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Drug Atlas · B14 Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬 · 必修

オキシメトロン

oxymetholone

分類
Sex hormones & modulators / 性ホルモン関連薬
科目
Pharmacology
トピック
B14: Androgens, anabolic steroids, antiandrogens. Agents affecting the sexual activity
承認適応
再生不良性貧血
禁忌疾患
前立腺癌乳癌ネフローゼ症候群
副作用
多毛黄疸嗄声女性化乳房持続勃起症
監視検査値
脂質パネルヘマトクリット
相互作用
ワルファリン
対象疾患
Fanconi貧血
原因となる疾患
肝紫斑病乏精子症

🧠 全体像:は、を受けた()で、でも肝初回通過による分解を免れる代わりに、その同じがそのまま肝毒性の原因になるという構造上の宿命を負った薬である。骨髄が造血を止めた病態——の造血不全や——では、の増殖と産生を刺激する数少ない経口治療として使われ続けているが、⚠️ ・(peliosis hepatis)・〜というアンドロゲン特有の肝障害が、この薬を語るうえで避けて通れない代償である。

薬効群の中での位置づけ

B14のアンドロゲン系薬の中で、は「アナボリック作用の強いアンドロゲン」の代表である。

薬剤 機序・ 特徴
。強い+赤血球生成刺激 性貧血に対する療法の中心薬。に由来する肝毒性が最大の
弱い刺激+下垂体ゴナドトロピン抑制+阻害(同じくアンドロゲン) 主適応は・。ではとしてと並記されるが、としては別のを持つ
外因性アンドロゲン(AR作動、非) の補充療法。により吸収経路が異なり、アンドロゲンに特有の肝毒性プロファイルを持たない

⚠️ とは「どちらもアンドロゲンであり、どちらも肝毒性を持つ」という点では同列である。 のに対しては、GeneReviews・ASHの総説とも両剤をまとめて「」として報告しており、約50%〜3分の2で赤血球・血小板が一過性に改善するとされるが12、2剤を直接比較して反応率の優劣を示した報告ではない。両者の実務上の違いはむしろ、がの治療における用量が体重換算(mg/kg/日)で規定されたな第一選択のであるのに対し、は元来婦人科・免疫領域の薬でへは二次的に用いられる点にある。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oxymetholone'>オキシメトロン</span>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='17alpha-alkylation'>17α-アルキル化</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='synthetic androgen'>合成アンドロゲン</span>)を<span class='jp-term jp-term-diagram' title='oral'>経口投与</span>"] --> B["肝初回通過による分解を免れ<span class='jp-term jp-term-diagram' title='systemic circulation'>全身循環</span>へ"]
    A --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='androgen receptor'>アンドロゲン受容体</span>を強く刺激"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='anabolic effect'>蛋白同化作用</span>(筋肉・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow progenitor cell'>骨髄前駆細胞</span>の増殖促進)"]
    C --> E["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythropoietin, EPO'>エリスロポエチン</span>の産生・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='urinary excretion'>尿中排泄</span>を増加<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='bone marrow failure'>骨髄不全</span>性貧血の患者で報告)"]
    D --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='erythroid lineage'>赤芽球系</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='megakaryocytic'>巨核球系</span>の増殖刺激"]
    E --> F
    F --> G["赤血球・血小板の一過性改善"]
    B --> H["17α-<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alkyl group'>アルキル基</span>そのものが肝細胞に<span class='jp-term jp-term-diagram' title='direct toxicity'>直接毒性</span>"]
    H --> I["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='cholestatic jaundice'>胆汁うっ滞性黄疸</span>・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='Peliosis hepatis'>肝紫斑病</span>・肝腫瘍"]

💡 「経口で効く」ことと「肝臓を傷める」ことは同じという一つのから生じる。 が肝のによる分解を遅らせるからこそで血中濃度を保てるが、その同じ肝臓での滞留が胆汁うっ滞・・肝腫瘍という毒性の土台になる3。

適応

領域・地域 使いどころ
米国(DailyMed添付文書) 後天性・先天性、、薬物によるなど「低下による貧血」全般3
の 添付文書上で名指しされた適応ではないが、GeneReviews・ASHの管理指針がの柱として位置づける12。では通常量よりも体重換算で規定された用量(下記)を用いる

⚠️ 地域差に注意する。 米国では上記の血球産生低下性貧血に添付文書上の適応があるが、日本国内で承認された製剤の存在は確認できなかった(個人輸入等の経路で流通する)。実際に用いる地域の・添付文書で承認状況を確認する。

