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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤 · 必修

ラブリズマブ

ravulizumab

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
商品名(日本)
ユルトミリス
商品名(EU)
Ultomiris
科目
Pharmacology
トピック
B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)
承認適応
溶血性尿毒症症候群遺伝性・後天性溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症・G6PD欠乏症・自己免疫性溶血性貧血・発作性夜間ヘモグロビン尿症)重症筋無力症
副作用
頭痛下痢悪心背部痛

🧠 全体像は「と同じ標的(補体C5)を、より長く効かせる」ために設計された分子である。C5への結合部位(抗原認識部位)はとほぼ同じだが、にpH依存的なFcRnを高める改変を加えることで血中滞留時間を延長し、2週毎のだったを8週毎(体重の軽い小児は4週毎)まで間隔を延ばせるようにした「第二世代」のである。作用機序・適応症・の骨格はを踏襲しており、両者の違いは主ににある。

薬効群の中での位置づけ

標的段階 代表薬 特徴
終末補体C5 2週毎の。長年の標準治療
終末補体C5(長時間作用型) 半減期を延長した改変により8週毎(軽量小児は4週毎)までを延長
上流など など より上流を止めにも対応する新世代薬(本ノートでは扱わない)

からへの置き換えは「効果の強さ」ではなく「」の改善が主目的である。 終末より大幅に延長されており(では適応により平均約50〜64日)1、頻回通院・による患者負担を軽減できる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ravulizumab'>ラブリズマブ</span>が補体C5に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='high affinity'>高親和性</span>で結合"] --> B["C5のC5a・C5bへの開裂を阻害"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='membrane attack complex (MAC)'>膜侵襲複合体</span>(C5b-9、MAC)の形成を防ぐ"]
    C --> D["補体依存性の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='HLA-DR3/DR4'>細胞破壊</span>・炎症が抑制される"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Fc region'>Fc領域</span>の改変によりpH依存的な<br>FcRnを介した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recycling'>リサイクリング</span>が増強"] --> F["血中からの消失が遅くなる"]
    F --> G["終末<span class='jp-term jp-term-diagram' title='elimination half-life'>消失半減期</span>が大幅に延長(約50〜64日)"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dosing interval'>投与間隔</span>を8週毎まで延長できる"]

💡 の血中滞留時間はとFcRn()の相互作用で決まる。 はC5結合部位(抗原認識部位)はとほぼ同一のまま、にpH依存的なFcRn結合を強める改変を加えることで、内でリサイクルされ分解を免れる効率を高めた——標的も効果の質もと同じだが、抗体そのものの「寿命」を延ばした分子である。

適応

領域 使いどころ
腎・血液内科 の第一選択治療2
血液内科
神経 陽性の全身型重症筋無力症

用法・用量

体重帯に応じたを初回にし、その2週間後からを開始する。の間隔は体重20 kg以上で8週毎体重20 kg未満(5〜20 kgの乳幼児)では4週毎とする。実際の投与量は体重区分ごとに細かく規定されているため添付文書で確認する1

禁忌・注意

  • ⚠️ :終末補体を阻害する薬剤全般に共通する重症・致死的なのリスク。投与開始の少なくとも2週間前までに(血清群A・C・W・Y・Bをカバー)を接種する。緊急に治療を要し接種が間に合わない場合はを併用したうえで投与する1
  • 禁忌:投与開始時点で未解決の重篤な
  • aHUSはの制御異常が本態であり、が治療の中心に位置づけられる3。溶血所見(LDH上昇、低下、)とを確認できれば、の結果を待たずに開始を検討する
  • 治療期間(生涯継続か中止可能か)は治療反応や補体遺伝子変異のパターンを踏まえて専門医が個別に判断する

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛、aHUSでは下痢悪心
重篤・まれ を含む感染症

まとめ

  • と同じ標的(補体C5)を持つ「長時間作用型」の第二世代で、の改変により終末を大幅に延長し、を8週毎まで延ばせる。
  • aHUSでは第一選択治療の一つで、診断後速やかに開始する。PNH・重症筋無力症にも適応を持つ。
  • で、投与前のワクチン接種が必須という点はと共通する。
  • との違いは効果の質ではなく)にあり、改善が主な臨床的意義である。

出典

  1. 1.ULTOMIRIS (ravulizumab-cwvz) injection — Highlights of Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)・2025)終末補体C5への結合による膜侵襲複合体形成阻害という機序、髄膜炎菌感染症に関する枠組み警告とワクチン接種要件、維持投与の間隔が体重20 kg以上では8週毎・体重5〜20 kgでは4週毎であること、終末消失半減期の平均が適応により49.6日(PNH)〜64.3日(視神経脊髄炎スペクトラム障害)であることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.Alexion Receives FDA Approval for ULTOMIRIS® (ravulizumab-cwvz) for Atypical Hemolytic Uremic Syndrome (aHUS)(Alexion Pharmaceuticals・2019)2019年10月18日、ラブリズマブが小児(生後1か月以上)を含むaHUS患者に対する初の長時間作用型C5阻害薬としてFDA承認されたことを示す。閲覧 2026-08-10
  3. 3.Atypical hemolytic uremic syndrome and C3 glomerulopathy: conclusions from a Kidney Disease: Improving Global Outcomes (KDIGO) Controversies Conference(KDIGO・2017)aHUSは補体第二経路の制御異常が本態であり、C5阻害薬による補体阻害療法が治療の中心に位置づけられることを確認した。閲覧 2026-08-10