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回腸嚢炎疾患活動指数

Pouchitis Disease Activity Index

別名
PDAImPDAI修正PDAI
臓器系
消化器
科目
Surgery
トピック
外科学 B/20:炎症性腸疾患の外科的側面外科学 S-21:潰瘍性大腸炎の外科的側面
構成:症状
下痢血便テネスムス腹痛発熱
適用疾患
回腸嚢炎

🧠 全体像:PDAI(Pouchitis Disease Activity Index)は、の活動性を症状・内視鏡所見・組織所見の3領域、各0〜6点・合計18点満点で採点し、総スコア7点以上をと診断する指数である。組織評価にはを要し算出に時間がかかるため、現在の臨床実践では組織領域を省いた修正PDAI(mPDAI、症状+内視鏡所見の2領域・12点満点)が広く使われる。PDAIとmPDAIは満点も解釈のも異なる別の指数であり、混同しない。

目的と適用場面

内容
目的 (IPAA)後のをに診断・定量する
対象 IPAA後に排便回数増加・出血・などの症状を呈する患者
使う場面 (内視鏡)時の活動性評価、の
評価しないもの の原因検索(C. difficile感染・狭窄・など)、パウチの異形成

PDAIは、症状のみに頼る従来のではの判定が曖昧になりやすいという問題意識から、症状に内視鏡・組織所見を組み合わせて客観化する目的で1994年に作られた1。

構成要素と配点

PDAI(18点満点):症状・内視鏡所見・組織所見の3領域

(0〜6点)

  • 便回数(閉鎖後の平常時との比較)
0点 1点 2点
通常の術後排便回数 通常より1〜2回/日多い 通常より3回/日以上多い
0点 1点
なし、またはまれ 毎日あり
0点 1点 2点
なし 時々 常にある
0点 1点
なし あり

⭐ 4項目の合計で最大6点(便回数2点+1点+/けいれん痛2点+発熱1点)。

内視鏡スコア(0〜6点)

で以下6所見の有無をそれぞれ採点し合計する。

所見 配点基準
浮腫 0点=なし、1点=あり
粘膜 0点=なし、1点=あり
0点=なし、1点=あり
の消失 0点=なし、1点=あり
粘液付着 0点=なし、1点=あり
潰瘍 0点=なし、1点=あり

組織スコア(0〜6点)

  • 好中球()浸潤
0点 1点 2点 3点
なし 軽度+散在性 中等度+ 高度+
  • (視野あたりの割合の平均)
0点 1点 2点 3点
なし(0%) 25%未満 25〜50% 50%超

症状(0〜6点)+内視鏡(0〜6点)+組織(0〜6点)=18点満点12。

mPDAI(12点満点):症状・内視鏡所見の2領域

mPDAIは組織スコアを省き、(0〜6点)+内視鏡スコア(0〜6点)=12点満点で算出する。項目・配点はPDAIの症状・内視鏡領域と同一である3。

解釈とカットオフ

指数 意味
PDAI 7点以上 活動性
PDAI 7点未満 寛解
mPDAI 5点以上 活動性

⭐ mPDAI(5点以上)は、組織評価を含むPDAI(7点以上)を基準とした場合に感度97%・特異度100%と高い一致を示し、生検を要さず簡便に算出できる3。PDAIは内視鏡・組織評価のコストと煩雑さ、組織診断が出るまでの時間差から主に研究用途にとどまり、日常臨床ではmPDAIが広く使われる2。

💡 単独は感度が低く、内視鏡的に炎症があっても無症状の患者が少なくない。症状だけで活動性を否定しない——内視鏡所見と組み合わせて初めて信頼できる4。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ mPDAIは組織評価を省くため、と鑑別すべきC. difficile感染・/入口部狭窄・などの、cuffitis、様病変を除外する力を持たない。スコアが高いからといってと決めつけず、内視鏡で二次性の原因を確認する。

⚠️ PDAI・mPDAIともパウチの異形成の代わりにはならない。目的が異なる別の評価が必要である。

⚠️ 症状のみに基づく簡易評価は、無症状の内視鏡的炎症を見逃す4。

💡 の7点・5点はいずれも統計的に導出された値である。境界値付近のスコアを機械的に運用せず、症状の推移・内視鏡所見全体を合わせて判断する。

まとめ

  • PDAIは症状・内視鏡所見・組織所見の3領域、各0〜6点・合計18点満点での活動性を採点し、7点以上を診断とする。
  • mPDAIは組織所見を省いた症状+内視鏡所見の2領域・12点満点の簡略版で、5点以上をとする。
  • mPDAIはPDAIに近い診断精度を持ち、生検を要さないため日常臨床で広く使われる。一方PDAIは組織評価のコストと煩雑さから主に研究用途にとどまる。
  • 単独は感度が低く、内視鏡評価と組み合わせて用いる。
  • いずれのスコアもの除外やパウチ異形成の代わりにはならない。

出典

  1. 1.Pouchitis after ileal pouch-anal anastomosis: a Pouchitis Disease Activity Index(Mayo Clinic Proceedings・1994)PDAIが症状・内視鏡所見・組織学的所見の3領域(各0〜6点、合計18点満点)で構成され、総スコア7点以上を回腸嚢炎の診断基準としたという1994年原典の位置づけを確認した。閲覧 2026-08-20
  2. 2.Disease Activity Indices for Pouchitis: A Systematic Review(Inflammatory Bowel Diseases・2021)PDAIが症状・内視鏡所見・組織学的所見の3項目からなる18点満点の指数で活動性回腸嚢炎をスコア7点以上と定義すること、PDAIは内視鏡・組織評価のコストと算出の煩雑さ、組織判定が出るまでの時間差から主に研究用途にとどまっていることを本文で確認した。同レビューはmPDAIのカットオフ・感度をShen原著と異なる数値(>5点・感度100%・AUC 0.995)で言い換えて記載しており、本ノートのカットオフ・感度・特異度はShen原著抄録の数値(5点以上・感度97%・特異度100%)を優先した。閲覧 2026-08-20
  3. 3.Modified pouchitis disease activity index: a simplified approach to the diagnosis of pouchitis(Diseases of the Colon & Rectum・2003)組織学的評価を省き症状・内視鏡所見の2領域(各0〜6点、合計12点満点)で算出するmPDAIを2003年に提案し、項目・配点はPDAIの症状・内視鏡領域と同一であること、カットオフを5点以上とした場合にPDAI(≥7点)を基準として感度97%・特異度100%が得られたことを、原著抄録("Establishing a cut-point of five or more for diseased patients resulted in a sensitivity equal to 97 percent and specificity equal to 100 percent")で確認した。閲覧 2026-08-20
  4. 4.A Comparative Analysis of Clinical Symptoms and Modified Pouchitis Disease Activity Index Among Endoscopic Phenotypes of the J Pouch in Patients With Inflammatory Bowel Disease(Crohn's & Colitis 360・2024)症状の感度は低く、内視鏡的炎症所見を有する患者の多くが症状を訴えないと報告されていることを、序文で確認した。閲覧 2026-08-20