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Travis(Oxford)基準

Travis (Oxford) criteria

別名
Oxford基準3日目ルール
臓器系
消化器
科目
Surgery
トピック
外科学 B/20:炎症性腸疾患の外科的側面
構成:検査値
C反応性蛋白(CRP)

🧠 全体像:Travis(Oxford)基準は、のがTruelove & Witts基準で重症と判定され静注ステロイドを開始した後、治療3日目という決まった時点で「排便回数」と「CRP」だけを見て、そのままステロイドを続けるか・手術へ進むかを決めるための予測ルールである。印象で「良くなってきた/いない」を判断するのではなく、日数を区切った再評価を制度化した点が臨床的な意義になる。

目的と適用場面

内容
目的 急性重症の静注ステロイド治療への反応性を予測し、・手術へ進む判断を早める
対象 Truelove & Witts基準で重症と判定され、静注ステロイドによる治療を開始した入院患者
使う場面 ステロイド開始から3日目の再評価
評価しないもの 重症かどうかの初期判定そのもの(それはTruelove & Witts基準が担う)、内視鏡的重症度

構成要素と配点

加算式のスコアではなく、3日目時点で次のいずれかを満たせば「陽性」(=ステロイド不応と予測)と判定する1。

治療3日目の所見 判定 その後の経過
1日の排便回数8回超 陽性 その入院中に大腸切除へ至る確率が約85%2
排便回数3〜8回かつ CRP 45 mg/L超 陽性 同じく約85%2
上記のいずれも満たさない 陰性 ステロイドを継続し経過観察

⚠️ 原著は7日目の指標も併せて報告している——1日3回を超える排便、またはが残る不完全例は、その後の経過で60%が症状遷延、40%が大腸切除に至る2。3日目の基準ほど鋭い予測力ではないが、3日目に「陰性」でも油断できない根拠になる。

解釈とカットオフ

  • 3日目に陽性:静注ステロイドのみで様子を見ず、(または)または手術を直ちに検討する。
  • 3日目に陰性:ステロイドを継続するが、7日目の指標(排便3回超または血便残存)も引き続き確認する。
  • 2026年のでは、入院3日目のTravis基準がステロイド不応の予測因子として153.1(感度92.6%・特異度92.5%)を示し、入院時点のスコアより優れていた1。「入院時にどれだけ重症か」より「3日目にどれだけ反応したか」の方が予測力が高い、という位置づけを裏づける。

限界と使ってはいけない場面

⚠️ 大腸拡張・穿孔・大量出血・臓器不全のいずれかを伴う場合は、3日目まで待たず(亜)全結腸切除の緊急手術に進む。 この基準は「待てる患者」の再評価ルールであり、緊急手術の適応を遅らせる根拠にしてはならない。

⚠️ 原著は静注・注腸で治療された51エピソードの前向き研究であり、うち14エピソードにが併用されている点に注意する2。生物学的製剤が主流になった現在の治療体系にそのまま外挿するときは、この背景を踏まえる。

⚠️ Truelove & Witts基準で重症と判定されていない患者(軽症・中等症)には適用しない。あくまで重症と判定され治療を開始した後の反応性評価に限る。

まとめ

  • Travis(Oxford)基準は、Truelove & Witts基準で重症と判定された患者の静注ステロイド開始3日目に、排便回数とだけで反応性を予測する。
  • 「1日8回超の排便」または「排便3〜8回かつ 45 mg/L超」のいずれかを満たせば陽性で、約85%がその入院中に大腸切除に至る。
  • 3日目に陽性なら(・)または手術を直ちに検討する。
  • 大腸拡張・穿孔・大量出血・臓器不全を伴う緊急事態には、この3日目ルールを待たず緊急手術に進む。

出典

  1. 1.Early Predictors of Steroid Failure in Acute Severe Ulcerative Colitis: A Retrospective Study With the Evaluation of the Admission Model for Intensification of Therapy in Acute Severe Colitis (ADMIT-ASC) Score(Cureus・2026)全文(PMC13189035)で確認した。Travis(Oxford)基準を「1日8回超の排便、または排便回数3〜8回かつCRP 45 mg/L超」で陽性と定義し、原著(Travis SP et al. Gut 1996)を引用している。この論文自身の後方視的コホートでは、入院3日目のTravis基準(Travis score at day three)がステロイド不応(結局は救援療法・手術に至る)の最も強い予測因子(オッズ比153.1、感度92.6%、特異度92.5%)で、入院時点のADMIT-ASCスコアより高い予測性能を示したと報告している。閲覧 2026-09-22
  2. 2.Predicting outcome in severe ulcerative colitis(Gut・1996)抄録で確認した。Truelove & Witts基準で重症と判定された急性重症潰瘍性大腸炎の51エピソード(49例)を静注および注腸ヒドロコルチゾンで治療した前向き研究で、治療3日目に1日8回を超える排便がある例、または排便回数が3〜8回でCRPが45 mg/Lを超える例の85%が、その入院中に大腸切除を要すると予測できた。7日目に1日3回を超える排便または肉眼的血便が残る不完全奏効例は、その後の経過で60%が症状遷延、40%が大腸切除に至った。51エピソード中14エピソードでシクロスポリンが併用されている。閲覧 2026-09-22