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Microbe Atlas · 蠕虫

Metagonimus yokogawai

横川吸虫

分類
吸虫 / TrematodesMetagonimus
科目
Medical Microbiology
トピック
4/23: General characterisation and taxonomy of helminths
原因となる疾患
横川吸虫症
作用する薬剤
プラジカンテル

🧠 全体像:横川吸虫(Metagonimus yokogawai)を読む軸は「小型吸虫の中で最もありふれ、最も症状が軽い」という対照性。感染経路は(Paragonimus westermani)や(Clonorchis sinensis)と同じく→の生食だが、住み着く先は肝・肺のようなではなく表面にとどまり、多くは無症状〜軽度の腹痛・下痢で経過する。日本ではアユの背越し・洗いなど川魚の生食文化が主な感染源になる点が試験的にも実務的にも問われやすい。

微生物学的な特徴

  • 吸虫(トレマトーダ)の中でも最小級の種の一つ(成虫体長1〜2.5mm程度)。。
  • 虫卵は他の吸虫(Clonorchis・Opisthorchis属など)と形態的にほぼ鑑別できない。
項目 内容
虫卵 (黄褐色、約30×15μm)。便中に排出
第1中間宿主 (カワニナ属 Semisulcospira が主)
第2中間宿主 (アユ、シラウオ、ウグイなど)
終宿主 ヒト、イヌ、ネコなど魚食性・
成虫の定着部位 表面(へは侵入しない)

第1中間宿主は主にカワニナ属(Semisulcospira)ので、第2中間宿主のの組織内でとなる1。日本ではアユ・シラウオ・ウグイなどが代表的な感染源魚種として知られる。

生活環

flowchart TD
    A["虫卵が糞便中に排出される"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='freshwater snail'>淡水巻貝</span>(カワニナ属、<br>第1中間宿主)に摂取される"]
    B --> C["貝の消化管内で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='miracidium'>ミラシジウム</span>が<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hatching'>孵化</span><br>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sporocyst'>スポロシスト</span>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='redia'>レジア</span>→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cercaria'>セルカリア</span>"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cercaria'>セルカリア</span>が貝から<span class='jp-term jp-term-diagram' title='diapedesis (emigration)'>遊出</span>し<br>水中を自由遊泳"]
    D --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='freshwater fish'>淡水魚</span>(アユ・シラウオ等、<br>第2中間宿主)の筋肉・鱗下に<br>侵入し<span class='jp-term jp-term-diagram' title='encystment (to encyst)'>被嚢</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='metacercaria'>メタセルカリア</span>)"]
    E --> F["ヒト(終宿主)が生・加熱不十分な<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='freshwater fish'>淡水魚</span>を摂取(アユの背越し等)"]
    F --> G["小腸で<span class='jp-term jp-term-diagram' title='excystation'>脱嚢</span>した<span class='jp-term jp-term-diagram' title='schistosomulum'>幼若虫</span>が<br>粘膜表面に定着し成虫化"]
    G --> A

病原性の仕組み

  • 成虫はの表層に浅く食い込む程度で、やのようにへ侵入・移行しないため、病原性は総じて軽度。
  • 多数寄生では粘膜への機械的刺激が積み重なり、絨毛の萎縮・炎症を介して吸収不良症状を起こしうる。
  • ⚠️ まれに虫体が粘膜を貫き、虫卵がリンパ管経由で血流に入ることがある。 この場合、心臓など消化管外の臓器へ虫卵がし、異所性病変を作った症例が報告されている2。

感染経路と疫学

  • 生・加熱不十分な(アユ・シラウオ・ウグイなど)の摂取で感染する。日本ではアユの背越し(刺身状の生食)が代表的な感染源とされる。
  • 東アジア(日本・韓国・中国・極東ロシア)に加え、地中海沿岸・バルカン半島にも別の分布が知られる人獣共通感染症。ヒトのほか、イヌ・ネコなど魚食性の・も終宿主となる。

起こす疾患

疾患・病態 特記事項
横川吸虫症 多くは無症状。症状が出る場合は感染魚摂取から約9日後に・悪心・軽度の腹痛・下痢が出現するが自然軽快することが多い2
異所性(まれ) 虫卵が血流に入り心臓など他臓器へする例が報告されている

診断

  • 便中の検出が基本。虫卵は・Opisthorchis属などとほぼ鑑別できないため、渡航歴・喫食歴(流行地での川魚生食)の聴取が重要2。
  • 後に排出された成虫の同定でも確定できる。

治療と予防

  • ⭐ が第一選択。 日本の電子添文では横川吸虫症に対し1回20mg/kgを1日1〜2回、1日投与する3。
  • 予防:流行地での(アユ等)の生食を避け、十分な加熱または冷凍でを失活させる。

まとめ

  • 横川吸虫(Metagonimus yokogawai)は→(アユ等)の2つの中間宿主を経て、生・加熱不十分なの摂取でヒトに感染する小型吸虫。
  • 成虫は表層にとどまりへは侵入しないため、多くは無症状〜軽度の腹痛・下痢で経過する。まれに虫卵が血流に入り心臓など他臓器へすることがある。
  • 診断は便中の検出。虫卵はなど他の吸虫と形態的にほぼ鑑別できない。
  • 治療はが第一選択(日本では1回20mg/kg、1日1〜2回1日)。予防は流行地でのアユ等の生食回避。

出典

  1. 1.DPDx - Metagonimiasis(Centers for Disease Control and Prevention・2017)横川吸虫(Metagonimus yokogawai)の第1中間宿主はカワニナ属(Semisulcospira)の淡水巻貝が最も多く、第2中間宿主は淡水魚(ページ本文では具体的な魚種名は挙げず "fresh/brackish water fish" とのみ表記)の組織内でメタセルカリアとなる。終宿主は加熱不十分または塩漬けの感染魚の摂取で感染し、成虫は小腸に寄生する。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Heterophyiasis and Related Trematode Infections(MSD Manual Professional Edition・2025)症状発現は感染魚摂取から約9日後で、食欲不振・悪心・腹痛・吸収不良・体重減少・消化不良・下痢などがみられるが多くは無症状。虫体が粘膜を貫き虫卵がリンパ管を経て血流に入ると、心臓など他臓器への迷入例が報告されている。診断は便中の虫卵検出(黄褐色、約30×15μm)。閲覧 2026-09-05
  3. 3.ビルトリシド錠600mg 電子添文(2023年10月改訂・第2版)(バイエル薬品(PMDA 医療用医薬品情報)・2023)日本の電子添文で横川吸虫症がプラジカンテルの承認適応の一つであり、用法用量は1回20mg/kgを1日1〜2回、1日投与であること。閲覧 2026-09-05