薬剤ノート一覧へ

Drug Atlas · A17 Hypnotics / 睡眠薬 · 必修

メラトニン

melatonin

分類
Hypnotics / 睡眠薬
商品名(日本)
メラトベル
商品名(EU)
Circadin
科目
Pharmacology
トピック
A17: Non-benzodiazepine anxiolytics and non-benzodiazepine hypnotics
副作用
めまい頭痛日中傾眠
対象疾患
自閉スペクトラム症

🧠 全体像が夜間に分泌する内因性ホルモンそのものを外から補う薬で、GABA系のやBZDとは全く別の経路(のMT1/MT2受容体)で眠気を作る。GABA系を直接いじらないため乱用性・依存性がほとんどないという利点がある一方、効果の強さそのものは穏やかで、のような強制的な力は持たない。「眠らせる薬」ではなく「に眠るタイミングを教える薬」と捉えると位置づけが分かりやすい。

薬効群の中での位置づけ

薬は、天然ホルモンそのものと合成の選択的作動薬に分かれる。

薬剤 由来 受容体 特徴的な適応
内因性ホルモンそのもの MT1/MT2(非選択的) 55歳以上の不眠、、小児の関連の
合成の MT1/MT2(非選択的、より (成人一般)
合成(MT2にやや選択的) MT1/MT2 (特に

3剤とも「を整える」という共通の土台に立ちながら、適応がきれいに分かれている。 は加齢による分泌低下を補う発想、はより強い親和性で全般に、は「光によるが構造的に不可能な患者」というに特化する。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='melatonin'>メラトニン</span>がMT1/MT2受容体(Gi共役型)に結合"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='SCN'>視交叉上核</span>のニューロン発火を抑制"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='circadian clock (internal body clock)'>体内時計</span>に「夜」の信号を伝える"]
    C --> D["MT1:睡眠開始を促進"]
    C --> E["MT2:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='circadian rhythm'>概日リズム</span>の位相をシフト"]
    D --> F["自然な入眠"]
    E --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='jet lag'>時差</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='shift work'>交代勤務</span>での<span class='jp-term jp-term-diagram' title='entrainment'>同調</span>"]

💡 GABA系に触らないことが「乱用性がほぼない」の理由そのもの。 ・BZDはにもつながるGABA-A受容体を直接増強するが、受容体はの調整に特化しておりとの結びつきが薄い。そのためや耐性がほとんど問題にならない。

薬物動態

項目 値・特徴
低くが大きい(が大きい)
代謝 主にCYP1A2(一部CYP2C19)で→6-スルファトキシ
半減期 約30〜60分()。製剤は夜間のプロフィールを模した放出パターンを持つ
相互作用 (強力なCYP1A2阻害薬)で血中濃度が大きく上昇しうる

としての流通が精度の問題を生む。 多くの国では医薬品ではなく健康食品・として流通しており、含有量が表示値から大きく外れる製品が報告されている。処方薬(製剤など)とではの水準が異なる点は臨床上重要である。

適応

(特に55歳以上の一次性不眠)、。小児では、を先行させたうえでなど)に伴うへの補助的選択肢として専門医のもとで検討される。

用法・用量

PO(就寝1〜2時間前、食後を避ける)。目安:成人1回2〜5 mg。小児の関連の適応では低用量から開始し漸増する。実際の用量は適応・年齢・製剤(/)で変わるため、施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:本剤への過敏症
  • など強力なCYP1A2阻害薬との併用で血中濃度が上昇しうる
  • 自己免疫疾患では理論上、免疫調節作用によりへ影響する可能性が議論されており、使用は個別に判断する
  • ワルファリンなど抗凝固薬とのの報告があり、注意深く経過を見る

副作用

頻度 内容
高頻度 頭痛
注意 めまい、悪心、(小児)
重篤・まれ 過敏症反応。乱用性・依存性はほぼ報告されていない

まとめ

  • 内因性ホルモンそのものを補充する。MT1/MT2受容体()を介しに働きかける。
  • GABA系の・BZDと異なり乱用性・依存性がほぼない。
  • 55歳以上の不眠、に用いる。
  • 小児ではに伴うへの補助的選択肢として、非薬物介入と併用で検討する。
  • CYP1A2で代謝され、など強力なCYP1A2阻害薬で血中濃度が上昇する。
  • としての流通が多く、含有量のばらつきが処方薬との違いになる。