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Drug Atlas · B17 Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモン

テルリプレシン

terlipressin

分類
Pituitary & hypothalamic hormones / 下垂体・視床下部ホルモン
商品名(EU)
Glypressin
科目
Pharmacology
トピック
B17: Thyroid and antithyroid drugs. Pituitary hormones. Hypothalamic hormones, hormonanalogs and antagonists
承認適応
食道静脈瘤
副作用
腹痛胸痛呼吸困難
監視検査値
クレアチニン血清ナトリウム
影響検査値
低ナトリウム血症

🧠 全体像:はの構造を改変した合成で、()よりV1受容体(収縮)に選択的に働く点が核心である。V1刺激による(特に脾臓・腸管領域)の強力な収縮が、の出血源であるの圧を下げる一方、では相対的に虚脱した全身動脈系を締め直してを確保する。同じ「V1選択的な血管収縮」という一つの機序が、の2つの重大な合併症(・)の両方に効く、というのがこの薬を理解する軸になる。半減期の短い自体と異なり、が徐々に切り離されて活性型を持続的に生じる構造により、でも効果が持続する。⚠️ ただし「にすぎない」わけではない——米国添付文書は、がのであると同時にそれ自体もを持つと述べている1。

薬効群の中での位置づけ

・に用いるは、標的とする受容体・臓器が異なる。

薬剤 標的 主な使いどころ 特徴
V1受容体選択的(V2の約2倍)1 (HRS-AKI)、食道・出血 長時間作用型。(スペインの)はと1型の2つを適応とする2が、米国の適応はだけ1
食道・出血 を減らすが機序はV1刺激と別系統
選択的 、血友病A・の軽症例 血管収縮作用はほぼ持たない。とはが正反対

⭐ と対比すると覚えやすい。 どちらもだが、はV2に選択的で「水を溜める薬」、はV1に選択的で「血管を締める薬」——同じ骨格から出発して選択性を逆方向に振った設計である。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='terlipressin'>テルリプレシン</span>投与<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='prodrugs'>プロドラッグ</span>)"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peptidase'>ペプチダーゼ</span>により<span class='jp-term jp-term-diagram' title='glycyl residue'>グリシル残基</span>が<br>徐々に切断される"]
    B --> C["活性型<span class='jp-term jp-term-diagram' title='lysine vasopressin (lypressin)'>リジン・バソプレシン</span>が<br>持続的に遊離"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vascular smooth muscle'>血管平滑筋</span>のV1受容体を選択的に刺激"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='splanchnic vessels'>内臓血管</span>(腸管・脾臓)の強い収縮"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='portal blood flow'>門脈血流</span>量低下→門脈圧低下"]
    F --> G["食道・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='gastric varices'>胃静脈瘤</span>の出血が減少"]
    D --> H["全身の相対的動脈拡張を是正し<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='effective circulating volume'>有効循環血漿量</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='mean arterial pressure, MAP'>平均動脈圧</span>が上昇"]
    H --> I["腎への<span class='jp-term jp-term-diagram' title='perfusion pressure'>灌流圧</span>が回復"]
    I --> J["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Hepatorenal syndrome'>肝腎症候群</span>(HRS-AKI)の腎機能改善"]
    D -.->|"腸管・四肢・冠動脈でも<br>同じ収縮が起こりうる"| K["虚血性合併症"]

💡 である点が「長時間作用型」の理由。 は各種組織のでゆっくり切断されてを供給し続ける。は0.9時間に対し3.0時間である1。実際、単回0.85 mg投与後の上昇と心拍数低下は投与5分以内に現れ、少なくとも6時間持続するので、数時間おきので血管収縮効果を維持できる1。

薬物動態

項目 値・特徴
。米国の添付文書は(2分かけて)のみ1、のはと持続静注の両方を認める2
構造 合成付加。であると同時にそれ自体もを持つ1
活性化 内因性によりN末端のが切断され、へ徐々に変換される1
半減期 0.9時間、3.0時間(終末相)1
効果のと持続 単回0.85 mg投与後、拡張期・収縮期・の上昇と心拍数の低下が5分以内に現れ、少なくとも6時間持続する。最大変化は投与1.2〜2時間後で、は+16.2 mmHg、心拍数は−10.6/分と推定された1
代謝 各種組織のによる切断で代謝され、血液・血漿中では代謝されない。が体組織に遍在するため、病態や併用薬で代謝が変わる可能性は低いとされる1
排泄 健常者で尿中に出るのはの1%未満、の0.1%未満1

