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Drug Atlas · B23 Antiulcer drugs / 抗潰瘍薬 · 必修

ファモチジン

famotidine

分類
Antiulcer drugs / 抗潰瘍薬
商品名(日本)
ガスター
商品名(EU)
Pepcid
科目
Pharmacology
トピック
B23: Drugs influencing gastric acid secretion, protective drugs of gastric mucosa
承認適応
消化性潰瘍GERD
副作用
めまい頭痛
対象疾患
アナフィラキシーサバ中毒ストレス潰瘍機能性ディスペプシア肥満細胞活性化症候群
原因となる疾患
せん妄

🧠 全体像:は(H2RA)の中で現在最も広く使われる代表薬である。のヒスタミンH2受容体だけを遮断するため、プロトンポンプそのものを止める・より効果は部分的で緩やかだが、があり、が主体で阻害がほとんどないという扱いやすさが臨床での立ち位置を作っている。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 効き方 特徴
(不可逆的) (es)など プロトンポンプを直接・不可逆的に阻害 最強・持続的だが効果発現に時間がかかる
P-CAB プロトンポンプを可逆的に 速効・安定
・(撤退済み) ヒスタミン刺激だけを遮断(・アセチルコリン経路は残る) より弱いが速効。連用で効果が減弱()

⭐ とはどちらも同じH2RAだが、は()混入のため日本・・米国では2019〜2020年に出荷停止/販売停止/市場撤退となり、これらの国ではに置き換わっている(詳細はの項)。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='famotidine'>ファモチジン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='parietal cell'>壁細胞</span>基底膜のH2受容体へ結合"] --> B["ヒスタミンのH2受容体への結合を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='competitive'>競合的</span>に遮断"]
    B --> C["Gs→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adenylyl cyclase, AC'>アデニル酸シクラーゼ</span>活性化が起こらない"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclic adenosine monophosphate'>cAMP</span>↑が抑えられ、プロトンポンプの活性化が弱まる"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric acid secretion'>胃酸分泌</span>が減少する(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrin'>ガストリン</span>・迷走神経経路は温存されるため部分的)"]
    F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enterochromaffin-like cell, ECL cell'>ECL細胞</span>からのヒスタミン放出(食事・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrin'>ガストリン</span>刺激)"] --> A

💡 ヒスタミン・・アセチルコリンの3経路はいずれも最終的にプロトンポンプを活性化するが、H2RAはヒスタミン経路だけを遮断する。だから・より効果が部分的になる。連用すると効果が弱まる()ため、長期の酸分泌抑制目的には/が優先される。

⚠️ このは添付文書には書かれていない。 米国添付文書にも英国SmPCにも tolerance・tachyphylaxis の語は一度も出てこない12。根拠は薬理試験のほうにあり、Helicobacter pylori 陰性の男性7名を対象としたで、とを各14日間投与したところ、初日に見られた夜間の胃内pH上昇作用が14日目には低下していた(血漿中は変わらない)3。💡 薬が体から早く消えるようになったのではないことは、が変わらないという所見が示している(原著はな耐性が生じたと述べるにとどまり、受容体レベルの機序までは特定していない)。ただし7名の健康を対象とした小規模試験であって、患者での臨床転帰を比べた試験ではない。

薬物動態

項目 値・特徴1
排泄 65〜70%・代謝30〜35%。が250〜450 mL/minでを上回り、も受けている
半減期 2.5〜3.5時間。が10 mL/min未満では20時間を超えうる
相互作用 米国添付文書は「No drug interactions have been identified」とし、ワルファリン・・フェニトイン・などで代謝される薬との干渉を認めなかったと記す。同じH2RAのとの最大の違いがここにある

適応

領域 使いどころ
消化器 消化性潰瘍、GERD(軽症・夜間症状の補助、の補助)
消化器(外) 。酸分泌抑制がする一群があるが、この病名での承認は無い
アレルギー アナフィラキシーの補助治療としてH1薬と併用されることがあるが、生命を脅かす症状への効果を示す質の高い根拠は乏しく、ルーチンの第一選択治療には位置づけられない
での予防(の代替として)。これもではない

