外科学

外科学 · B/20

炎症性腸疾患の外科的側面

Inflammatory bowel disease - surgical aspects

前提:病態
炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)免疫薬理学II(サイトカイン遺伝子発現阻害薬・5-ASA誘導体)
疾患
回腸嚢炎残存直腸炎短腸症候群
症状
テネスムス潜在性出血腹部膨満
スコア
Travis(Oxford)基準Truelove & Witts基準回腸嚢炎疾患活動指数

ポッドキャスト

🧠 Crohn病と(UC)は「深さ」と「範囲」で対比して覚える。 Crohn病は消化管のどこにでも起こりうる炎症で、UCはに限局し直腸から連続的に広がる炎症である。この違いがそのまま外科の原則の違いになる——Crohn病は再発とを避けるため腸管を残す方向へ、UCは大腸・直腸を取り切る方向へ進む。 したがって手術適応もUCとCrohn病で別々に覚える:UCに特有なのは異形成・大腸癌と、内科治療に反応しない急性重症大腸炎、Crohn病に特有なのは狭窄・瘻孔・である。と穿孔は両者に共通する緊急事態で、とくにUCで問題になる。

1. 総論

=消化管の頻度の高いの総称:

  • Crohn病

2. Crohn病

病因不明の疾患で、消化管のを特徴とする:

  • 消化管のどの部位にも発生しうるが、多くはに発生
  • 経過: 症状の間欠的な増悪と寛解の反復が典型的

⭐ 「」は組織像の話にとどまらない——これがCrohn病の外科的合併症をすべて説明する。 の炎症はで止まるのに対し、Crohn病の炎症は粘膜→→→漿膜と壁を貫く。壁を貫いた炎症は腸管の外へ出るので、穿通とを起こす。 Crohn病に特有の外科適応(瘻孔・)も、線維化による狭窄も、この一点から出ている。

病因・病態生理

、環境因子、の相互作用により、応答の異常との低下が生じる。

カテゴリ 因子
環境因子 喫煙(リスク2倍)、小児期の抗菌薬使用、経口避妊薬、、低繊維食
腸内産生を誘導

💡 がを破壊し、病原性細菌の増殖を許すことがCrohn病の主要な誘因の一つ。 正常フローラが死滅すると、(Enterobacter、Escherichia、Klebsiella、Proteus、、、Yersinia)が増加し、がに完全に変化する。は患者の30%に検出される。

症状

:

  • : 患者・のいずれにも見えない消化管出血——につながりうるため、便中血液の有無を必ず確認する
  • 体重減少と吸収不良()
  • 非血性の遷延性下痢+(限局例では痛として現れやすい)
  • 倦怠感、発熱

診断

  • 内視鏡: 回結腸型Crohn病の標準的診断法は——潰瘍、ポリープ様粘膜変化()

  • ワイヤレス: ・内視鏡・送信機を内蔵した小型カプセルを嚥下し、消化管内の通過をモニターで観察——小腸型Crohn病の・の評価に利用が拡大

  • 画像診断(「」と位置づけられる): はの検出に有用で、内視鏡が届きにくい範囲を含めと腸管外の合併症を一度に見られる

  • 臨床検査: 鉄欠乏性/B12欠乏性貧血、白血球・上昇、/上昇(炎症の指標)

💡 内視鏡と画像は競合しない。 内視鏡は粘膜を直接見て生検できるが、の病変(壁の厚み・膿瘍・瘻孔)は内腔からは見えない。疾患であるCrohn病で画像が「標準」と言われるのはこのためで、手術適応を決める情報(狭窄が線維性か炎症性か、膿瘍や瘻孔があるか)は画像でしか取れない。

内科治療と、外科の位置づけの変化

⚠️ この「無効になってから上げる/それでも最強」という順番は、治療を段階的に上げていく時代の書き方である。 使える薬剤の種類・適応・投与順序は国ごとの承認内容と各学会のガイドラインで異なるため、どの国のどの文書の話かを断らずに「第一選択」「最も強力な薬」と順位づけない。 外科側の位置づけも動いている——従来治療に反応しない非の炎を対象としたLIR!C試験では、はに対して1年後の生活の質で少なくとも同等(SF-36ではむしろ良好)かつ費用が有意に低く、5年時点で手術群は1例も再切除を要さなかったのに対し、抗群は半数が手術に至った。総説はこれを踏まえ、Crohn病の手術は最後の手段ではなく多職種管理の中で前倒しされつつあるとしている1。