適応

領域 使いどころ
急速な腎機能低下を伴うにおける腎機能の改善(米国の適応はこれだけ)1。(スペインの)では「腹水国際クラブの基準で定義される1型の緊急治療」2
消化管出血 ・からの。では正式な適応である2。の結果を待たずに開始するの一つ3

⚠️ 適応の範囲は国・地域で異なる。「は米国だけの適応」ではない。 米国の添付文書の適応はだけで、は含まれない1。一方、スペインAEMPSのGlypressinはと1型の両方を適応に挙げている2。⚠️ のは加盟国ごとに版が異なりうるので、ここで確認できたのはスペイン版である。日本の承認状況はこの監査では確認できていない。

⚠️ 米国には「使用上の限界」がある。 が5 mg/dL超の患者は利益を得にくいと適応欄に明記されている1。側も、5.0 mg/dL(442 μmol/L)以上の進行したでは、利益がリスクを上回ると判断される場合を除いて避けるとしている2。

⭐ 効果はアルブミンとのセットで評価されている。 根拠となったCONFIRM試験では両群でアルブミン併用が強く推奨された上でとを比較し、検証済みHRS逆転率は群32%(63/199)・プラセボ群17%(17/101)、P=0.006だった4。💡 ただし「アルブミン併用」は米国の承認された適応の要件として書かれてはいない。 添付文書はむしろ、があればアルブミンや他の輸液を減量・中止するよう指示している1——のための容量確保と、呼吸不全を招くは同じ軸の両端にある。

⚠️ 同じ試験の「同じ名前の評価項目」でも、読む文書で数字が違う。名前が同じでも定義文が違うからである。 数(199例対101例)は共通だが、米国添付文書のTable 2は「Verified HRS Reversal」を58例(29.1%)対16例(15.8%)、P=0.012とし1、原著(NEJM)はのを63例(32%)対17例(17%)、P=0.006としている4。

⭐ 違うのは「なしの10日間」をどこから数えるかである。

文書 の定義(逐語) 10日間の起点
米国添付文書 §14 To be included in the primary efficacy endpoint analysis, patients had to be alive and without intervening renal replacement therapy (e.g., dialysis) at least 10 days after achieving Verified HRS Reversal.1 HRS逆転を達成した時点から
NEJM(原著) two consecutive serum creatinine measurements of 1.5 mg per deciliter or less at least 2 hours apart and survival without renal-replacement therapy for at least 10 days after the completion of treatment4 治療を終えた時点から

💡 添付文書のTable 2には、別行として Durability of HRS Reversal があり、こちらは63例(31.7%)対16例(15.8%)、P=0.003である(表の脚注はこの行を「Day 30までを要さなかったHRS逆転」と定義する)1。群の63例はNEJMのの63例と一致するが、プラセボ群(16例と17例)もP値(0.003と0.006)も一致しないので、この行をNEJMのと同じものとして読み替えることはできない。

の部分集団でも28例(33.3%)対3例(6.3%)1と31例(37%)対3例(6%)4で食い違い、ここでも定義文が「投与中・14日目まで・退院まで」(添付文書の表の脚注)と「最初の14日間のいずれかの時点」(NEJMの)で違う。⚠️ 数値を引くときは必ず、どちらの文書のどの行のものかを書く。

⚠️ 腎機能の改善は生存の改善ではない。 同試験の90日時点の死亡は群51%(101/199)・プラセボ群45%(45/101)、は23%・29%で、著者らのも「腎機能の改善においてより有効だが、呼吸不全を含む重篤な有害事象を伴った」にとどまる4。

