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Disease Atlas · 全身 · 中毒

ヒ素中毒

Arsenic poisoning

別名
砒素中毒ヒ素曝露
臓器系
全身皮膚神経
科目
Forensic MedicineInternal MedicineDermatologyNeurologyOncology and Reconstructive Oncoplastic Surgery
トピック
法医学 31:一酸化炭素中毒とヒ素・シアン化物・鉛・メタノール中毒内科学 S-62:有害物質中毒―エチレングリコール・メタノール・重金属・毒キノコ皮膚科 3-09:表皮前癌病変神経内科 G1-36:多発ニューロパチーの症候と主な原因腫瘍学 I-01:がんの病因
鑑別疾患
アルシン(ヒ化水素)ガス中毒
合併症
ヒ素角化症
続発疾患
皮膚有棘細胞癌基底細胞癌膀胱癌肺癌
関連疾患
カドミウム中毒鉛中毒水銀中毒
治療薬
ジメルカプロールサクシマー
症状
下痢嘔吐腹痛低血圧末梢神経障害知覚異常筋力低下爪異形成蒼白
検査値
クレアチニンヘモグロビン血小板数

🧠 全体像:は、急性と慢性で臨床像がほとんど別の疾患になることを最初に押さえる。急性は大量摂取から数時間で始まるの下痢と・不整脈が主役で、救命のために濃度確定を待たずを始める場面である。慢性は年単位の飲料水曝露で、皮膚(色素沈着・)・末梢神経・爪のを残しながら・・肺癌のリスクを押し上げる。⭐ 慢性曝露で本体になる治療はではなく曝露源の遮断であり、この非対称を混ぜないことが臨床判断の要になる。

曝露源

は地殻と地下水に広く分布するで、⭐ 世界最大の曝露源は自然由来のである。は、飲料水中のにである10 µg/Lを超える濃度で慢性曝露している人が世界で2億人を超える可能性があると推計している1。

💡 バングラデシュの事例は「よかれと思った介入が別の曝露を作った」典型である。 1970年代、地表水の微生物汚染による下痢症を避ける目的でが大量に掘られたが、その地下水が天然由来ので汚染されていることが後になって判明した1。バングラデシュだけで推計2,700万人が50 ppbを超える水を飲んでいるとされる2。

具体例
飲料水 由来の地下水・井戸水(南アジアを中心に世界各地)
職業 ・鉱業、・の製造、ガラス製造、製造
食品 汚染水で灌漑した穀物、魚介類(ただし後述のとおり毒性の低い)
事故・故意 ・の、投与(的に問題になる)

化学種によって毒性が大きく違う。3価()は5価()より毒性が強く、はより毒性が強い2。魚介類に含まれるのは主に毒性の低いで、これが後述する尿検査の解釈を左右する。⚠️ ()ガスは別枠で、溶血を主体とする全く違う病像を取り、が存在しない。

病態(機序)

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arsenic'>ヒ素</span>の摂取・吸入"] --> B["3価(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arsenic trioxide (ATO)'>亜ヒ酸</span>)"]
    A --> C["5価(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arsenate'>ヒ酸</span>)"]
    B --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='thiol group'>チオール基</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sulfhydryl group'>スルフヒドリル基</span>へ結合"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pyruvate dehydrogenase'>ピルビン酸脱水素酵素</span>などの阻害<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='citric acid cycle (TCA cycle)'>クエン酸回路</span>への流入が止まる"]
    D --> F["毛細血管の拡張と透過性亢進"]
    C --> G["リン酸を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='molecular mimicry'>分子模倣</span><br>グルコース-6-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arsenate'>ヒ酸</span>などを形成"]
    G --> H["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxidative phosphorylation'>酸化的リン酸化</span>の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='uncoupling'>脱共役</span><br>ATPの枯渇"]
    E --> H
    F --> I["体液の<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extravasation'>血管外漏出</span><br>→ 消化管からの大量喪失・低血圧"]
    H --> J["エネルギー需要の高い組織の障害<br>消化管上皮・心筋・末梢神経"]
    A --> K["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reactive oxygen species (ROS)'>活性酸素種</span>の産生と<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='antioxidant defense'>抗酸化防御</span>の減弱"]
    K --> L["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>修復障害・メチル化異常<br>→ 発癌"]

