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Drug Atlas · B3 Other / その他 · 必修

デフェリプロン

deferiprone

分類
Iron chelators / 鉄キレート薬
商品名(EU)
Ferriprox
科目
Pharmacology
トピック
B3: Agents used in anemias
承認適応
サラセミア
副作用
悪心嘔吐腹痛関節痛
監視検査値
好中球絶対数フェリチン
影響検査値
好中球減少
原因となる疾患
無顆粒球症

🧠 全体像3剤のうち唯一のバイデンテート(2座薬であり、この「座が少ない」という化学的な弱点が2つの臨床的な顔を生む。3分子で鉄1個を挟み込む構造は組織への浸透性が高く、より心筋からの鉄除去に優れるという強みになる一方、というの重大な副作用を抱え、他の2剤にはない週1回の好中球絶対数モニタリングが必須というを負う。「効き目の質は違う場所にあるが、安全に使うための手間も違う場所にある」薬として理解する。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 様式 特徴
皮下(持続)・ ヘキサデンテート(1:1) 最も古典的だが投与負担が大きい
経口(1日1回) トリデンテート(2:1) 半減期が長くに優れる。腎・肝毒性に注意
経口(1日3回) バイデンテート(3:1) が高く除去に優れるとされるが、のリスクで週1回の血算モニタリングが必須

座が少ないほど組織へ入り込みやすい」というが、除去の優劣に関わっているとされる。 無症候性を有するβ患者を対象としたでは、よりも心臓T2*値・の改善が有意に大きかった1。この結果から、心臓の鉄過剰が強い症例では単独または他剤との併用が選択されることがある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deferiprone'>デフェリプロン</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='free iron'>遊離鉄</span>(Fe3+)と結合"] --> B["バイデンテート<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ligand'>配位子</span>として<br>3分子:1個のFe3+複合体を形成"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='low molecular weight'>低分子量</span>・脂溶性が高く<br>組織(特に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cardiomyocyte (cardiac myocyte)'>心筋細胞</span>内)へ浸透しやすい"]
    C --> D["細胞内・細胞外いずれの鉄プールからも<br>鉄を捕捉できる"]
    D --> E["複合体は主に腎(尿中)へ排泄される"]
    A --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GI absorption'>消化管吸収</span>が速く<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plasma half-life'>血中半減期</span>が短い"]
    F --> G["1日3回の頻回投与でなければ<br>有効血中濃度を維持できない"]

💡 の機序は完全には解明されていないが、(用量に単純比例しない)反応と考えられている。 にも稀にの報告はあるが、ではプール解析でが1.7%、より軽度の好中球減少が6.4%と報告されており2、他の2剤より発現頻度が明確に高い。この頻度の高さが、週1回という他剤にはない密なモニタリング義務の根拠になっている。

適応

領域 使いどころ
血液内科 既存の)が不十分な症候群による輸血性2

⚠️ 米国の適応は「既存のが不十分な場合」に限定されており、症状改善を直接示した対照試験はないと添付文書に明記されている2。第一選択として単独で開始する薬ではなく、他剤で鉄過剰が制御しきれない例・が強い例で検討される位置づけである。

用法・用量

1日75〜99 mg/kgを3回に分割してする(1回25〜33 mg/kg)2・顆粒・経口液のいずれの剤形でも1日3回投与が基本であり、他の(1日1回の)に比べて服薬回数の負担が大きい。実際の用量・剤形選択は年齢・体重・鉄過剰の程度により施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • ⚠️ 重篤な感染症・死亡につながりうる。投与開始前に好中球絶対数(ANC)を測定し、投与中は週1回のANCモニタリングを継続する。好中球減少(ANC 1.5×10⁹/L未満)が生じたら投与を中断し、を発症した患者では原則再開しない(利益がリスクを明確に上回る場合を除く)2
  • ⚠️ 肝毒性:血清ALTの上昇が報告されており、定期的な肝機能モニタリング(月1回目安)と、持続する上昇時の投与中止を要する
  • のモニタリングと必要時の補充を行う
  • 妊娠中は投与を避ける

副作用

頻度 内容
高頻度(≥5%) 悪心嘔吐腹痛関節痛、ALT上昇
重篤・まれ (1.7%)、好中球減少(6.4%)、肝毒性2

まとめ

  • 3剤のうち唯一のバイデンテート(3:1)薬で、の高さから除去に優れるとされ、が強い症例で選択されうる1
  • その裏返しとしてのリスクが他のより明確に高くとして週1回の好中球絶対数モニタリングが必須という他剤にはないを負う。
  • 米国の適応は既存の)が不十分なによるに限定される。
  • 1日3回のを要し、が短いことがその根拠になっている。
  • 肝毒性・にも注意し、定期的な肝機能モニタリングを併せて行う。

出典

  1. 1.FERRIPROX (deferiprone) tablets, for oral use — Highlights of Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration・2025)機序(鉄と3:1のバイデンテート配位子複合体を形成)、適応(既存の鉄キレート療法が不十分なサラセミア症候群による輸血性鉄過剰症、症状改善を示す対照試験はない旨の限定)、枠組み警告(無顆粒球症、投与前および週1回のANC測定)、その他の警告(肝毒性・月1回のALTモニタリング、亜鉛欠乏)、用法・用量(1日75〜99 mg/kgを3回に分割経口投与)を確認閲覧 2026-08-10
  2. 2.Randomized Controlled Trial of Deferiprone or Deferoxamine in Beta-Thalassemia Major Patients With Asymptomatic Myocardial Siderosis(Blood(American Society of Hematology)・2006)無症候性心筋鉄沈着を有するβサラセミア重症型患者を対象とした無作為化比較試験で、デフェリプロンはデフェロキサミンよりも心臓T2*値の改善が有意に大きく(27% 対 13%)、左室駆出率の改善も有意に大きかった(3.1 対 0.3絶対%)ことを確認閲覧 2026-08-10