⚠️ 承認された適応の書き方は国で違う。 米国添付文書はの短期治療とその維持療法・良性の短期治療・GERD(内視鏡で確認したびらん性/潰瘍性食道炎を含む)・病的過分泌状態の5項目1、英国SmPCはとその再発予防・良性・・軽症〜中等症のの症状緩和の4項目である2。GERDの欄が「の治療」なのか「軽症〜中等症の症状緩和」なのかで、想定している重症度が違う。

用法・用量

PO/IV。PO 20mgを1日2回が目安。⚠️ 腎障害での減らし方は文書ごとに刻みが違うので、混ぜずにどちらの文書かを添えて覚える。

文書 時の調整
米国添付文書1 中枢神経系の副作用が報告されているため、中等度(50 mL/min未満)・高度(10 mL/min未満)ではをあけるか減量する
英国SmPC2 30 mL/min未満で1日量を50%減量。も50%減量し、透析で一部が除去されるため透析終了後に投与する。10 mL/min未満では就寝前20 mgへの減量を考慮する

実際の用量は年齢・腎機能・適応で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤の成分への過敏症に加えて、⚠️ 他のへの過敏症の既往も禁忌にあたる。米国添付文書・英国SmPCはどちらも「このクラスの化合物ではが観察されている」と明記し、他のH2RAで過敏症を起こした患者には投与しないとしている12——「で皮疹が出たのでへ」という切替は、が目的なら成り立つが、過敏症が理由なら成り立たない
  • 腎機能低下では血中濃度が上昇しやすく、高齢者・腎障害でまれにせん妄・意識障害が起こりうる(H2受容体は中枢神経系にも存在し、蓄積した薬物が中枢へ影響しうる)。米国添付文書は・・興奮・抑うつ・不安・傾眠を挙げ、患者ではごくまれに痙攣も報告されているとする1
  • ⚠️ QT延長は「があるのに用量・を調整しなかった」ときに報告されている。 米国添付文書は「Prolonged QT interval has been reported very rarely in patients with impaired renal function whose dose/dosing interval of famotidine may not have been adjusted appropriately.」と、頻度がごくまれであることと条件をセットで記す1。英国SmPCも Very rare のとしてQT延長(とくに患者)と、静注のH2RAでの房室ブロックを挙げている2。腎機能に応じた減量は「効きすぎないため」だけでなく、不整脈を避けるためでもある
  • 症状が改善しても胃悪性腫瘍の存在を否定できない。両文書ともへの使用前に悪性腫瘍を除外するよう求めている12
  • 連用による(効果減弱)があるため、長期の酸分泌抑制目的には/を優先する3

副作用

頻度 内容
高頻度 概して良好
注意 頭痛、めまい
重篤・まれ 高齢者・腎障害でのせん妄・意識障害。ごくまれにQT延長(でが不十分なとき)、静注時の房室ブロック、・・血小板減少、/、、・肝炎12

まとめ

  • (H2RA)。のH2受容体を遮断し、ヒスタミン経路だけのを抑える。
  • /より効果は部分的・弱いががあり、連用でが生じる。
  • 主体で阻害がほとんどなく、薬物相互作用が少ない扱いやすい薬(米国添付文書は「薬物相互作用は同定されていない」とまで書く)。
  • 腎機能低下・高齢者では血中濃度上昇によるせん妄に注意し減量する。減量の刻みは米国(50/10 mL/min)と英国(30 mL/min で50%減)で違う。調整が不十分なときのQT延長がごくまれに報告されている。
  • 禁忌は過敏症だが、他のH2RAへの過敏症の既往も禁忌に含まれる(クラス内の)。
  • 同じH2RAのは混入問題で日本・・米国から撤退し、これらの国ではに置き換わった。

