外科学

外科学 · A/10

腹膜炎の診断と治療

Peritonitis. Diagnosis and treatment

前提:病態
虫垂・腹膜の病理
前提:正常
腹部:腹膜
疾患
横隔膜下膿瘍細菌性肝膿瘍腹膜炎・消化管穿孔
画像所見
腹腔内遊離ガス

ポッドキャスト

🧠 一次性は「腹腔内に感染源がない」、二次性は「腹腔内に感染源がある」、は「取り除いたはずの感染源の後に残った」。 は肝硬変・腹水患者や乳幼児に生じ、は虫垂炎・穿孔・外傷・術後合併症など腹腔内のが波及したもので、は二次性の後も感染が遷延したものである。診断では原因を同定し、が必要かを迅速に判断する。1

1. 定義と分類

  • = の。

まず「非複雑性か複雑性か」で分ける

の全体を貫く分類が先にある。非は感染が単一臓器にとどまり腹膜へ及んでいないもので、外科的なか抗菌薬のどちらかで管理できる。は感染が臓器を越えて広がり、限局性またはの腹膜炎を起こしたもので、と抗菌薬の両方が要る。つまり「腹膜炎になった時点で」であり、この線が治療の組み立てを決める2。

一次性・二次性・三次性

型 定義 典型例
一次性 消化管のが保たれたまま起こるびまん性の細菌感染で、手術で探しても感染源が同定されない。まれ 肝硬変・腹水を背景とする、関連腹膜炎
二次性 消化管のの破綻、あるいは感染した臓器そのものから生じる急性の腹膜感染。最も多い型 穿孔性消化性潰瘍、虫垂炎、、虚血性腸壊死、
のが一見うまくいった後も、感染が遷延・するもの 重症・免疫抑制患者の持続性

一次性腹膜炎

  • 腹腔内に他の原因がない状態での腹膜の炎症。
  • 授業資料は典型的な起因菌としてを挙げ、は血流と考えられるとしている。⚠️ ただし起因菌は患者集団によって大きく異なる。肝硬変・腹水に伴うでは腸内細菌科のグラム陰性桿菌が優位で、抗菌薬の選択もそれに従う(詳細は を参照)。
  • 発生する集団は肝硬変・腹水の患者だけではない。のガイドラインは逐語で「まれであり、乳児期・幼児期および肝硬変患者に主に起こる」と述べている。小児のを「肝硬変がないから違う」と切らない2。
  • の対象になるがそもそも存在しないため、治療の中心は抗菌薬であり手術ではない。診断はによる細胞数・培養で行う。

二次性腹膜炎

  • 腹腔内の別の炎症巣から波及した腹膜の炎症。圧倒的多数を占める。
  • 腹腔内臓器の炎症からの細菌の移行(例:虫垂炎、、膵炎、)→ 、憩室疾患、腫瘍、虚血性腸管、上部消化管穿孔
  • 外傷(例:)
  • 術後合併症(例:漏出、腸管損傷)。術後期のではが代表的な原因である2

感染源はどこから来るか(部位別の一覧)

授業資料は、・の原因を腹部の解剖図に配置して示している。上腹部・中腹部だけでなく骨盤内のまで含むのが要点である。

部位 原因
上腹部 、穿孔性、穿孔性、
中腹部 Meckel憩室、急性腸閉塞、急性、急性
骨盤内 卵巣、、急性、

⚠️ 痛の女性で虫垂炎だけを考えない。 卵巣・・・は同じ場所に同じような痛みを出し、しかもは破裂すればになる。なら検査を外さない。

⭐ のでは虫垂炎・胆嚢炎・消化管穿孔が大半を占め、ではやが大半を占める。起因菌はグラム陽性菌・グラム陰性菌・嫌気性菌・真菌にまたがり、ではの可能性が上がる1。

⭐ の予後は原因臓器だけでなく、敗血症・臓器不全の有無、重症度、の成否に大きく左右される。1

三次性腹膜炎(遷延性腹膜炎)