用法・用量

⚠️ 用量は「適応ごと」に別で、国によっても違う。 片方を他方に流用しない。

米国():1〜3日目は0.85 mgを6時間ごとに2分かけて緩徐にし、4日目に値の反応で投与を調整する——ベースラインから30%以上低下していれば同用量を継続、30%未満の低下なら1.7 mgに増量、ベースライン以上であれば中止する。継続は「1.5 mg/dL以下の値が2時間以上あけて2回連続した24時間後まで」または最長14日間1。投与前にとACLFグレード・を評価し、投与中は継続的なでをモニタリングして90%未満に低下した場合は中止する1。

(スペインの)2

適応 用法
出血 体重別に4時間ごとの(50 kg未満1 mg、50〜70 kg 1.5 mg、70 kg超2 mg)。出血が制御されるまで24時間継続し、最長48時間。初回以降は副作用が出れば1 mgまで減量できる
1型 1 mgを4〜6時間ごとに開始。2日間でが25%以上低下しなければ1日最大12 mg(2 mgを4〜6時間ごと)まで増量。が1.5 mg/dL未満になるまで継続し、部分反応・なら14日で中止

💡 か持続静注か。 のは、の代替として1日2 mgから最大1日12 mgまでのを認めたうえで、のほうが重篤な副作用の頻度が低い可能性があると明記している2。一方、米国の添付文書が定めているのはだけである1。⭐ 「長時間作用型だからでよい」と「のほうが安全」は別である。

禁忌・注意

⚠️ 禁忌は国によって別物である。どちらか一方を「の禁忌」として覚えない。

禁忌
米国 低酸素または呼吸症状の増悪がある患者、進行中の冠動脈・末梢・がある患者1
(スペイン) 成分への過敏症、妊娠——この2つだけ2

💡 米国が禁忌に挙げる低酸素・虚血を、のは禁忌ではなく4.4の「特に慎重に投与」(高血圧、不整脈、脳血管・冠動脈・、心不全、、喘息・呼吸不全、70歳超)として扱う2。逆に妊娠を禁忌に置いているのは側で、米国はを(5.4)に置く1。

⚠️ 禁忌欄だけを比べて「は呼吸を問題にしていない」と読まない。 のも4.4に独立した「呼吸器事象」の項を置き、1型でを投与された患者でによるものを含む致死的な呼吸不全が報告されていること、呼吸困難が新たに出現した患者や呼吸器疾患が悪化している患者は初回投与前に安定させること、呼吸不全やの徴候・症状があればヒトアルブミンの減量を考慮すること、呼吸器症状が重いか改善しない場合はを中止することを定めている2。⭐ 米国が禁忌(低酸素・呼吸症状の増悪)として書いたものを、は4.4の投与手順として書いている。 禁忌欄の項目数だけで、どちらが呼吸を重く見ているかを比べない。

