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Drug Atlas · B9 Other / その他 · 必修

メトレレプチン

metreleptin

分類
Hormones and hormone analogs / ホルモン・ホルモン類似薬
商品名(日本)
マイアレプト
商品名(EU)
Myalepta
科目
Pharmacology
トピック
B9: Drugs affecting lipid metabolism. Drugs controlling body weight
承認適応
単一遺伝子性肥満脂肪萎縮症
副作用
頭痛
監視検査値
HbA1c
影響検査値
低血糖
対象疾患
全身性脂肪萎縮症

🧠 全体像:は「無いものをそのまま補う」という最もシンプルな置換療法の一つである。脂肪組織が分泌するホルモン・そのものが作れない、あるいはに不足している状態(全身性での欠損)に対し、遺伝子組換えの類似体を皮下注射で補充する。同じ「」の異常でも、経路の下流(POMC・PCSK1・LEPR)が壊れている場合はを補っても効かず()で下流を直接叩く必要がある——は「そのものが無い」ケースにしか効かないという守備範囲の狭さが、この薬を理解する核心である。

薬効群の中での位置づけ

欠損部位 薬剤 考え方
LEP(そのものが無い) 欠けているホルモンをそのまま補充する
POMC・PCSK1・LEPR(MC4Rより上流) 上流の異常を迂回し、経路のであるMC4Rをさせる

💡 同じ肥満治療薬でもがまったく違う。 は経路の最上流を補充するのに対し、は経路の最下流を代行する。両者を混同すると適応を誤る。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metreleptin'>メトレレプチン</span>を皮下注射"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='leptin receptor'>レプチン受容体</span>(LEPR)に結合"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Janus kinase'>JAK</span>/STAT経路を活性化(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Janus kinase 2 gene'>JAK2</span>-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='signal transducer and activator of transcription 3 (STAT3)'>STAT3</span>が主体)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypothalamic arcuate nucleus'>視床下部弓状核</span>でPOMCニューロンを活性化・AgRP/NPYニューロンを抑制"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='appetite suppression'>食欲抑制</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='energy expenditure'>エネルギー消費</span>亢進"]
    C --> F["末梢組織での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='insulin sensitivity'>インスリン感受性</span>が改善"]
    F --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glycemic control'>血糖コントロール</span>改善・トリグリセリド低下"]

⭐ 欠損状態では「摂食を止めるブレーキ」自体が存在しない。 全身性では脂肪組織そのものがほとんど無いためが分泌されず、視床下部はなと誤認識して・代謝異常(重度のインスリン抵抗性・糖尿病・)が進行する。を外から補うとこの誤認識が解除され、と代謝異常の改善が同時に得られる1。

適応

適応 対象
先天性全身性 欠損の合併症(重度インスリン抵抗性・糖尿病・)に対するの補助としての補充療法2
後天性全身性 同上2
(LEP遺伝子欠損) そのものが検出感度以下となるでの

⚠️ 限局性(部分性)には有効性・安全性が確立していない。 全身性とは病態が異なり、欠損の程度も異なるため適応外である2。

用法・用量

体重・性別でと最大用量が分かれる2。

患者群 最大用量
体重40 kg以下 0.06 mg/kg/日 0.13 mg/kg/日
40 kg超・男性 2.5 mg/日 10 mg/日
40 kg超・女性 5 mg/日 10 mg/日

1日1回皮下注射。臨床反応(食欲・代謝)を見ながら漸増する。

禁忌・注意

⚠️ 抗抗体による中和リスクがある。 抗体が内因性および/または自体を中和すると、や代謝コントロール悪化につながりうる2。

⚠️ T細胞リンパ腫の報告がある。 後天性全身性の患者集団では、投与の有無にかかわらずT細胞リンパ腫の報告があり、自己免疫疾患を合併しやすい後天性そのものがのリスク因子とされる。とのは確立していないが、リスクとして添付文書に明記されている2。

⚠️ 米国では(Risk Evaluation and Mitigation Strategy)プログラムによる制限付き流通 の対象で、処方には登録が必要2。

  • アナフィラキシー・蕁麻疹・全身性発疹などの過敏症反応が報告されている2。
  • 限局性には用いない(適応外)。

副作用

  • 頭痛2
  • 低血糖(インスリン・促進薬と併用時にが必要になりうる)
  • 過敏症反応(アナフィラキシー・蕁麻疹・全身性発疹)
  • 抗抗体の産生

まとめ

  • は遺伝子組換え類似体で、全身性(先天性・後天性)での欠損の合併症に対する補充療法である2。
  • ⭐ 「そのものが無い」場合にしか効かない。 POMC・PCSK1・LEPRなど経路下流の異常には無効で、その場合はが使われる。
  • 機序はLEPR-/STAT経路の活性化によるとの改善。
  • ⚠️ 限局性には適応外。
  • ⚠️ 抗抗体による中和リスクとT細胞リンパ腫の報告があり、米国ではプログラムのもとでのみ処方できる2。

出典

  1. 1.Leptin-Replacement Therapy for Lipodystrophy(New England Journal of Medicine・2002)血清レプチン値4 ng/mL未満の脂肪萎縮症患者9例(うち8例が糖尿病合併)を対象に組換えメチオニルヒトレプチンを投与し、血糖コントロールの改善とトリグリセリド値の低下が得られたという原著の結果を確認した。閲覧 2026-09-05
  2. 2.MYALEPT (metreleptin) for injection, for subcutaneous use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)・2022)2022年2月改訂の添付文書で、適応が「先天性又は後天性全身性脂肪萎縮症におけるレプチン欠損の合併症に対する、食事療法の補助としての補充療法」であり限局性脂肪萎縮症には有効性・安全性が確立していないこと、用法用量が体重40kg以下(開始0.06 mg/kg/日・最大0.13 mg/kg/日)と40kg超の男女(開始2.5〜5 mg/日・最大10 mg/日)で異なること、抗メトレレプチン抗体による内因性レプチン中和・有効性喪失のリスク、後天性全身性脂肪萎縮症患者でのT細胞リンパ腫の報告、MYALEPT REMSプログラムによる制限付き流通、過敏症反応(アナフィラキシー・蕁麻疹・全身性発疹)を確認した。閲覧 2026-09-05