用法・用量

一般的な用量は1〜5 mg/kg/日(通常1〜2 mg/kg/日)で、効果判定には最少3〜6か月の投与を要する3。のに対しては2 mg/kg/日で開始し最大5 mg/kg/日まで増量しうるが、3〜6か月ごとに肝毒性を監視する運用がGeneReviewsで示されている1。小児ではの監視のため、6か月ごとのX線評価が推奨される3。実際の用量・監視間隔は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:男性の前立腺癌・乳癌、を伴う女性の乳癌、妊娠(カテゴリーX)、またはネフローゼ期の腎炎、重篤な、過敏症3
  • ⚠️ に伴う肝毒性が最重要の。 (低用量でも起こりうる)、(peliosis hepatis、肝・脾組織が血液で満たされた嚢胞に置換される)、〜まれに。定期的な肝機能検査を行う3
  • :高用量で赤血球が増加するため、定期的なヘモグロビン・測定を行う3
  • 脂質異常:低下・上昇(動脈硬化リスク増、通常は中止で可逆的)3
  • 小児:の早期閉鎖リスクがあり、6か月ごとの評価で最終身長への影響を監視する3
  • ワルファリン:・を延長させるため、開始・増量・中止のたびに綿密なモニタリングを要する3

副作用

頻度 内容
高頻度(男性化・アンドロゲン様) 、、嗄声(不可逆的なことがある)、
男性生殖器系 思春期前:・勃起頻度増加。思春期後:・、、
重篤・まれ 、肝腫瘍、黄疸(胆汁うっ滞性、まれに・死亡)

まとめ

  • された()で、でも肝初回通過を免れる代わりに、その同じ修飾が肝毒性の原因になる。
  • 米国添付文書の適応は・など低下性貧血。日本国内で承認された製剤は確認できなかった。
  • のではと並ぶ療法の柱で、体重換算(2 mg/kg/日開始・最大5 mg/kg/日)の用量が用いられる。との反応率の直接比較データは無い。
  • ⚠️ 最大のはに伴う肝毒性(・・〜)。加えて、低下を含む脂質異常、小児の早期閉鎖に注意する。
  • ワルファリンとの相互作用で延長が起こるため、併用時は綿密なモニタリングを要する。

出典

  1. 1.Fanconi Anemia(GeneReviews, University of Washington, Seattle(Mehta PA, Ebens CL)・2026)Fanconi貧血において経口アンドロゲン(オキシメトロン・ダナゾール)が約50%で一過性に赤血球・血小板を改善すること、オキシメトロンの開始量が2 mg/kg/日・最大5 mg/kg/日であり3〜6か月ごとに肝毒性を監視することを確認した。この反応率はオキシメトロンとダナゾールを合わせた経口アンドロゲンとしての数字であり、両剤を直接比較して差を報告したものではない。閲覧 2026-09-01
  2. 2.Modern management of Fanconi anemia(Hematology, American Society of Hematology Education Program(Dufour C, Pierri F)・2022)本文のNontransplant therapy節で、経口アンドロゲンのオキシメトロンとダナゾールがFanconi貧血患者の3分の2で一過性の血液学的反応を示すことを確認した。この数字も2剤を合わせた経口アンドロゲンとしての反応率であり、個別の比較データではない。閲覧 2026-09-01
  3. 3.ANADROL-50 (oxymetholone) tablets, for oral use — prescribing information(U.S. Food and Drug Administration(DailyMed)・2012)米国添付文書上、適応が後天性・先天性再生不良性貧血、骨髄線維症、骨髄毒性薬物による低形成性貧血であること、用量が1〜5 mg/kg/日(通常有効量1〜2 mg/kg/日)で最少3〜6か月の試行を要すること、禁忌が男性の前立腺癌・乳癌、高カルシウム血症を伴う女性の乳癌、妊娠(カテゴリーX)、ネフローゼまたはネフローゼ期の腎炎、重篤な肝機能障害、過敏症であること、警告に肝紫斑病(peliosis hepatis)・良性/悪性の肝腫瘍・HDL低下とLDL上昇を含む脂質変化が挙げられていること、17α-アルキル化アンドロゲンで低用量でも胆汁うっ滞性黄疸が起こり定期的な肝機能検査が推奨されること、高用量投与中は多血症のため定期的なヘモグロビン・ヘマトクリット測定が推奨されること、小児では骨端線の早期閉鎖のため6か月ごとの骨年齢X線評価が必要なこと、ワルファリンとの相互作用でINR/PTの綿密なモニタリングが必要なことを確認した。閲覧 2026-09-01