💡 3価と5価で毒性の入り口が違う。3価はに噛みつく毒で、2つのを持つ(BAL)や()がになるのは、酵素より先にを掴んで奪い返せるからである。5価はリン酸のふりをする毒で、ATP産生の反応をすり替えてエネルギーを空回りさせる2。発癌については修復の障害・メチル化・・が提唱されているが、決定的な機序は確立していない2。がの産生との減弱というを共有する点はなど他のと同じである3。

急性ヒ素中毒

大量摂取から数分〜数時間で発症する。

  • 消化器:最も多い症状が胃腸炎で、5 mg未満の摂取でも嘔吐・下痢・腹痛を来す。⭐ 下痢は「」あるいはと表現され、血性となることもある2。
  • 循環:低血圧は特徴的な所見で、脱水と体液喪失に続発する2。重症例はに至る。
  • 心電図:延長、QRS幅の延長、非特異的ST変化、T波の平低化がみられ、の報告もある2。致死的不整脈は急性期の死因になりうる。
  • 腎:蛋白尿・血尿からへ進みうる2。
  • 神経:頭痛、せん妄、脳症、痙攣2。
  • その他:呼気のニンニク様臭が古典的に挙げられる。

の推定は0.6 mg/kgで、死亡は摂取後1〜4日に起こるとされる2。

⚠️ 急速に死亡した例では剖検所見が乏しいことがある。 消化管の発赤・出血やからの出血といった所見は非特異的で、単一の所見だけでを確定することはできない。

慢性ヒ素中毒

年単位の低濃度曝露で、皮膚・末梢神経・爪に痕跡が残る。

系統 所見 出現までの時間
皮膚 びまん性または斑状の色素沈着(「」と表現される) 曝露後6〜36か月
皮膚 の多発()、湿疹様病変、疣贅、脱毛 数か月〜年単位
爪 ——幅1〜2 mmのを横断する白色帯 曝露の4〜6週後
末梢神経 可逆性の。足底から上行するの 急性曝露の1〜3週後
血液 、の低下、、〜、溶血性貧血 数週〜

以上の所見・はいずれも同一の出典による2。

⚠️ 慢性は胃腸炎や特発性の末梢神経障害とされる。 患者は四肢の漠然とした疼痛を訴えるだけのことがあり、曝露源(井戸水・職業)をしなければ診断にたどり着かない。末梢神経障害・・筋力低下の原因欄にを置いておくのは、この「でしか見つからない」性質のためである。

💡 は「いつ曝露があったか」を教える時計になる。 爪の伸長とともに白色帯が遠位へ移動するので、帯の位置から曝露時期をできる。⚠️ ただしに特異的な所見ではなく、化学療法・重症疾患・など他の原因でも生じるため、単独で診断根拠にはならない。をみたら曝露歴を確認する、という使い方が正しい。

発癌

⭐ IARCはをGroup 1(ヒトに対するが確実)と定義しており、慢性曝露は・肺癌・・・と関連する1。

発癌以外の慢性影響として、と、糖尿病の増加も報告されている1。

診断

⭐ 確定は中の濃度である。50 µg/L以上、または総量100 µg超で曝露を確定する。急性曝露では24時間尿中が数千µgに達することも珍しくない2。

⚠️ 採尿前5日間は海産物を一切摂らせない。 魚介類に含まれる毒性の低いがを増やし、偽陽性を作るためである2。検体は金属を含まないポリエチレン容器に採る。

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arsenic exposure'>ヒ素曝露</span>を疑う"] --> B{"経過は急性か慢性か"}
    B -->|"急性・重症"| C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='confirmatory test'>確認検査</span>を待たずに<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='chelation'>キレート</span>と<span class='jp-term jp-term-diagram' title='intensive care'>集中治療</span>を開始"]
    C --> D["並行して<span class='jp-term jp-term-diagram' title='24-hour urine collection'>24時間蓄尿</span>を提出"]
    B -->|"慢性・非重症"| E["採尿前5日間<br>海産物を中止させる"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='24-hour urine collection'>24時間蓄尿</span>の総<span class='jp-term jp-term-diagram' title='arsenic'>ヒ素</span>を測定"]
    F --> G{"50 µg/L以上または<br>総量100 µg超"}
    G -->|"はい"| H["曝露を確定し曝露源を特定・遮断"]
    G -->|"いいえ"| I["他の原因を検索<br>ただし遠隔の曝露は否定できない"]

