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Drug Atlas · B22 Other / その他 · 必修

デューティバカフトル

deutivacaftor

分類
Other / その他
商品名(EU)
Alyftrek
科目
Pharmacology
トピック
B22: Antiinflammatory agents inhibiting bronchial inflammatory processes. Antitussive agents and expectorants
承認適応
嚢胞性線維症
副作用
頭痛
原因となる疾患
薬剤性肝障害

🧠 全体像は、分子としてはまったく同じ標的に同じように結合する——効き方は変えず、効く長さだけを変えた素化アナログである。の水素原子の一部を素に置き換えただけで結合様式・親和性は不変だが、でC-H結合が切断される速度がC-D結合では遅くなる(効果)ため、血中濃度が長く保たれる。この一点の違いが、/との1日1回投与を実現し、旧来の//、1日2回)からの軽減を可能にした。単独では使われず、必ず配合剤の一成分として登場する。

薬効群の中での位置づけ

(チャネルを開ける)と(折りたたみを直す)に大別され、は前者に属する。

分類 薬剤 役割 特徴
(原型) CFTRチャネルの(Po)を上げる 単剤、または旧来配合剤の1日2回成分
素化アナログ) と同一の標的・同一の効き方 代謝が遅く半減期が長い→1日1回投与を実現
(第三世代) 折りたたみを補正 旧来のの一角
(次世代) 折りたたみを補正(とは異なる部位)

「効果を上げる役」は、「飲みやすくする役」はという分業で理解するとよい。 第3相SKYLINE試験では、この新しいが旧来の//に対しppFEV1でを示した1。この結果はの補正効果に負うところが大きく、自体の役割はあくまで「同じ効果を1日1回で維持すること」にある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deutivacaftor'>デューティバカフトル</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heavy water'>重水</span>素化<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ivacaftor'>イバカフトール</span>)を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>"] --> B["膜上のCFTRチャネルへ結合"]
    B --> C["チャネルの<span class='jp-term jp-term-diagram' title='open probability, Po'>開口確率</span>(Po)を上昇させる"]
    C --> D["Cl⁻・HCO₃⁻の輸送が回復"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ivacaftor'>イバカフトール</span>と同じCYP3A代謝経路"] --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='methyl group'>メチル基</span>の水素原子を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='heavy water'>重水</span>素に置換"]
    F --> G["C-D結合はC-H結合より<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxidative metabolism'>酸化的代謝</span>を受けにくい<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='kinetics'>速度論</span>的<span class='jp-term jp-term-diagram' title='isotope'>同位体</span>効果)"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatic metabolism (liver metabolism)'>肝代謝</span>が遅延し血中濃度が長く保たれる"]
    H --> I["半減期が約19時間に延長<br>1日1回投与が可能に"]

💡 素化は「効き方」ではなく「効く長さ」だけを変える技術。 結合する標的も親和性もと変わらないため、有効性そのものは同一と見なせるが、代謝を担うCYP3A4/5がC-D結合を切断しにくいためにが延び、M1-D-IVA(比約20%の活性)を生じながらも1日1回投与で十分な血中濃度を維持できる2

薬物動態

項目 値・特徴
半減期 約19.2時間(より延長)2
代謝 主にCYP3A4/5で代謝。M1-D-IVAを生じる(比約20%の活性)2
蛋白結合 高度にと結合する
食事の影響 脂肪を含む食事とともに服用することで吸収が高まる

適応

領域 使いどころ
呼吸器・遺伝性疾患 F508del変異を少なくとも1コピー保有する、または反応性が確認された変異を持つ嚢胞性線維症//としてのみ投与する。米国では2024年12月に6歳以上を対象として承認され、対象変異の拡大が続いている3

単剤の製剤は存在せず、必ず三剤配合剤として処方される。

用法・用量

経口、配合剤として1日1回朝、脂肪を含む食事とともに内服する。旧来の//)で必要だった夕方の追加投与は不要である。実際の用量は年齢・体重・遺伝子型で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ ・肝不全)はこの1本のを持つ。本剤で上昇が観察されており、同一・類似のを含む//配合剤では重篤かつ致死的となりうる・肝不全が報告されている。肝障害は投与開始1か月以内から15か月後までのいずれの時期にも生じうる。投与開始前にALT・AST・ALP・ビリルビンを測定し、最初の6か月は毎月、次の12か月は3か月ごと、以降は少なくとも年1回評価する2
  • 禁忌・要注意:強いCYP3A(リファンピシンなど)との併用は血中濃度を大きく下げるため避ける。強いCYP3A阻害薬との併用は配合成分の減量が必要
  • 既存のがある患者では代謝が遅延するため・慎重投与を要する(に応じた調整)
  • 対象となる変異(F508delを少なくとも1コピー、または反応性が確認された変異)を遺伝学的検査で確認してから投与を開始する

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛
注意 (ALT・AST)上昇
重篤・まれ ・肝不全(2

まとめ

  • 素化アナログ。標的への結合様式・親和性はと同一で、変わるのは代謝速度だけ。
  • の水素を素に置換したことでを受けにくくなり、半減期が約19時間へ延長した。
  • この半減期延長こそが、/との1日1回投与を実現した唯一の理由である。
  • 単独では使われず、必ず三剤配合剤の一成分として処方される。第3相SKYLINE試験では旧来のに対しppFEV1でを示した。
  • 配合剤としての・肝不全の1本。投与前・最初の6か月は毎月・次の12か月は3か月ごと・以降年1回の肝が必須で、相互作用(強いCYP3A・阻害薬)の注意点とあわせて系配合薬に共通する。

出典

  1. 1.Orphan Drug Designations and Approvals: Alyftrek(U.S. Food and Drug Administration・2026)バンザカフトル・テザカフトル・デューティバカフトル配合薬(Alyftrek)が米国で6歳以上・反応性またはCFTR蛋白を産生する適格変異を持つ患者を対象に承認されていることを確認した閲覧 2026-08-10
  2. 2.Vanzacaftor–tezacaftor–deutivacaftor versus elexacaftor–tezacaftor–ivacaftor in individuals with cystic fibrosis aged 12 years and older (SKYLINE Trials VX20-121-102 and VX20-121-103)(The Lancet Respiratory Medicine・2025)1日1回投与のバンザカフトル/テザカフトル/デューティバカフトルが、1日2回投与のエレクサカフトル/テザカフトル/イバカフトールに対しppFEV1で非劣性(両試験とも群間差0.2ポイント)を示した第3相試験であることを確認した閲覧 2026-08-10
  3. 3.ALYFTREK (vanzacaftor, tezacaftor, and deutivacaftor) tablet, film coated — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2026)デューティバカフトルの消失半減期が約19.2時間であること、主にCYP3A4/5で代謝され活性代謝物M1-D-IVA(親化合物比で約20%の活性)を生じること、重水素化がメチル基の水素原子を置換したものであることを確認した。あわせて本配合剤(Alyftrek)が「薬剤性肝障害および肝不全」の枠組み警告を1本持ち、同一・類似の有効成分を含むエレクサカフトル/テザカフトル/イバカフトール配合剤で重篤かつ致死的となりうる薬剤性肝障害・肝不全が投与開始1か月以内から15か月後までに報告されていること、投与前と最初の6か月は毎月、次の12か月は3か月ごと、以降は少なくとも年1回ALT・AST・ALP・ビリルビンを評価することを確認した閲覧 2026-08-10