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Drug Atlas · B20 Bone metabolism drugs / 骨代謝薬 · 必修

ブロスマブ

burosumab

分類
Anti-FGF23 monoclonal antibody / 抗FGF23モノクローナル抗体
商品名(日本)
クリースビータ
商品名(EU)
Crysvita
科目
Internal MedicinePediatrics
トピック
S-13: Osteomalacia and Rickets3-59: Vitamin D deficiency
承認適応
くる病・骨軟化症
禁忌疾患
慢性腎臓病
副作用
注射部位反応頭痛
監視検査値
血清リン
影響検査値
血清リン
対象疾患
X連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症腫瘍性骨軟化症

🧠 全体像:は、型のくる病・(・TIO)を「リンを足す」から「リンが漏れる原因そのものを止める」へ転換させた抗モノクローナル抗体である。従来療法(経口リン酸+)はリン喪失の下流を薬理学的に補うだけで、・二次性〜という代償を伴う。はリン喪失を起こしているFGF23そのものを中和するため、この代償を避けながらより大きな治療効果を得られる。

位置づけ

(性くる病)・TIO()はいずれも過剰によるが本態で、くる病・の中でも「ビタミンD代謝異常」型とは別系統(関連の型)に分類される。TIOでは原因腫瘍が同定・なら外科的切除が根治的だが、・局在不明例、およびの多くではが治療の中心になる。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='burosumab'>ブロスマブ</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fibroblast growth factor 23'>FGF23</span>に結合し<br>生物活性を中和"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='proximal tubule'>近位尿細管</span>でのリン再吸収が回復"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='1-alpha-hydroxylase'>1α水酸化酵素</span>の抑制が解除され<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='active vitamin D'>活性型ビタミンD</span>産生が回復"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='serum phosphate'>血清リン</span>濃度が上昇"]
    C --> D
    D --> E["骨石灰化が改善(くる病・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='osteomalacia'>骨軟化症</span>の治療)"]

💡 従来療法との違いは「補う」か「止める」か。 経口リン酸+はリン喪失の結果だけを薬理学的に埋め合わせるため、になりやすく・二次性〜のリスクを伴う。はを中和して腎からのリン漏出そのものを減らすため、この代償を経ずにを是正できる1。

適応

⭐ 国際・国内いずれのガイドラインもを従来療法より優先して推奨する。 国際ワーキンググループの診療ガイドライン(2025年)は、生後12か月以上の小児ではを従来療法より強く推奨し(強い推奨・確実性中)、生後6〜12か月では条件付き推奨(確実性低)にとどめている23。日本の診療ガイドライン(2026年)も小児・成人ともの使用を「強い推奨」(確実性B)とし、成人では「の認定を受けているなど投与可能な場合」という条件を付けている。対して従来治療そのものへの推奨は小児・成人とも「弱い推奨」(確実性C)にとどまる3。この推奨の根拠となった1〜12歳患児61例の第3相試験では、群が従来治療継続群に比べ40週時点のくる病重症度(Radiographic Global Impression of Change)を有意に改善した(P<0.0001)4。

TIOでは原因腫瘍が・局在不明の場合の選択肢として承認されている。

用法・用量

対象 最大用量
小児(生後6ヵ月〜18歳未満) 体重10kg未満:1 mg/kgを2週ごと。10kg以上:0.8 mg/kg(最低10mg)を2週ごと 約2 mg/kg(最大90mg)を2週ごとまで漸増可
成人(18歳以上) 1 mg/kg(最大90mg)を4週ごと皮下注 1 mg/kg(最大90mg)を2週ごとまで漸増可
小児TIO(2〜18歳未満) 0.4 mg/kgを2週ごと 2 mg/kg(最大180mg)を2週ごとまで漸増可
成人TIO(18歳以上) 0.5 mg/kgを4週ごと 2 mg/kg(最大180mg)を2週ごとまで漸増可

⚠️ 小児は2週ごと、成人は4週ごとで開始する(漸増後は成人も2週ごとになりうる)。 いずれも皮下注射で、のが年齢で違う点が問われやすい1。

禁忌・注意

  • 禁忌:経口リン製剤・製剤との併用(本剤単独より濃度が過度に上昇するため)、年齢基準内または基準を超える濃度の患者、重度またはの患者1
  • ⚠️ 「の患者にしか使えない」薬である。 が正常化・上昇した患者への投与は過剰治療(・)につながるため禁忌に含まれる1
  • ⚠️ 従来療法(経口リン酸+)との併用も禁忌。 両者を重ねると濃度が過度に上昇するため、切り替えは併用ではなく置き換えとして行う1

副作用

主な副作用は注射部位反応と頭痛である。従来療法で問題になった・二次性〜のリスクは、成人第3相試験で血清・尿カルシウム、intact 、に意味のある変化がなかったと報告されている5。

まとめ

  • 抗モノクローナル抗体で、・TIOなど過剰による型のくる病・に用いる。
  • 機序はを中和し、腎でのリン再吸収と産生を回復させること。従来療法の「補う」に対し「漏れを止める」薬。
  • 用法は小児が2週ごと開始、成人が4週ごと開始(漸増後は成人も2週ごとになりうる)の皮下注。
  • 禁忌は経口リン製剤・製剤との併用、が正常〜高値の患者、重度・。
  • 国際・国内ガイドラインとも小児・成人でを従来療法より強く推奨する(国内は小児・成人とも強い推奨、従来療法は弱い推奨にとどまる)。