補助検査として、血算(・)、生化学(クレアチニン・)、心電図、、(消化管内の金属様不透過影)を組み合わせる2。

💡 血中は使いどころが狭い。 血中からは速やかに消失するため、曝露から時間が経つと正常化してしまう。毛髪・爪のは数か月単位の曝露を反映するが、外部からの付着による汚染を受けやすい。

治療

急性期

⚠️ 重症例ではを待たずにを開始する。 早期であるほど有効で、曝露から数分〜数時間の投与が最も効果的とされる2。

薬剤 投与法
() 3〜5 mg/kgを4時間ごとに筋注し、漸次12時間ごとへ減らす2
DMPS(2,3-ジメルカプト-1-プロパン) 3〜5 mg/kgを4時間ごとに筋注(5%溶液、2日間)、その後へ切り替えるか3〜5 mg/kgを6〜12時間ごとに継続する2
() 10 mg/kgを8時間ごとに5日間し、その後10 mg/kgを12時間ごと2

のは24時間尿中50 µg/L未満である2。

⚠️ どのが使えるかは国によって違う(2026年9月時点)。

  • は米国の添付文書でそのものがである(金・も同様。急性ではとの併用で適応)4
  • DMPSについては、StatPearls(2023年6月更新)が「米国では承認されていない」と明記している2。本ノートの確認時点でも、米国の承認医薬品登録に該当製剤は見当たらない
  • ⚠️ の米国は「血中45 µg/dL超の1歳以上の小児における」だけで、は含まれない5。への使用は適応外である。上の表の用法も、承認されているの用法では12時間ごとの投与をさらに14日間続けて計19日間と定められている5

💡 「教科書に載っている薬」と「その国で使える薬」は別である。 は症例数が少なく、の多くが古い承認かで運用されている。用量だけを覚えて、入手可能性と適応の可否を確かめないと、実際の急性期には動けない。

支持療法として、積極的な、血圧の維持、での心電図監視を行う。⚠️ QT延長のリスクからIa群(・・)・Ic群・III群のを避ける。電解質を是正し、不整脈には・・を用いる2。

⚠️ ガス中毒にはが無く、の有効性も示されていない。 管理は赤血球の補充、腎機能の支持、透析で除去できないに対するの検討が中心になる2。

⚠️ キレート薬の禁忌と副作用

用量と同じだけ、投与してはいけない場面を覚える。

( in Oil)4

  • のみである。静注しない
  • ⚠️ 添付文書の用法は上の表と一致しない。 米国添付文書はを重症度で分け、軽症なら2.5 mg/kgを1日4回2日間 → 3日目は1日2回 → 以後1日1回10日間、重症なら3 mg/kgを4時間ごとに2日間 → 3日目は1日4回 → 以後1日2回10日間としている。表に挙げた「3〜5 mg/kgを4時間ごと」は成書側の記載で、添付文書のの用量上限は3 mg/kgである(5 mg/kgはの初回量)。どちらを採るかは、根拠にする文書を明示して決める
  • ⚠️ 基剤がピーナッツ油——ピーナッツアレルギーの患者ではアレルギー反応を起こしうる。投与するならアナフィラキシーに対応できる薬剤と器材を手元に置く
  • ⚠️ 後性黄疸を除くのほとんどで禁忌。 投与中にが生じたら中止するか極めて慎重に用いる
  • ⚠️ 鉄・・中毒には使ってはならない——生じたが金属単独より、とくに腎に対して毒性が強くなるためである。💡 同じ理由で、投与中の患者にを投与しない
  • 💡 尿をすると腎が保護される。 金属は酸性環境で分解しやすく、遊離した金属が尿細管に曝されるからである
  • ⭐ 小児に特有の反応として発熱があり、約30%に生じて治療中持続しうる。比率の一過性低下もみられる

