内科学

内科学 · S-60

主な蠕虫感染症

Common Helminthic Infections

前提:病態
蠕虫の一般的性状と分類
疾患
ロア糸状虫症陰嚢水腫横川吸虫症

🧠 全体像:は土壌、、媒介生物を介して感染し、腸管だけでなく肺、肝・、尿路、リンパ系を障害する。好酸球増多と渡航・居住歴が手掛かりだが、重症では好酸球増多が消失し得るため、免疫抑制前のスクリーニングが重要である。

主要疾患の比較

疾患 感染経路・臨床像 診断 治療の軸
虫卵摂取;幼虫肺移行による、腸閉塞、 便虫卵、画像 または;閉塞・胆道合併症は手技
幼虫の皮膚侵入;、 便虫卵 +鉄補充
皮膚侵入と;腹部症状、、 便幼虫、血清学的検査
中の皮膚侵入;、門脈圧亢進、血尿 便・尿虫卵、血清学的検査
蚊媒介;、、 時刻を合わせた血液検査、抗原 地域・に応じた抗フィラリア薬+浮腫管理

Schistosoma mansoni/S. japonicumは腸・病変、S. haematobiumは血尿、尿路閉塞、リスクと関連する。

糞線虫hyperinfection

flowchart TD
    A["流行地曝露歴/原因不明好酸球増多"] --> B{"ステロイド・移植・化学療法予定"}
    B -->|"はい"| C["血清学的検査+<span class='jp-term jp-term-diagram' title='stool examination'>便検査</span>でスクリーニング"]
    C --> D{"感染を確認または強く疑う"}
    D -->|"はい"| E["免疫抑制前に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ivermectin'>イベルメクチン</span>"]
    E --> F["治癒確認"]
    B -->|"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hyperinfection syndrome'>過剰感染症候群</span>あり"| G["連日<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ivermectin'>イベルメクチン</span>+免疫抑制軽減+敗血症対応"]

ステロイドはを爆発的に増やし、肺胞出血、呼吸不全、腸管障害、腸内細菌による敗血症・髄膜炎を起こす。は・の最も頻度の高い誘因で、短期投与でも起こりうる。感染も重症化リスクである。では好酸球増多がないことが多く、陰性の単回で除外しない。12

⚠️ 好酸球増多の有無でを除外しない。 好酸球増多は患者の48〜78%と頻度の高い所見だが、その欠如は感染を否定せず、移民集団では感染の予測因子として弱い。したがって「好酸球増多があれば検査する」ではなく、流行地曝露歴があり免疫抑制を予定する患者は全例、開始前に血清学的検査でスクリーニングする。確認または強く疑う場合の第一選択は200 µg/kgである。1

治療上の注意

の、、の組合せは地域と**/で安全性が変わるため、画一的に選ばない。慢性では皮膚清潔、運動、挙上、予防が不可欠である。は感染時期によりの再投与を要することがある。

💡 2017年の指針が地域で薬を変える理由。 3剤併用(++、IDA)は流行単位がと共存する場合には推奨されず、+(IA)の年1回投与が選ばれる。患者にが誤って投与される危険があるためである(条件付き推奨・低い質のエビデンス)。と共存し未配布の地域では、を使わず、も例での重篤な有害事象の危険から避け、の年2回投与とする。3

💡 急性期はまずステロイド、は後から。 では、未熟虫にが効きにくいうえ虫体崩壊が症状を増悪させるため、を急がない。旅行者34例の前向き観察では、感染後4〜5週の症状期に0.5 mg/kg/日を3日1サイクルで投与して症状を抑え(1サイクルで71%が消退)、感染後7〜8週に40 mg/kgを2時間あけて2し、その2時間後に0.5 mg/kgを追加した。12〜14週時点での指標(血清circulating anodic antigen)が残ったのは34例中1例のみだった。4

まとめ

  • 好酸球増多では土壌・・媒介生物曝露と臓器病変を結びつける。
  • はし、ステロイドで致死的なへ進むため事前スクリーニングする。
  • 薬剤名だけでなく、閉塞解除、鉄補充、浮腫管理、確認も治療に含める。

出典

  1. 1.Evidence-Based Guidelines for Screening and Management of Strongyloidiasis in Non-Endemic Countries(American Journal of Tropical Medicine and Hygiene・2017)流行地への曝露歴がある免疫抑制予定患者は治療開始前に血清学的スクリーニングを行うべきこと(免疫抑制患者ではスクリーニングは必須とされる)、糖質コルチコイドが過剰感染症候群・播種性感染の最も頻度の高い誘因であり短期投与でも起こりうること、HTLV-1感染が重症化・治療失敗の危険因子であること、イベルメクチン200 µg/kgが第一選択治療であること、好酸球増多は糞線虫症患者の48〜78%にみられる頻度の高い所見だがその欠如は感染を除外せず移民集団では予測因子として弱いことを確認した閲覧 2026-08-25
  2. 2.Strongyloidiasis(StatPearls (NCBI Bookshelf)・2026)糞線虫症が自己感染により無治療なら数十年にわたり持続しうる土壌媒介性線虫感染症であること、慢性期は無症候性〜軽微な消化器症状にとどまる一方、免疫不全者では過剰感染症候群・播種性感染という致死的な経過をとりうることを確認した。閲覧 2026-08-25
  3. 3.Guideline: Alternative Mass Drug Administration Regimens to Eliminate Lymphatic Filariasis(World Health Organization・2017)オンコセルカ症が共存する流行単位では、非流行と判定された地域でもオンコセルカ症患者にジエチルカルバマジンが誤って投与される危険があるため、3剤併用(イベルメクチン+ジエチルカルバマジン+アルベンダゾール、IDA)の年1回投与ではなくイベルメクチン+アルベンダゾール(IA)の年1回投与を推奨すること(条件付き推奨・低い質のエビデンス)、ロア糸状虫症が共存しイベルメクチンがまだ配布されていない流行単位ではジエチルカルバマジンを用いず、イベルメクチンも高ロア糸状虫ミクロフィラリア血症例での重篤な有害事象の危険から避け、アルベンダゾールの年2回投与を推奨すること(条件付き推奨・非常に低い質のエビデンス)を確認した閲覧 2026-08-25
  4. 4.Acute schistosomiasis in travellers: outcomes of a short-course therapy(Journal of Travel Medicine(Clerinx J, Maniewski U, Van Den Broucke S, et al.)・2025)急性住血吸虫症(片山熱)の治療が副腎皮質ステロイドとプラジカンテルの一貫しない組合せに依存してきたことを踏まえ、南アフリカで感染した旅行者34例に対し、感染後4〜5週の症状期にメチルプレドニゾロン0.5 mg/kg/日を3日1サイクルで症状消退まで(1サイクルで71%、2サイクルで19%、3サイクルで10%が消退)投与し、感染後7〜8週にプラジカンテル40 mg/kgを2時間あけて2分割投与し2時間後にメチルプレドニゾロン0.5 mg/kg単回を追加する短期プロトコルを評価したところ、12〜14週時点で活動性感染の指標である血清circulating anodic antigen(CAA)が残存したのは34例中1例のみであったこと、すなわち駆虫は急性期を過ぎてから行い、虫体崩壊に伴う症状増悪をステロイドで抑える設計が有効であったことを確認した閲覧 2026-08-25