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Symptoms · Published

胸痛

Chest pain

臓器系
循環器呼吸器
科目
Cardiology, Heart Surgery, Angiology, Vascular Surgery
トピック
循環器 A-27:胸痛症候群の鑑別診断
関連疾患
Boerhaave症候群COVID-19罹患後症状Dressler症候群MINOCASAPHO症候群エキノコックス症カテコールアミン心筋傷害サルコイドーシスたこつぼ症候群バンコマイシン注入反応ペストホジキンリンパ腫マルファン症候群ライム病ロイス・ディーツ症候群一酸化炭素中毒遠位食道痙攣家族性地中海熱過収縮性食道冠微小血管障害気管支原性嚢胞気胸急性冠症候群急性胸部症候群急性心膜炎巨大食道胸水胸腺腫胸部外傷(肋骨骨折・血胸・外傷性気胸・フレイルチェスト)胸膜炎結核犬糸状虫症好酸球増多症候群市中肺炎自然冠動脈解離縦隔炎縦隔原発胚細胞腫瘍縦隔腫瘍上室性頻拍症食道異物食道胃接合部流出障害食道重複嚢胞食道穿孔心筋ブリッジ心筋炎心室瘤(真性心室瘤・仮性心室瘤)心膜嚢胞深部静脈血栓症前胸部キャッチ症候群大動脈解離肺癌肺吸虫症肺血栓塞栓症肺高血圧症肺動脈瘤肥大型心筋症慢性冠症候群(安定狭心症)肋軟骨炎
起因薬
L-グルタミンアデノシンアルグルコシダーゼ アルファグラチラマーコカインシアノアクリレートスマトリプタンスルプロストンテルリプレシンフルオロウラシルメチセルジドメチルエルゴメトリンルマカフトル
スコア
EckardtスコアEurofever/PRINTO分類基準(PFAPA)HEARTスコア

🧠 全体像:胸痛の初期対応は「何の病気か」を当てるより先に、放置すれば数分〜数時間で致死的になる4つの病態——、、、——を除外することに軸足を置く。この4つは症状の強さでは選別できず、・性状・放散パターン・随伴する異常から拾う。除外が終わって初めて、心膜・胸膜・胸壁・消化管など由来臓器別の鑑別に進む。

由来臓器で捉える

由来臓器を意識すると、性状と随伴症状の読み方が変わる。

由来 性状の手掛かり 随伴・状況
性 の圧迫感・ 労作・ストレスで誘発、・悪心・呼吸困難を伴う
心膜性 鋭い胸膜性の痛み 吸気・仰臥位で増悪、で軽快。を伴う
突然発症の引き裂かれるような痛み 血圧・脈拍の左右差、痛みが移動する
肺・胸膜性 胸膜性(吸気・咳で増悪) 突然の呼吸困難、頻脈・頻呼吸、片側
胸壁・ 限局性、触診・体動で再現 外傷歴、姿勢による増悪
縦隔・腫瘍性 持続性、 咳、体重減少、リンパ節腫大
中毒・全身性 非特異的、労作と 曝露歴、意識障害を伴うことがある
・皮膚性 灼熱感・、一に限局 帯状疱疹(発疹出現前後)、痛
・機能性 非特異的、若年者に多い 、不安症状。ただしであり最初に飛びつかない

⭐ 部位だけで由来を確定できない。がとして、がとして現れることは珍しくない。

⚠️ 「中毒・全身性」には投与中の薬も入る。 全身の血管をV1受容体経由で収縮させる(・出血に用いる)では、のが胸痛を「よくある」副作用に、心筋梗塞・torsade de pointesを「ときどきある」副作用に挙げ、の患者では・不整脈のリスクが高まるとして虚血の徴候を綿密に監視するよう求めている1。米国添付文書は進行中の冠動脈虚血を禁忌とし、虚血性事象(心臓・脳血管・末梢・腸間膜)をに置く(の虚血関連事象は本剤群4.5%対プラセボ群0%)2。の投与中に生じた胸痛は、薬のせいだからと様子を見る理由にならない——虚血として扱う。