  • ⚠️ 米国のは「重篤または致死的な呼吸不全」:またはACLFグレード3の患者でリスクが高い。開始前にを評価し、低酸素( 90%未満)であれば改善するまで開始しない。治療中は持続的で監視し、90%未満に低下したら中止する1
    • 数値は2つあり、意味が違う。重篤または致死的な呼吸不全は本剤群14%対プラセボ群5%(5.1)、副作用としての呼吸不全は15.5%(31/200例)対7.1%(7/99例)(6.1のTable 1)である1。CONFIRM試験では90日以内の呼吸器疾患による死亡が11%対2%だった4
    • 💡 対処はアルブミン・輸液の減量と利尿薬の慎重な使用で、が改善するまで本剤を一時中断・減量・中止する。ACLFグレード3では使用を避ける1
  • ⚠️ 虚血性合併症:V1受容体を介した血管収縮は標的臓器()以外にも及び、米国添付文書は心臓・脳血管・末梢の虚血とを挙げる。では虚血関連事象が群4.5%(9/200例)に対しプラセボ群0%だった。5.3は重度の心血管疾患・・虚血性疾患の既往がある患者では使用を避け、虚血を示唆する徴候・症状が現れたら中止するとしている1。のも、の患者では・不整脈・・循環といったの有害事象のリスクが高まるとし、心疾患やの既往がある患者では特に慎重に用い、投与中は虚血・心不全・不整脈・の徴候を綿密に監視するよう求める2
  • ⚠️ 進行した肝不全での忌避規定も国で別の線を引く:は1型について、ACLFグレード3および/またはMELD 39以上の重度肝疾患では、利益がリスクを上回ると判断される場合を除いて使用を避けるとし、この群ではの逆転効果が低く呼吸不全のリスクと死亡が高かったと述べる2。米国はACLFグレード3では使用を避ける(5.1)とし、MELD 35以上の移植優先度が高い患者では利益がリスクを上回らない可能性があるとする(5.2)1。⚠️ 同じ「進行した肝不全は避ける」でも、閾値(MELD 39と35)も根拠の置き場所(4.4と5.1・5.2)も違う。
  • ⚠️ 敗血症・(致死例を含む)が1型の治療中に報告されており、は感染を示唆する徴候・症状がないか毎日監視するよう求める2
  • ⚠️ :米国では市販後の有害事象として報告されており1、のは治療中に血圧・心拍数・・血清ナトリウム/カリウム・水分バランスを定期的に監視するよう求めている2
  • ⚠️ の適格性を失わせうる:呼吸不全・虚血といった本剤関連の有害事象が移植の適格性を損ないうるため、MELD 35以上の移植優先度が高い患者では利益がリスクを上回らない可能性があると米国添付文書が明記している1
  • 皮膚の虚血・壊死は注射部位とにも生じ、糖尿病・肥満の患者で報告が多い。による局所壊死を避けるためにのみ投与する2
  • 低心拍出量のには投与しない2

副作用

米国添付文書のTable 1は、CONFIRM試験で群の4%以上に生じ、かつプラセボ群より多かった副作用を並べている1。

発現率(本剤200例 対 99例) 内容
10%以上 腹痛 19.5%対6.1%、悪心 16.0%対10.1%、呼吸不全 15.5%対7.1%、下痢 13.0%対7.1%、呼吸困難 12.5%対5.1%
4〜10% 8.5%対3.0%、胸水 5.5%対0%、敗血症 5.5%対1.0%、徐脈 5.0%対0%、虚血関連事象 4.5%対0%
(頻度不明) 頭痛、、、壊疽

⚠️ 「重篤な副作用=低頻度」ではない。 呼吸不全は10%以上の区分にあり、有害事象による投与中止も本剤群12.0%(24/200例)対プラセボ群5.1%(5/99例)で、中止理由のは呼吸不全・腹痛・/閉塞である1。

の(スペイン版)は、最も高頻度に報告される副作用を腹痛・悪心・下痢・蒼白・呼吸困難(1型)・呼吸不全(1型)・嘔吐・徐脈とし、いずれも血管収縮作用によるものと説明している2。4.8の表は頻度区分ごとに次のように並ぶ(a=1型での頻度、b=出血での頻度。それ以外は適応を区別していない)。

頻度区分 副作用
非常によくある(1/10以上) 腹痛、呼吸不全a、呼吸困難a
よくある(1/100以上1/10未満) 敗血症/a、、頭痛、胸痛、徐脈、頻脈、血管収縮、、蒼白、高血圧、チアノーゼ、肺水腫、呼吸窮迫a、呼吸困難b、下痢、悪心、嘔吐
ときどきある(1/1,000以上1/100未満) 心房細動、心筋梗塞、torsade de pointes、心不全、、、呼吸不全b、呼吸窮迫b、、注射部位との、注射部位の壊死
頻度不明 子宮収縮亢進、子宮虚血

⭐ 同じ副作用が、適応によって頻度区分をまたぐ。 呼吸不全は1型では「非常によくある」、では「ときどきある」であり、呼吸困難もでは「非常によくある」、では「よくある」である2。どちらの適応で使っているかを外して頻度を覚えない。

