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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤

ワクシニア免疫グロブリン

vaccinia immune globulin

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
科目
Medical Microbiology
トピック
1/33: Passive immunization and its risks and side effects, chemoprophylaxis3/19: Poxviruses
標的微生物
ワクシニアウイルス

🧠 全体像:(VIGIV)は、通常のとは別物の特異的製剤である——に対する高力価抗体を選んで含むよう調製されており、通常のにはこの特異性が無い。適応も・ワクチン(生ワクチン)接種後の重篤な合併症(・湿疹性・重症の全身性)に限られ、免疫不全者や患者がこれらのワクチンを受けたときの受け皿として位置づけられる1。⚠️ 通常ので代用できない。 に対する特異抗体を欠く通常のでは、同じ効果は期待できない2。⚠️ の(角膜炎のみ)には使わない——添付文書上も禁忌に挙げられており、の手順書も単独の症例には推奨していない12。角膜病変そのものへの局所治療は点眼液が担う——「=VIGIV」ではなく「全身性の重症合併症=VIGIV、角膜病変=点眼」と役割が分かれている点を混同しない。

薬効群の中での位置づけ

製剤 特異性 主な適応
通常の 特定病原体に対する特異性なし(ドナー血漿中の多様な抗体を含む) ・・など免疫調整目的
VIGIV(本剤) に対する高力価抗体を特異的に含む ・ワクチン接種後の・湿疹性・重症全身性など1

💡 「」という括りだけで同一視しない。 VIGIVはでに対するを確認・選別したドナー血漿から作られる特異的製剤であり、通常のとは製造対象・適応の両方が異なる2。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vaccinia virus'>ワクシニアウイルス</span>に高<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antibody titer'>抗体価</span>を示すドナー血漿を選別"]
    A --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vaccinia virus'>ワクシニアウイルス</span>に対する高力価抗体を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='purification'>精製</span>・濃縮"]
    B --> C["VIGIVとして<span class='jp-term jp-term-diagram' title='IV dosing'>静脈内投与</span>"]
    C --> D["受動免疫として<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vaccinia virus'>ワクシニアウイルス</span>を中和"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='progressive vaccinia'>進行性ワクシニア</span>・湿疹性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vaccinia'>ワクシニア</span>などの増悪を抑える"]

💡 通常のとの違いは「特異抗体を選んでいるかどうか」に尽きる。 通常のはドナー血漿中の多様な抗体をそのまま含む非特異的な製剤だが、VIGIVはへの高力価抗体を持つドナー血漿を選別して製造される特異的製剤である2。による受動免疫が主な作用機序であり、ウイルスの複製そのものを止める抗ウイルス薬(など)とはが異なる。

適応

ワクチン(ワクチン)接種の合併症に限られる1。

  • 湿疹性(重症の)
  • (ワクチン接種後も病変が進行する状態)
  • 重症の全身性
  • 火傷・・・ツルシ皮膚炎などの皮膚疾患を有する者に生じた感染
  • 眼・口腔など特別な危険部位への感染(の角膜炎を除く)

⚠️ postvaccinial encephalitis(ワクチン接種炎)には無効とされる1。

の2025年の手順書は対象を者・・湿疹性に絞り、ののみ・軽症例・標準的支持療法で足りる症例には使わないとしている2。

の文脈では、・・・と並んで免疫不全例の治療推奨のなかで整理されるが、⚠️ この用途は正式なではなくexpanded access(人道的使用)の枠組みによる研究的な使用である——本来の適応はワクチン接種の合併症であって、感染そのものに対する適応ではない23。

用法・用量

  • 初回投与量は体重あたり6000単位をする
  • 反応不良の場合は9000単位/kgまたは24000単位/kgへの増量を検討する
  • 血栓症の危険因子を持つ患者では1日最大投与量を12000単位/kgまでに抑える
  • は毎分2 mL以下(体重50 kg未満の患者では0.04 mL/kg/分)に制限する1

禁忌・注意

  • 禁忌:の角膜炎(角膜病変のみで全身症状を伴わない場合)、ヒト免疫グロブリンへのアナフィラキシーまたは重度全身反応の既往、抗IgA抗体を伴う1
  • ⚠️ :血糖測定への干渉。 本剤に含まれるが血糖測定をにし、不適切なインスリン投与による致死的な低血糖を招きうる。グルコース特異的な測定法を用いる必要がある1
  • 血栓症のリスク:・高齢・のある患者で増加する。最小濃度・最小で投与し、十分なを確保する1
  • :既存の腎機能低下またはの危険因子がある患者では慎重に投与し、腎機能・尿量をモニタリングする1
  • その他の:過敏反応、溶血、症候群、(TRALI)、感染性病原体の伝播リスク1

