薬理学

薬理学 · B23

胃酸分泌に作用する薬・胃粘膜保護薬

B23: Drugs influencing gastric acid secretion, protective drugs of gastric mucosa

前提:病態
Core27:薬物動態学的相互作用:吸収レベルCore29:薬物動態学的相互作用:代謝レベルCore67:薬剤性有害反応:粘膜障害
応用トピック
機能性ディスペプシアの薬物療法胃食道逆流症の薬物療法消化性潰瘍とピロリ菌感染症の薬物療法消化性潰瘍・Helicobacter pylori感染
薬剤
(エス)オメプラゾールシメチジンスクラルファートパントプラゾールファモチジンボノプラザンミソプロストールラニチジンラベプラゾール次サリチル酸ビスマス水酸化アルミニウム水酸化マグネシウム炭酸水素ナトリウム

🧠 全体像:胃酸の薬は「(胃酸)を減らすか、(粘膜)を強めるか」で分ける。 ①・②(中和)・③(増強)。

⭐は「-prazole」で不可逆的、は「-prazan」で可逆的・速効。はMg=下痢、Al=便秘の副作用ペア。

壁細胞のどこを止めるか

胃酸を出しているのはので、その管腔側の膜にある H⁺/K⁺-ATPase(プロトンポンプ) がである。はの3つの受容体——ヒスタミンH2受容体・受容体(CCK2)・——から刺激を受け取り、そのシグナルがプロトンポンプを働かせる。

💡 この階層が、薬の強さの序列をそのまま説明する。 受容体を1つ止めても残り2つの経路が生きているのに対し、プロトンポンプを止めれば刺激が何であっても酸は出ない。より ・ が強いのはこのためである。

flowchart TD
  A["食事・迷走神経・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrin'>ガストリン</span>"] --> B["腸<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chromaffin'>クロム親和性</span>様細胞<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='enterochromaffin-like cell, ECL cell'>ECL細胞</span>)から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='histamine release'>ヒスタミン遊離</span>"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='parietal cell'>壁細胞</span>のH2受容体"]
  A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='parietal cell'>壁細胞</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastrin'>ガストリン</span>受容体<br>(CCK2)"]
  A --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='parietal cell'>壁細胞</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='muscarinic M3 receptor'>ムスカリンM3受容体</span>"]
  C --> F["細胞内シグナル<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclic adenosine monophosphate'>cAMP</span>↑・Ca²⁺↑)"]
  D --> F
  E --> F
  F --> G["H⁺/K⁺-ATPase<br>(プロトンポンプ)が管腔へH⁺を汲み出す"]
  G --> H["胃内pH低下=<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aggressive factor'>攻撃因子</span>"]
  C -.->|"遮断"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='H2 receptor antagonist'>H2受容体拮抗薬</span><br>「-tidine」"]
  G -.->|"不可逆的に阻害"| J["PPI「-prazole」"]
  G -.->|"K⁺結合部位を可逆的に占拠"| K["P-CAB「-prazan」"]
  H -.->|"中和"| L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antacids'>制酸薬</span>"]
  H -.->|"粘膜側を守る"| M["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mucosal protective agent'>粘膜保護薬</span>"]

胃酸分泌抑制薬(攻撃因子↓)

「-prazole」

💡 であり、酸性ので活性体へ変わってプロトンポンプのと共有結合する。だから阻害は不可逆で、効果が切れるのは新しいポンプが作られるまで待つしかない。逆に「今この瞬間に働いているポンプ」しか捕まえられないので、食前投与で、しかも数日かけて効果が立ち上がる。

⚠️ 長期使用の「リスク一覧」(骨折・・ビタミンB12欠乏・腎障害・Clostridioides difficile 感染・肺炎・認知症)は、その多くが観察研究に基づくもので、が確立していないものが含まれる。 批判的レビューは、これらの関連を報告した文献の大部分が観察研究であり、患者背景(高齢・肥満・・など)によるが影響しうるため、より質の高い研究が必要としている1。「報告がある」ことと「が確立している」ことは分けて理解する。

