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Drug Atlas · B30 Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤 · 必修

アニフロルマブ

anifrolumab

分類
Biologics & immunomodulators / 生物学的製剤
商品名(日本)
サフネロー
商品名(EU)
Saphnelo
科目
Pharmacology
トピック
B30: Immunopharmacology III (Antibodies and fusion proteins)
承認適応
全身性エリテマトーデス
副作用
咳嗽輸注関連反応

🧠 全体像は、SLEの病態を駆動する(IFN)シグナルの元栓」そのものを閉める抗体である。がBAFFを中和してB細胞のを断つのに対し、はI型IFN受容体サブユニット1(IFNAR1)に結合し、IFN-α・IFN-β・IFN-κなど複数のI型IFNの働きをまとめて遮断する——「個々のサイトカインを叩く」のではなく「受容体で受け付けない」という、より上流で広い遮断が特徴になる。SLE患者の多くでI型IFN関連遺伝子の発現亢進(いわゆるIFNシグネチャー)がみられ、これが疾患活動性と相関することが治療の理論的根拠である。

薬効群の中での位置づけ

SLEの生物学的製剤は標的が異なり、それぞれ別の経路でB細胞・を抑える。

標的 薬剤(語尾) 遮断のしかた 適応の広がり
I型IFN受容体(IFNAR1) (-umab) 複数のI型IFNシグナルをまとめて遮断 中等症〜重症SLE(腎炎・重症CNSループスは適応外)
BLyS/BAFF (-umab) B細胞のを中和 SLE・
CD20(B リツキシマブ(-ximab) B細胞を直接枯渇させる 難治性血球減少など(が中心)

「上流で受容体を塞ぐ()」か「特定の生存因子を中和する()」かで作用の広がりが違う。 はIFNAR1を介するシグナル全般を遮断するため、などの皮膚病変や関節炎に強みがあると報告される一方、腎炎や重症では十分な有効性が確認されておらず適応から除外されている点が使い分けの実務上のポイントになる1。EULARの2023年改訂推奨も、皮膚病変・関節炎が主体で標準治療に抵抗性の例でを選択肢に挙げ、ステロイド減量のために生物学的製剤の速やかな導入を検討するよう求めている2

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dendritic cell'>樹状細胞</span>・単球などが<br>免疫複合体・自己核酸刺激でI型IFN<br>(IFN-α・IFN-β・IFN-κなど)を産生"] --> B["I型IFN受容体(IFNAR1/IFNAR2)に結合"]
    B --> C["JAK-STAT経路を介し<br>IFN応答遺伝子群が誘導される(IFNシグネチャー)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dendritic cell'>樹状細胞</span>成熟・自己反応性B/T細胞活性化↑"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='autoantibody production'>自己抗体産生</span>・組織障害が進む"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anifrolumab'>アニフロルマブ</span>がIFNAR1に結合"] -.->|"I型IFNの結合・シグナル伝達を阻止"| B
    F --> G["IFNAR1の細胞内への取り込みも誘導"]
    G --> H["細胞表面のIFNAR1が減少し<br>受容体アセンブリがさらに起こりにくくなる"]
    H --> I["IFN応答遺伝子の発現が低下"]

💡 「1つのサイトカインではなく受容体を塞ぐ」設計だから複数のI型IFNをまとめて抑えられる。 IFN-α単独を中和する抗体では、他のI型IFN(IFN-β・IFN-κなど)によるなシグナルが残ってしまう。は受容体サブユニット1(IFNAR1)そのものに結合し、さらにその受容体を細胞内へ取り込ませて表面から減らすという二段構えで、I型IFNシグナル全体を広く遮断する。

適応

標準治療(ステロイド・薬・・NSAIDsなど)を受けている中等症〜重症の活動性SLE成人患者への追加治療13重症の活動性、重症の活動性では有効性が確立しておらず推奨されない1

用法・用量

IV:300 mgを30分かけて4週ごとにSC:120 mgを週1回皮下注射(等によるが可能なとして2026年に追加承認された)。既存の標準治療へのとして用いる1。実際の・用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本薬に対する重篤な過敏症(アナフィラキシー)の既往
  • ⚠️ 重症の活動性・重症の活動性には推奨されない。 でこれらの病態を十分に評価しておらず、有効性が確立していない1
  • ⚠️ 帯状疱疹(の再活性化)のリスクが増加する。 の報告もあり、中の投与開始は避ける1
  • 重篤な感染症(COVID-19を含む)のリスクが上がるため、投与前に感染のスクリーニングを行う
  • 悪性腫瘍のリスク因子がある患者では、個々の利益とリスクを慎重に検討する
  • 生ワクチンの接種は投与中避ける

副作用

頻度 内容
高頻度 ・気管支炎など)、輸注関連反応、帯状疱疹、咳嗽
注意 過敏症反応(重篤なアナフィラキシー・を含む)
重篤・まれ (COVID-19を含む致死例の報告あり)、悪性の上昇

まとめ

  • 受容体サブユニット1(IFNAR1)を標的とする。複数のI型IFN(IFN-α・IFN-β・IFN-κなど)のシグナルをまとめて遮断し、受容体のも誘導する。
  • (BAFF中和)・リツキシマブ(CD20を介した枯渇)とは標的も遮断のしかたも異なる、SLE生物学的製剤の第三の選択肢。
  • 適応は標準治療を受けている中等症〜重症SLEへの追加治療で、重症・重症は適応外
  • 用法はIV 300 mg 4週ごと、またはSC 120 mg週1回。
  • 帯状疱疹を含む感染症リスク増加、悪性因子への配慮、過敏症反応に注意する。

出典

  1. 1.SAPHNELO (anifrolumab-fnia) injection, for intravenous or subcutaneous use — full prescribing information(FDA(AstraZeneca Pharmaceuticals LP)・2026)2026年4月改訂版で、中等症〜重症の活動性SLE(標準治療を受けている成人)が適応であり、重症の活動性ループス腎炎・重症の活動性中枢神経ループスでは有効性が評価されておらず推奨されないこと、用法はIV点滴静注300 mgを4週ごと、またはオートインジェクター等によるSC皮下注120 mgを週1回であること(SC投与は2026年に追加承認)、禁忌は本薬に対するアナフィラキシーの既往のみであること、重症感染症・帯状疱疹リスク増加の警告があることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.EULAR recommendations for the management of systemic lupus erythematosus: 2023 update(European Alliance of Associations for Rheumatology(Fanouriakis et al., Ann Rheum Dis)・2023)疾患コントロールとステロイド減量のために免疫抑制薬・生物学的製剤(アニフロルマブ・ベリムマブなど)の速やかな導入を検討すること、特に皮膚病変・関節炎が主体で標準治療に抵抗性の例でアニフロルマブが選択肢になることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.Saphnelo (anifrolumab) approved in the US for moderate to severe systemic lupus erythematosus(AstraZeneca・2021)アニフロルマブ(Saphnelo)は2021年7月30日にFDAから中等症〜重症SLE(標準治療を受けている成人)を適応として承認された、I型インターフェロン受容体を標的とする初めての薬剤であることを確認した閲覧 2026-08-10