副作用

頻度 内容
最多(10%超) 頭痛・悪心・悪寒・めまい1
血糖測定への干渉による・不適切なインスリン投与・致死的低血糖1
重篤(まれ) 血栓症、、過敏反応、溶血、症候群、1

まとめ

  • VIGIVはに対する高力価抗体を特異的に含むで、通常のでは代用できない12。
  • 適応は・ワクチン接種後の重篤な合併症(・湿疹性・重症全身性など)に限られ、の角膜炎のみの症例には使わない(禁忌)1。
  • は血糖測定への干渉——含有するが血糖値をにし、不適切なインスリン投与による致死的な低血糖を招きうる1。
  • の治療推奨に名指しされるが、正式なではなくexpanded accessによる研究的な使用にとどまる23。
  • 角膜病変への局所治療は役割が異なる点眼液が担い、VIGIVは全身性の重症合併症に用いる——両者を混同しない。

出典

  1. 1.CNJ-016 (vaccinia immune globulin intravenous, human) injection — full prescribing information(U.S. Food and Drug Administration / Emergent BioSolutions・2025)CNJ-016(VIGIV)が痘そうワクチン(ワクシニアワクチン)接種の合併症——湿疹性ワクシニア・進行性ワクシニア・重症の全身性ワクシニア、火傷/伝染性膿痂疹/水痘帯状疱疹/ツタウルシ皮膚炎などの皮膚疾患を有する者に生じたワクシニア感染、および眼・口腔など特別な危険部位への迷入感染(孤発性の角膜炎を除く)——の治療を適応とすること、postvaccinial encephalitis(ワクチン接種後脳炎)には無効であること、初回投与量が体重あたり6000単位の静脈内投与で反応不良の場合は9000単位/kgまたは24000単位/kgへの増量を検討すること、血栓症の危険因子を持つ患者では1日最大投与量を12000単位/kgまでに抑えること、投与速度が毎分2 mL以下(体重50 kg未満では0.04 mL/kg/分)に制限されること、枠組み警告として本剤含有のマルトースが血糖測定を偽高値にし不適切なインスリン投与による致死的な低血糖を招きうるためグルコース特異的な測定法を用いる必要があると明記されていること、禁忌が孤発性のワクシニア角膜炎・ヒト免疫グロブリンへのアナフィラキシーまたは重度全身反応の既往・抗IgA抗体を伴うIgA欠損症であること、血栓症(心血管危険因子・高齢・凝固亢進状態で増加)・腎機能障害・過敏反応・溶血・無菌性髄膜炎症候群・輸血関連急性肺障害・感染性病原体伝播のリスクが警告として挙げられていること、最も多い副作用(10%超)が頭痛・悪心・悪寒・めまいであること、本剤が標準的なIVIGとは異なりワクシニアウイルスに対する高力価抗体を特異的に含む製剤であることを確認した。2025年6月改訂・2025年12月16日更新版。閲覧 2026-09-07
  2. 2.Use of Intravenous Vaccinia Immune Globulin (VIG-IV) and Standard Intravenous Immune Globulin (IVIG) — Protocol(Centers for Disease Control and Prevention・2025)この2025年2月5日付CDC文書が、VIG-IVの対象を重度免疫不全者・進行性ワクシニア(ワクチン接種後も病変が進行する状態)・湿疹性ワクシニア(重症の播種性感染)に限定していること、孤発性の眼病変または角膜炎のみの症例・軽症または限局性の病態・標準的な支持療法で足りる症例にはVIG-IVを使用しないとしていること、VIG-IVが「ワクシニアウイルスに対する高力価抗体を特異的に含むよう調製されている」点で、この特異性を持たない標準的な免疫グロブリン製剤(IVIG)とは異なると明記していること、本文書自体はワクシニアワクチン接種の合併症を対象としており、エムポックスそのものへの適用はexpanded access(人道的使用)の枠組みによる研究的な使用に位置づけられることを確認した。閲覧 2026-09-07
  3. 3.Mpox therapeutics in the post-STOMP/PALM era(Current Opinion in HIV and AIDS・2026)テコビリマットが流行期を通じて人道的使用で広く投与されてきたにもかかわらず臨床的有効性の証拠が無いこと、複数の第3相プラセボ対照試験(STOMP・PALM007)がいずれもmpox治療におけるテコビリマットの臨床的有効性を示せなかったこと、およびSummaryが「テコビリマット・ブリンシドフォビル・シドフォビル・トリフルリジン・VIGIVを含む現行の治療推奨(current treatment recommendations)の根拠と、それ以外の研究段階の治療(other investigational treatments)をまとめる」と述べていることを、Europe PMC の抄録で確認した。⚠️ 全文はOvidの購読制で取得できず、抄録はこれら5剤を現行の治療推奨(current treatment recommendations)側に分類しており、investigational treatmentsはこれら5剤とは別の治療を指す閲覧 2026-08-26