  • ⚠️ QT延長とtorsade de pointesを含むがと市販後に複数報告されており、は多くの症例が基礎的なQT延長・電解質異常(、)・QTを延長しうる併用薬といった素因を持っていたと述べる2。⚠️ 米国側が沈黙しているわけではない——米国添付文書12.2は41例で(Fridericia補正)を評価し、ベースラインからの臨床的に意味のある変化は検出されず、平均延長は10 ms未満だったと述べている1。「1試験で検出されなかったこと」と「市販後に報告があること」は両立する
  • 💡 は「残っているV2作用」で説明できる。 V1選択性はV2の約2倍にとどまり1、が働くため、水分バランスを管理しなければを起こしうるとのが明記している2
  • 💡 子宮収縮亢進・子宮虚血が副作用として挙がっていることが、で妊娠が禁忌に置かれていることと対応する2。米国も妊娠初期の単回投与で子宮収縮と子宮内膜虚血が誘発されたという公表データを挙げ、をしている1

まとめ

  • V1受容体選択的な合成。 であると同時にそれ自体も活性を持つ。を強く収縮させ、門脈圧を下げる・全身動脈圧を上げるという一つの機序で2つの適応を説明できる。
  • 米国の適応はにおける腎機能の改善だけで、CONFIRM試験がその根拠。5 mg/dL超では利益を得にくいという使用上の限界が付く。
  • (スペインの)はと1型の両方を適応に挙げる。 用量は適応ごとに別で、は体重別に4時間ごと・最長48時間、は1 mgを4〜6時間ごとから最大1日12 mg。持続静注はより重篤な副作用が少ない可能性があるとされる。
  • ⚠️ 禁忌は国で別物。 米国は低酸素・進行中の虚血、は過敏症と妊娠の2つ。国を書かずに「禁忌は◯◯」と覚えない。ただし禁忌欄の差は関心の差ではない——は呼吸器事象・進行した肝不全(ACLFグレード3/MELD 39以上)・敗血症の監視を4.4の手順として書いている。
  • 副作用の頻度区分も適応で変わる。 の表では呼吸不全が1型で「非常によくある」、で「ときどきある」に置かれる。頻度を覚えるときは適応とセットにする。
  • ⚠️ 最大の安全性懸念は呼吸不全と虚血性合併症(心臓・脳血管・末梢・腸間膜)。 米国は呼吸不全をに置き、・ACLFグレード3で危険が高いとする。の継続モニタリングと90%未満での中止基準があり、(残存するV2作用による)のフォローも要する。
  • ⚠️ 腎機能の改善はの改善を意味しない(CONFIRM試験の90日死亡は51%対45%)。
  • V2選択的なとはが正反対の設計であり、対比して覚えると整理しやすい。