💡 ただしこれは「限局した炎で、従来治療が効かなかった患者」の話である。 試験の組入れ基準を超えて「Crohn病はまず手術」と一般化しない。

3. 潰瘍性大腸炎

  • 炎症は大腸のに限局し、繰り返しする。
  • 直腸を高頻度に侵す。
  • 数週間続く血性下痢の発作(→重度の貧血)。
  • 間欠的な増悪と、完全な症状寛解の長期間がに現れる。

臨床像

  • 血液を伴うことが多い下痢
  • (鋭く限局性)、、、
  • 頻回の血液・粘液排出
  • 全身症状:発熱、倦怠感、体重減少
  • 重症度(軽症/中等症/重症)は臨床管理と長期予後の予測に用いる。この重症度を線引きしているのがTruelove & Witts基準(1日の血性排便回数に、発熱・頻脈・貧血・高値といった全身性の毒性所見を組み合わせる)で、外科側が「急性重症」と呼ぶのはこの基準で重症と判定された状態を指す

腸管外症状

関節炎(最頻)、皮膚病変+(ぶどう膜炎・)、肝胆道系(、、自己免疫性肝疾患)、静脈・、。

診断

  • 4週間を超えるの存在
  • 内視鏡での活動性炎症の所見
  • 生検での慢性変化(組織学的診断が必須):、萎縮、の・形質細胞増多・リンパ球・好酸球増多
  • 臨床:貧血、≥30mm/時+、下痢・脱水による電解質異常

急性重症潰瘍性大腸炎——「何日目に何を見るか」

⭐ 急性重症の外科判断は、印象ではなく日数を区切った再評価で行う。 Truelove & Witts基準で重症と判定して静注ステロイドを開始したら、3日目にTravis(Oxford)基準(排便回数と)で反応を判定する。

判定の時点 見るもの 意味
治療3日目 1日8回を超える排便 その入院中に大腸切除へ至る確率が85%2
治療3日目 排便回数3〜8回かつ CRP >45 mg/L 同じく約85%2
治療7日目 1日3回を超える排便、またはが残る(不完全) その後の経過で60%が症状遷延、40%が大腸切除2

💡 3日目の指標は「切除を宣告する線」ではなく「次の一手を決める線」である。 この予測に当てはまる患者では、内科側は(または)へ移るか手術へ進むかを直ちに決める必要がある——合併症を伴わない急性重症大腸炎ではステロイドが基準治療、とがという順序で、各治療段階の前後で毎回「手術」が選択肢として検討される3。原著は静注・注腸で治療された51エピソードの前向き研究で、うち14エピソードにが併用されている点に注意する2。

⚠️ 大腸拡張・穿孔・大量出血・臓器不全のいずれかを伴う場合は、この日数の枠に乗せず(亜)全結腸切除の緊急手術に進む3。

急性合併症

flowchart TD
  A["UCの急性合併症"]
  A --> B["重症出血(患者の最大10%)"]
  A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fulminant colitis'>劇症大腸炎</span><br>1日10回超の下痢+脱水・持続出血・毒性症状"]
  C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='toxic megacolon'>中毒性巨大結腸症</span><br>炎症が大腸壁<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deep'>深層</span>に波及→毒性拡張"]
  D --> E["大腸穿孔<br>腹膜炎・死亡リスクが著明に上昇"]
  A --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='rectosigmoid'>直腸S状部</span>の良性狭窄(UCの約10%)→閉塞"]
  A --> G["大腸癌リスク上昇<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='extent of involvement'>罹患範囲</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='duration of disease'>罹病期間</span>が主要因子)"]
  • 重症出血: 患者の最大10%
  • : 急激発症の重症大腸炎。1日10回超の水様//血性下痢→脱水!持続出血、腹痛、腹部膨満、発熱・を伴う急性の重篤な中毒症状
  • : 腫脹と炎症が大腸壁のより深い層へ波及した際に生じる大腸の毒性拡張。診断は「非閉塞性の大腸拡張」という画像所見だけでは決まらず、全身毒性の所見と組み合わせて判定する
  • 大腸穿孔: 多くはの結果として発生し、腹膜炎と死亡のリスクが著明に上昇する
  • の良性狭窄(UCの約10%)による閉塞
  • 大腸癌リスクの上昇(とが重要な危険因子)