出典

  1. 1.CRYSVITA (burosumab-twza) injection, for subcutaneous use — Prescribing Information(Kyowa Kirin, Inc. / DailyMed(U.S. FDA)・2026)DailyMedで添付文書を確認した。作用機序がFGF23に結合しその生物活性を阻害することで腎でのリン再吸収を回復させ活性型ビタミンD値を上昇させること、用法用量が小児XLH(生後6ヵ月〜18歳未満)では体重10kg未満は1 mg/kgを、10kg以上は0.8 mg/kg(最低開始用量10mg、最大90mg)を2週ごと皮下注し必要に応じ約2 mg/kg(最大90mg)まで漸増すること、成人XLH(18歳以上)では1 mg/kg(10mg単位に丸め最大90mg)を4週ごとで開始し必要に応じ1 mg/kg(最大90mg)を2週ごとまで漸増できること、小児TIO(2〜18歳未満)は0.4 mg/kgを2週ごとで開始し最大2 mg/kg(180mgまで)を2週ごとまで漸増、成人TIOは0.5 mg/kgを4週ごとで開始し最大2 mg/kg(180mgまで)を2週ごとまで漸増できること、禁忌が経口リン製剤・活性型ビタミンD製剤との併用、年齢基準内または基準を超える血清リン濃度の患者、重度腎機能障害または末期腎不全の患者であること、経口リン製剤・活性型ビタミンD製剤との併用は本剤単独より血清リン濃度を過度に上昇させるため禁忌とされていることを確認した。閲覧 2026-09-07
  2. 2.X-Linked Hypophosphatemia Management in Children: An International Working Group Clinical Practice Guideline(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism・2025)PMC12187519の全文で確認した。TREATMENT RECOMMENDATIONS(GRADE)は「In children 12 months of age and older with XLH, we recommend burosumab therapy over conventional therapy (active vitamin D and phosphate salts) (strong recommendation, moderate certainty).」「In children 6-12 months of age with XLH, we suggest burosumab therapy over conventional therapy (active vitamin D and phosphate salts) (conditional recommendation, low certainty).」と、推奨の強さを年齢で分けている。会議は2023〜2024年に開催され、公表は2025年である閲覧 2026-09-06
  3. 3.Clinical practice guidelines for the diagnosis and management of X-linked hypophosphatemia in Japan(X染色体連鎖性低リン血症性くる病・骨軟化症診療ガイドライン)(日本内分泌学会・日本小児内分泌学会・日本骨代謝学会(厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業)・2026)J-STAGEのPDF全文(日本内分泌学会雑誌 Vol. 101 Suppl. Guideline1、全206頁、2026年1月20日公開)の推奨一覧で確認した。CQ10「小児XLH患者に対してブロスマブは、くる病、低リン血症、低身長を考慮した場合に有用であり、忍容性も高く、使用を推奨する」(エビデンスの確実性B、推奨の強さ 強い推奨)。CQ11 成人XLHについても「指定難病の認定を受けているなど投与可能な場合、使用することを推奨する」(B、強い推奨)。CQ12 小児で従来治療との比較でも「強い推奨」(B)。一方CQ8(小児の従来治療)とCQ9(成人の従来治療)はいずれも「提案する」=弱い推奨(エビデンスの確実性C)で、CQ9は三次性副甲状腺機能亢進症・尿路結石・慢性腎臓病の増悪への留意を明記する。CQ14は「妊娠実験動物においてブロスマブによる有害事象が報告されていること、妊娠・授乳期のヒトにブロスマブを投与したデータがないことから、妊娠中、授乳中のXLH患者に対してブロスマブを投与しないことを提案する」(エビデンスの確実性D、弱い推奨)で、CQ13は同じ時期に活性型ビタミンD製剤+経口リン製剤の従来治療を提案する(C、弱い推奨)閲覧 2026-09-06
  4. 4.Burosumab versus conventional therapy in children with X-linked hypophosphataemia: a randomised, active-controlled, open-label, phase 3 trial(The Lancet(Imel EA et al.)・2019)1〜12歳のX連鎖性低リン血症性くる病61例を対象とした無作為化非盲検第3相試験で、抗FGF23抗体ブロスマブ(0.8 mg/kgを2週ごと皮下注、29例)は経口リンと活性型ビタミンDによる従来治療の継続(32例)に比べ、40週時点のくる病重症度(Radiographic Global Impression of Change 総合スコア)を有意に改善した(最小二乗平均 +1.9 対 +0.8、差1.1、95%CI 0.8〜1.5、P<0.0001)。くる病重症度に加え成長と生化学所見でも改善が大きかった閲覧 2026-08-25
  5. 5.A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 3 Trial Evaluating the Efficacy of Burosumab, an Anti-FGF23 Antibody, in Adults With X-Linked Hypophosphatemia: Week 24 Primary Analysis(Journal of Bone and Mineral Research(Insogna KL et al.)・2018)低リン血症と疼痛のある成人X連鎖性低リン血症134例の二重盲検プラセボ対照第3相試験で、ブロスマブ1 mg/kgを4週ごと皮下投与した群では投与間隔の中間時点の平均血清リンが正常下限を超えた者が94.1%(プラセボ7.6%、P<0.001)、24週時点でベースラインの活動性骨折・偽骨折の43.1%が完全治癒(プラセボ7.7%、治癒のオッズ比16.8、P<0.001)、WOMACのこわばりスコアもプラセボより有意に改善した。血清・尿カルシウム、intact PTH、腎石灰化に意味のある変化はなかった閲覧 2026-08-25