化(-zumab) ヒト化(-zumab)
標的 IL-23 p19 IL-23 p19 IL-23 p19(同一)
主な適応 乾癬・・・Crohn病 乾癬・・Crohn病・ ・Crohn病のみ(皮膚適応なし)
半減期 約15〜18日 約28日 約9.3日(3剤中で最短)1
ガイドラインの評価 中等度〜高(既往例で変動) 高(未使用例)〜中等度(既往例) 中等度(未使用例・既往例とも)2

⭐ 同じ標的・同じ由来分類(ヒト化)でも、半減期はミリキズマブが際立って短い。 領域への展開が無く専用薬として開発された経緯が、をより頻回(は4週ごと)にする設計に反映されている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='activated macrophage'>活性化マクロファージ</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dendritic cell'>樹状細胞</span>が<br>IL-23(p19+p40)を産生"] --> B["ミリキズマブがp19サブユニットに結合"]
    B --> C["IL-23受容体への結合を阻害"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Th17 cell'>Th17細胞</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='innate lymphoid cell (ILC)'>自然リンパ球</span>の<br>維持シグナルが遮断される"]
    D --> E["IL-17・IL-22などの<br>下流サイトカイン産生が低下"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intestinal mucosa'>腸管粘膜</span>の炎症が抑制される"]

💡 p19だけを狙うことで、p40を共有するIL-12/Th1経路は温存される。 がIL-12/23の共通サブユニットp40を狙うのに対し、ミリキズマブはIL-23に固有のp19だけを阻害するため、感染防御に関わるTh1系の応答を保ちながらTh17維持シグナルだけを断てるというは・と共通する。

薬物動態

項目 値・特徴
はIV、は皮下注
皮下注の 約44%、Tmaxは約5日1
平均約9.3日1
用量に比例した線形性を示す

適応・用法・用量

疾患 導入 維持
300mg IV、0・4・8週(12週時に効果不十分なら300mgをさらに3回追加投与可)3 200mg皮下注(100mg/mLを2本)、12週から4週ごと
Crohn病 900mg IV、0・4・8週3 皮下注で維持(用量は施設プロトコル・添付文書で確認)

投与前に・などでの有無を評価し、年齢に応じたワクチン接種を完了させておく1。実際の用量は年齢・体重・効果で変わるため施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

⚠️ 禁忌欄の書き方が国で違う。 米国の添付文書は成分への重篤な過敏症の既往のみを禁忌とし、は禁忌ではなく(投与前スクリーニング)の対象とする1のに対し、日本の電子添文はを重篤な感染症とともに禁忌欄に明記している3。

  • 禁忌:本剤成分への重篤な過敏症の既往(米国・日本共通)。日本ではこれに加え重篤な感染症・も禁忌3
  • ⚠️ ()が報告されており、投与開始前および開始後少なくとも24週間は肝機能検査値・ビリルビンをモニタリングする1
  • 感染症のリスクが高まるため、臨床的に重要な症がある間は投与を開始しない
  • 生ワクチンは接種を避ける

副作用

頻度 内容
高頻度 、関節痛
注意 注射部位反応、発疹、頭痛、帯状疱疹を含むヘルペスウイルス感染
重篤・まれ 、、結核の再活性化(日本では禁忌扱い)

まとめ

  • ・と同じ抗IL-23 p19だが、適応を持たず専用として開発された点が異なる。
  • 半減期は約9.3日と3剤中で最短で、は4週ごとの皮下注という頻回投与になる。
  • のガイドラインでは高度治療未使用例・既往例のいずれでも「中等度有効性」の区分に入り、他の2剤より評価が一段低い。
  • 禁忌の範囲は国で異なり、日本はを禁忌に明記するが米国は止まり。
  • 肝機能検査・ビリルビンの継続モニタリングが必要な点はp19阻害薬の中でも強調されている。

出典

  1. 1.OMVOH (mirikizumab-mrkz) injection, solution — Highlights of Prescribing Information(Eli Lilly and Company / U.S. Food and Drug Administration(DailyMed収載、2025年11月改訂)・2025)ミリキズマブがIL-23のp19サブユニットに選択的に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体であること、消失半減期が潰瘍性大腸炎・Crohn病のいずれの集団でも平均約9.3日であること、禁忌は成分への重篤な過敏症の既往のみで活動性結核は禁忌ではなく警告(投与前スクリーニングと治療歴確認)の対象であること、肝機能検査値・ビリルビンをベースラインおよび投与開始後少なくとも24週間モニタリングするとされていることを確認した閲覧 2026-09-16
  2. 2.AGA Living Clinical Practice Guideline on Pharmacological Management of Moderate-to-Severe Ulcerative Colitis(American Gastroenterological Association・2024)PMCの著者最終稿(PMC12162142。PMID 39572132。誌上版は Gastroenterology 167巻7号1307-1343頁)の推奨3・4で確認した。高度治療未使用例の高有効性薬はインフリキシマブ・ベドリズマブ・オザニモド・エトラシモド・ウパダシチニブ・リサンキズマブ・グセルクマブ、中等度有効性薬はゴリムマブ・ウステキヌマブ・トファシチニブ・フィルゴチニブ・ミリキズマブ、低有効性薬はアダリムマブである。1剤以上の高度治療の使用歴がある例(とくに抗TNF薬。対象試験の90%超が抗TNF薬の使用歴)では区分が組み替わり、高有効性薬はトファシチニブ・ウパダシチニブ・ウステキヌマブ、中等度有効性薬はフィルゴチニブ・ミリキズマブ・リサンキズマブ・グセルクマブ、低有効性薬はアダリムマブ・ベドリズマブ・オザニモド・エトラシモドである。いずれの推奨も「高有効性薬または中等度有効性薬を低有効性薬より用いる」という選言で、強さは conditional recommendation(提案=弱い推奨)、エビデンスの確実性は low である。区分は薬効群ではなく個々の薬剤に対して与えられている。閲覧 2026-09-16
  3. 3.オンボー点滴静注300mg/オンボー皮下注100mg 電子添文(日本イーライリリー株式会社(医薬品医療機器総合機構収載、2025年3月改訂・第3版)・2025)日本の電子添文の禁忌が重篤な感染症の患者・活動性結核の患者・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者の3項目であり、DailyMedと異なり活動性結核が禁忌欄に明記されていること、潰瘍性大腸炎は1回300mgを4週間隔で3回(0・4・8週)点滴静注し12週時に効果不十分なら追加で3回投与できること、Crohn病は1回900mgを同スケジュールで投与することを確認した閲覧 2026-09-16