  • に対する外科的なが一見成功した後に起こる腹腔内の感染。実際にはからの回復が完了していない状態である。
  • 重症患者・免疫抑制患者に多く、が関与しやすい。・死亡率が高い。
  • ⚠️ かつては独立した病態として扱われたが、現在はの進展・合併症と理解されており、「遷延性腹膜炎」「持続性腹膜炎」という呼び方のほうが実態に合うとされる。別の病気ではなく、長引いて耐性菌に置き換わったである。
  • 治療は必要時の再開腹と抗菌薬で、耐性菌のリスクに応じてレジメンを組む3。

2. 臨床像

臨床経過は大きく2パターンに分かれる。

  1. 早期・びまん性の感染 → 限局性またはの腹膜炎
  2. 晩期・限局性の感染 → の形成

症状

  • 肩・背部に放散する腹痛・圧痛(体動・咳・くしゃみで増悪)
  • : 炎症を起こした臓器を圧痛から守るために腹壁の筋肉を緊張させる防御反応
  • その他: 発熱、悪心・嘔吐、頻脈、低血圧、敗血症

3. 重症度の評価

授業資料の原因別・重症度別の整理(古典的分類)

授業資料は、原因疾患を3段階の重症度に割り付け、それぞれに死亡率を添えた表を示している。古い文献に由来する分類で、数値は現在の治療成績を表さないが、「どの原因臓器が重いか」という順序の感覚をつかむには有用である。

重症度 原因 表に記載された死亡率
軽症 虫垂炎、穿孔性潰瘍、急性 10%未満
中等症 (限局した穿孔)、非血管性の小腸穿孔、、 20%未満
重症 大腸穿孔、虚血性小腸損傷、急性、術後合併症 20〜80%

⚠️ この表の死亡率を現在の数字として引用しない。 を前向きに登録した国際研究(WISS study、4,533例)の全体死亡率は9.2%(416/4,533例)である3。表の「重症20〜80%」は幅が広すぎて個々の患者の予後を語れない。

現在の重症度の見方

予後を決めるのは原因臓器そのものよりも、臓器障害の有無と、が成功したかである。

  • 敗血症(の定義) = 感染に対する制御不能なによって生じた、生命を脅かす臓器障害。臓器障害はの2点以上の上昇で表す
  • = を要して65 mmHg以上を保ち、かつ血清が2 mmol/L(18 mg/dL)を超える状態(がないことが前提)。「」という区分は廃止された
  • qSOFA = ①Glasgow Coma Scale 13点以下 ②100 mmHg以下 ③呼吸数22/分以上 のうち2項目以上。これに該当する患者は転帰が悪くなりやすいため、で敗血症として評価し直す3

💡 腹膜炎で「重症かどうか」を問うことは、実質的に「敗血症・に入っているか」「感染源をいま制御できるか」を問うことである。原因疾患名から死亡率を読み取るのではなく、臓器障害の指標との見通しで層別化する。

4. 合併症

5. 診断

  • 画像検査は原因や腹腔内合併症の同定に有用であり、と併せて手術適応を判断する。1
  • 授業資料は腹部を診断の第一選択とし、その目的を「の位置の同定」と「の除外」の2つに置いている。前者は今も正しく、循環が保たれている患者では静注造影CTが穿孔部位・遊離ガス・膿瘍・原疾患・を最もよく評価する。ただし不安定な患者を室へ運ぶ危険がある場合は、で遊離液を確認しながら蘇生と手術判断を進める