出典

  1. 1.TERLIVAZ (terlipressin) for injection, for intravenous use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2026)2026年9月16日に取得した現行版(本文の改訂表示は6/2026、SPL version 7、製造販売元Mallinckrodt Hospital Products Inc.)で確認した。枠組み警告が「重篤または致死的な呼吸不全」で、容量過負荷またはACLFグレード3の患者でリスクが高く、投与開始前にSpO2を評価し低酸素(SpO2 90%未満)では改善するまで開始せず、治療中は持続的パルスオキシメトリで監視しSpO2が90%未満に低下したら中止すると定めること。適応が成人の「急速な腎機能低下を伴う肝腎症候群における腎機能の改善」で、使用上の限界として血清クレアチニン5 mg/dL超の患者は利益を得にくいと明記すること。用法が1〜3日目0.85 mgを6時間ごとに2分かけて緩徐に静脈内ボーラス投与し、4日目に血清クレアチニンがベースラインから30%以上低下していれば継続、30%未満なら1.7 mgへ増量、ベースライン以上なら中止、1.5 mg/dL以下の値が2時間以上あけて2回連続した24時間後まで、または最長14日間とすること。禁忌が低酸素または呼吸症状の増悪、および進行中の冠動脈・末梢・腸間膜虚血であること。5.1で重篤または致死的な呼吸不全が本剤群14%対プラセボ群5%であり、ACLFグレード3では使用を避けるとすること。5.2で有害事象により肝移植の適格性を失いうるとし、MELD 35以上の高優先度患者では利益がリスクを上回らない可能性があるとすること。5.1が容量過負荷の管理としてアルブミンや他の輸液の減量・中止と利尿薬の慎重な使用を挙げ、容量状態が改善するまで本剤を一時中断・減量・中止するとすること。5.3の虚血性事象が心臓・脳血管・末梢・腸間膜であり、重度の心血管疾患・脳血管疾患・虚血性疾患の既往がある患者では使用を避け、虚血を示唆する徴候・症状が現れたら中止するとすること。6.1のTable 1が腹痛19.5%(39/200)対6.1%、悪心16.0%対10.1%、呼吸不全15.5%(31/200)対7.1%(7/99)、下痢13.0%対7.1%、呼吸困難12.5%対5.1%、体液過剰8.5%対3.0%、虚血関連事象4.5%(9/200)対0%であること、6.2の市販後報告が頭痛・低ナトリウム血症・皮膚壊死・壊疽であること。12.1が本剤をV2受容体に対して2倍のV1受容体選択性を持つ合成バソプレシン類似体とし、リジン・バソプレシンのプロドラッグであると同時にそれ自体も薬理活性を持つと述べること、終末相半減期がテルリプレシン0.9時間・リジン・バソプレシン3.0時間であること。12.2が単回0.85 mg投与後に拡張期・収縮期・平均動脈圧の上昇と心拍数低下が5分以内に現れ少なくとも6時間持続し、最大変化が1.2〜2時間後で平均動脈圧+16.2 mmHg・心拍数−10.6/分と推定されること、肝腎症候群41例でQTc(Fridericia補正)の臨床的に意味のある変化は検出されず平均QTc延長が10 ms未満だったと述べること。12.3が本剤を各種組織のペプチダーゼによる切断で代謝され血液・血漿中では代謝されないとし、健常者での尿中排泄がテルリプレシン1%未満・リジン・バソプレシン0.1%未満であるとすること。14でCONFIRM試験のVerified HRS Reversalが58例(29.1%)対16例(15.8%)、P=0.012、SIRS部分集団のHRS Reversalが28例(33.3%、84例中)対3例(6.3%、48例中)と示され(いずれも原著NEJMの63例32%対17例17%、P=0.006および31例37%対3例6%とは一致しない)、両群がアルブミン(中央値50 g/日)を併用していたことを確認した。閲覧 2026-09-16
  2. 2.GLYPRESSIN 1 mg solución inyectable — Ficha técnica(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios (CIMA)・2026)スペインAEMPSのGlypressin(テルリプレシン酢酸塩)製品概要(本文末尾の改訂表示はMayo 2026)で確認した。4.1の適応が2つで、食道胃静脈瘤破裂による消化管出血の治療と、腹水国際クラブ(Club Internacional de Ascitis)の基準で定義される1型肝腎症候群の緊急治療であること。