症状ノート一覧へ

Symptoms · Published

頸部リンパ節腫脹

Cervical lymphadenopathy

臓器系
感染症免疫・膠原病
科目
ENTPediatrics
トピック
耳鼻咽喉科 41:急性扁桃炎の合併症と扁桃周囲膿瘍小児科学 3-51:EBV感染症と合併症
関連疾患
ジフテリア急性扁桃炎・扁桃周囲膿瘍上咽頭癌川崎病非結核性抗酸菌症猩紅熱

🧠 全体像:感染性のを読むときの軸は、圧痛の有無咽頭・粘膜にどんな随伴所見があるかの2つである。圧痛を伴う前頸部の腫脹はGAS咽頭炎・扁桃炎に対する反応性腫大が大半だが、が加わればへの進展を疑う。圧痛に乏しく持続する腫脹は、(通常片側性・非化膿性)やジフテリア(軟部組織浮腫を伴う「牛の首」)のような毒素・の病態を考える。頸部腫脹全般の先天性・腫瘍性・転移性の分類は腫脹の「頸部腫脹の整理」に、全身のリンパ節腫脹としての評価軸はリンパ節腫脹に譲り、ここでは咽頭感染・GAS毒素・血管炎によるに絞る。

圧痛の有無と随伴所見で読む

咽頭・扁桃の感染が原因である場合、頸部リンパ節は前頸部(・頸静脈周囲)に反応性腫大を来す。圧痛の有無と随伴する咽頭・粘膜所見を合わせて読むと、感染性の多くは次の型に収まる。

疾患 分布・圧痛 咽頭・粘膜所見 随伴する
前頸部、圧痛あり。膿瘍形成では片側性に強く腫大 ・滲出、膿瘍形成時は 偏位、同側耳への
前頸部、圧痛あり 咽頭発赤・扁桃滲出、の点状出血 の点状紅斑、
ジフテリア 周囲軟部組織浮腫を伴い腫大し「牛の」様の外観になる 灰白色の(無理に剥離しない) の咽頭〜喉頭〜気管への進展、
通常片側性、1.5 cm以上、非化膿性 咽頭発赤程度にとどまる(は非典型) 、口唇、四肢末端変化、5日以上の発熱

⭐ 咽頭・粘膜所見を伴わずに持続するは、この4型に当てはまらない。リンパ節腫脹の全身性・悪性リスクの評価軸に戻って考え直す。

flowchart TD
    A["咽頭感染に伴う<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cervical lymphadenopathy'>頸部リンパ節腫脹</span>"] --> B{"圧痛・化膿性所見はあるか"}
    B -->|"あり"| C["GAS咽頭炎・扁桃炎に伴う反応性腫大"]
    C --> D{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fluid wave (ascites); fluctuance (abscess)'>波動感</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='trismus'>開口障害</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uvular deviation'>口蓋垂偏位</span>を伴うか"}
    D -->|"あり"| E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peritonsillar abscess'>扁桃周囲膿瘍</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deep neck infection'>深頸部感染</span>を疑い<br>穿刺排膿と気道評価"]
    D -->|"なし"| F["抗菌薬治療と経過観察"]
    B -->|"乏しい・持続"| G{"5日以上の発熱・他の主要所見はあるか"}
    G -->|"あり"| H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Kawasaki disease'>川崎病</span>を疑い心エコーを含めて評価"]
    G -->|"なし・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pseudomembrane'>偽膜</span>や牛の首を伴う"| I["ジフテリアを疑い気道評価と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='antitoxin'>抗毒素</span>・抗菌薬"]

圧痛・化膿性所見があるとき——深頸部感染への進展を疑う

圧痛を伴うの多くはGAS咽頭炎・扁桃炎に対する反応性腫大にとどまるが、次の所見が加われば化膿性リンパ節炎や外への進展を疑う。

  • 、皮膚の発赤・熱感(リンパ節膿瘍の形成)
  • 偏位(
  • 頸部可動域の制限、の膨隆(咽後・への進展)
  • の増加、の急激な悪化

⚠️ これらの所見は抗菌薬の増量では対応できず、穿刺・と気道評価を要する。評価・処置の詳細はに譲る。

非化膿性で持続する腫脹のとき——川崎病とジフテリアの鑑別

圧痛が乏しく化膿性所見を欠くが発熱とともに持続する場合、機序の異なる2つの病態を考える。

  • は5つの主要所見の1つにすぎず、単独では診断できない。・口唇口腔変化・四肢末端変化・発疹を伴わない孤発のだけで疑うのは早計だが、5日以上の発熱が抗菌薬に反応しない乳幼児では、主要所見が同時に揃うのを待たずに評価を進める。
  • ジフテリア:リンパ節腫脹そのものより、周囲軟部組織浮腫が加わった「牛の首」徴候が特徴で、咽頭〜喉頭への進展による気道閉塞のリスクを伴う。ワクチン接種歴不十分や流行地への渡航歴があれば積極的に疑う。

💡 発熱性疾患によるが両側性・後頸部優位で、咽頭滲出物・強い感・脾腫を伴うときはのような全身性ウイルス感染を考える。この場合の広がりは局所の咽頭感染ではなく、リンパ節腫脹の全身性の枠組みで評価する。

まとめ

  • 感染性のは、圧痛の有無と随伴する咽頭・粘膜所見で大きく読み分ける。
  • 圧痛を伴う前頸部の腫脹はGAS咽頭炎・などの化膿性感染を示し、が加わればへの進展を疑う。
  • 非化膿性で持続する腫脹は、(5主要所見の1つ、通常片側性・1.5 cm以上・非化膿性)とジフテリア(軟部組織浮腫を伴う「牛の首」、気道閉塞リスク)という異なる機序を考える。
  • 両側性・後頸部優位でウイルス性の全身症状を伴う場合はなどの系統的感染を考え、全身のリンパ節腫脹としての評価はリンパ節腫脹に委ねる。
  • 頸部腫脹全般の先天性・腫瘍性・転移性の枠組みは腫脹の「頸部腫脹の整理」を参照する。