⚠️ ただし「関連はしてよい」でもない。 /の C. difficile 感染症ガイドラインは、疫学的な関連はあるので不要なは常に中止すべきとしつつ、感染予防の手段としてを中止することを支持する根拠は不十分だとして推奨を出していない2。「適応を吟味する」と「予防目的で切る」は別の行為である(→ Core55:薬剤性:)。

⚠️ とのCYP2C19を巡る相互作用は、上の指示と臨床転帰の研究とで温度差がある。 米国の処方情報は逐語で Avoid concomitant use of Plavix with omeprazole or esomeprazole because both significantly reduce the antiplatelet activity of Plavix と併用回避を求める3。一方、研究ではが効果の有意な減弱と関連したがでは関連せず、その後のな研究と唯一の無作為化試験では心血管イベントに有意差を認めず、複数のは研究の質と相互作用の報告との間に(質の高い研究ほど関連を示さない)を認めている4。

💡 影響が小さいとして名指しされている薬を正確に覚える。 同じ処方情報は逐語で Dexlansoprazole, lansoprazole, and pantoprazole had less effect on the antiplatelet activity of Plavix than did omeprazole or esomeprazole、the interaction was highest with omeprazole and least with dexlansoprazole と述べる3。⚠️ 挙がっているのはデクスランソプラゾール・ランソプラゾール・の3剤で、はこの文書に現れない——「なら安全」とこの出典から言うことはできない。機序の詳細はCore29::代謝レベルにある。

()

💡 は日本・アジアが先行し、地域で承認状況が違う。 は日本で2014年に世界初承認された(・・・H. pylori 除菌など)5。米国では主にアジアで行われた試験と市販後経験、および米国・欧州で実施された第III相PHALCON-HP試験を経て、アモキシシリンとの2剤療法またはアモキシシリン・とのによる H. pylori 薬として承認されている6。欧州での承認は今回確認できておらず、では未承認の可能性がある——試験地域に含まれていることと、その地域で承認されていることは別である。

「-tidine」

⚠️ は連日使うと数日で効きが落ちる(薬理学的耐性)。 健常男性28例に150 mgを1日4回投与した試験では、平均24時間胃内pHが1日目4.22から5日目3.28へ低下し(P=0.001)、pHが4を超えていた時間の割合も54.3%から30.1%へ落ちた。のには変化が無く、薬が減ったのではなく反応が鈍ったことが示された7。これはに限らず、H. pylori 陰性の健常者7例を対象にした14日間のではでも同じ減弱が起こり、とくに1日目に見られた夜間のpH上昇効果が失われた(は不変)8。

💡 だから使い分けが決まる。 耐性が生じにくい・が連日の維持療法を担い、は頓用や短期のに向く。⚠️ この耐性は添付文書には書かれていない——根拠はの試験の側にある(のノートに米国・英国の文書での実測がある)。⚠️ どちらの試験も健常者が対象で、しかも一方は7例と小さく、潰瘍の治癒率など臨床転帰を比べたものではない。

💡 胃内pHを上げること自体が、併用薬の吸収を変える相互作用になりうる。 pH依存性に溶解度が変わる薬物(など)は、・による胃内pH上昇でが低下し吸収が減りうるため、添付文書上も注意喚起されている9。⚠️ ただし総説のは「臨床的意義は不明」である——著者らはこの論点を扱った published study も症例報告も見つけられず、実際ににつながるかは分かっていないと明記し、症例ごとに判断すべきだとしている9。禁忌のように扱って必要な制酸療法を一律に止めると、そちらの不利益が上回ることもある。詳細はCore27::吸収レベルにある。

制酸薬(分泌された胃酸を中和)

⚠️ 作用は即効だが短く、金属イオンによる副作用と、消化管内での結合による薬物相互作用が本体の論点になる。

💡 配合剤が多いのは副作用を打ち消し合わせるためである。 Mgの下痢とAlの便秘は方向が逆なので、両者を混ぜると便通への影響がされる。「Mg=下痢、Al=便秘」は配合の理由そのものとして覚える。

⚠️ は併用薬とを作り、吸収を大きく落とす。 のはアルミニウム・含有との同時服用で約85%低下し、治療域の問題ではなく「抗菌薬がほとんど入っていない」状態になる。同じ結合はテトラサイクリン系でも起こる。⚠️ 時間をずらしても完全には消えない(では2時間前・4時間後でも23〜26%の低下が残った)。数値と管理方針はCore27::吸収レベルにまとめてある。

