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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤 · 必修

ガラダシマブ

garadacimab

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
商品名(日本)
アナエブリ
商品名(EU)
Andembry
科目
Pharmacology
トピック
B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)
承認適応
遺伝性血管性浮腫
副作用
腹痛

🧠 全体像は「発作の連鎖が始まる一番上流を、抗体で長く塞ぐ」という発想の長期予防薬である。HAEの産生カスケードは活性化(FXIIa)→血漿という順に進むが、はこの最上流のFXIIaをモノクローナル抗体で中和する。半減期が2週間を優に超えるため、月1回皮下注という頻度の少なさが、頻回投与が必要な他の長期予防薬との最大の違いになる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 標的・機序 投与頻度・場面
FXIIaへのモノクローナル抗体(カスケード最上流を遮断) 月1回皮下注、長期予防専用
欠乏したの補充 皮下注は週2回、長期予防
血漿の阻害(経口) オンデマンド治療専用
長期予防(現在は非第一選択)

カスケードの「どの段階を止めるか」で薬が並ぶ:FXIIa()→血漿など)→B2受容体()という順に下流へ標的が移っていく。 最上流を止めるは、下流の反応を丸ごと止められる一方、FXIIaが担う他の生理機能(凝固の一部)への影響も理論上の関心事になる。

機序

flowchart TD
    A["血管内皮の活性化などを契機に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='factor XII'>第XII因子</span>が活性化しFXIIaとなる"] --> B["FXIIaが血漿<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kallikrein'>カリクレイン</span>を活性化"]
    B --> C["血漿<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kallikrein'>カリクレイン</span>が高分子キニノーゲンを切断"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin'>ブラジキニン</span>が遊離し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular permeability'>血管透過性</span>が亢進"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='garadacimab'>ガラダシマブ</span>(抗FXIIaモノクローナル抗体)がFXIIaの触媒活性を阻害"] --> F["カスケードの最上流で反応が止まる"]
    F --> G["血漿<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kallikrein'>カリクレイン</span>の活性化・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bradykinin'>ブラジキニン</span>産生が持続的に抑制される"]

💡 最上流を狙うことの意味は「」に直結する。 の半減期は平均17.4日と長く、到達も中央値6日とゆっくりである。抗体が血中に留まり続ける限りFXIIaは中和され続けるため、月1回というでも効果を維持できる。

適応

12歳以上の成人・小児における(HAE)発作の長期予防(発症抑制)12。急性発作そのものの治療(オンデマンド治療)には用いない。

用法・用量

初回に400mg(200mgを2回)をし、以降は200mgを月1回する1。自己投与または介助者による投与が想定されている。投与を忘れた場合は気づいた時点でできるだけ早く投与する。

禁忌・注意

  • 添付文書上、明記された重大な禁忌・は記載されていない
  • FXIIaは凝固にも関与する分子であるため、機序上は凝固系への影響が理論的な関心事になるが、ではの増加は報告されていない
  • ⚠️ への干渉:本剤はaPTT測定系そのものと干渉し、がなくてもaPTTを延長させる1。投与中の患者でaPTT延長を見たら、まず本剤の影響を疑う
  • 半減期が長いため、投与中止後も効果(と、もし生じれば有害事象)が数週間持続しうる

副作用

で発現率7%以上と最も多い副作用は腹痛であり、重篤な副作用の頻度は低い1。血漿由来製剤ではないため、のような感染症伝播リスクはない。

まとめ

  • 産生カスケードのを中和するモノクローナル抗体で、長期予防専用の薬剤。
  • 初回400mg(200mg×2)、以降は200mgを月1回皮下注——半減期が平均17.4日と長いため頻回投与が不要。
  • 急性発作の治療には使わず、あくまでが適応。
  • は良好で、最も多い有害事象は・腹痛にとどまる。血漿由来製剤特有の感染症伝播リスクがない点がとの違い。

出典

  1. 1.ANDEMBRY (garadacimab-gxii) prescribing information(U.S. Food and Drug Administration・2025)garadacimabが完全ヒト型モノクローナル抗体(IgG4/λ軽鎖)として活性化第XII因子(FXIIa)の触媒活性を阻害すること、12歳以上のHAE発作予防に初回400mg(200mg×2回)皮下投与後、200mgを月1回皮下投与すること、半減期が平均17.4日と長いこと、最も多い副作用(発現率7%以上)が鼻咽頭炎と腹痛であること、本剤がaPTT測定系と干渉してaPTTを延長させうることを確認した。閲覧 2026-08-10
  2. 2.CSL、新規のヒト抗活性化第XII因子モノクローナル抗体「アナエブリ皮下注200mgペン」、遺伝性血管性浮腫(HAE)の急性発作の発症抑制を効能・効果として製造販売承認を取得(CSLベーリング株式会社・2025)ガラダシマブ(アナエブリ皮下注200mgペン)が2025年2月20日に日本で製造販売承認を取得し、日本で初めて承認されたFXIIa標的の完全ヒト型モノクローナル抗体であることを確認した。閲覧 2026-08-10