(CHEMET)5

  • 投与前に血算(1500/µL超を確認)・/・腎機能を評価する
  • ⚠️ 好中球減少——が1200/µL未満になったら中断し、感染を監視する
  • ⚠️ 肝障害——がの5倍を超えたら中断する
  • ⚠️ 過敏症・粘膜皮膚——発疹(約4%)や口腔・尿道・肛門周囲の水疱性病変が出たら中断する。で蕁麻疹・の報告があり、コースを繰り返すほど粘膜皮膚反応は増えうる
  • ⚠️ ——妊婦に投与すると胎児に害を及ぼしうる

慢性曝露

⭐ 慢性曝露の治療の本体は曝露源の遮断である。 食品と飲料水の検査は曝露を減らすための最優先事項とされ、とくに妊婦と小児で重要である1。井戸水の測定と代替水源の確保、では作業環境の是正と保護具が、薬物治療より先に来る。

⚠️ 急性期の「濃度確定を待たず」を、そのまま慢性曝露へ持ち込まない。 慢性曝露でがを増やすことは確かでも、それによって・死亡率が改善するかは確立していない。曝露が続いたままだけを行えば体内負荷はすぐ元に戻る。慢性例でがすべき仕事は、曝露源を突き止めて断ち、皮膚病変と・・肺癌のを継続することである。

まとめ

  • は急性と慢性で別の疾患のように見える。急性はの下痢・低血圧・QT延長、慢性は色素沈着・・・末梢神経障害が主役になる。
  • 世界最大の曝露源は自然由来ので、は10 µg/Lを超える水に2億人超が慢性曝露している可能性を推計している。バングラデシュのはその代表例である。
  • 3価はに結合してなどを阻害し、5価はリン酸を模倣してATPを枯渇させる。この違いが系が効く理由でもある。
  • IARC Group 1ので、は日光の当たらない・腹部に生じる。・肺癌のリスクも上がり、喫煙歴が無くても肺癌が起こりうる。
  • 診断はの総(50 µg/L以上または総量100 µg超)で、採尿前5日間は海産物を止めさせる。
  • 急性重症例ではを待たず等のを開始し、は24時間尿中50 µg/L未満。⚠️ 慢性曝露では曝露源の遮断が治療の本体であり、による転帰改善は確立していない。
  • ⚠️ 本ノートが扱う3剤の米国での承認状況は同じではない(2026年9月時点)。 はそのものが、の米国適応は小児の(血中45 µg/dL超)に限られは適応外、DMPSは未承認である。
  • ⚠️ にも禁忌がある。はのみ・基剤はピーナッツ油で、後性黄疸を除くに禁忌、鉄・・中毒には使ってはならない。は好中球減少・肝障害・粘膜皮膚・を監視する。