胃粘膜保護薬(防御因子↑)

  • — ショ糖硫酸エステルのアルミニウム塩。酸性下で重合・ゲル化し、のタンパクと結合して物理的な被膜を作る|💡 効くには酸が要るので空腹時に服用し、は前後30分以内に飲まない
    • ⚠️ 米国の適応は「活動性の8週間までの短期治療」と「治癒後の維持療法」で、は含まれない10。作用機序から胃にも効きそうに見えるが、承認されている適応は別である。
    • ⚠️ 「物理的に結合する」性質は、そのまま併用薬を捕まえる相互作用になる。 米国添付文書は、同時投与が・ジゴキシン・・・・フェニトイン・・・テトラサイクリン・の吸収の程度を下げたとし、機序を逐語で presumably resulting from sucralfate binding to the concomitant agent in the gastrointestinal tract と述べる。💡 対処は単純で、逐語で dosing the concomitant medication 2 hours before sucralfate eliminated the interaction——検討された6剤ではいずれも2時間前に併用薬を飲めば相互作用が消えた10。⚠️ ワルファリンについては同文書の中で割れており、自発報告・症例報告でが治療域を下回った例がある一方、2つのではもも動かなかったと両方が書かれている10。
  • — (PGE1)誘導体。を抑えると同時に粘液・の分泌を増やし、が奪ったプロスタグランジンを外から補う
    • ⚠️ 適応は「起因ののリスク低下」であって、潰瘍予防一般ではない。 米国添付文書は逐語で、の合併症の高リスク者(高齢者・の合併)や潰瘍既往などの高リスク者における NSAID ... -induced gastric ulcers のリスク低下を適応とし、続けて逐語で Misoprostol Tablet has not been shown to reduce the risk of duodenal ulcers in patients taking NSAIDs と、については効果が示されていないことを明記している。服用期間は逐語で should be taken for the duration of NSAID therapy11。
    • ⚠️⚠️ は妊娠である。 子宮収縮作用により・流産・早産・を起こしうるため、潰瘍予防の目的で妊婦が服用してはならない11。同じ子宮収縮作用が、産科では・に使われる。の全体像はCore67:薬剤性:にある。
  • — +(H. pylori 除菌の四剤療法に使用)
    • 💡 には耐性が生じないため、既存レジメンに足すだけで除菌率が上がる。 13試験2,500例超ので、を加えると intention-to-treat 解析の除菌成功が1.63(95%CI 1.33〜2.00)になり、高耐性地域ではさらに大きかった(有害事象の頻度と率はの有無で変わらない)12

Helicobacter pylori 除菌レジメン

⚠️ レジメンは率で変わる。 欧州18か国の前向き研究(成人2,204例、2008〜2009年)では、率は全体で17.5%、地域別では西/中欧・南欧で20%を超え北欧より有意に高く、著者らは多くの国でこの耐性率の高さから標準治療にを経験的に用いることはもはや許容できないとしている(ハンガリーを含む個別国ごとの数値は今回確認できていない)13。

資料 感受性が不明な未治療例の一次治療 備考
米国 2024 14日間の。ペニシリンアレルギーが無ければ14日間のまたは二剤療法が経験的な代替14 ⚠️ 誌上版本文は未取得で、以上はの記載
欧州 Maastricht VI/Florence 2022 率が高い(15%超)か不明の地域では。使えなければ非含有の四剤療法を考慮しうる(治療WG Statement 2、合意率92%、Grade B1)15 (++アモキシシリン)は、局所で有効性が示されているか感受性が判明している場合に限る
  • の構成は ・・テトラサイクリン・メトロニダゾール である15。
  • Maastricht VI は、または培養でが利用できるなら、を含むレジメンを処方する前に感受性を確認すべきとしている(診断WG Statement 9、合意率91%、Grade A1)15。⚠️ この推奨には「検査が利用できるなら」という条件が付いている——無条件の義務ではない。
  • ⚠️ Gradeの英字はエビデンスの質(A高〜D非常に低)、数字は推奨の強さ(1=強い/2=弱い)を表す15。英字と数字を同じ尺度として並べない。

