臨床薬理学

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機能性ディスペプシアの薬物療法

Functional dyspepsia

前提:病態
胃酸分泌に作用する薬・胃粘膜保護薬制吐薬・消化管運動促進薬

🧠 全体像:は、胃もたれ・・みぞおちの痛み・灼熱感が続くのに、内視鏡でも血液検査でもそれを説明する病気が見つからない状態である。胃の「動き」(排出・拡張)と「感じ方」()の乱れが本体で、薬は酸を減らす(・)、動きを整える(改善薬)、感じ方を整える(低用量の)の3系統である。入口は菌の検査・除菌と器質的疾患の除外で、その後はまずを試す。次の順序は指針で違い、・カナダ消化器病学会はを運動改善薬より先に置き、日本はを第一選択に含める。

機能性ディスペプシアとは

Rome IV基準による定義

要件 内容
症状(1つ以上) (胃もたれ)、、、。いずれも日常生活に支障が出るほど煩わしいもの1
期間 直近3か月に症状があり、症状の始まりが診断の6か月以上前
除外 症状を説明しうる・全身性・代謝性の疾患の証拠が無い(を含めて)1

💡 「」は胃・十二指腸に由来すると考えられる上腹部の症状の総称で、単独はこれに含めない(併存はしうる)1。Rome IVの期間要件は研究には厳密だが日常診療では診断を遅らせるので、Rome財団は期間を8週間とする臨床用の基準も用意している1。2026年5月にRome V基準が公表されたが、ここで扱う治療指針はいずれもRome IVに基づく。

どのくらい多いか

項目 従来の整理 現行の知見
頻度 20〜30% 広い定義の「症状」ならはほぼ30%。のに絞ると世界で約7%(日本2.4%、エジプト12.3%)1
日本の診療現場 — 健診受診者の11〜17%、上部消化管症状で受診した人の45〜53%2

💡 20〜30%は症状としての全体に近い数字で、基準を厳しくするほど割合は下がる。

なぜ症状が出るのか

ではとの遅れがしばしば見つかり、他の精神疾患、典型的には・不安を合併しやすい。

flowchart TD
  A["心理的ストレス・不安・抑うつ<br>感染後の変化"] --> B["胃・十二指腸と脳の相互作用の乱れ"]
  B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric emptying'>胃排出</span>の遅れ<br>一部では速すぎる排出"]
  B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric fundus'>胃底部</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='adaptive relaxation'>適応性弛緩</span>の障害<br>食べ物を受け入れて膨らめない"]
  B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='visceral hypersensitivity'>内臓知覚過敏</span><br>伸展や酸に過敏"]
  C --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='postprandial fullness'>食後膨満感</span>・悪心"]
  D --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='early satiety'>早期満腹感</span>"]
  E --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='epigastric pain'>心窩部痛</span>・灼熱感"]
  E --> F

運動異常は一部の患者にだけ見られ、胃の伸展への過敏は食後に強まる1。とは症状でも検査でも完全には区別できない1。

病型:食後愁訴症候群と心窩部痛症候群

項目
頻度の要件 週1日以上1 週3日以上1
中心となる症状 ・ ・(ふつうの量の食事を食べきれない)
食事との関係 食事で誘発されることも、食事で軽くなることも、空腹時に起こることもある 主に食事で誘発される
伴いうる症状 食後のの張り、げっぷ、悪心 、食後のげっぷ、悪心、食後の・灼熱感
嘔吐 持続する嘔吐は別の疾患を示唆する1 嘔吐が伴いうるとする整理もあるが、Rome IVでは嘔吐があれば別の疾患を考える1
薬選びとの関係 が理にかなう 改善薬が理にかなう。の試験の多くはこの病型で行われた1

💡 実際の患者では両方の病型が重なることが多く、病型ごとに優先すべき薬を決める十分な根拠は無い1。病型は「最初にどの作用の薬を試すか」の手がかりとして使う。嘔吐が目立つなら、胃出口の閉塞やなど別の疾患を考え直す。

