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Drug Atlas · B3 Other / その他 · 必修

デフェラシロクス

deferasirox

分類
Iron chelators / 鉄キレート薬
商品名(日本)
エクジェイドジャドニュ
商品名(EU)
ExjadeJadenu
科目
Pharmacology
トピック
B3: Agents used in anemias
承認適応
サラセミア鎌状赤血球症
副作用
下痢悪心嘔吐腹痛発疹難聴視力低下
監視検査値
血清クレアチニンフェリチン血小板数
影響検査値
血清クレアチニン

🧠 全体像:はを「注射から経口へ」変えた薬である。として鉄と2:1で結合し半減期が長いため、1日1回ので足りる——の持続注射という負担を大きく減らした。その代償として、腎・肝毒性と消化管出血という、注射剤にはなかった臓器障害リスクを新たに背負っている。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 様式 特徴
皮下(持続)・・ (1:1) 最も古典的だが投与負担が大きい
経口(1日1回) (2:1) 半減期が長くに優れる。腎・肝毒性に注意
経口(1日3回) (3:1) のリスクで定期血算モニタリングが必須

⭐ 「1日1回で足りる」という利便性の裏に、腎・肝への負担という新しいリスクがある。 にはなかった・肝不全・消化管出血がのに挙げられており、への切り替えは単純な「進歩」ではなく、負担の種類が変わったと理解するのが正確である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deferasirox'>デフェラシロクス</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='free iron'>遊離鉄</span>(Fe3+)と結合"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tridentate'>トリデンテート</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='ligand'>配位子</span>として<br>2分子:1個のFe3+複合体を形成"]
    B --> C["複合体は主に胆汁・糞便中へ排泄される"]
    A --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='GI absorption'>消化管吸収</span>が良好で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='plasma half-life'>血中半減期</span>が長い"]
    D --> E["1日1回の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>で<br>有効血中濃度を維持できる"]

💡 排泄経路の違いが、腎障害患者での使い分けに直結する。 の複合体は主にだが、の複合体は主に胆汁・糞便排泄である。にもかかわらず自体はを来しうるため、「でないから腎に安全」ではなく、むしろ腎機能を定期的に監視すべき薬という理解が必要。

適応

⚠️ 適応は「疾患名」ではなく「輸血によるという病態」で書かれており、国によって線引きが違う。 疾患側の治療薬一覧からすると、承認されていない使い方を承認されているように読んでしまう。

地域 添付文書が定める適応
(SmPC 4.1) 無条件の適応は、頻回輸血(人7 mL/kg/月以上)によるをきたした6歳以上のベータ重症型だけである。残りはいずれも療法が禁忌または不適当な場合に限られる——2〜5歳のベータ、非頻回輸血のベータ(2歳以上)、その他の貧血(2歳以上)、およびを要するのある10歳以上の症候群1
日本(電子添文 4.) 輸血による(注射用剤治療が不適当な場合)の1つのみ。の適応は無い2
米国(1.1・1.2) 2歳以上の輸血による、および10歳以上の症候群で5 mg Fe/g乾燥重量以上かつ血清300 mcg/L超のもの3

💡 鎌状赤血球症はどの添付文書の適応欄にも名指しでは出てこない。 では「その他の貧血」に含まれ、米国では適応欄ではなく登録試験の(Study 3、132例)として現れる13。輸血依存の鉄過剰であれば適応の枠内だが、「鎌状赤血球症という病名に対する承認」ではないと理解する。

用法・用量

輸血によるには初回14 mg/kgを1日1回し(・米国とも同じ数値。米国は 60 mL/min/1.73m²超が条件)、血清の推移を見ながら3〜6か月ごとに3.5〜7 mg/kg刻みで調整する。のSmPCはこのほかに、鉄の減量を要さず輸血量が少ない例に7 mg/kg/日、鉄の減量を要し輸血量が多い例に21 mg/kg/日、から切り替える例にその1/3量という代替のを並記しており、14 mg/kgは唯一のではない。症候群は初回7 mg/kgから開始する13。日本の電子添文では通常12 mg/kgを1日1回し、1日量18 mg/kgを超えない(1か月あたりの輸血量が人7 mL/kg未満なら初期投与量6 mg/kgを考慮する)2。空腹時または低脂肪の軽食とともに服用し、はを増加させるため避ける。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

⚠️ 禁忌は3極で内容が違う。平坦に1行へまとめない。

地域 禁忌
(4.3) 過敏症、他のとの併用、推算60 mL/min未満——この3項目のみ1
日本(2.) 過敏症、高度の、全身状態の悪い高リスク、全身状態の悪い進行した悪性腫瘍2
米国(4) 40 mL/min/1.73m²未満、全身状態不良、高リスク、進行悪性腫瘍、血小板5万/µL未満、過敏症3

💡 腎機能の線引きは が60 mL/min、米国が 40 mL/min/1.73m² と1.5倍違う。 日本は数値を示さず「高度の」とだけ書く。血小板5万未満を禁忌に置くのは米国だけで、日本では禁忌ではなく(1.1)が挙げる高リスク群である。

  • ⚠️ は・肝不全・消化管出血の3つ。 米国添付文書はに()を、消化管出血には高齢・進行・血小板減少という危険因子を明記している3
  • は投与開始前に2回測定し、以後4週毎(例や併用例では開始・増量後1か月間は毎週)測定する。・ビリルビン等は開始後1か月間は2週毎、以後4週毎。尿蛋白は4週毎に測り、が1.0 mg/mgを超えたらする2
  • 眼科・聴力検査を投与前および定期的(日本の電子添文では6か月毎)に行う2