⚠️ はを呈しうるが、「手術禁忌」と一律には扱わない。病型と合併症に応じてが必要になるため、腹膜炎の原因との適応を評価する。4

  • : 上昇、、上昇=膵炎を示唆
  • を疑うときはで細胞数(好中球数)と培養を出す。感染源を探す画像ではなく、腹水そのものを見る検査が診断を決める

6. 治療

早期治療

  • が疑われる重症例では、と並行して経験的抗菌薬を速やかに開始し、とに応じて調整する。1
  • 経験的抗菌薬は「速やかに処方し、関与しうる微生物を、危険因子に基づいてすべて覆う」ように組む。と真菌も対象に含めるかどうかを危険因子で判断し、投与量はに合わせて調整する1
  • 支持療法として、・人工呼吸の最適化・循環と輸液の監視・腎機能の改善・栄養・抗凝固を組み合わせる1

ソースコントロール(感染源制御)とは何か

感染源を除去し、細菌の量を減らし、解剖学的な破綻を是正または制御して正常な生理機能を回復させるための、すべての手段をと呼ぶ。外科的介入の目的は次の3つである2。

  1. 感染(腹膜炎)の原因を特定する
  2. をドレナージする
  3. 腹腔内敗血症の起点を制御する
  • 具体的な手段: 膿瘍・感染貯留のドレナージ、壊死・感染組織の、汚染源の確定的な制御。実際の術式は、穿孔・病変臓器の切除または縫合閉鎖(、穿孔)、感染臓器の摘出(虫垂、胆嚢)、壊死組織の、虚血腸管の切除、穿孔の修復・切除とまたはである3
  • 非な手段: 超音波・の。適切に選ばれた患者では安全かつ有効である。失敗の主因は膿瘍の大きさ・広がり・複雑さ・位置のである3
  • 時間: 確立した感染源はできるだけ早く完全に制御する。でを受けた敗血症患者の研究では、わずか3〜6時間の遅れが死亡率の上昇と関連していた3
  • ⚠️ には全身麻酔が要るため、医療資源の乏しい地域では搬送の遅れがそのまま予後に響く。は罹患臓器・症状の進行速度・患者の生理学的安定性で決まる2

二次性腹膜炎の外科的管理

授業資料は外科的管理を3本柱で整理している。

柱 内容
①感染源の除去 穿孔部の閉鎖・切除、感染臓器の摘出、壊死・虚血腸管の切除
②腹腔内のの軽減 汚染の除去
③遷延性・再発性の予防 、ドレーン、計画的、創を開放したままの管理()

⚠️ ③に並ぶ4つの手段は、いずれも「必ず行うもの」ではなく「適応を選んで用いるもの」である。 以下でそれぞれの現在の位置づけを見る。

  • : 従来はが広く行われてきたが、を対象とした複数の症例集積と1件ので、肉眼的な汚染を取り除く吸引と限定的な洗浄が、と同等に有効であることが示されている3
  • ドレーン: 感染貯留をドレナージするという目的があるときに置く。予防目的の留置は病態ごとに評価が分かれており、たとえば虫垂炎の後には、成人ではドレーンを置かないことが強く推奨されている(虫垂炎を参照)
  • 計画的 / 必要時: 下記
  • : 下記

再手術は「計画的」か「必要時」か

計画的再開腹 必要時再開腹
実施の仕方 腹腔内の炎症が消えるまで36〜48時間ごとに、検索・ドレナージ・のために繰り返し開腹し、炎症が消えたら閉腹する 患者が悪化または改善しないときに限り、かつ所見が追加手術の明らかな利益を示すときに行う
利点として挙げられてきたもの 消化管瘻・遅発性ヘルニアの危険を減らし、資源利用を最適化できるとされた 不要な再開腹を避けられる
  • 重症腹膜炎232例(各群116例)をした2007年の試験では、必要時再開腹群の有害転帰のは計画的再開腹群より有意に低くはならなかった。⚠️ 「必要時のほうが助かる」という試験ではない。差が出たのは資源の側で、再開腹の回数・医療資源の使用・医療費が大きく減り、滞在の中央値は7日対11日(P=0.001)、の中央値は27日対35日(P=0.008)、患者あたりの直接医療費は23%減少した3
  • したがってはルーチンに計画せず、厳重なモニタリング下で必要時に判断する1

