スコア体系ノート一覧へ

Scores · Published

Eurofever/PRINTO分類基準(PFAPA)

Eurofever/PRINTO classification criteria for PFAPA

別名
Eurofever/PRINTO基準
臓器系
小児免疫・膠原病
科目
Pediatrics
トピック
小児科 1-12:小児の不明熱
構成:症状
咽頭痛頸部リンパ節腫脹下痢胸痛発疹
適用疾患
PFAPA症候群

🧠 全体像:Eurofever/PRINTO分類基準は、を診断するためではなく、臨床研究・疫学研究に組み入れる患者を均質な集団として選び出すために作られた分類基準である。長年使われてきた1より特異度を高めることを狙い、Eurofever registryの実患者データとコンセンサスから統計的に導出された。⚠️ 名前が「基準」であっても個々の患者を診断するではないという位置づけが、このノートで最も重要な注意点になる。

目的と適用場面

内容
目的 を、臨床研究・疫学研究・に組み入れる目的で分類する
対象 を反復する患者のうち、PFAPAが疑われる集団
使う場面 研究への患者登録、他のとの統計的な鑑別
使わない場面 ⚠️ 個々の患者に対する日常診療の確定診断

Eurofever/PRINTOは、PFAPAだけでなく(FMF)、(受容体関連)、MKD()、CAPS()という4疾患の分類基準も同じコンセンサス手続きで同時に開発した。PFAPAはこれら4疾患と異なり単一のが同定されていない疾患であるため、PFAPAの基準には遺伝子変異の項目が含まれず、のみで構成される点が他の4疾患との違いである2。

構成要素と配点

この分類基準を適用する前提条件として、次の2点を満たすことが前提とされる。

  1. 発作に一致した(・・〈SAA〉のいずれか)の上昇が確認されている
  2. 腫瘍・感染症・自己免疫疾患・その他の免疫不全など紛らわしい疾患を慎重に除外し、少なくとも6か月の反復性の病歴がある

そのうえで、次の8項目中7項目以上を満たせばPFAPAに分類する2。

区分 項目 判定
存在すること を伴う炎 満たす/満たさない
存在すること 間が3〜6日 満たす/満たさない
存在すること () 満たす/満たさない
存在すること 周期性(発作が規則的な間隔で反復する) 満たす/満たさない
存在しないこと 下痢 満たす/満たさない
存在しないこと 胸痛 満たす/満たさない
存在しないこと 皮疹(発疹) 満たす/満たさない
存在しないこと 関節炎 満たす/満たさない

⭐ 8項目のうち4つは「あれば加点」、残り4つは「なければ加点」という存在項目と非存在項目を組み合わせた構成になっている点が特徴で、この組み合わせがより高い正確度につながったとされる2。

解釈とカットオフ

分類のような段階的なではなく、8項目中7項目以上を満たすか満たさないかの二値判定である。

満たす項目数 判定
7〜8項目 PFAPAに分類
6項目以下 PFAPAに分類しない(他の・uRF〈の反復性発熱〉を検討)

導出コホート(281例)での性能は感度0.97・特異度0.93。よりで治療医の実臨床診断を基準とした独立検証コホート(1018例)では感度0.66・特異度0.97・正確度0.90であった。導出コホートと検証コホートで感度が大きく異なる(0.97→0.66)のは、検証コホートの基準がパネルのコンセンサス診断ではなく個々の治療医の診断であり、より雑多な集団を反映しているためである2。

⚠️ 限界と使ってはいけない場面

  • 分類基準であってではない。 原著論文自身が「分類基準は個々の患者を診断するために設計されたものではなく、鑑別すべき疾患(悪性腫瘍・症など)が既に除外されていることを前提とする」と明記している。日常診療での確定診断には、としての臨床的アプローチ(ノートのを参照)を用いる2。
  • 遺伝学的検査を含まない。 PFAPA基準はのみで構成されるため、を臨床的に疑う所見(家族歴、地中海・中東系の背景、間が短い〈1〜3日〉など)があれば、この基準を満たしても遺伝学的検査による除外を省略しない。
  • 感度は検証コホートで大きく低下する。 導出時の感度0.97はコンセンサスを基準とした理想的な条件での数値であり、実臨床の診断を基準にした独立検証では感度0.66まで低下する。基準を満たさないことだけでPFAPAを除外しない。
  • の位置づけは変わらない。 本分類基準はより高い正確度を示したが、これは研究目的の分類基準としての比較であり、日常診療でののアプローチそのものを置き換えるものではない2。

まとめ

  • Eurofever/PRINTO分類基準は、より特異度を高めることを狙ってEurofever registryのデータから統計的に導出された、PFAPAの分類基準(ではない)である。
  • FMF・・MKD・CAPSという4疾患の分類基準と同じ枠組みで同時に開発されたが、PFAPAのみ疾患のため遺伝子項目を含まない。
  • の上昇の確認と紛らわしい疾患の除外・6か月以上の反復性経過という前提条件のもと、8項目(存在4・非存在4)中7項目以上でPFAPAに分類する。
  • 導出コホートでの感度0.97・特異度0.93に対し、独立検証コホートでは感度0.66・特異度0.97と、実臨床に近い条件では感度が大きく低下する。
  • ⚠️ 研究・疫学目的の分類基準であり、個々の患者の確定診断には使わない。

出典

  1. 1.Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis and cervical adenitis syndrome in children: a brief literature review(Revista Paulista de Pediatria・2022)PFAPA症候群の診断が除外診断であり、伝統的には修正Marshall基準(5歳未満発症の規則的な周期性発熱、上気道感染を伴わないアフタ性口内炎・頸部リンパ節炎・咽頭炎のいずれかを伴う、周期性好中球減少症の除外、発作間の完全な無症状期、正常な成長発達)が用いられてきたことを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Classification criteria for autoinflammatory recurrent fevers(Eurofever Registry・Paediatric Rheumatology International Trials Organisation(PRINTO)(Annals of the Rheumatic Diseases誌)・2019)Eurofever/PRINTOがPFAPAを含む周期性発熱症候群(FMF・TRAPS・MKD・CAPS・PFAPA)の分類基準を臨床家・遺伝学者のコンセンサスと実患者データの統計解析から同時に開発したこと、PFAPAの臨床分類基準が「咽頭扁桃炎・発作期間3〜6日・頸部リンパ節炎・周期性」の存在と「下痢・胸痛・皮疹・関節炎」の非存在の計8項目中7項目以上を満たすことで判定され、導出コホート(281例)での感度0.97・特異度0.93、独立検証コホート(1018例)での感度0.66・特異度0.97・正確度0.90であったこと、この分類基準の適用に先立ち発作時の急性期反応物質(ESR・CRP・SAAのいずれか)上昇の確認と鑑別すべき疾患(腫瘍・感染症・自己免疫疾患など)の除外、少なくとも6か月の反復性経過の確認が前提条件とされていること、この分類基準は臨床研究・疫学研究への患者組み入れを目的とした基準であり個々の患者の診断基準として用いてはならないことを確認した(Table 3・Table 4・Discussion節)。閲覧 2026-08-19