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Disease Atlas · 小児 · 症候群

PFAPA症候群

PFAPA syndrome

別名
Marshall症候群周期性発熱・アフタ性口内炎・咽頭炎・頸部リンパ節炎症候群
臓器系
小児免疫・膠原病
科目
OtorhinolaryngologyPediatrics
トピック
耳鼻咽喉科 42:慢性扁桃炎と扁桃摘出術小児科 1-12:小児の不明熱
鑑別疾患
家族性地中海熱高IgD症候群・メバロン酸キナーゼ欠損症周期性好中球減少症
関連疾患
急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍
治療薬
プレドニゾロン
症状
発熱口内炎咽頭痛頸部リンパ節腫脹
スコア
Eurofever/PRINTO分類基準(PFAPA)

🧠 全体像:は、・・咽頭炎・という頭文字の4徴が、2〜8日の発作を驚くほど規則正しい間隔で繰り返す小児のである。典型は5歳未満で発症し、は完全に無症状で成長発達も正常という点が、感染症・免疫不全・・との切り分けの軸になる。単回の副腎皮質ステロイドで発作が劇的に消退するという「」も特徴的で、が選択例で根治的に働くことがある。

病態

原因は完全には解明されていないが、感染症ではなく自然免疫の制御異常によると考えられている。単一の変異は同定されておらず、(FMF)のようなのとは病態が異なる。にはIL-1βを中心とするが上昇し、・などのが発作中に上昇しには正常化するという「発熱と炎症が完全に同期する」パターンを示す。

臨床像

PFAPAの頭文字 4徴 内容
P 39〜40℃の高熱が2〜8日続き、驚くほど規則的な間隔(多くは2〜12週)で反復する
A 発作ごとにを伴うことがあるが必発ではない
P 咽頭炎 滲出物を伴わないことが多い
A 圧痛を伴う

⭐ は完全に無症状で、成長発達も正常である。 この「発作と発作の間は何も異常がない」というクロックワークのようなパターンこそがPFAPAを特徴づける所見であり、(咳・)を欠くことも鑑別の手がかりになる。発作中に発疹、関節炎、胸痛、下痢が目立つ場合はPFAPA以外のを積極的に疑う。

診断

診断はによるで、を用いる1。

  1. 5歳未満で発症する規則的な
  2. を伴わず、・・咽頭炎のいずれかを伴う
  3. の除外
  4. の完全な無症状
  5. 正常な成長発達

より高い特異度を狙ったEurofever/PRINTO分類基準など新しい基準も提案されているが、これは研究目的の分類基準であり個々の患者のではない。いずれの基準もを除外して初めて確定する点は共通する。血液検査は発作中の上昇との正常化を確認する目的で用い、を除外するため期に合わせた血算の反復が有用である。

flowchart TD
    A["5歳未満発症の規則的な<span class='jp-term jp-term-diagram' title='periodic fever'>周期性発熱</span>"] --> B{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='interictal'>発作間欠期</span>は<br>完全に無症状・成長発達正常?"}
    B -->|"いいえ"| C["他の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='periodic fever syndrome'>周期性発熱症候群</span>・免疫不全を検索"]
    B -->|"はい"| D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cyclic neutropenia'>周期性好中球減少症</span>を除外<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ictal'>発作時</span>期に合わせた血算)"]
    D --> E{"発疹・関節炎・胸痛・下痢など<br>他臓器症状を伴うか"}
    E -->|"あり"| F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hereditary autoinflammatory disease'>遺伝性自己炎症性疾患</span>(FMFなど)を疑い遺伝学的検査"]
    E -->|"なし"| G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='PFAPA syndrome'>PFAPA症候群</span>と診断"]

⚠️ 見逃してはいけない鑑別

疾患 PFAPAとの違い
発作が1〜3日と短く、腹痛・胸痛などの症状が主体。地中海・中東系の家族歴、への反応、MEFV変異が手がかりになる
好中球減少期に・を伴い、のリスクを伴う点でPFAPAより危険。発作周期に合わせた血算で好中球数の推移を確認する
反復するウイルス性咽頭炎 (咳・)を伴い、発作間隔が不規則でにも症状が残ることがある

治療

急性発作に対しては単回の副腎皮質ステロイド(1〜2 mg/kgなど)が、多くの患者で投与後数時間以内に発作を劇的に消退させる「」として機能する1。⚠️ 一方でステロイドは発作を消退させるだけで、発作間隔そのものを延ばす効果は乏しく、むしろ発作間隔が短縮したとする報告もあるため、頻用は慎重に判断する。難治例ではなどによる発作間隔の延長を試みることがある。

頻度基準を満たさないに対するの適応として、は代表的な「」に位置づけられており2、選択された患者ではが発作を消失させる根治的な選択肢になりうる。ただしPFAPA自体が多くは2〜3年以内にする良性の経過をたどるため、手術のリスク・利益は個々に検討する1。

予後

多くは思春期までにし、のようななどの長期合併症は伴わない。まれに成人期まで症状が残存することがある。

まとめ

  • は・・咽頭炎・を2〜8日の発作として規則的な間隔(2〜12週)で繰り返すで、典型は5歳未満発症、は完全に無症状で成長発達も正常である。
  • 診断はによるで、やなどのを除外して確定する。
  • 単回の副腎皮質ステロイドで発作は劇的に消退するが発作間隔は縮むことがあり、は頻度基準未満の反復咽頭感染におけるとして選択例に根治的に働きうる。
  • 多くは2〜3年でする良性疾患で、長期合併症は伴わない。

出典

  1. 1.Periodic fever, aphthous stomatitis, pharyngitis and cervical adenitis syndrome in children: a brief literature review(Revista Paulista de Pediatria・2022)PFAPA症候群の診断が除外診断であり修正Marshall基準(5歳未満発症の規則的な周期性発熱、上気道感染を伴わないアフタ性口内炎・頸部リンパ節炎・咽頭炎のいずれかを伴う、周期性好中球減少症の除外、発作間の完全な無症状期、正常な成長発達)に基づくこと、単回の副腎皮質ステロイド(プレドニゾロン1〜2mg/kgまたはベタメタゾン)投与後、90%超の患者で数時間以内に解熱すること、扁桃摘出術の有効性については報告により結論が分かれ多くは2〜3年以内に自然寛解する良性の経過であることを確認した。閲覧 2026-08-19
  2. 2.Clinical Practice Guideline: Tonsillectomy in Children (Update)(American Academy of Otolaryngology–Head and Neck Surgery Foundation・2019)頻度基準を満たさない反復性咽頭感染でも、PFAPA症候群を含む修飾因子があれば扁桃摘出を検討してよいとする推奨を確認した。閲覧 2026-08-19