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Lab values · Published

補体C4

Complement C4

別名
C4補体第4成分
臓器系
免疫・膠原病全身
科目
Immunology
トピック
免疫学 3.3:補体アッセイ免疫学 3.1:補体系
関連疾患
クリオグロブリン血症ネフリティック症候群遺伝性血管性浮腫血清病後天性C1インヒビター欠乏症全身性エリテマトーデス膜性増殖性糸球体腎炎溶連菌感染後糸球体腎炎
監視対象薬
C1インヒビター製剤

🧠 全体像:C4は肝で作られるでありでもある。(C1複合体)とだけがC4を切断し、はC4を経由しない——この一点が低C4を読むときの軸になる。C3とあわせて「同時に低下」か「C4だけ正常」かを見れば、活性化した経路まで絞り込める。ただしC4自身もであるため、消費と産生増加が同時に起きると「消費されているのに内」に見えることがあり、単独の数値だけでは判断できない。

何を測っているか

C4は主に肝で産生される血漿糖蛋白で、に属するである。抗原抗体複合体に結合したC1qを含むC1複合体(C1qr₂s₂)、または結合に結合したMASPが、C4をC4a(様の小断片)とC4b(活性断片)に切断する。C4bはC2から生じるC2aと結合し、に共通のであるC4b2aを形成する。

💡 はC4を経由しない。 はC3bBb(で安定化)であり、C4もC2も使わない。血清C4値は「が動いたかどうか」だけを映し、単独の活性化ではC4は変化しない——これが低C4の解釈で最初に押さえる一点である。

C4分子内部の反応性は切断されて初めて表面への共有結合が可能になるが、その反応性はしか持続しない。この短さのおかげで、C4bは活性化が起きた局所の膜・免疫複合体近傍にしか沈着せず、離れた自己組織を無差別に傷つけずに済む。免疫複合体病でC4が持続的に低下するのは、この局所沈着+速いが全身のあちこちで繰り返し起きている状態と理解できる。

flowchart TD
    A["抗原抗体複合体<br>C1複合体(C1qr2s2)"] --> D["C4の切断"]
    B["MBL・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ficolin'>フィコリン</span><br>MASPが結合"] --> D
    D --> E["C4a + C4b"]
    E --> F["C4b + C2a<br>→ C4b2a(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='C3 convertase'>C3転換酵素</span>)"]
    G["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='alternative pathway'>第二経路</span><br>C3bBb"] -.C4を経由しない.-> F

基準値と単位

代表的な10〜40 mg/dL程度だが、測定法・施設・検体(血清かEDTA血漿か)で幅があり、報告書のを優先する。測定にはが用いられる1

1 g/L=100 mg/dL1\ \mathrm{g/L} = 100\ \mathrm{mg/dL}

C4の下限には遺伝的ながある。 C4遺伝子(C4A・C4B)は多型をもち、健常者でも総C4が2〜6個と幅があるため、遺伝的に低の人は他の疾患がなくてもの下限に近い値を示しうる2

低値の意味

低値が臨床的に主役で、原因は機序で4群に整理できる。

機序 代表例 手掛かり
消費亢進(古典・ SLE・(C3・C4が同時低下)、(C4が不釣り合いに強く低下)、)、 免疫複合体形成の証拠、原疾患の臨床像
遺伝性欠損 C4遺伝子の多型(C4A/C4B null allele、SLE感受性を高める) 家族歴、若年発症の自己免疫様症状
産生低下 重症肝障害 異常、他の肝合成蛋白の低下
欠損による自発的消費 欠乏(・後天性欠乏症) 蕁麻疹を伴わない反復性浮腫、家族歴

重症肝障害による産生低下は、C4に限らずC3やアルブミンなど他の肝合成蛋白も並行して低下する非特異的な変化である。免疫複合体病による消費亢進との鑑別は、補体単独の値よりも肝合成能全体(、アルブミン)をあわせて確認することで進める。

⚠️ C2欠損とC4低値は検査パターンで区別できる。 C2は最も頻度の高いだが、C4とは別の遺伝子産物であり、C1複合体によるC4の切断とは独立して合成される。そのためC2欠損単独ではC4自体は正常にとどまり、CH50だけが低下する。CH50低下・C3正常・C4正常という組み合わせを見たら、C4欠損ではなくC2など他のの単独欠損を疑う契機になる。

⚠️ では、C3はほぼ正常〜軽度低下にとどまる一方でC4だけが著しく低下し測定感度以下になることも珍しくない。 そのものがを選択的に活性化し続けるためで、C3優位に低下するなど他の性腎炎との鑑別点になる3

⭐ HAEでは発作の有無にかかわらずC4が低いことが多く、簡便でコストの低いとして使われる。ただし感度・特異度には限界があり、C4単独での診断は推奨されない。の機能・蛋白量とあわせた3者判定で診断精度が最も高くなる4

C3とC4の組み合わせで活性化経路を読む

パターン 示唆される経路 代表例
C3・C4がともに低下 の活性化 SLE、MPGN
C3のみ低下、C4は正常範囲 の活性化

💡 の多くはの活性化が主体で、C3は低下してもC4は正常〜軽度低下にとどまる。これに対しはC3・C4が同時に低下する——同じ「腎炎+」でもパターンが異なれば疑う疾患が変わる好例になる。