鑑別診断:器質的疾患を見逃さない

の診断は、・代謝的な原因を除外して初めて成り立つ。

手段 何を除外するか
食道・胃・十二指腸内視鏡と生検 消化性潰瘍、胃癌、食道炎、好酸球性の病変、セリアック病
菌の検査(、) 菌感染による胃炎・潰瘍
血液検査 貧血・炎症、糖尿病・・など代謝性の原因、肝胆膵疾患

現行ガイドラインでの検査の進め方

論点 現行の推奨
内視鏡の対象 ・カナダ消化器病学会は60歳以上(胃癌の高リスク国で幼少期を過ごした人や家族歴があればより若くても)。若年者のは自動的に内視鏡へ進めず個別に判断3。は体重減少を伴う55歳以上、胃癌の高リスク地域出身か食道胃癌の家族歴がある40歳超で緊急内視鏡、55歳以上の治療抵抗例や・悪心・嘔吐を伴う例で非緊急内視鏡1。日本は器質的疾患が疑われる場合の補助手段とする2
菌 内視鏡の対象でない人は非侵襲的検査で調べ、陽性なら除菌31。除菌後に症状が消えた例は、機能性ではなく菌関連とみなす2
その他 は55歳以上で血算、様の症状が重なればセリアック病の血清検査、60歳以上の腹痛と体重減少で除外の腹部。検査・など検査はに行わない13
flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dyspepsia'>ディスペプシア</span>症状"] --> B{"60歳以上か<br>または胃癌の高リスクか"}
  B -->|"はい"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='upper gastrointestinal endoscopy'>上部消化管内視鏡</span>"]
  B -->|"いいえ"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Helicobacter pylori'>ピロリ</span>菌の非侵襲的検査"]
  D -->|"陽性"| E["除菌"]
  E --> F{"症状は消えたか"}
  F -->|"消えた"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Helicobacter pylori'>ピロリ</span>菌関連<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dyspepsia'>ディスペプシア</span>"]
  F -->|"残る"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proton pump inhibitor'>PPI</span>の試行"]
  D -->|"陰性"| H
  C -->|"器質的疾患なし"| I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='functional dyspepsia'>機能性ディスペプシア</span><br>感染があれば除菌"]
  I --> H
  C -->|"器質的疾患あり"| X["その疾患の治療"]
  H -->|"無効"| J["低用量の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tricyclic antidepressant'>三環系抗うつ薬</span>"]
  J -->|"無効"| K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GI motility'>消化管運動</span>改善薬"]

この流れは・カナダ消化器病学会2017年版の順序に沿っている3。菌除菌の具体的なレジメンは消化性潰瘍と菌、の薬理はで扱う。

一般的な対処:食べ方を変える

従来から勧められてきたのは、1回量を減らして回数を増やし、脂肪の多い食品を避けることである。

  • ではより悪心と痛みが強く出たという報告があり、日本消化器病学会は生活・食事の改善を強く推奨する(B)。喫煙もと関連する(1.50)2。
  • 患者は実際に、健常者より少量頻回で脂肪の少ない食事をとっている。誘因として多いのは脂肪の多い食品、乳製品、アルコール、コーヒー、赤身肉、炭酸飲料、香辛料などである1。
  • 2022年版は全員に定期的なを勧める一方(強い推奨)、を含むを推奨するには根拠が足りないとする1。

💡 脂肪は十二指腸からのホルモン反応でを遅らせ、一度に多く食べれば広がりにくいがすぐ伸展される。少量頻回・低脂肪はこの2つを避ける工夫である。

⚠️ 重い食事制限を勧める前に、摂食の問題を確認する。重症・難治例で体重減少と摂食制限がある人では、を含む摂食の障害を評価する1。

薬物療法

従来の整理と現行の位置づけ

段階 従来の整理 現行
と は有効(で強い推奨・エビデンスは高い)。も有効かもしれない(弱い推奨)1。日本ではともに強く推奨2
改善薬 、、 一部は有効かもしれない(で弱い推奨)1。では・の後3。日本ではが第一選択、ほかの運動改善薬は第二選択2。は欧州で慢性のに使わない4
第二選択 、 は有効な第二選択(で強い推奨)。には有効の根拠が無い1
菌除菌 の一部として検査する 感染者では有効な治療そのもの(で強い推奨・エビデンスは高い)1