4.2の用法が適応ごとに異なり、静脈瘤出血では体重別(50 kg未満1 mg、50〜70 kg 1.5 mg、70 kg超2 mg)を4時間ごとに静脈内ボーラス投与し出血が制御されるまで24時間、最長48時間とすること、1型肝腎症候群では通常1 mgを4〜6時間ごとに開始し、2日間で血清クレアチニンが25%以上低下しなければ1日最大12 mg(2 mgを4〜6時間ごと)まで増量でき、血清クレアチニンが1.5 mg/dL(133 μmol/L)未満に低下するまで継続し、部分反応・無反応例では14日で中止すること。ボーラスの代替として1日2 mgから最大1日12 mgまでの持続静脈内投与が可能で、持続投与はボーラス投与より重篤な副作用の頻度が低い可能性があると本文が明記すること。血清クレアチニン442 μmol/L(5.0 mg/dL)以上の進行した腎機能障害では利益がリスクを上回ると判断される場合を除き避けるとすること。4.3の禁忌がテルリプレシンまたは添加剤への過敏症と妊娠の2つであること。4.4が高血圧・不整脈・脳血管/冠動脈/末梢血管疾患・心不全・慢性腎不全・喘息・呼吸不全・70歳超で特に慎重に用いるとし、低心拍出量の敗血症性ショックには投与しないとし、治療中は血圧・心拍数・酸素飽和度・血清ナトリウム/カリウム・水分バランスを定期的に監視するよう求めること、糖尿病・肥満の患者で皮膚の虚血・壊死の報告が多いとすることを確認した。4.8は、最も高頻度に報告される副作用を腹痛・悪心・下痢・蒼白・呼吸困難(1型肝腎症候群)・呼吸不全(1型肝腎症候群)・嘔吐・徐脈とし、これらが血管収縮作用によるものであること、テルリプレシンの抗利尿作用は水分バランスを管理しなければ低ナトリウム血症を起こしうること、同じ副作用が適応ごとに頻度が異なるため表に2回現れること、一覧に胸痛・頭痛・心房細動・心筋梗塞・torsade de pointes・心不全・腸管虚血・子宮収縮亢進・子宮虚血・注射部位と無関係の皮膚壊死が含まれること、臨床試験と市販後にQT延長とtorsade de pointesを含む心室性不整脈が複数報告され、多くの症例が基礎的なQT延長・低カリウム血症/低マグネシウム血症・QTを延長しうる併用薬という素因を持っていたと述べる。2026年9月16日の取得ではHTMLの表を5列(器官別大分類・非常によくある・よくある・ときどきある・頻度不明)として解析でき、腹痛と呼吸不全a・呼吸困難aが「非常によくある」、敗血症/敗血症性ショックa・低ナトリウム血症・頭痛・胸痛・徐脈・頻脈・血管収縮・末梢虚血・蒼白・高血圧・チアノーゼ・肺水腫・呼吸窮迫a・呼吸困難b・下痢・悪心・嘔吐が「よくある」、心房細動・心筋梗塞・torsade de pointes・心不全・心室期外収縮・潮紅・呼吸不全b・呼吸窮迫b・腸管虚血・皮膚壊死・注射部位壊死が「ときどきある」、子宮収縮亢進・子宮虚血が「頻度不明」であること(aは1型肝腎症候群、bは食道胃静脈瘤出血での頻度)を確認した。4.4はさらに、1型肝腎症候群では体液過剰によるものを含む致死的な呼吸不全が報告されており、新たな呼吸困難や呼吸器疾患の悪化がある患者は初回投与前に安定させ、呼吸不全や体液過剰の徴候があればヒトアルブミンの減量を考慮し、呼吸器症状が重いか改善しなければ本剤を中止すること、ACLFグレード3および/またはMELD 39以上の重度肝疾患では利益がリスクを上回ると判断される場合を除き避けること、敗血症・敗血症性ショック(致死例を含む)が報告されており感染の徴候を毎日監視すること、肝腎症候群の患者では心筋虚血・不整脈・腸管虚血・循環過負荷のリスクが高まり綿密な監視を要することを定める。閲覧 2026-09-16
  3. 3.Esophageal Varices(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)急性静脈瘤出血では内視鏡の結果を待たずオクトレオチドまたはテルリプレシンなどの血管作動薬を開始することを確認した閲覧 2026-08-11
  4. 4.Terlipressin plus Albumin for the Treatment of Type 1 Hepatorenal Syndrome(The New England Journal of Medicine・2021)Europe PMCで取得した抄録で確認した(N Engl J Med 384巻818-828頁)。1型肝腎症候群の成人300例を2対1でテルリプレシン群199例・プラセボ群101例に割り付け、両群ともアルブミン併用を強く推奨した第3相試験(CONFIRM)であること、主要評価項目の「検証済みHRS逆転」(血清クレアチニン1.5 mg/dL以下が2時間以上あけて2回連続し、かつ治療終了後10日以上腎代替療法なしで生存)が63例(32%)対17例(17%)、P=0.006であったこと、90日以内の呼吸器疾患による死亡が22例(11%)対2例(2%)であったこと、90日時点の死亡が101例(51%)対45例(45%)、肝移植が46例(23%)対29例(29%)であったこと、結論が「腎機能の改善においてプラセボより有効だが、呼吸不全を含む重篤な有害事象を伴った」であることを確認した。閲覧 2026-09-16