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Lab values · Published

フェリチン

Ferritin

別名
血清フェリチン
臓器系
血液免疫・膠原病全身
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 H-02:鉄欠乏性貧血内科学 H-04:慢性疾患に伴う貧血
関連疾患
Heyde症候群Plummer-Vinson症候群Still肺病変サイトカイン放出症候群サラセミアフォン・ヴィレブランド病ヘモクロマトーシスポルフィリン症むずむず脚症候群鉛中毒血管異形成血球貪食性リンパ組織球症原発性皮膚γδT細胞リンパ腫若年性特発性関節炎新型コロナウイルス感染症腎性貧血成人発症Still病脱毛症男性性腺機能低下症鉄欠乏性貧血皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫慢性疾患に伴う貧血
監視対象薬
エポエチン アルファデフェラシロクスデフェリプロンデフェロキサミン水酸化鉄ポリマルトース硫酸鉄
影響する薬剤
イデカブタゲン ビクルユーセルシルタカブタゲン オートルユーセルチサゲンレクルユーセル(CAR-T)
スコア
成人発症スチル病の重症度スコア

🧠 全体像:はを推定する最も実用的な指標だが、同時に炎症・で増えるでもある。低値はを強く支持する一方、正常〜高値は鉄欠乏を除外しない。 高値を見ても鉄過剰と即断せず、()、炎症、肝障害、血球減少を組み合わせる。

何を測っているか

は鉄を安全に貯蔵する細胞内蛋白で、主に肝細胞・マクロファージ・骨髄に存在する。血清中は全身のごく一部だが、安定時には体内とおおむね相関する。

flowchart TD
    A["食事鉄・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='recycled iron'>再利用鉄</span>"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='transferrin'>トランスフェリン</span>で運搬"]
    B --> C["造血へ供給"]
    B --> D["肝・マクロファージで<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ferritin'>フェリチン</span>として貯蔵"]
    D --> E["血清<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ferritin'>フェリチン</span>"]
    F["炎症・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hepatocellular injury'>肝細胞障害</span>"] --> E
    G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='depletion of iron stores'>鉄貯蔵枯渇</span>"] --> H["血清<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ferritin'>フェリチン</span>低下"]

炎症ではIL-6によりが増え、鉄がマクロファージ内へ隔離される。が乏しくても炎症反応がを押し上げるため、値は「鉄の量」と「炎症・」の合成信号になる。

基準値と判断域

単位はng/mLとµg/Lが同値である。成人のは性別、年齢、測定法、施設で大きく異なるため、報告書の基準を優先する。

状況 実務上の読み方
明らかな低値 を強く支持する
貧血患者で45 ng/mL未満 が鉄欠乏判定に提案する実用的な域
炎症下で正常〜軽度高値 鉄欠乏を除外できず、・を併用する
炎症、肝障害、鉄過剰、HLHなどを臨床像で分ける

は健常成人では15 µg/L未満を鉄欠乏の目安とし、感染・炎症がある成人では70 µg/L未満も鉄欠乏を示し得るとしている。ただし後者は集団評価を主眼とする条件付き推奨で、個々の患者を単独の固定値で診断するものではない。

低値の意味

低値は体内の枯渇を示し、貧血より先に現れ得る。原因は「喪失」「需要増加」「摂取・吸収不足」に分ける。

機序 代表的状況 次に確認すること
慢性喪失 、消化管出血、反復 年齢・性別に応じた出血源検索
需要増加 妊娠、成長期 Hb、、食事と補充歴
摂取不足 、偏食 栄養歴、他の欠乏
セリアック病、胃・小腸手術、 消化器症状、原因別検査

低があればが正常でも早期鉄欠乏を否定しない。鉄補充だけで終了せず、なぜ鉄が失われたかを検索する。

高値の意味

パターン 主な機序 組み合わせる所見
炎症・感染 、 、、血清鉄低下、低下
肝障害・飲酒 貯蔵細胞からの逸脱、合成変化 /、、飲酒歴
代謝性 肥満、、インスリン抵抗性 体格、、
鉄過剰 遺伝性・輸血性鉄過剰 高値、輸血歴、
強い HLH・ 発熱、血球減少、肝脾腫、TG・フィブリノゲン
悪性腫瘍・腎疾患 炎症、、クリアランス変化 基礎疾患と推移