副作用

頻度 内容
高頻度 下痢、嘔吐、悪心、腹痛、発疹、上昇
重篤・まれ 、肝炎・肝不全、・出血、消化管穿孔、、難聴、・による32

まとめ

  • の持続注射をに置き換えた。として鉄と2:1で結合し、半減期が長いため1日1回で足りる。
  • 排泄経路は主に胆汁・糞便で、のと対照的だが、それでもは自体の重大な副作用である。
  • 適応は「輸血による」という病態で書かれる。 は6歳以上のベータ重症型を第一に挙げ、鎌状赤血球症は「その他の貧血」に含まれて名指しされない。日本は注射用剤が不適当な場合に限られ、の適応が無い。
  • は(などのを含む)・肝不全・消化管出血。腎機能・肝機能・血算・尿蛋白・眼科・聴力の定期モニタリングが必須。
  • 禁忌は3極で違う。 は過敏症・他のとの併用・60 mL/min未満の3つ、米国はこれに全身状態不良・高リスク・進行悪性腫瘍・血小板5万/µL未満が加わり腎の閾値は 40 mL/min/1.73m²未満、日本は数値を示さず「高度の」とし血小板減少は禁忌ではなくに置く。
  • と同じく既に蓄積した鉄を除く治療であり、輸血量そのものを減らすや輸血依存から離脱させるとは、鉄過剰に対する介入の階層が異なる。

出典

  1. 1.EXJADE 90 mg, 180 mg, 360 mg film-coated tablets — Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency・2026)EU の 4.1 が名指しする疾患はベータサラセミア重症型(頻回輸血・6歳以上だけが無条件の適応で、2〜5歳および非頻回輸血例はデフェロキサミンが禁忌または不適当な場合の適応)と非輸血依存性サラセミア症候群(10歳以上)だけで、鎌状赤血球症は「その他の貧血(2歳以上)」に含まれるが名指しはされないことを確認した。⚠️ 非輸血依存性サラセミア症候群の適応も原文は「キレート療法を要する慢性鉄過剰症の治療として、デフェロキサミン療法が禁忌または不適当な場合に(when deferoxamine therapy is contraindicated or inadequate)」という条件つきで、無条件の適応は頻回輸血のベータサラセミア重症型・6歳以上だけである。4.3 の禁忌は過敏症・他の鉄キレート薬との併用・推算クレアチニンクリアランス60 mL/min未満の3項目のみで、血小板減少や高リスク骨髄異形成症候群は挙がらない。用量は輸血性鉄過剰症でフィルムコート錠14 mg/kg/日から開始し最大28 mg/kg/日、非輸血依存性サラセミア症候群では7 mg/kg/日から開始する。5.1 は試験対象の原疾患としてベータサラセミア・鎌状赤血球貧血・その他の先天性および後天性貧血を挙げている。文書自体は改訂年月を印字せず、取得したEMA公開PDFの更新日は2026年1月14日閲覧 2026-09-07
  2. 2.デフェラシロクス顆粒分包90mg/360mg「サワイ」添付文書(独立行政法人医薬品医療機器総合機構(沢井製薬)・2023)2023年11月改訂(第1版)を確認した。日本での効能・効果は「輸血による慢性鉄過剰症(注射用鉄キレート剤治療が不適当な場合)」の1つだけで、非輸血依存性サラセミアの適応は無い。用法・用量は通常12 mg/kgを1日1回経口投与し1日量18 mg/kgを超えない(月あたり輸血量が人赤血球濃厚液7mL/kg未満なら初期投与量6 mg/kgを考慮)。禁忌は過敏症・高度の腎機能障害・全身状態の悪い高リスク骨髄異形成症候群・全身状態の悪い進行した悪性腫瘍の4項目で、血小板5万/mm³未満は禁忌ではなく警告(1.1)の高リスク群として挙がる。モニタリングは血清クレアチニンを投与前2回・以後4週毎、血清トランスアミナーゼ等を1か月間は2週毎・以後4週毎、尿蛋白を4週毎、聴力検査と眼科的検査を6か月毎閲覧 2026-09-07
  3. 3.JADENU (deferasirox) tablets / JADENU Sprinkle (deferasirox) granules — Highlights of Prescribing Information(Novartis Pharmaceuticals Corporation / DailyMed(U.S. National Library of Medicine)・2020)米国添付文書の適応(1.1 輸血による慢性鉄過剰症・2歳以上、1.2 非輸血依存性サラセミア症候群・10歳以上で肝鉄濃度5 mg Fe/g乾燥重量以上かつ血清フェリチン300 mcg/L超)、用法・用量(eGFR 60 mL/min/1.73m²超では輸血性が初回14 mg/kg、非輸血依存性が初回7 mg/kgをいずれも1日1回)、枠組み警告(急性腎不全・肝不全・消化管出血)、禁忌(eGFR 40 mL/min/1.73m²未満、全身状態不良、高リスク骨髄異形成症候群、進行悪性腫瘍、血小板5万/µL未満、本剤成分への過敏症)を確認した。1.1 は疾患名を挙げず病態で適応を定めており、鎌状赤血球症は適応欄ではなく 14 の登録試験(Study 3、デフェラシロクス132例)の対象として現れる。ラベル本文の改訂表示は Revised 7/2020 であり、Highlights の Initial U.S. Approval 2005 は有効成分デフェラシロクスの米国初回承認年(Exjade として)であってこのラベルの改訂年ではない閲覧 2026-09-07