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Drug Atlas · B22 Antitussives & mucolytics / 鎮咳去痰薬

ドルナーゼアルファ

dornase-alfa

分類
Antitussives & mucolytics / 鎮咳去痰薬
商品名(日本)
プルモザイム
商品名(EU)
Pulmozyme
科目
Pharmacology
トピック
B22: Antiinflammatory agents inhibiting bronchial inflammatory processes. Antitussive agents and expectorants
副作用
嗄声咽頭痛
対象疾患
胸水嚢胞性線維症

🧠 全体像は組換えヒトDNase I(I)そのもので、他のが痰の「蛋白骨格」(線維)を狙うのに対し、この薬だけは痰の粘度を上げているDNAを直接切断するという根本的に異なる機序を持つ。嚢胞性線維症の気道では慢性炎症で崩壊した好中球が大量のDNAを撒き散らし、これがを極端に粘稠にしている——だからこの薬は嚢胞性線維症という特定の疾患に強く特化したになる。

薬効群の中での位置づけ

は「痰の何を壊すか」で機序が分かれる。

薬剤 標的 機序 特徴
好中球由来のDNA 組換えヒトDNase Iが中のDNAを分解し粘度を下げる 標的が核酸である点で他のと機序が根本的に異なる。嚢胞性線維症に特化
痰粘液蛋白の がS-S結合を還元・切断 呼吸器適応での有効性エビデンスは弱い
痰の線維 線維をし粘度を下げる 一般的なへの使用頻度が高い

」の中で唯一、単一疾患(嚢胞性線維症)にほぼ限定して使われる薬。 これは効果が弱いからではなく、DNAが病態の中心を占めるほど蓄積するのが嚢胞性線維症のに特徴的だからである。

機序

flowchart TD
    A["嚢胞性線維症の気道感染・慢性炎症"] --> B["好中球の遊走・崩壊が反復する"]
    B --> C["崩壊した好中球からDNAが<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway secretion'>気道分泌</span>物中へ放出される"]
    C --> D["高分子DNAが痰の粘度を著しく上昇させる"]
    E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dornase-alfa'>ドルナーゼアルファ</span>(吸入)"] --> F["組換えヒトDNase Iとして気道表面へ到達"]
    F --> G["痰中の高分子DNAを加水分解し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fragmentation'>断片化</span>"]
    G --> H["痰の粘度・弾性が低下"]
    D --> H
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Expectoration'>喀出</span>しやすくなり<span class='jp-term jp-term-diagram' title='airway clearance'>気道クリアランス</span>が改善"]

💡 切断とは「切る対象」がまったく違う。 どちらも高分子を切断して痰を柔らかくする点は共通するが、は蛋白同士を繋ぐを狙うのに対し、は痰に紛れ込んだ核酸そのものを分解する酵素製剤である。

薬物動態

項目 値・特徴
吸入()のみ。を狙う薬剤ではなく気道局所で完結する
全身移行 吸入後の血中濃度は低く、全身性のはほとんど問題にならない
局所で酵素として働き続け、効果は反復吸入で維持する

適応

領域 使いどころ
呼吸器(本適応) 嚢胞性線維症物の粘度低下・改善。定期吸入で肺機能低下速度を遅らせる位置づけ
胸膜疾患(適応外の専門的併用) 不良・が残る場合、(tPA)と併用するMIST2レジメンの一角として用いる(胸水を参照)。気道吸入とは別のであり、・用量も異なる

用法・用量

嚢胞性線維症:吸入で1日1回2.5 mg(重症例では1日2回に増量することがある)。MIST2レジメン(10 mgと5 mgをそれぞれ50 mLに溶解し、1日2回・最大6回(3日間)する。両者は・目的が全く異なるため混同しない。実際の用量は適応・年齢・重症度で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:組換えヒトDNase・チャイハムスター卵巣(CHO)細胞由来蛋白への過敏症
  • 吸入時に一過性のを起こすことがあり、が高い患者ではの前投与を検討する
  • 他の吸入薬と混合せず単独でネブライズすることが推奨される(のリスク)

副作用

頻度 内容
高頻度 咽頭炎、嗄声
注意 胸部不快感、炎(眼への曝露時)
重篤・まれ 、過敏反応

まとめ

  • 組換えヒトDNase I。痰中のDNAを直接分解するという、他の線維を狙う)とは根本的に異なる機序を持つ。
  • 慢性炎症で崩壊した好中球由来のDNAが病態の中心を占める嚢胞性線維症のに特化した薬剤。
  • 通常は吸入で気道局所に用いるが、ではと併用するMIST2レジメンとしてにも使われる(・目的が異なる別の使い方)。
  • 全身性のはほとんど問題にならず、が中心。
  • 主な副作用は咽頭炎・嗄声・など気道局所症状で、全身性の重篤な副作用は少ない。