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Disease Atlas · 感染症 · 疾患

横川吸虫症

Metagonimiasis

別名
Metagonimus yokogawai感染症
臓器系
感染症消化器
科目
Medical MicrobiologyInternal Medicine
トピック
微生物学 4/23:蠕虫の一般的特徴と分類微生物学 5/17:経腸的に獲得される寄生虫感染(一覧)とその診断内科学 S-60:主な蠕虫感染症
治療薬
プラジカンテル
原因微生物
Metagonimus yokogawai
症状
下痢腹痛悪心食欲不振
適応薬
プラジカンテル

🧠 全体像:横川吸虫症は、同じ「→の生食」という感染経路をたどる・と対をなす疾患でありながら、臨床的な重みはまったく異なる。原因のMetagonimus yokogawaiはの表層にとどまりへ侵入しないため、多くは無症状〜軽度の消化器症状でする。日本ではアユの背越し・洗いなど川魚の生食文化が主な感染源になる点が実務的にも問われやすい。まれに虫卵が血流に入り他臓器へする例外はあるが、「小型吸虫の中で最も軽症」という対照性を軸に読む。

感染経路と臨床像

生活環の詳細(→という2つの中間宿主)はMetagonimus yokogawaiの項に譲る。終宿主は加熱不十分または塩漬けの感染魚の摂取で感染し、成虫は小腸に寄生する1。

⭐ 多くは無症状で経過する。 症状が出る場合は感染魚摂取から約9日後に、・悪心・軽度の腹痛・吸収不良・体重減少・・下痢が出現するが、自然軽快することが多い2。

flowchart TD
    A["加熱不十分・塩漬けの感染<span class='jp-term jp-term-diagram' title='freshwater fish'>淡水魚</span>を摂取"] --> B["小腸で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excystation'>脱嚢</span>した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='schistosomulum'>幼若虫</span>が<br>粘膜表層に定着し成虫化"]
    B --> C["多くは無症状で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='natural history (of disease)'>自然経過</span>"]
    B --> D["症状発現(約9日後):<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='anorexia'>食欲不振</span>・悪心・腹痛・下痢"]
    B --> E["まれに虫体が粘膜を貫く"]
    E --> F["虫卵がリンパ管経由で血流に入る"]
    F --> G["心臓など他臓器への異所性<span class='jp-term jp-term-diagram' title='migrate/displace into'>迷入</span>(まれ)"]

⚠️ まれに虫体が粘膜を貫き、虫卵がリンパ管を経て血流に入ることがある。 この場合、心臓など消化管外の臓器へ虫卵がし異所性病変を作った症例が報告されている2。多数寄生では粘膜への機械的刺激が積み重なり吸収不良症状につながりうるが、・のようなへの侵入は来さない。

💡 同じ「→(または甲殻類)の生食」という感染経路をとる3つの吸虫症は、成虫の定着部位で臨床的な重みが決まる。 (・肺)に侵入する2つと、粘膜表層にとどまる横川吸虫症とを対比すると覚えやすい。

疾患 成虫の定着部位 臨床的な重み
末梢側 慢性・多数寄生で胆管炎・に至りうる
肺実質 ・胸水を来し結核とされやすい
横川吸虫症 表層 多くは無症状〜軽症で自然軽快

診断

便中の検出(黄褐色、約30×15μm)が基本2。虫卵は近縁の吸虫(Clonorchis・Opisthorchis属など)とほぼ形態的に鑑別できないため、渡航歴・喫食歴(流行地での川魚生食、日本ではアユの背越し等)の聴取が重要になる。後に排出された成虫の同定でも確定できる。

治療

⭐ が第一選択である。 日本の電子添文では横川吸虫症に対し1回20mg/kgを1日1〜2回、1日投与する3。多くは無症状〜軽症で自然軽快しうる疾患だが、診断がついた場合はを行う。

まとめ

  • 横川吸虫症はMetagonimus yokogawaiによる感染で、生・加熱不十分な(日本ではアユなど)の摂取で生じる。
  • 成虫は表層にとどまりへは侵入しないため、多くは無症状〜軽度の消化器症状(・悪心・腹痛・下痢)で自然軽快することが多い。
  • まれに虫卵が血流に入り心臓など他臓器へする異所性病変を来すことがある。
  • 診断は便中の検出。虫卵はの原因など他の吸虫と形態的にほぼ鑑別できないため喫食歴の聴取が重要。
  • 治療はが第一選択(日本では1回20mg/kg、1日1〜2回1日投与)。

出典

  1. 1.DPDx - Metagonimiasis(Centers for Disease Control and Prevention・2017)横川吸虫(Metagonimus yokogawai)の終宿主は加熱不十分または塩漬けの感染魚の摂取で感染すること、成虫が小腸に寄生することを確認した閲覧 2026-09-07
  2. 2.Heterophyiasis and Related Trematode Infections(MSD Manual Professional Edition・2025)症状発現が感染魚摂取から約9日後であり、食欲不振・悪心・腹痛・吸収不良・体重減少・消化不良・下痢などがみられるが多くは無症状であること、虫体が粘膜を貫き虫卵がリンパ管を経て血流に入ると心臓など他臓器への迷入例が報告されていること、診断は便中の虫卵検出(黄褐色、約30×15μm)によることを確認した閲覧 2026-09-07
  3. 3.ビルトリシド錠600mg 電子添文(2023年10月改訂・第2版)(バイエル薬品(PMDA 医療用医薬品情報)・2023)日本の電子添文が横川吸虫症をプラジカンテルの承認適応の一つと定めていること、用法用量が1回20mg/kgを1日1〜2回、1日投与であることを確認した閲覧 2026-09-07