酸分泌抑制薬:PPIとH2受容体拮抗薬

・灼熱感には、胃酸が十二指腸の化学的な過敏を刺激していることが関わる。と(など)はこれを減らす。

  • PPIには見られないので、症状を抑える最小量を使う1。
  • 十二指腸の好酸球増多はとより強く結びつくので、この病型でもを使う理由がある。病型が重なることも多く、ほとんどの患者でかを使うのが妥当とされる1。
  • 日本ではの有効性は根拠が少なく評価できない2。

消化管運動改善薬

flowchart TD
  A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholinergic'>コリン作動性</span>神経終末から<br>アセチルコリン放出"] --> C["胃平滑筋の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='muscarinic receptor'>ムスカリン受容体</span>"]
  C --> D["前庭部の収縮・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric emptying'>胃排出</span>の促進"]
  P["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='dopamine D2 receptor'>ドパミンD2受容体</span>"] -.->|"放出を抑える"| A
  Q["D2受容体拮抗薬<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='metoclopramide'>メトクロプラミド</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='itopride'>イトプリド</span>"] -->|"抑制を外す"| P
  R["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acetylcholinesterase inhibition'>アセチルコリンエステラーゼ阻害</span><br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='itopride'>イトプリド</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='acotiamide'>アコチアミド</span>"] -->|"分解を抑える"| C
薬 作用機序 特徴・副作用 現行の位置づけ
D2受容体拮抗(作動も併せもつ) 血液脳関門を越える。副作用はと(、、、) での対照試験が乏しく、有効かどうか不明12。欧州での使用制限は下の⚠️
D2受容体拮抗+コリンエステラーゼ阻害。ももつ 中枢に移行しにくいのでが少ない。副作用は下痢・腹痛 全般評価・食後の張り・を改善した2。では弱い推奨1
コリンエステラーゼ阻害 吸収が少なく消化管で局所的に働くとされる。食前に服用する 日本でに承認され、第一選択として強く推奨(A)2。では弱い推奨で、アジアと米国以外ではほとんど入手できない1
末梢性のD2受容体拮抗 不整脈のリスク 対照試験が乏しい1
モサプリド 作動 日本で使われる 日本では第二選択(弱い推奨)2

⚠️ を慢性症状に漫然と続けない。 は2013年、とのリスクが長期使用の利益を上回るとして、使用を最長5日・成人の最大量を1日30 mg(1日0.5 mg/kg)に制限し、・・のような慢性疾患には使わないこととした。これらの慢性疾患では一貫した利益の証拠も無かった4。急性の神経症状は小児に、は高齢者に多い4。

💡 D2受容体拮抗薬の副作用の出方は「どこのD2受容体を遮断するか」で決まる。引き金帯は血液脳関門の外にあるので、中枢に入りにくいやでもは得られる。線条体のD2遮断によるは、中枢に入るで問題になる。下垂体も血液脳関門の外にあるので、は中枢に入りにくい薬でも起こりうる。

第二選択:神経調節薬

や運動改善薬が効かないときは、胃と脳の間の痛み・不快の処理を整える薬を使う。これらは抗うつ薬としてではなく、の薬として使う。

薬 現行の評価
など 有効な第二選択(で強い推奨・エビデンスは中等度)。1日1回10 mgから始めて、最大30〜50 mgまでゆっくり増やす。使う理由と副作用を十分に説明する1。日本でも弱く推奨(A)2
薬として全般症状に有効という根拠は無い1
有効の根拠は無いが、他の慢性疼痛で有効なので試験が待たれる1
抗精神病薬のスルピリド(100 mgを1日4回)、レボスルピリド(25 mgを1日3回) 第二選択として有効かもしれない(弱い推奨)1
5-HT1A受容体作動薬のタンドスピロン(10 mgを1日3回) 有効かもしれない。には根拠が無い1。日本ではとして弱く推奨2
(1日1回75 mg) 有効かもしれないが、専門施設での使用にとどめる1
(1日1回15 mg) と体重減少のある患者で有効かもしれない1