💡 「最適化」の語が付くのは既治療例のレジメンである。 2024が最適化の14日間を優先するとしているのは、除菌に失敗して感染が持続している例のうち、最適化をまだ受けておらず感受性も不明な患者についてで、未治療例には無印のが置かれている。⚠️ 同ガイドラインがやを感受性確認例に限るとしているのも救済レジメンについてであって、一次治療の話ではない14。

⭐ 高頻度ポイント:「-prazole」=・不可逆的・に数日、()=可逆的・初回から速効。は数日で耐性が生じるので維持療法には向かない。=阻害+(には無い)。Mg(OH)₂=下痢、Al(OH)₃=便秘、NaHCO₃=全身吸収されアルカローシス。=空腹時・併用薬は2時間前。=PGE1誘導体、によるのリスク低下に限定(では示されていない)・妊婦に。=+抗菌、耐性が生じない。

📋 まとめ表

薬剤 系統 機序 適応・注意
(エス) / / 「-prazole」 →活性体がH⁺/K⁺-ATPaseと共有結合(不可逆) /消化性潰瘍/H. pylori・⚠️・はとの併用回避
K⁺結合部位を可逆的に競合占拠 より速効・い・除菌レジメンの一角
「-tidine」 H2受容体を可逆的に遮断 /潰瘍・⚠️数日で耐性
「-tidine」 同上+ ⚠️/2D6阻害・で第一選択から外れる
「-tidine」 同上 ⚠️不純物混入で回収
() 胃酸中和 ⚠️下痢(下剤)・腎不全で高Mg
() 胃酸中和 ⚠️便秘・としても使う
(吸収性) 胃酸中和→CO₂発生 ⚠️曖気・・Na負荷
酸性下でゲル化しを被覆 米国の適応は・⚠️空腹時・併用薬は2時間前
PGE1誘導体:↓・粘液/↑ 起因の胃潰瘍のリスク低下(高リスク者)・⚠️⚠️妊婦に
保護層形成+ H. pylori 四剤療法・💡耐性が生じない

