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Drug Atlas · B24 Antiemetics / 制吐薬

ドンペリドン

domperidone

分類
Antiemetics / 制吐薬
商品名(日本)
ナウゼリン
商品名(EU)
Motilium
科目
PharmacologyTranslational Medicine and Pathophysiology
トピック
B24: Antiemetic drugs. Prokinetic agents1-23: Overproduction of growth hormone and prolactin
承認適応
胃不全麻痺機能性ディスペプシア
禁忌疾患
先天性QT延長症候群慢性心不全
副作用
女性化乳房乳汁漏出
影響検査値
QT延長
相互作用
ケトコナゾール
原因となる疾患
高プロラクチン血症

🧠 全体像:はなで、と同じCTZ()を標的にしながら、血液脳関門(BBB)をほとんど通過しないという一点で作用の広がりが根本的に違う。BBBを越えないためは起こりにくいが、CTZもも「BBBの外」にある臓器という共通点を持つため、は保たれたまま、プロラクチン上昇という副作用は残る——「中枢に入らないから安全」ではなく「入らない場所でも起こる副作用がある」という理解がこの薬の核心になる。もう一つの核心は心臓リスクである。QT延長・のリスクから、欧州では2014年に適応が悪心・嘔吐に限定され、用量と投与期間の上限が設けられた。米国では未承認のままである。

薬効群の中での位置づけ

同じCTZのD2拮抗を狙うでも、中枢への入りやすさで作用のプロファイルが変わる。

項目
中枢移行(BBB通過) ほとんどなし 良好
まれ あり(の、原則12週まで)
5-HT4作動作用 持たない 高用量で持つ
QT延長・リスク あり(EMAが2014年に用量・期間を制限) 比較的低いが報告あり
あり あり
米国での承認 未承認 承認あり

⭐ 「BBBを通過しない=中枢の副作用が全くない」ではない。 CTZと下垂体はいずれも血液脳関門の外にある circumventricular organ で、はこの2か所には届く。だから効果はと遜色なく発揮される一方、(はBBBの内側)は避けられても、プロラクチン抑制の解除(下垂体はBBBの外側)は避けられない1。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='domperidone'>ドンペリドン</span>を内服(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripherally selective'>末梢選択的</span>D2拮抗薬)"] --> B["血液脳関門をほとんど通過しない"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chemoreceptor trigger zone (CTZ)'>化学受容器引金帯</span>(CTZ)のD2受容体を遮断<br>(CTZはBBBの外にあり到達できる)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antiemetic effect'>制吐作用</span>"]
    B --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anterior pituitary'>下垂体前葉</span>のD2受容体を遮断<br>(下垂体もBBBの外にある)"]
    E --> F["ドパミンによる<span class='jp-term jp-term-diagram' title='inhibition of prolactin secretion'>プロラクチン分泌抑制</span>が外れる"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serum prolactin'>血中プロラクチン</span>上昇<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='galactorrhea'>乳汁漏出</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='menstrual irregularity'>月経異常</span>"]
    A --> H["心筋の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='human ether-a-go-go-related gene'>hERG</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='potassium channel'>カリウムチャネル</span>を阻害"]
    H --> I["QT延長"]
    I --> J["高用量・高齢・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cytochrome P450 3A4'>CYP3A4</span>阻害薬併用で<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='torsades de pointes'>Torsade de pointes</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sudden cardiac death'>心臓突然死</span>のリスク↑"]

💡 (BBBの内側)に届かないからが少ない一方、CTZ・下垂体(BBBの外側)には届くからとプロラクチン上昇はどちらも起こる。 BBB通過性という1つの性質が、「起こらない副作用」と「起こる副作用」を同時に説明する1。

薬物動態

項目 値・特徴
経口
分布 。血液脳関門をほとんど通過しない
代謝 主に肝でにより代謝される
相互作用の起点 阻害薬・QT延長作用を持つ薬剤との併用で心臓リスクがされる