⭐ 従来の整理は第二選択を「、」と並べるが、現行では扱いが分かれた。は有効、には有効という根拠が無い。抑うつや不安を合併する人にを使うのは、精神疾患そのものの治療としてである。

💡 は食欲と体重を増やすので、「食べられずに痩せていく」患者と作用がかみ合う。副作用を症状の改善に利用する選び方である。の副作用と相互作用はうつ病との薬物療法を参照。

心理療法と難治例

  • 力動的、、ストレス管理、は全般症状に有効かもしれない(いずれも弱い推奨)1。
  • 重症・難治例では多職種のチームで支え、医原性の害を避けるためオピオイドと手術は避ける(強い推奨)1。

日本の治療体系

日本消化器病学会2021年版は、第一選択を(・)・・六君子湯、第二選択を・抗うつ薬・以外の改善薬(ドパミン受容体拮抗薬・作動薬)・六君子湯以外のとし、これらに反応しない例を難治性とする。と六君子湯が第一選択に入るのは、ほかの運動改善薬やよりはるかに強い根拠があるためである2。欧米と順序が違うのは、・・モサプリドなどがアジアと米国以外ではほとんど入手できないことも反映している1。

まとめ

  • ・・・のいずれかが3か月続き(発症は6か月以上前)、内視鏡を含めて器質的疾患が無い。病型は(週1日以上)と(週3日以上)で、重なりが多い。
  • 入口は器質的疾患の除外と菌の検査・除菌。・カナダ消化器病学会は60歳以上で内視鏡とし、若年者のでは個別に判断する。食事は少量頻回・低脂肪、も勧められる。
  • 薬はから。・カナダ消化器病学会は → → 改善薬、日本はと六君子湯も第一選択。
  • はD2拮抗でとがあり、欧州では最長5日に制限され慢性のには使わない。は中枢に入りにくい。
  • 薬はが有効で、には根拠が無い。と体重減少には。難治例ではオピオイドと手術を避ける。