出典

  1. 1.FAMOTIDINE tablet (label)(U.S. National Library of Medicine DailyMed(FDA承認添付文書)・2024)Alembic Pharmaceuticals Limited のファモチジン錠の米国添付文書(本文末尾の改訂表示は「Revised 10/2024」)の全文を取得して確認した。消失半減期が「2.5 to 3.5 hours」、腎排泄65〜70%・代謝30〜35%であること。クレアチニンクリアランス10 mL/min未満では半減期が20時間を超えうること。PRECAUTIONS が中枢神経系の副作用を理由に中等度(クレアチニンクリアランス50 mL/min未満)・高度(10 mL/min未満)の腎機能障害で投与間隔をあけるか減量するとしていること。「Prolonged QT interval has been reported very rarely in patients with impaired renal function whose dose/dosing interval of famotidine may not have been adjusted appropriately.」とあること。禁忌が過敏症に加えて「Cross sensitivity in this class of compounds has been observed. Therefore, famotidine should not be administered to patients with a history of hypersensitivity to other H2-receptor antagonists.」であること。「No drug interactions have been identified」とされ、ワルファリン・テオフィリン・フェニトイン・ジアゼパムなどCYP450で代謝される薬との干渉が認められなかったこと。適応が十二指腸潰瘍の短期治療とその維持療法、良性胃潰瘍の短期治療、GERD(内視鏡で確認したびらん性・潰瘍性食道炎を含む)、病的過分泌状態の5項目であること。⚠️ 全文に tolerance・tachyphylaxis の語は0回で、この添付文書はタキフィラキシーに触れていないこと閲覧 2026-09-14
  2. 2.Famotidine 20mg Tablets - Summary of Product Characteristics (SmPC)(Tillomed Laboratories Limited(emc/英国MHRA承認 SmPC、PL 11311/0477)・2024)英国SmPC(本文改訂日 14/10/2024)の全文を取得して確認した。4.1 の適応が「Duodenal ulcers and prevention of relapses of duodenal ulceration. Benign gastric ulcers. Zollinger-Ellison syndrome. Symptomatic treatment of mild to moderate reflux oesophagitis.」の4項目で、米国添付文書と違って**びらん性食道炎ではなく軽症〜中等症の逆流性食道炎の症状緩和**が適応であること。4.3 の禁忌に他のH2受容体拮抗薬への過敏症の既往が含まれること。4.2 の腎機能障害時の用量が「クレアチニンクリアランス30 mL/min未満で1日量を50%減量」「透析患者も50%減量し、透析終了後に投与」で、米国添付文書の50/10 mL/minという区切りとは異なること。4.4 がクレアチニンクリアランス10 mL/min未満では就寝前20 mgへの減量を考慮するとしていること。4.8 の心臓の項に「Very rare」として房室ブロック(静注のH2受容体拮抗薬)・不整脈・**QT延長(とくに腎機能障害患者)**が挙がること。全文に tolerance・tachyphylaxis の語が0回であること閲覧 2026-09-14
  3. 3.Tolerance to famotidine and ranitidine treatment after 14 days of administration in healthy subjects without Helicobacter pylori infection(Journal of Gastroenterology and Hepatology・2003)Crossref で著者(第一著者 Komazawa Y)と書誌(J Gastroenterol Hepatol 18巻6号678-682)を照合した。抄録によれば、Helicobacter pylori 陰性の健康成人男性**7名**を対象とした無作為化クロスオーバー試験で、ラニチジンとファモチジンを各14日間投与し(4週間のウォッシュアウトを挟む)、初日と14日目に24時間胃内pHを測定したもの。「Tolerance to famotidine occurs during continuous administration for 14 days, as previously shown in ranitidine studies.」と結論し、とくに初日に見られた夜間pH上昇作用が14日目に低下したこと。血漿中薬物濃度は変わらないまま血清ガストリン濃度が7日目より14日目で有意に低かったこと。⚠️ 健康被験者7名の小規模試験であり、患者集団での臨床転帰を示した試験ではない閲覧 2026-09-14