⚠️ で外科が見ているのは「穿孔する前に切れるか」の一点である。 輸液・電解質と貧血の補正、、静注ステロイド、イレウス管といった初期保存的治療を行っても、発症から24〜72時間以内に所見が改善しなければ手術適応になる。の穿孔は24%と報告され、穿孔を伴わずに手術できた場合の死亡率は10%未満、穿孔を伴うと40〜50%へ跳ね上がる4。A/10: 腹膜炎の緊急がそのまま適用される。

💡 「様子を見る」の代償が非対称だから、判断の線が日数で引かれている。 保存的治療を続ければ大腸の一部を救える可能性はあるが、その延長線上に穿孔があり、穿孔の有無だけで死亡率が4〜5倍動く。⚠️ ステロイド投与中はが隠蔽されやすく、所見に乏しいまま穿孔が進むことがあるため、所見が軽いことを手術を遅らせる理由にしない。

4. IBDの治療

術前の対応

診断的対応:

  1. (出血していても低用量LMWHを使用)
  2. 感染症(ウイルス・細菌)の除外
  3. アルブミン、血算、の確認
  4. なしの直腸S状結腸鏡検査

対応:

  1. 無効の場合 → 抗療法または

手術(合併症発生時、または初期治療への反応不良時)

⚠️ 手術適応を「の適応」としてひとまとめに覚えない。 緊急・の並びは似ているが、の中身はUCとCrohn病で原則が逆になる——UCでは大腸・直腸を取れば大腸病変そのものが無くなるので「取り切る」方向へ進み、Crohn病は消化管のどこにでもしうるので「できるだけ残す」方向へ進む。UC特有の適応である異形成・大腸癌も、Crohn病特有の適応である瘻孔・・線維性狭窄も、混ぜて並べると消えてしまう。

適応(疾患別に分けて覚える):

Crohn病
緊急 、制御不能な大量出血、臓器不全を伴う大腸拡張3 、高度出血、の破裂
4。静注ステロイドと(/)に反応しない急性重症大腸炎3 劇症、、治療抵抗性の急性大腸炎1
内視鏡的に切除できない異形成・大腸癌、薬物療法で制御できない持続活動性、34 症候性の狭窄・閉塞、、症候性の瘻孔、薬物治療抵抗性1

⭐ UCので見落とされやすいのが異形成・癌である。 とに応じた監視でこれを拾うことが、UC外科の適応の大半を占める。異形成病変を検出したらと多数生検で病理学的に確認し、は選択例に限る3。

Crohn病——腸管を残す

  • 重症・劇症の(・穿孔・高度出血を含む)では、(亜)全結腸切除++直腸断端のHartmann閉鎖を行うことが多い。急性大腸炎の緊急手術は最大51%に合併症を生じ、死亡率はなお5〜10%である1
  • 切除は可能な限り最小限にとどめる——繰り返す切除の先にあるのがだからである
  • 狭窄には、病変の性状(炎症性か線維性か)と長さに応じてまたはを選ぶ

の適応と禁忌(いずれも腸管温存が目的)1:

項目 内容
手術を考える状況 でに乏しい線維性優位の狭窄。とくに狭窄前拡張がある、または閉塞症状がある場合
術式の選び方(狭窄長) 10 cm未満=Heineke-Mikulicz法/10〜25 cm=Finney法/長い区域や近接する多発狭窄=等蠕動性側々(Michelassi)法で68 cmまで
最大の利点 腸管がほぼ温存される。とくに100 cmを超える切除歴がある患者で価値が高い。必要なら多発狭窄に複数箇所行える
⚠️ 禁忌 活動性出血を伴う粘膜病変、、癌、の蜂窩織炎
大腸では はまれにしか行わない。技術的な難しさに加え、狭窄した大腸Crohn病では癌のリスクが高いため

