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Lab values · Published

汎血球減少

Pancytopenia

別名
汎血球減少症
臓器系
血液
科目
PathologyInternal Medicine
トピック
病理学 C/2:造血低下による貧血(低形成性貧血など)内科学 L-58:低形成性貧血
関連疾患
ヒストプラズマ症巨赤芽球性貧血結核骨髄癆性貧血再生不良性貧血脾機能亢進

🧠 全体像はそれ自体が診断名ではなく、赤血球・白血球・血小板の3系統がそろって減った「終着駅」である。原因の見分け方は産生低下(骨髄の問題)・破壊亢進(末梢での消費)・脾での捕捉()・希釈(大量輸液)という4つの機序で場所を絞り込むこと。産生低下はさらに「骨髄が空」()・「骨髄が置き換わる」(・白血病・)・「材料が足りない」(B12・葉酸・の3群に分けると、が要るかどうかの判断につながる。

定義の目安

血球 目安
ヘモグロビン 女性 12 g/dL未満、男性 13 g/dL未満
血小板 15万/µL未満
白血球(または好中球絶対数) 4,000/µL未満(またはANC 1,800/µL未満)

これらの閾値は年齢・性・人種・によって変わりうる目安であり、施設との照合が前提になる1

機序で場所を絞り込む

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='pancytopenia'>汎血球減少</span>"] --> B["中枢性:骨髄での産生低下"]
    A --> C["末梢性:破壊亢進・脾捕捉・希釈"]
    B --> D["骨髄が空<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='aplastic anemia, AA'>再生不良性貧血</span>)"]
    B --> E["骨髄が置き換わる<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='myelophthisis'>骨髄癆</span>・白血病・MDS)"]
    B --> F["材料が足りない<br>(B12・葉酸・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='copper deficiency'>銅欠乏</span>)"]
    C --> G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Hypersplenism'>脾機能亢進</span>による捕捉"]
    C --> H["免疫性・薬剤性の破壊亢進"]
    C --> I["大量輸液・輸血による希釈"]
機序 代表疾患・状況 手掛かり
骨髄が空 低細胞性骨髄、低値
骨髄が置き換わる 白血病 末梢血のでdry tap
材料が足りない (B12・葉酸欠乏)、 、栄養歴
脾での捕捉 (肝硬変・門脈圧亢進など) 脾腫、他の血球減少との比率不均衡
破壊亢進 自己免疫性、薬剤性、重症感染 急な発症、薬剤歴、DIC・敗血症の随伴所見
希釈 大量輸液・大量輸血 病歴上の輸液量、他の血球減少を伴わないな変化

見落としやすい原因:播種性感染

⚠️ 播種性真菌感染・播種性結核でもを来す。 免疫不全者(HIV/AIDSなど)で原因不明の・発熱・肝脾腫をみたら、のような播種性真菌感染を鑑別に挙げる2。骨髄が正常に見えても、が骨髄を占拠して産生低下を起こしていることがある。血液培養が陰性のに対するでは、が診断に寄与する割合ができず、免疫不全者ではのような播種性真菌感染が原因として最多になりうる3

骨髄生検が要るかどうかの判断

これが実務の核心である。末梢血所見・病歴だけで原因が説明できない(薬剤・既知の・急性の希釈で説明できないもの)は、・生検の適応になる。原因不明のに対するは、多くの症例で診断確定に至る1。末梢血に幼若顆粒球・)を認める場合は、線維化・浸潤した骨髄で穿刺がdry tapになりやすいため、穿刺だけでなく生検を要する。

緊急度の見極め

⚠️ は緊急である。 に発熱を伴う場合、確定診断を待たずを速やかに開始する1の深さと持続期間が感染リスクを規定するため、の割合ではなく実数で重症度を評価する。

まとめ

  • は「産生低下・破壊亢進・脾捕捉・希釈」の4機序で場所を絞り込む。
  • 産生低下はさらに「骨髄が空」「骨髄が置き換わる」「材料が足りない」に分けると、次の検査(の要否)につながる。
  • ⚠️ 播種性真菌感染・播種性結核も産生低下の原因になり、免疫不全者では見落としやすい。
  • 原因不明の・生検の適応であり、があれば生検を優先する。
  • ⚠️ は確定診断を待たず治療する緊急病態である。

出典

  1. 1.Pancytopenia(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)汎血球減少の目安として女性ヘモグロビン12g/dL未満・男性13g/dL未満、血小板15万/µL未満、白血球4000/µL未満(または好中球絶対数1800/µL未満)を挙げ、これらの閾値は年齢・性・人種・臨床状況で変わりうるとしていること(Introduction節)、機序を骨髄における産生低下(中枢性)と末梢での破壊・脾捕捉など(末梢性)に大別していること(Etiology節)、原因不明の汎血球減少では骨髄穿刺で75%の症例が診断確定に至ること(Evaluation節)、発熱性好中球減少または重度好中球減少での発熱に対し広域抗菌薬の速やかな開始が推奨されること(Treatment/Management節)を確認した閲覧 2026-08-12
  2. 2.Histoplasmosis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)播種性ヒストプラズマ症のような播種性真菌感染では、汎血球減少に加えて肝脾腫・リンパ節腫脹・蒼白・点状出血を呈しうることを確認した閲覧 2026-08-12
  3. 3.Predictive model for diagnostic yield of bone marrow examination in patients with HIV infection having fever of unknown origin(AIDS(Noiperm P, Saelue P)・2024)血液培養が少なくとも2日間陰性のHIV感染者108例の不明熱に対する骨髄検査で、骨髄培養が26.85%(29例)で陽性となり、内訳ではヒストプラズマ症が14例(12.96%)と最多だったこと——播種性感染検索目的の骨髄生検が診断に寄与しうることを確認した閲覧 2026-08-12