損傷制御手術と開放腹

  • : 生命を脅かす状況では、損傷制御の考え方が時間を稼ぎ安定を得るための最も安全な方法である1。腹部敗血症で生理学的に破綻した患者に有用でありうる。初回手術は敗血症の制御だけに集中し、消化管のは、生理学的な蘇生期間をはさんだ2回目の手術で扱う。 これによりの制御と率の向上の両方が期待できる3
  • 一時閉鎖: 初回手術で内臓浮腫のため筋膜のができない場合は、陰圧式の一時閉鎖器具を用い、数日かけて段階的に閉じていく3
  • ⚠️ は「必要時再開腹」とは正反対の原則である。 必要時再開腹は無作為化試験で利益が示された戦略であるのに対し、できる腹をあえて開けたままにすると、過剰な体液・電解質の喪失、目的のない探索、腸管皮膚瘻の危険が生じる。腹を開けたままにする日が1日増えるごとに腸管皮膚瘻の危険が増す。 非外傷患者のは、現代の管理と輸液管理で主に予防できる3
  • 目標は早期かつ確定的な腹壁閉鎖(初回の開放から7日以内)で、これがに伴う合併症を減らす基礎である3

抗菌薬をいつまで続けるか

  • 非の(非の虫垂炎・胆嚢炎など)では単回投与が複数回投与と同等で、が十分なら術後の抗菌薬は不要である
  • のでは、が十分であれば約4日の固定期間でも、生理学的異常の消失まで続ける長期投与と転帰が変わらない3

病因別治療

  • 虫垂炎、上部消化管穿孔、穿孔性腫瘍 → 蘇生・診断・(詳細は 虫垂炎 を参照)
  • 穿孔性憩室疾患 → +病変部腸管の切除
  • → 取り除くべき感染源が腹腔内に無いため、抗菌薬治療が中心で手術は要らない。肝硬変・腹水に伴う場合の・抗菌薬・予防投与は を参照
  • 関連腹膜炎 → 抗菌薬治療を基本とし、外科的原因が疑われる場合は画像検査と外科評価を行う。開腹が必要ならカテーテルを検討する5

💡 授業資料はと透析関連腹膜炎の治療を「全区画(4分画)の洗浄」と1行で書いている。腹腔全体に汚染が及ぶ型であることを示す言い方としては分かるが、この2つで治療の主体になるのは抗菌薬であって洗浄ではない。上の2行のとおり、では取り除くべき感染源が無いので抗菌薬が中心になり、透析関連腹膜炎でも抗菌薬治療を基本として、外科的原因が疑われるときに画像と外科評価へ進む。

まとめ

  • は「非(単一臓器にとどまる)/(臓器を越えて腹膜炎を起こす)」で分け、腹膜炎になった時点で=と抗菌薬の両方が要る。
  • は感染源が同定されないまれな型で、乳幼児と肝硬変・腹水の患者に起こる。は腹腔内(虫垂炎・穿孔・外傷・術後合併症)からの波及で大多数を占める。(遷延性)腹膜炎は二次性の後に遷延する状態で、独立した病気ではなく二次性の進展であり、耐性菌が関与しやすい。
  • 重症度は原因臓器だけでなく、敗血症・臓器不全との成否で層別化される。授業資料の原因別の死亡率表(軽症10%未満/中等症20%未満/重症20〜80%)は古典的な整理で、現在のの全体死亡率は9.2%である。
  • 診断では画像とから原因を同定し、の適応を判断する。だけはが診断を決める。
  • 症状は腹痛・が中心で、放置すれば・腎不全・肝不全・へ進展しうる。
  • は「感染源の除去、細菌量の減少、解剖学的破綻の是正」の総称で、3〜6時間の遅れでも死亡率が上がる。治療は感染源の除去、適切なドレナージ、抗菌薬、全身管理が基本。
  • はルーチンに計画せず必要時に判断する。必要時再開腹が有意に転帰を良くしたわけではなく、再開腹回数・資源・費用が減る点が利点である。
  • 生理学的に破綻した患者ではで初回は敗血症の制御に絞り、再建は2回目に回す。ただし閉じられる腹をあえて開けたままにしない(腸管皮膚瘻の危険が日ごとに増す)。開放したら7日以内の確定的閉腹を目指す。
  • 抗菌薬は非なら術後不要、でもが十分なら約4日で足りる。
  • 術後腹膜炎は漏出やが原因になりうることを念頭に置く。