出典

  1. 1.The broad scope of health effects from chronic arsenic exposure: update on a worldwide public health problem(Environmental Health Perspectives・2013)WHOは世界で2億人を超える人々が飲料水中のヒ素にWHO基準値10 µg/Lを超える濃度で慢性曝露している可能性があると推計していること。バングラデシュでは微生物汚染を避けるため1970年代に掘られた管井戸が、後に天然由来のヒ素で汚染されていると判明したこと。IARCがヒ素をGroup 1のヒト発癌物質と定義し、皮膚癌・肺癌・膀胱癌・腎癌・肝癌と関連すること。非発癌性の影響として色素沈着(melanosis)と角化症(進行期の鋭敏な指標とされる)、末梢神経障害と有痛性の筋痙攣、頸動脈硬化と虚血性心疾患、糖尿病の増加が挙げられること。食品と飲料水のヒ素検査が曝露を減らすための最優先事項であること閲覧 2026-09-02
  2. 2.Arsenic Toxicity(StatPearls Publishing (NCBI Bookshelf)・2023)急性ヒ素中毒では胃腸炎が最も多い症状で、5 mg未満でも悪心・嘔吐・下痢・腹痛を来し、下痢は「米のとぎ汁様」あるいはコレラ様で血性となりうること。低血圧は脱水と体液喪失に続発する特徴的所見で、心電図ではQTc延長・QRS延長・非特異的ST変化・T波平低化がみられtorsades de pointesの報告があること。慢性曝露では雨だれ様と表現される色素沈着が曝露後6〜36か月で現れ、Mees線は幅1〜2 mmの爪甲を横断する白色帯として曝露の4〜6週後に出ること。可逆性の感覚運動性多発神経障害は急性曝露の1〜3週後に足底から上行する手袋靴下型として現れること。基底細胞癌・有棘細胞癌に加え肺癌・膀胱癌との関連があり、皮膚癌は掌蹠・腹部など日光の当たらない部位に生じること。診断は24時間蓄尿のヒ素が最良の指標で、50 µg/L以上または総量100 µg超を曝露確定とし、採尿前5日間は海産物を摂らせないこと。重症例では確認検査を待たずにキレートを開始し、ジメルカプロールは3〜5 mg/kgを4時間ごと、サクシマーは10 mg/kgを8時間ごとに5日間投与し、終点は24時間尿中ヒ素50 µg/L未満であること。無機ヒ素の推定致死量は0.6 mg/kgであること。QT延長のリスクからIa群・Ic群・III群抗不整脈薬を避けること。アルシンガス中毒には解毒薬が無くキレートの有効性も示されていないこと。3価のヒ素はチオール基・スルフヒドリル基と反応してピルビン酸脱水素酵素などを阻害し、5価のヒ素はリン酸を模倣してATPを枯渇させること閲覧 2026-09-02
  3. 3.Toxic Mechanisms of Five Heavy Metals: Mercury, Lead, Chromium, Cadmium, and Arsenic(Frontiers in Pharmacology・2021)重金属の毒性が活性酸素種の産生、抗酸化防御の減弱、酵素の不活性化、酸化ストレスという共通経路を介すること。曝露は水・空気・食物を通じて起こりうること閲覧 2026-09-02
  4. 4.BAL in Oil (Dimercaprol Injection, USP) — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2022)米国添付文書がジメルカプロールをヒ素・金・水銀中毒の治療に適応とし、急性鉛中毒ではエデト酸カルシウム二ナトリウムとの併用で適応となること、投与経路が深部筋注のみであること、軽症のヒ素・金中毒では2.5 mg/kgを1日4回2日間・3日目は1日2回・以後1日1回10日間、重症のヒ素・金中毒では3 mg/kgを4時間ごとに2日間・3日目は1日4回・以後1日2回10日間とすること、鉄・カドミウム・セレン中毒には錯体がより腎毒性となるため使用してはならないこと、後ヒ素性黄疸を除く肝機能不全のほとんどで禁忌であること、治療中に急性腎不全が生じた場合は中止するか極めて慎重に用いること、ジメルカプロール金属錯体が酸性環境で分解しやすいため尿のアルカリ化が腎保護になること、製剤がピーナッツ油を基剤とするためピーナッツアレルギー患者ではアレルギー反応を起こしうること、小児に特有の反応として発熱が約30%にみられ治療中持続しうること、多形核白血球比率の一過性低下がみられうること、治療中は鉄剤を投与しないことを確認した。DailyMed のSPL全文(版5、発効2022年6月20日)を取得して確認閲覧 2026-09-05
  5. 5.CHEMET (succimer) Capsules — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration (DailyMed)・2025)米国におけるサクシマー(CHEMET)の承認適応が「血中鉛濃度45 µg/dL超の1歳以上の小児における鉛中毒の治療」に限られ、ヒ素中毒は適応に含まれないこと、鉛含有環境での予防投与には適応が無く血液脳関門を通過しないため鉛脳症の治療にも適応が無いこと、承認用法が10 mg/kg(または350 mg/m²)を8時間ごと5日間、続いて10 mg/kg(または350 mg/m²)を12時間ごとさらに14日間で計19日間であること、開始時により高用量を用いることは推奨されないこと、投与前に血中鉛濃度・血算(好中球絶対数1500/µL超を確認)・AST/ALT・腎機能を評価し環境中の鉛源を除去しておくこと、警告として発疹(約4%)を含む過敏症と粘膜皮膚水疱性発疹、好中球減少(好中球絶対数1200/µL未満で中断)、肝逸脱酵素上昇(基準上限の5倍超で中断)、胚・胎児毒性が挙げられていることを確認した。DailyMed/openFDAのラベル全文(発効2025年7月10日)を取得して確認閲覧 2026-09-05