💡 「線維性か、炎症性か」が最初の分岐である。 に乏しい線維性狭窄では薬物治療が効く見込みが低く、内視鏡的と薬物治療が失敗したか不適と判断された時点で手術に進む。逆に炎症性優位なら薬物治療が本筋になる1。

潰瘍性大腸炎——回腸嚢肛門吻合術

  • 標準術式は・+で、と全身状態に応じて1期・2期変法・3期のいずれかで行う3
  • 3期に分けるときの流れ: ①大腸切除(この時点では直腸を残す)+一時的 → ②と(で便流を迂回させたままを治癒させる) → ③の閉鎖。最終的に回腸嚢が「新しい直腸」として働く
  • 急性期の緊急手術ではな骨盤操作と回腸嚢作成を避け、まず(亜)全結腸切除+でしのぎ、全身状態が回復してから再建を計画する34
  • 主な合併症: 瘻、回腸嚢に関連する瘻、回腸嚢症候群、、長期の消化器症状と3
  • 代替術式: 選択例では結腸全摘+、または永久3

回腸嚢の形(回腸を折り返す脚の数で呼び分ける):

型 脚の数 回腸嚢の長さ
J型 2脚 15〜20 cm
S型 3脚 15 cm(肛門側に約2 cmの流出脚を残す)
W型 4脚 12 cm

💡 脚を増やすほど少ない長さで容量を稼げるが、作製は煩雑になる。 S型で肛門側に残す流出脚の長さが約2 cmと指定されているのは、ここが長くなると回腸嚢からの排出が妨げられるためである。実際にはJ型が最も広く使われる。

⚠️ はCrohn病の標準術式ではない。 大腸全体がCrohn病に侵されていても、+が選べるのは肛門周囲病変と小腸病変が無いごく一部の症例に限られる。適応を誤った回腸嚢(たとえばと考えてしたが後にCrohn病へ再分類された例)では、慢性瘻孔・狭窄・・回腸嚢のCrohn病・から回腸嚢機能廃絶に至る頻度が上がる1。

💡 Crohn病は腸管温存、UCは大腸病変の除去——ただしUCも「切れば終わり」ではない。 回腸嚢を作った後も・骨盤内合併症・機能の問題が続き、残存直腸やには癌の監視が要る。手術は大腸の炎症を止めるが、患者の管理を終わらせるわけではない3。

まとめ

  • Crohn病は・非血性下痢・好発が特徴で、は切除を最小限にとどめるのが原則(であり再発を防げないため)。線維性優位の狭窄にはで腸管を温存するが、活動性出血・瘻孔・癌・の蜂窩織炎があれば行わない。
  • は限局・血性下痢・直腸好発が特徴で、・+が標準手術となる。1期・2期変法・3期のいずれで行うかをと全身状態で決め、回腸嚢はJ型(2脚・15〜20 cm)が最も広く使われる。・瘻・骨盤内合併症は術後も続く問題で、「切れば終わり」ではない。
  • 手術適応はUCとCrohn病で分けて覚える。 ではUCに異形成・大腸癌、Crohn病に狭窄・瘻孔・という別々の柱がある。
  • 急性重症は日数を区切って評価する——3日目に1日8回超の排便、または3〜8回かつ >45 mg/Lなら、その入院中に大腸切除へ至る確率が85%。
  • は保存的治療で24〜72時間以内に改善しなければ手術適応。穿孔の有無で死亡率が10%未満から40〜50%へ動く。
  • 診断はCrohn病が内視鏡()+、UCが内視鏡+生検(等の組織学的所見)が中心。
  • 内科的治療は→生物学的製剤が両疾患共通の主軸だが、薬剤の選択順序は国の承認内容とガイドラインで異なるため、国を書かずに順位づけない。手術も「最後の手段」ではなく、症例によっては早期に組み込まれる。