出典

  1. 1.British Society of Gastroenterology guidelines on the management of functional dyspepsia(Gut(British Society of Gastroenterology)・2022)全文(PMC9380508)で次を確認した。機能性ディスペプシアが地域住民の約7%にみられる腸脳相関障害であること、広い定義のディスペプシアの時点有病率がほぼ30%で、Rome IV基準では世界調査で7%(日本2.4%、エジプト12.3%)であること。Table 1のRome IV基準(煩わしい心窩部痛・心窩部灼熱感・食後膨満感・早期満腹感の1つ以上、発症は診断の6か月以上前・直近3か月に活動性、上部消化管内視鏡を含め構造的疾患の証拠が無い。心窩部痛症候群は週1日以上で、痛みは食事で誘発・軽快し空腹時にも起こりうる、持続する嘔吐は別の疾患を示唆。食後愁訴症候群は週3日以上で、嘔吐があれば別の疾患を考える。胸やけはディスペプシア症状ではない)。臨床用の基準では期間が8週間でよいこと。病態として胃排出遅延・胃底部の適応性弛緩障害・一部の急速排出・機械的および化学的(酸)内臓過敏・中枢処理・心理的要因などがあること、患者が少量頻回で脂肪の少ない食事をとっていること、脂肪の多い食品などが誘因として多いこと。推奨として、55歳以上で血算、IBS様症状の重なりでセリアック病の血清検査、体重減少を伴う55歳以上などに限った緊急内視鏡、60歳以上の腹痛と体重減少で膵癌除外の腹部CT、非侵襲的なピロリ菌検査と除菌、陰性者への経験的な酸分泌抑制、胃排出検査と24時間pHモニタリングを日常的に行わないこと、有酸素運動(強い)、低FODMAPを含む食事療法は根拠不十分、除菌は有効(強い・高い)、H2受容体拮抗薬(弱い・低い)、PPI(強い・高い、用量反応が無いので最小有効量)、一部の消化管運動改善薬(アコチアミド・イトプリド・モサプリドは弱い・低い、テガセロドは強い・中等度)とドンペリドン・メトクロプラミドは偽薬対照試験が乏しく不整脈・錐体外路症状の懸念があり、アコチアミドの試験の多くが食後愁訴症候群で行われたこと、三環系抗うつ薬は第二選択として有効(強い・中等度)でアミトリプチリン1日10 mgから30〜50 mgまで漸増、スルピリド100 mg1日4回・レボスルピリド25 mg1日3回(弱い・低い)、SSRIとSNRIは有効の根拠が無い、タンドスピロン10 mg1日3回は有効でブスピロンは根拠が無い、プレガバリン75 mg、ミルタザピン15 mgは早期満腹感と体重減少のある患者で有効かもしれないこと、力動的精神療法・認知行動療法・ストレス管理・催眠療法(弱い・非常に低い)、重症・難治例で多職種チーム、オピオイドと手術を避け、体重減少と摂食制限があれば回避・制限性食物摂取症を評価することを確認した。閲覧 2026-09-26
  2. 2.Evidence-based clinical practice guidelines for functional dyspepsia 2021(Japanese Society of Gastroenterology / Journal of Gastroenterology・2022)全文(PMC8831363)で、内視鏡は器質的疾患が疑われる場合の補助手段と位置づけたこと、日本の有病率が健診受診者で11〜17%、上部消化管症状で受診した人で45〜53%であること、除菌後に症状が消えた例はピロリ菌関連ディスペプシアとみなすこと、第一選択を酸分泌抑制薬・アセチルコリンエステラーゼ阻害薬アコチアミド・六君子湯、第二選択を抗不安薬・抗うつ薬・アコチアミド以外の消化管運動改善薬(ドパミン受容体拮抗薬・5-HT4受容体作動薬)・六君子湯以外の漢方薬とし、これらに反応しない例を難治性としたこと、生活・食事の改善(強い推奨。高脂肪食で悪心と痛みが強まる、喫煙がオッズ比1.50で関連)、PPIとH2受容体拮抗薬(強い・A)、P-CABは根拠不足、アコチアミド(強い・A)、六君子湯(強い・A)、ドパミン受容体拮抗薬と5-HT4受容体作動薬(弱い・B。メトクロプラミドとドンペリドンには偽薬対照試験が無く、イトプリドで症状が改善)、三環系抗うつ薬とタンドスピロン(弱い)を確認した。閲覧 2026-09-26
  3. 3.ACG and CAG Clinical Guideline: Management of Dyspepsia(American College of Gastroenterology (ACG) / Canadian Association of Gastroenterology (CAG)・2017)PubMedの抄録(PMID 28631728)で、60歳以上のディスペプシアには器質的疾患を除外するため上部消化管内視鏡を条件付きで提案し、胃癌の高リスク国で幼少期を過ごした人や家族歴のある人ではより若い年齢でも内視鏡を考慮しうること、若年者では警告徴候があっても自動的に内視鏡へ進めず個別に判断すること、60歳未満ではピロリ菌の非侵襲的検査を行い陽性なら除菌し、陰性または無効ならPPIを試し、それも無効なら三環系抗うつ薬または消化管運動改善薬を試すこと、内視鏡で異常の無いものを機能性ディスペプシアと定義し、感染していれば除菌し、無効例やピロリ菌陰性例にはPPI・三環系抗うつ薬・消化管運動改善薬をこの順に推奨すること、上部消化管の運動機能検査を日常的には勧めないことを確認した。閲覧 2026-09-26
  4. 4.European Medicines Agency recommends changes to the use of metoclopramide(European Medicines Agency・2013)EMAの文書(EMA/13239/2014、2013年12月20日付)で、急性の錐体外路症状と遅発性ジスキネジアのリスクを理由に、メトクロプラミドを短期(最長5日)の使用に限り、成人の最大量を1日30 mg(1日0.5 mg/kg)とし、胃不全麻痺・ディスペプシア・胃食道逆流症などの慢性疾患には使わないとしたこと、これらの慢性疾患で一貫した利益の証拠が無かったことを確認した。閲覧 2026-09-26