出典

  1. 1.Therapeutic management of peritonitis: a comprehensive guide for intensivists(Intensive Care Medicine・2016)⚠️ 本文は取得できていない(Unpaywall は oa_status closed・リポジトリ版なしと返す)。以下は PubMed(PMID 26984317)の抄録で確認した範囲である。市中発症の腹腔内感染の大半は虫垂炎・胆嚢炎・消化管穿孔、医療関連感染の大半は縫合不全と消化管穿孔の後に生じること、起因菌はグラム陽性菌・グラム陰性菌・嫌気性菌・真菌にわたり医療関連感染では多剤耐性菌の可能性が上がること、成功の鍵は早期かつ最適な感染源制御と適切な手術・適切な抗菌薬治療であること、ドレナージ・デブリードマン・腹腔の清拭・洗浄・汚染源の制御が感染源制御の主要な段階であること、生命を脅かす状況では損傷制御(damage control)の考え方が時間を稼ぎ安定を得る最も安全な方法であること、経験的抗感染薬治療は速やかに処方し危険因子に基づいて多剤耐性菌と真菌を含む関与しうる微生物をすべて対象とすること、投与量は薬物動態に基づいて調整すること、支持療法には疼痛管理・人工呼吸の最適化・循環と輸液の監視・腎機能の改善・栄養・抗凝固が含まれること、腹膜炎患者の大半が合併症を起こすため術前の意思決定に術後合併症の確率を織り込むこと。⚠️ 画像診断に関する記述は抄録に無く、本文で確認できていない閲覧 2026-09-21
  2. 2.The management of intra-abdominal infections from a global perspective: 2017 WSES guidelines for management of intra-abdominal infections(World Journal of Emergency Surgery(World Society of Emergency Surgery)・2017)Europe PMC の全文(PMC5504840)で確認した。腹腔内感染は非複雑性と複雑性に分けられ、非複雑性では感染が単一臓器にとどまり腹膜へ及ばず外科的感染源制御か抗菌薬単独のどちらでも管理できるのに対し、複雑性では感染が臓器を越えて限局性または汎発性の腹膜炎を起こし感染源制御と抗菌薬の両方を要すること。腹膜炎は一次性・二次性・三次性に分類され、一次性は消化管の連続性が保たれたまま起こるびまん性の細菌感染で手術による探索でも感染源が同定されず、まれであり「乳児期・幼児期および肝硬変患者に主に起こる」と逐語で述べられていること(肝硬変患者に限定していない)。二次性は最も多い型で消化管の連続性の破綻または感染臓器から生じ、術後期には吻合部離開が代表的な原因であること。三次性は一次性または二次性に続いて再発する腹腔内感染で二次性の合併症であり「遷延性」「持続性」腹膜炎とも呼ばれること。感染源制御は「感染源を除去し細菌の量を減らし解剖学的破綻を是正または制御して正常な生理機能を回復させるすべての手段」と定義され、介入の主目的は①腹膜炎の原因の特定②貯留液のドレナージ③腹腔内敗血症の起点の制御の3つであること。感染源制御には全身麻酔が必要で地域によっては速やかに行えないこと、介入の緊急度は罹患臓器・症状の進行速度・患者の生理学的安定性で決まること閲覧 2026-09-21