見逃してはいけない4つの胸痛

⚠️ 以下は発症から治療までの時間が予後を決める。症状の強さではなく、この型に当てはまるかどうかで動く。

病態 性状・放散 随伴する 初期対応
の圧迫感・。上肢・肩・顎・背部・へ放散 、悪心、呼吸困難、失神。20分を超えて持続 12誘導ECGを直ちに、なら再灌流を待たせない
突然発症の引き裂かれるような。進展に伴い痛みが移動する 血圧・脈拍の左右差、失神、 ・抗凝固薬を投与する前に鑑別する
突然の、呼吸困難 頻脈・頻呼吸、片側下肢腫脹・疼痛、失神 臨床的可能性を評価しCTPA等の画像検査へ
突然の片側 呼吸窮迫、低血圧、・(なくても否定しない) 画像を待たず臨床診断で直ちに減圧する

⚠️ は臨床診断である。 やが乏しくても否定せず、画像検査の結果を待って減圧を遅らせない。

⚠️ を心筋梗塞と誤認して・抗凝固薬・を投与すると致命的な出血を招く。胸痛+血圧・脈拍の左右差は、この鑑別を最優先で促す所見である。

危険徴候となるバイタルサイン異常

⚠️ 以下を認めれば、鑑別を順番に進める前にABCの安定化とモニタリングを優先する。

バイタル・所見 目安
呼吸数 24/分超、またはを使用
SpO₂ 90%未満
血圧 著明な低血圧・、または著明な高血圧
脈拍 高度な徐脈または頻脈
意識 低下・変容
心電図 ST上昇、、

性状・体位・食事との関係が絞り込みに使える

手掛かり 示唆する由来
労作・ストレスで誘発され、安静・で軽快する 性()
吸気・咳・体動で増悪する 胸膜性・
仰臥位で増悪しで軽快する 心膜性
食後・空腹時・体位で変化する 消化管性(食道・胃)
突然発症で発症時が最強 ・肺塞栓・気胸などの破局的病態

💡 「安静・で軽快する」という反応は診断の補助にはなるが、反応した=心臓由来と確定できるわけではない。もに反応することがある。

評価の進め方

flowchart TD
    A["胸痛"] --> B["ABC・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='vital sign'>バイタルサイン</span>・12誘導ECG"]
    B --> C{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='red flag'>危険徴候</span>・バイタル異常があるか"}
    C -->|"あり"| D["致死的4病態を優先して除外"]
    C -->|"なし"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Onset'>発症様式</span>・性状・放散<br>体位・呼吸・食事との関係を評価"]
    D --> F["心電図・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='troponin'>トロポニン</span>・造影CT・D-dimerなど<br>病歴に応じて選択"]
    E --> F
    F --> G["由来臓器別の鑑別へ"]

まとめ

  • 胸痛では性状より先に、・・・という4つの致死的病態を除外する。
  • 部位だけでは由来を確定できない。がとして、がとして現れることがある。
  • 引き裂かれるような突然のと血圧・脈拍の左右差はを示唆し、誤ってを投与しないよう最優先で鑑別する。
  • は臨床診断であり、・がなくても否定せず画像を待たず減圧する。
  • で安静・に軽快するパターンはを示唆するが、軽快した事実だけで心臓由来と確定はできない。

出典

  1. 1.GLYPRESSIN 1 mg solución inyectable — Ficha técnica(Agencia Española de Medicamentos y Productos Sanitarios (CIMA)・2026)スペインAEMPSのGlypressin(テルリプレシン酢酸塩)製品概要(本文末尾の改訂表示はMayo 2026)で確認した。4.8の心臓障害の欄が胸痛・徐脈・頻脈を「よくある」(1/100以上1/10未満)、心房細動・心筋梗塞・torsade de pointes・心不全・心室期外収縮を「ときどきある」(1/1,000以上1/100未満)に置くこと、4.4が肝腎症候群の患者で心筋虚血・不整脈・腸管虚血・循環過負荷のリスクが高まるとして虚血や心不全・不整脈の徴候を綿密に監視するよう求め、高血圧・不整脈・脳血管/冠動脈/末梢血管疾患・心不全・70歳超で特に慎重に用いるとすることを確認した閲覧 2026-09-16
  2. 2.TERLIVAZ (terlipressin) for injection, for intravenous use — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2026)2026年9月16日に取得した現行版(本文の改訂表示は6/2026)で確認した。4の禁忌が低酸素または呼吸症状の増悪、および進行中の冠動脈・末梢・腸間膜虚血であること、5.3の虚血性事象が心臓・脳血管・末梢・腸間膜であり臨床試験の虚血関連事象が本剤群9/200例(4.5%)対プラセボ群0%であったこと、12.2が肝腎症候群41例でQTc(Fridericia補正)に臨床的に意味のある変化を検出せず平均QTc延長が10 ms未満だったと述べることを確認した閲覧 2026-09-16