(B/19)はの長期合併症としても発生しうるため、・に応じたの文脈で両者を関連づけて理解するとよい。

出典

  1. 1.Surgical management of Crohn's disease: a state of the art review(International Journal of Colorectal Disease・2021)全文(PMC8119249)で確認した。狭窄形成術は腸管を温存する術式で、狭窄した腸管の長さで術式を選ぶ——Heineke-Mikulicz法は10 cm未満、Finney法は10〜25 cm、等蠕動性側々(Michelassi)法は68 cmまでの区域に用いる。禁忌は活動性出血を伴う粘膜病変・瘻孔形成・癌・腸管壁の蜂窩織炎である。大腸の狭窄に狭窄形成術を用いることは稀で、技術的な難しさと腸管温存の必要性の低さに加え、狭窄した大腸Crohn病では癌のリスクが高いことが理由として挙げられている。重症・劇症のCrohn大腸炎(中毒性巨大結腸症・穿孔・高度出血を含む)では(亜)全結腸切除+終末回腸瘻造設+直腸のHartmann閉鎖が主で、急性大腸炎の緊急手術は最大51%に合併症を生じ、死亡率は近年低下したがなお5〜10%である。LIR!C試験は従来治療に反応しない非複雑性の終末回腸炎を対象に腹腔鏡下回盲部切除と抗TNF薬を比較し、1年後の生活の質は手術群が少なくとも同等(SF-36では良好)、費用は有意に低く、5年時点で手術群は1例も再切除を要さなかったのに対し抗TNF群は半数が手術を要した。総説自身の結論は、手術が最後の手段ではなく多職種管理の中で前倒しされつつあるというものである。閲覧 2026-09-21
  2. 2.Predicting outcome in severe ulcerative colitis(Gut・1996)抄録で確認した。Truelove & Witts基準で重症と判定された急性重症潰瘍性大腸炎の51エピソード(49例)を静注および注腸ヒドロコルチゾンで治療した前向き研究で、治療3日目に1日8回を超える排便がある例、または排便回数が3〜8回でCRPが45 mg/Lを超える例の85%が、その入院中に大腸切除を要すると予測できた。7日目に1日3回を超える排便または肉眼的血便が残る不完全奏効例は、その後の経過で60%が症状遷延、40%が大腸切除に至った。51エピソード中14エピソードでシクロスポリンが併用されている。閲覧 2026-09-21
  3. 3.Indications, modalities, and outcomes of surgery for ulcerative colitis in 2024(Journal of Visceral Surgery・2024)出版社の本文は取得できず抄録のみを閲覧した。抄録の逐語によれば、合併症を伴う急性重症大腸炎(大腸拡張・穿孔・出血・臓器不全)には(亜)全結腸切除の緊急手術を要し、合併症を伴わない急性重症大腸炎ではステロイドが基準治療でインフリキシマブとシクロスポリンが二次治療である。異形成病変を検出した場合は色素内視鏡と多数生検による病理学的確認を要し、内視鏡的治療は選択例に限られる。標準術式は大腸全摘・直腸切除+回腸嚢肛門吻合で、1期・2期変法・3期のいずれかで行う。主な合併症は吻合部瘻・回腸嚢関連の瘻・回腸嚢症候群・回腸嚢炎と、長期の消化器症状および性機能障害である。選択例では結腸全摘+回腸直腸吻合や永久終末回腸瘻が代替となる。閲覧 2026-09-21
  4. 4.Surgical Management for Patients with Toxic Megacolon due to Ulcerative Colitis(Journal of the Anus, Rectum and Colon・2024)全文(PMC11286374)で確認した。輸液・電解質補正・貧血の補正・広域抗菌薬・静注ステロイド・イレウス管挿入といった初期保存的治療で発症から24〜72時間以内に所見が改善しなければ手術適応となる。中毒性巨大結腸症の穿孔発生率は24%と報告され、穿孔を伴わずに手術できた場合の死亡率は10%未満だが、穿孔を伴うと40〜50%へ上昇する。自験14例では78.6%が結腸全摘+終末回腸瘻を受けており、分流ストーマ造設のみでは不十分とされる。潰瘍性大腸炎で外科的介入を要する病態として、中毒性巨大結腸症のほかに穿孔・制御不能な出血・癌・高度異形成が挙げられている。閲覧 2026-09-21