  3. 3.WSES/GAIS/SIS-E/WSIS/AAST global clinical pathways for patients with intra-abdominal infections(World Society of Emergency Surgery / World Journal of Emergency Surgery・2021)Europe PMC の全文(PMC8467193)で確認した。WISS study に登録された18歳以上の複雑性腹腔内感染の全体死亡率は9.2%(416/4,533例)であること。Sepsis-3 の定義(敗血症=感染に対する制御不能な宿主反応による生命を脅かす臓器障害、臓器障害はSOFAスコアの2点以上の上昇で表す/敗血症性ショック=循環血液量減少がない状態で平均動脈圧65 mmHg以上を保つのに血管作動薬を要し血清乳酸値が2 mmol/L・18 mg/dLを超える/「重症敗血症」の定義は不要になった/qSOFAはGlasgow Coma Scale 13点以下・収縮期血圧100 mmHg以下・呼吸数22/分以上の3項目のうち2項目以上)。感染源制御の遅れは「わずか3〜6時間の遅れが死亡率上昇と関連」すること、外科的介入の主目的は原因の特定・貯留液のドレナージ・感染起点の制御であること、経皮ドレナージ失敗の主因は膿瘍の大きさ・広がり・複雑さ・位置の誤診であること。大量腹腔洗浄については穿孔性虫垂炎の複数の症例集積と1件の前向き試験で吸引と限定的な洗浄が同等に有効と示されたこと。計画的再開腹は36〜48時間ごとに検索・ドレナージ・腹腔洗浄のため行うのに対し必要時再開腹は悪化または改善しない場合かつCTが追加手術の明らかな利益を示す場合に限ること。Van Ruler 2007 の無作為化試験(重症腹腔内感染232例、必要時116例・計画的116例)では必要時群の有害転帰の発生率は計画的群より有意に低くはならなかったが、再開腹・医療資源の使用・医療費が大きく減り、ICU滞在の中央値は7日対11日(P=0.001)、在院日数の中央値は27日対35日(P=0.008)、患者あたり直接医療費は23%減だったこと。損傷制御手術は腹部敗血症で生理学的に破綻した患者に有用でありうり、初回手術は敗血症の制御に集中し2回目の手術で生理学的蘇生の後に消化管の解剖学的再建を扱うこと。開放腹は必要時再開腹戦略とは正反対の原則であり、一次閉鎖できる腹をあえて開けたままにすると過剰な体液・電解質喪失、目的のない探索、腸管皮膚瘻の危険を招き、開けたままの日数が増えるほど腸管皮膚瘻の危険が増すこと、非外傷患者の腹部コンパートメント症候群は現代のICU管理と輸液管理で主に予防できること、筋膜の一次閉鎖ができない場合は陰圧式の一時閉鎖器具を用いること、目標は初回開放から7日以内の早期確定的閉腹であること。三次性(遷延性)腹膜炎は二次性腹膜炎の感染源制御が一見成功した後に起こる腹腔内感染で、重症・免疫抑制患者に多く多剤耐性菌を伴いやすく、独立した病態ではなく二次性腹膜炎の進展・合併症であること、治療は必要時再開腹と抗菌薬であること。非複雑性腹腔内感染では単回投与が複数回投与と同等で感染源制御が十分なら術後抗菌薬は不要であり、複雑性腹腔内感染では感染源制御が十分なら約4日の固定期間の抗菌薬治療でも長期投与と転帰が同等であること閲覧 2026-09-21
  4. 4.2019 WSES guidelines for the management of severe acute pancreatitis(World Society of Emergency Surgery・2019)急性膵炎では合併症に応じた侵襲的・外科的介入が行われうること閲覧 2026-08-09
  5. 5.ISPD peritonitis guideline recommendations: 2022 update on prevention and treatment(International Society for Peritoneal Dialysis・2022)腹膜透析関連腹膜炎の診断・抗菌薬治療・カテーテル管理閲覧 2026-08-09