出典

  1. 1.The risks of long-term use of proton pump inhibitors: a critical review(Therapeutic Advances in Drug Safety・2019)批判的レビューが、PPI長期使用と関連づけられてきたClostridioides difficile感染症・肺炎・認知症・慢性腎臓病・微量栄養素欠乏などのリスクについて、これらの関連を報告した文献の大部分が後方視的な観察研究で構成されており、患者背景(高齢・肥満・多疾患併存・多剤併用)による交絡が影響しうるため因果関係を確立するにはより質の高い研究が必要であると結論したことを確認した。閲覧 2026-08-27
  2. 2.Clinical Practice Guidelines for Clostridium difficile Infection in Adults and Children: 2017 Update by the Infectious Diseases Society of America (IDSA) and Society for Healthcare Epidemiology of America (SHEA)(Clinical Infectious Diseases(IDSA / SHEA)・2018)発行元が公開している要約版の推奨本文を取得して確認した。初発エピソードにはバンコマイシン125 mgを1日4回またはフィダキソマイシン200 mgを1日2回10日間がメトロニダゾールより推奨される(強い推奨・高いエビデンスの質)。バンコマイシンとフィダキソマイシンへのアクセスが限られる状況では、メトロニダゾール500 mgを1日3回10日間を初発の非重症例に限り用いることを提案する(弱い推奨・高いエビデンスの質)とし、累積的で不可逆となりうる神経毒性の危険があるため反復・長期投与は避けるとしている(強い推奨・中等度のエビデンスの質)。劇症型(旧称は重症複雑型で、低血圧・ショック・イレウス・巨大結腸で特徴づけられる)には経口バンコマイシン500 mgを1日4回が第一選択で(強い推奨・中等度)、イレウスがあれば生理食塩水約100 mLに溶いた500 mgを6時間ごとに直腸内投与してよく(弱い推奨・低い質)、とくにイレウスがあるときは静注メトロニダゾール500 mgを8時間ごとに経口または直腸バンコマイシンへ併用する(強い推奨・中等度)。外科的管理を要するときは直腸を温存した亜全結腸切除術を行う(強い推奨・中等度)。誘因抗菌薬は可能な限り速やかに中止する(強い推奨・中等度)。抗菌薬適正使用の項では、フルオロキノロン系・クリンダマイシン・セファロスポリン系(術前予防投与を除く)の使用制限を考慮すべきとする(強い推奨・中等度)。プロトンポンプ阻害薬については、疫学的関連があり不要な投与は常に中止すべきとしつつ、CDI予防の手段として中止することを支持する根拠は不十分であるとして推奨を出していない閲覧 2026-09-23
  3. 3.PLAVIX (clopidogrel) tablets, for oral use — Prescribing Information(Sanofi-Aventis U.S. / DailyMed(U.S. FDA)・2025)プロトンポンプ阻害薬の項を全文で確認した。逐語で "Avoid concomitant use of Plavix with omeprazole or esomeprazole because both significantly reduce the antiplatelet activity of Plavix" と併用回避を求める。⚠️ ただし一律ではなく段階がある。逐語で "Dexlansoprazole, lansoprazole, and pantoprazole had less effect on the antiplatelet activity of Plavix than did omeprazole or esomeprazole"、"the interaction was highest with omeprazole and least with dexlansoprazole" とあり、名指しされている影響の小さい薬はデクスランソプラゾール・ランソプラゾール・パントプラゾールの3剤で、ラベプラゾールはこの文書に現れない。閲覧 2026-09-23
  4. 4.Clopidogrel and proton pump inhibitors--where do we stand in 2012?(World Journal of Gastroenterology・2012)総説が、クロピドグレルとPPIの薬力学的研究でオメプラゾールは抗血小板効果の有意な減弱と関連したがパントプラゾールでは関連しなかったこと、2009年の初期コホート研究を受け米国FDAと欧州医薬品庁がクロピドグレルとPPI(特にオメプラゾール)の併用を避けるよう勧告したこと、その後の傾向スコアマッチングを用いた後方視的コホート研究と唯一の無作為化試験ではクロピドグレル・PPI併用群と非併用群で心血管イベントに有意差を認めなかったこと、複数のメタ解析が研究の質と相互作用の報告との間に逆相関を認め質の高い研究ほど関連を示さなかったと報告していることを確認した。閲覧 2026-08-27
  5. 5.Vonoprazan: first global approval(Drugs・2015)ボノプラザン(タケキャブ)が日本で逆流性食道炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・消化性潰瘍・胃食道逆流・H. pylori除菌を含む酸関連疾患の治療薬として承認され、これが世界初の承認であったこと、英国で胃食道逆流を対象とした第I相試験が実施されたがそれ以上の開発は報告されていないことを確認した。閲覧 2026-08-27
  6. 6.Vonoprazan: A Review in Helicobacter pylori Infection(Drugs・2024)レビューが、主にアジアで実施された臨床試験と市販後の使用経験、および米国・欧州で実施された第III相PHALCON-HP試験を経て、ボノプラザンが米国でアモキシシリンとの2剤療法またはアモキシシリン・クラリスロマイシンとの3剤療法によるH. pylori除菌治療薬として承認されたことを確認した(本レビューは欧州での承認については言及していない)。閲覧 2026-08-27
