小児科学

小児科学 · 1-12

小児の不明熱

Fever of Unknown Origin in Children

前提:正常
体温調節炎症と急性期反応
疾患
PFAPA症候群TNF受容体関連周期性症候群高IgD症候群・メバロン酸キナーゼ欠損症
スコア
Eurofever/PRINTO分類基準(PFAPA)

🧠 全体像: 小児のは、十分な初期評価後も原因が分からない遷延性発熱である。日数の定義は文献により異なり、成人の古典的定義(3週間以上)より短い期間(例:14日間以上)を用いる文献が多く12、まず発熱をに確認し、病歴と反復診察で新たな診断手がかりを拾う。

原因

大分類 代表例 手がかり
感染症 尿路感染、、骨髄炎、心内膜炎、結核、Bartonella、、、、マラリア 旅行、動物、結核接触、、局所痛
炎症性疾患 全身型JIA、SLE、、血管炎、 一過性発疹、関節炎、粘膜所見、腹部症状
悪性腫瘍 白血病、リンパ腫、 体重減少、、、蒼白、紫斑、肝脾腫
その他 、PFAPAなど、、 薬剤開始との時間関係、規則的反復、所見の不一致

地域・年齢・免疫状態で頻度は変わる。開発途上国・先進国の症例集積18件・小児1638例を統合した系統的レビューでは、最終診断の内訳は感染症51%・9%・悪性腫瘍6%・その他11%・診断不明23%であり、診断不明例の多くはなく自然軽快した3。開発途上国では・結核・など、先進国では骨髄炎・結核・バルトネラ症などの細菌感染症が感染症の内訳の多くを占める3。

💡 コホートの国によっても内訳は変わる。 米国の小児146例を対象とした前向き研究では、を「14日間以上の連日38℃以上の発熱かつ診断的徴候を欠く」と定義し、確定診断がついた57.5%のうち感染が最多(15.1%)で、骨髄炎(9.6%)、バルトネラ症(4.8%)、尿路感染(4.1%)が続いた2。

病歴と反復診察

  • 測定方法を含む発熱記録、悪寒・、への反応を確認し、医療者が発熱を再確認する。
  • 旅行、生肉・、動物・ダニ、結核、病人、性行動、免疫不全、手術・器具、薬剤、家族背景を聴取する。
  • 皮疹・点状出血、眼・口腔、リンパ節、、肝脾腫、腹部腫瘤、、、泌尿生殖器を繰り返し診察する。
  • サーモン発疹は全身型JIA、はSLE/、は血管炎、はの手がかりになりうる。

検査の進め方

flowchart TD
    A["遷延する発熱"] --> B["発熱を確認し病歴・全身診察を反復"]
    B --> C{"重症・免疫不全・局在所見があるか"}
    C -->|"はい"| D["培養と病態別の緊急検査・治療"]
    C -->|"いいえ"| E["血算・塗抹・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='C-reactive protein'>CRP</span>/<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythrocyte sedimentation rate'>ESR</span>・肝腎機能・尿検査/培養"]
    E --> F["新しい診断手がかりを再評価"]
    F --> G["手がかりに応じ血清検査・画像・心エコー・生検"]
  • 血液培養は適切な本数と時期で、尿培養は清潔な方法で採取する。胸部X線、腹部超音波は症状・診察所見に応じる。
  • 結核検査、感染症/血清学、・抗dsDNA・、心エコー、/、骨髄・は疑う疾患があるときに追加する。
  • 無差別な血清学的パネルや全身は偽陽性・を増やす。検査結果よりも新たに現れる局在所見が診断に結びつくことが多い。

⚠️ ショック、意識障害、、好中球減少、、新生児、重篤な臓器障害では、FUOの段階的評価より先に培養採取とを行う。

治療原則

安定した免疫正常児では、診断を覆い隠す経験的抗菌薬や副腎皮質ステロイドを漫然と開始しない。原因が確定すれば感染症、炎症性疾患、腫瘍をする。水分・栄養・疼痛を支え、経過中も診察と検査仮説を更新する。

まとめ

  • FUOの日数定義は一定でなく、な発熱確認と初期評価の内容が重要である。
  • 広範な一括検査より、詳細な曝露歴と反復する全身診察が診断率を高める。
  • 重症・免疫不全では診断確定を待たず、緊急治療を優先する。

出典

  1. 1.Fever of unexplained origin: report on 100 cases(Medicine (Baltimore)・1961)成人向けの古典的不明熱基準(38.3℃以上・3週間以上・入院1週間の検査でも診断不明)の起源となった原著であることを確認した。小児科領域では成人基準をそのまま用いず、対象期間の定義が施設・文献で異なる。閲覧 2026-08-27
  2. 2.Bartonella henselae as a cause of prolonged fever and fever of unknown origin in children(Clinical Infectious Diseases・1998)米国の小児146例を対象とした前向き研究で、不明熱を「14日間以上の連日38℃以上の発熱かつ診断的徴候を欠く」と定義し(成人の古典的定義である3週間より短い)、確定診断がついた84例(57.5%)のうち感染症の内訳はEBV感染22例(15.1%)、骨髄炎14例(9.6%)、バルトネラ症7例(4.8%)、尿路感染6例(4.1%)であったことを確認した(米国のコホート)。閲覧 2026-08-27
  3. 3.Fever of unknown origin in children: a systematic review(World Journal of Pediatrics・2011)開発途上国・先進国双方の症例集積18件・小児1638例を統合した系統的レビューで、最終診断の内訳は感染症51%(細菌感染がそのうち59%を占め、開発途上国ではブルセラ症・結核・腸チフスが、先進国では骨髄炎・結核・バルトネラ症が多い)、膠原病9%、悪性腫瘍6%、その他の非感染性疾患11%、診断不明23%であり、診断不明例の多くは後遺症なく解熱したことを確認した。閲覧 2026-08-27