適応

領域 使いどころ
消化器(現行の) 悪心・嘔吐の症状緩和2
消化器(国により異なる適応) 、などに伴う症状(2014年の以前はこれらも適応に含まれていたが、審査後は悪心・嘔吐のみに絞られた)2

⚠️ (促進)目的での使用は、どの国でも承認されていない。 中の母親が母乳量を増やす目的で使用することがあるが、有効性の根拠は限定的な一方、QT延長・という心臓リスクの懸念は授乳中の女性でも変わらない3。

用法・用量

体重35 kg以上の成人・青少年で、1回10 mgを1日3回までとし、投与期間は原則として1週間を超えない(後の現行推奨)2。60歳を超える患者、1日30 mgを超える用量では心臓有害事象のリスクが高まるとされ、可能な限り最小・最短期間にとどめる2。実際の用量・投与期間は国・添付文書で異なるため、現地の添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:を含むQT延長のリスクがある病態、など重篤な心疾患、電解質異常、重度、などQT延長作用を持つ薬剤またはを強力に阻害する薬剤との併用2
  • ⚠️ QT延長・・のリスク。 60歳超、1日30 mgを超える用量、QT延長作用のある薬剤や阻害薬の併用でリスクが上昇する。この知見を根拠に2014年ので用量・投与期間・適応が制限された2
  • ⚠️ 。 下垂体はBBBの外にあるため、が高くても抑制できない副作用として・が起こりうる1
  • ⚠️ 米国では未承認。 個人輸入は原則として違法で、投与適応・プログラムなど限られた例外でのみ入手できる3

副作用

頻度 内容
高頻度 口渇、頭痛
注意 上昇に伴う・・
重篤・まれ QT延長、、

まとめ

  • はなで、血液脳関門をほとんど通過しない。
  • ⭐ CTZ・下垂体はいずれも血液脳関門の外にあるため、は保たれる一方、プロラクチン上昇という副作用も避けられない。 と異なりはまれ。
  • ⚠️ QT延長・のリスクから、2014年ので適応が悪心・嘔吐に限定され、用量(1回10 mg×3回まで)と投与期間(原則1週間まで)が制限された。
  • 米国ではいかなる適応でも未承認。目的の使用はどの国でも承認されていない。
  • 禁忌はQT延長のリスクがある病態・重篤な心疾患・重度・QT延長作用のある薬剤や強力阻害薬との併用。

出典

  1. 1.Domperidone: A Peripherally Acting Dopamine2-Receptor Antagonist(Annals of Pharmacotherapy・1999)ドンペリドンが末梢選択的なドパミンD2受容体拮抗薬であり血液脳関門をほとんど通過しないこと、その一方で化学受容器引金帯(CTZ)は血液脳関門の外にあるため制吐作用は保たれること、末梢性のドパミンD2遮断によりプロラクチン分泌抑制が外れ血中プロラクチンが上昇しうることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Domperidone-containing medicines — Article 31 referral: CMDh confirms recommendations on restricting the use of domperidone-containing medicines(European Medicines Agency (EMA) / CMDh・2014)2014年の欧州域内審査で、ドンペリドンの適応が悪心・嘔吐の症状緩和のみに制限され、それまで一部の国で認められていた消化不良・腹部膨満・胸やけなどの適応が削除されたこと、用法・用量が体重35kg以上の成人・青少年で1回10mgを1日3回までに制限され、投与期間は原則として1週間を超えないこととされたこと、60歳超・1日30mgを超える用量・QT延長作用のある薬剤やCYP3A4阻害薬との併用で心臓リスクが高まること、重篤な心疾患・重度肝機能障害・QT延長作用のある薬剤やCYP3A4強力阻害薬との併用が禁忌とされたことを確認した。閲覧 2026-08-19
  3. 3.Information about Domperidone(U.S. Food and Drug Administration・2025)ドンペリドンが米国ではいかなる適応・用途でもFDA未承認であること、心臓性不整脈・心停止・突然死という重篤な心臓有害事象との関連が承認見送りの理由であること、乳汁分泌促進(催乳)目的での使用はどの国でも承認されておらず個人輸入が原則として違法であることを確認した。閲覧 2026-08-19