  7. 7.Twenty-four-hour intragastric pH: tolerance within 5 days of continuous ranitidine administration(The American Journal of Gastroenterology・2000)抄録(PMID 10638559)で確認した。健常男性28例にラニチジン150 mgを1日4回5日間投与し、投与前・1日目・5日目に24時間胃内pHを測定した。平均24時間胃内pHは投与前2.62、1日目4.22、5日目3.28(1日目対5日目でP=0.001)。pHが3・4・5を超えていた時間の割合も1日目の69.9%・54.3%・35.9%から5日目には45.8%・30.1%・20.8%へ低下した(いずれもP<0.005)。Helicobacter pyloriの感染状態は酸分泌抑制効果に影響せず、ラニチジンの薬物動態にも変化は無かったため、著者らは薬物動態では説明できない薬理学的耐性が数日で生じるとしている。⚠️ 健常者の試験であり、潰瘍患者での臨床転帰を調べたものではない。閲覧 2026-09-23
  8. 8.Tolerance to famotidine and ranitidine treatment after 14 days of administration in healthy subjects without Helicobacter pylori infection(Journal of Gastroenterology and Hepatology・2003)抄録(PMID 12753150)で確認した。Helicobacter pylori陰性の健常日本人男性7例を対象にラニチジンとファモチジンを14日間投与する無作為化クロスオーバー試験を行い、投与1日目と14日目に24時間胃内pHを測定した。両薬とも酸分泌抑制効果は連続投与中に低下し、とくに1日目に見られた夜間のpH上昇効果が14日目には減弱した。血漿中薬物濃度は変わらなかった。著者らは、ラニチジンで先に示されていた耐性がファモチジンでも生じると結論している。⚠️ 被験者は7例と少なく、健常者の試験である。閲覧 2026-09-23
  9. 9.Should the concomitant use of erlotinib and acid-reducing agents be avoided? The drug interaction between erlotinib and acid-reducing agents(Journal of Oncology Pharmacy Practice・2011)上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬エルロチニブは胃内pH依存性の溶解度を持ち、プロトンポンプ阻害薬やH2受容体拮抗薬による胃内pH上昇が溶解性低下を介して吸収を減らしうるため、添付文書上も注意喚起されていることを確認した。閲覧 2026-08-27
  10. 10.CARAFATE- sucralfate tablet(Allergan, Inc. / DailyMed(U.S. FDA)・2024)全文で確認した。適応は逐語で "Short-term treatment (up to 8 weeks) of active duodenal ulcer" と "Maintenance therapy for duodenal ulcer patients at reduced dosage after healing of acute ulcers" の2つで、胃潰瘍は米国の適応に含まれない。用法は逐語で "1 g four times per day on an empty stomach"。相互作用は逐語で、同時投与がシメチジン・ジゴキシン・フルオロキノロン系・ケトコナゾール・レボチロキシン・フェニトイン・キニジン・ラニチジン・テトラサイクリン・テオフィリンの吸収の程度(バイオアベイラビリティ)を下げたとし、機序を逐語で "presumably resulting from sucralfate binding to the concomitant agent in the gastrointestinal tract" と非全身性の結合に帰している。逐語で "In all case studies to date (cimetidine, ciprofloxacin, digoxin, norfloxacin, ofloxacin, and ranitidine), dosing the concomitant medication 2 hours before sucralfate eliminated the interaction" と、2時間前に併用薬を飲めば相互作用が消えたと述べる。ワルファリンについては自発報告・症例報告でプロトロンビン時間が治療域を下回った報告がある一方、2つの臨床試験では血清ワルファリン濃度もプロトロンビン時間も変化しなかったと両論を併記している。制酸薬はスクラルファートの前後30分以内に飲まないこととされる。⚠️ この文書に印字された改訂表示は無く、yearはSPLのeffective_time(20240521)から採った。閲覧 2026-09-23