⚠️ 高単独では鉄過剰もHLHも診断できない。が高ければ鉄過剰を、発熱・進行する血球減少・肝障害・低フィブリノゲンを伴うならHLHを優先して評価する。

鉄指標を組み合わせる

解釈の方向
低値 低値
正常〜高値 低値 炎症性鉄制限、または炎症に隠れた鉄欠乏
高値 高値 鉄過剰を評価
高値 正常 肝障害、炎症、代謝性要因などを優先

炎症下で判断が難しければ、、TIBC・、、Hb含量などを目的に応じて追加する。どの補助指標も単独で全例を分類できない。

測定上の注意

⚠️ はで測るため、装置間差とがある。前回値と大きく矛盾するときは同一法での再検や検査室への照会を行う。

  • 急性感染、手術、肝障害ではとに上昇する。
  • 直近の静注鉄やは値を上げ、鉄状態の定常評価を難しくする。
  • 、、極端な高濃度は測定法依存の誤差を生じ得る。
  • 溶血・脂血などの検体品質は装置ごとの干渉情報を確認する。

経時変化とモニタリング

鉄補充後はHb反応とともに・を追うが、採血時期とをそろえる。炎症性疾患では基礎疾患の活動性と並べ、や輸血性鉄過剰ではの推移を量・臓器障害と組み合わせる。単回の極端値より、上昇速度と全身像がを決める。

⭐ では、が開始・増減量・の物差しそのものになる。 経口の米国添付文書は、輸血によるでは血清が持続的に1,000 mcg/L超であることを開始の要件とし、毎月を測って3〜6か月ごとに推移に基づき用量を調整するよう求める。⚠️ 下げすぎ(過剰)を避ける側にも閾値がある——輸血によるでは、連続2回の来院で1,000 mcg/L未満なら(とくに17.5 mg/kg/日を超える用量のとき)減量を考慮し、500 mcg/L未満ではする1。💡 症候群では閾値がまるごと入れ替わる——同じが、5 mg Fe/g乾燥重量以上と並ぶ適応の入口の基準(300 mcg/L超)になり、の閾値も300 mcg/L未満(このときを測り直す)になる1。⚠️ 適応が違えば同じの切り方が違う。 「鉄過剰の程度を測る値」ではなく「治療の開始・調整・中止を決める値」として読む場面がある。

⚠️ 同じ薬でも、目標域と開始の閾値は欧州と米国で違う。 のSmPCはの目標域を500〜1,000 µg/lと明示し、2,500 µg/l超で増量・1,000〜2,500 µg/lで減量・500 µg/l未満でを考慮という4段の調整表を置く2。⭐ 症候群では、開始の条件そのものが接続詞ごと違う——は「5 mg Fe/g乾燥重量以上または血清が持続的に800 µg/l超」といずれか一方で足りるが2、米国は「5 mg Fe/g乾燥重量以上かつ血清300 mcg/L超」と両方を求める1。「何 µg/l からを始めるか」は、国と適応と接続詞で答えが変わる。

まとめ

  • 低はを強く支持する。
  • 正常〜高値でも、炎症・肝障害があれば鉄欠乏を除外できない。
  • 高値は鉄過剰より炎症・肝障害などの方が多く、を組み合わせる。
  • に発熱・血球減少・凝固異常を伴えばHLHを急いで評価する。
  • 、測定法、投与・輸血歴、を同じ時間軸で読む。

出典

  1. 1.JADENU (deferasirox) tablets / JADENU Sprinkle (deferasirox) granules — Highlights of Prescribing Information(Novartis Pharmaceuticals Corporation / DailyMed(U.S. National Library of Medicine)・2020)米国添付文書。輸血による慢性鉄過剰症では血清フェリチンが持続的に1,000 mcg/L超であることを開始の要件とし、毎月測定して3〜6か月ごとにフェリチンの推移に基づき用量を調整すること、連続2回の来院で1,000 mcg/L未満に下がれば(とくに17.5 mg/kg/日超の用量のとき)減量を考慮し500 mcg/L未満で休薬すること、非輸血依存性サラセミア症候群では適応の要件が肝鉄濃度5 mg Fe/g乾燥重量以上かつ血清フェリチン300 mcg/L超であり、300 mcg/L未満で休薬して肝鉄濃度を測り直すこと(いずれも逐語で確認)閲覧 2026-09-08
  2. 2.EXJADE 90 mg, 180 mg, 360 mg film-coated tablets — Summary of Product Characteristics (Annex I)(European Medicines Agency・2026)EMA公開PDFを取得して4.2・4.4を逐語で確認した。輸血性鉄過剰症では血清フェリチンを毎月測定し3〜6か月ごとに推移に基づき3.5〜7 mg/kg/日刻みで調整すること、Table 2の4段が「持続的に2,500 µg/l超で増量(最大28 mg/kg/日)」「1,000 µg/l超2,500 µg/l以下で減少傾向なら減量」「500〜1,000 µg/lが目標域」「持続的に500 µg/l未満で休薬を考慮」であること、非輸血依存性サラセミア症候群では開始の条件が肝鉄濃度5 mg Fe/g乾燥重量以上または血清フェリチンが持続的に800 µg/l超という選言であり、休薬の閾値が300 µg/l未満であることを確認した閲覧 2026-09-08