この読み分けは、性のを診た際にどの血清学的検索(抗dsDNA抗体か、か、感染症の血清学か)を優先するかという初期の絞り込みに直結する。C3・C4の組み合わせだけで確定診断はできないが、鑑別の優先順位づけには十分実用的である。

高値の意味

C4はCRPなどと同じであり、高値の大半はへの反応にすぎず単独では臨床的意味に乏しい。妊娠や悪性腫瘍などでも軽度上昇しうるが、原因を特異的に絞り込む手掛かりにはならない。

測定上の注意

  • ⚠️ C4は室温放置や検体処理の遅れでin vitroに消費され、を生む。 採血後は速やかに血球から分離し、遅延する場合は凍結保存する1
  • 凍結保存する場合は融解を繰り返さない。融解のたびにが進み、測定値が変動しうる1
  • ⚠️ の最中は「消費されているのに内」に見えることがある。 C4自身がとして産生が増えるため、慢性の免疫複合体病による消費と産生増加がし、実際には病的なが進んでいても数値だけでは分かりにくい。CRPなど他のや臨床経過とあわせて解釈する。
  • 前述のとおりC4遺伝子の多型により下限にがあるため、一時点の絶対値より同一個人内での推移の方が情報量が多いことがある2
  • 血清中の総C4濃度(本ノートの対象)と、腎や腎生検組織で免疫染色するC4dは別の検査である。C4dはC4の安定した分解産物で、の評価などに組織染色として用いられ、血清C4値とは目的も測定対象も異なる。

経時変化とモニタリング

SLEでは血清C3・C4の低下と抗dsDNAの上昇が疾患活動性の悪化と相関することが多く、腎炎のなどをとらえるモニタリング指標として単回値より推移が重視される。ANAと平行せず反復測定の対象にならないのと対照的に、C3・C4は治療反応・の追跡に実際に使われる指標である。

⭐ 同一患者内でのからの相対的な変化を追うことが、遺伝的に低めのをもつ人を「いつも低いだけ」としないために重要になる。

そのためSLEなど慢性疾患の診療では、治療開始前のベースライン値を必ず記録しておくことが、後の推移解釈の前提になる。ベースラインを欠いたまま単発で低値を見ても、それが疾患活動性の悪化を映すのか、その人にとっての平常値なのかを区別できない。

急性の免疫複合体病(など)ではや原因治療で数週間のうちに正常化することが多く、正常化の遅れそのものが別の性疾患を再検討する手掛かりになる。これに対し、遺伝性欠損や慢性の消費状態(HAE、慢性のSLE)では低値が長期にわたり持続し、正常化を追う検査というより病態の存在確認・経過の基準線として使う。

まとめ

  • C4は肝産生ので、でのみ切断されC4b2a()を作る。には関与しない。
  • 低値は消費亢進(免疫複合体病)・遺伝性欠損・産生低下・欠損の4群に分けて考える。
  • C3・C4が同時に低下すれば古典・、C3のみ低下・C4正常ならの活性化を示唆する。
  • はC4が不釣り合いに強く低下し、HAEはでもC4が低くスクリーニングに有用だが単独診断はできない。
  • C2欠損はCH50を下げてもC4自体は正常にとどまる——「CH50低下・C4正常」を見たらC4以外の欠損を疑う。
  • 室温放置によるin vitro消費とによる見かけ上の正常化に注意し、単回値よりCRPや臨床経過とあわせた推移で判断する。

出典

  1. 1.The international WAO/EAACI guideline for the management of hereditary angioedema – The 2021 revision and update(World Allergy Organization / European Academy of Allergy and Clinical Immunology・2021)HAEでは発作間欠期でも多くの患者でC4が低値だが、感度・特異度の限界からC4単独でのスクリーニング・診断は推奨されず、C1インヒビター機能・蛋白量とあわせた3者判定で診断精度が最も高くなることを確認した。閲覧 2026-08-02
  2. 2.Classical pathway activity C3c, C4 and C1-inhibitor protein reference intervals determination in EDTA plasma(Biochemia Medica・2019)C4の基準範囲を0.12〜0.38 g/L(90%信頼区間、血清での製造元提示値ともほぼ一致)と算出し、採血後は速やかに血球から分離し遅延時は凍結保存することがin vitro補体消費による偽低値の回避に必要であることを確認した。閲覧 2026-08-02
  3. 3.Impact of C4, C4A and C4B gene copy number variation in the susceptibility, phenotype and progression of systemic lupus erythematosus(Advances in Rheumatology・2019)健常者でも総C4遺伝子コピー数が2〜6個の幅をもつ多型があり、総C4コピー数4個未満またはC4Aコピー数2個未満はSLE発症リスクをそれぞれ約2.6倍・3.6倍高めることを確認した。閲覧 2026-08-02
  4. 4.Rheumatoid Factor, Complement, and Mixed Cryoglobulinemia(Clinical and Developmental Immunology・2012)2型混合性クリオグロブリン血症ではC3が正常〜軽度低下にとどまる一方でC4は測定感度以下になるほど不釣り合いに強く低下する特徴的なパターンを示し、古典経路の選択的な活性化を反映することを確認した。閲覧 2026-08-02