  11. 11.MISOPROSTOL tablet(Lupin Pharmaceuticals, Inc. / DailyMed(U.S. FDA)・2020)openFDAとDailyMedの本文で確認した。適応は逐語で "indicated for reducing the risk of NSAID (nonsteroidal anti-inflammatory drugs, including aspirin)-induced gastric ulcers in patients at high risk of complications from gastric ulcer, e.g., the elderly and patients with concomitant debilitating disease, as well as patients at high risk of developing gastric ulceration, such as patients with a history of ulcer" であり、続けて逐語で "Misoprostol Tablet has not been shown to reduce the risk of duodenal ulcers in patients taking NSAIDs" と、十二指腸潰瘍には効果が示されていないことを明記している。投与期間は逐語で "should be taken for the duration of NSAID therapy"。⚠️ 枠組み警告は妊婦への投与が先天異常・流産・早産・子宮破裂を起こしうるとして、NSAID潰瘍予防の目的で妊婦が服用してはならないと述べる。⚠️ この文書に改訂表示は印字されておらず、yearはSPLのeffective_time(20201221)から採った。閲覧 2026-09-23
  12. 12.Treatment of Helicobacter pylori Infection in Korea: An Evidence-Based Analysis of the Upcoming 2025 Guideline(The Korean Journal of Helicobacter and Upper Gastrointestinal Research・2026)ビスマス四剤療法(BQT)の構成がPPI・ビスマス・テトラサイクリン・メトロニダゾールであること。ビスマスの追加が一次治療の除菌率を有意に高め(13試験2,500例超のメタ解析でintention-to-treat解析のオッズ比1.63、95%CI 1.33〜2.00)、クラリスロマイシン高耐性地域で効果がより大きいこと。有害事象・服薬遵守率はビスマスの有無で差がないこと。ビスマスには耐性が生じないとされること閲覧 2026-09-08
  13. 13.Helicobacter pylori resistance to antibiotics in Europe and its relationship to antibiotic consumption(Gut・2013)2008年4月〜2009年6月に欧州18か国で実施された前向き研究(成人2,204例)が、H. pyloriのクラリスロマイシン耐性率は全体で17.5%、レボフロキサシン耐性率は14.1%、メトロニダゾール耐性率は34.9%であったこと、クラリスロマイシン・レボフロキサシン耐性は西/中欧および南欧で20%を超え北欧諸国より有意に高かったこと、多くの国でクラリスロマイシン耐性率の高さから標準的な抗H. pylori治療にクラリスロマイシンを経験的に用いることはもはや許容できないと結論したことを確認した。閲覧 2026-08-27
  14. 14.ACG Clinical Guideline: Treatment of Helicobacter pylori Infection(American College of Gastroenterology・2024)未治療例で抗菌薬感受性が不明な場合は14日間のビスマス四剤療法(BQT)が推奨レジメンであり、ペニシリンアレルギーの無い例では14日間のリファブチン三剤療法またはP-CAB二剤療法が経験的な代替になること。既治療の持続感染例では「最適化」BQTの14日間が優先されること。クラリスロマイシンまたはレボフロキサシンを含む救済レジメンは感受性が確認された場合にのみ用いるとされること。⚠️ 誌上版本文は取得できておらず、以上はいずれも抄録に記載された内容である。BQTの構成薬の内訳は抄録に無い閲覧 2026-08-27
  15. 15.Management of Helicobacter pylori infection: the Maastricht VI/Florence consensus report(Gut(European Helicobacter and Microbiota Study Group ほか、29か国41名の専門家)・2022)リポジトリ版(repositorio.uam.es)から全文PDFを取得して確認した。取得できたのは Gut 2022;0:1-39 と表記されるonline-first 版で、誌上版 71(9):1724-1762 とはページ番号が異なる。H. pylori 感染はICD-11で感染症として正式に位置づけられ、原則として感染者全員が治療対象になる。診断ワーキンググループのStatement 9は「Clarithromycin susceptibility testing, if available through molecular techniques or culture, is recommended before prescribing any clarithromycin containing therapy.」(合意率91%、Grade A1)で、分子生物学的手法または培養による感受性検査が利用できる場合という条件つきの推奨である。治療ワーキンググループのStatement 2(合意率92%、Grade B1)は、個別の感受性検査が利用できない場合、クラリスロマイシン耐性率が高い(15%超)か不明の地域の一次治療をビスマス四剤療法とし、それも利用できなければビスマス非含有の併用(concomitant)四剤療法を考慮しうるとする。図1の凡例はビスマス四剤療法をPPI・ビスマス・テトラサイクリン・メトロニダゾール、クラリスロマイシン三剤療法をPPI・クラリスロマイシン・アモキシシリンと定義し、後者は局所で有効性が示されているかクラリスロマイシン感受性が判明している場合にのみ用いるとする。治療Statement 1(Grade D2)は一次治療前でも感受性検査をルーチンに行うことを reasonable とするが、原文自身が「そのような感受性検査に基づく戦略を日常診療で一般的に用いることの妥当性はまだ確立されていない」と続けている。なおMethodsの定義により、Gradeの英字はエビデンスの質(A高〜D非常に低)、数字は推奨の強さ(1強い/2弱い)を表す閲覧 2026-09-08