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Drug Atlas · B31 Antineoplastics / 抗腫瘍薬 · 必修

ヒドロキシ尿素

hydroxyurea

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬
商品名(日本)
ハイドレア
商品名(EU)
Hydrea
科目
Pharmacology
トピック
B28: Immunopharmacology I (cytotoxic agents)B31: Drugs used in cancer treatment I (antimetabolites)
監視検査値
血算
対象疾患
鎌状赤血球症急性骨髄性白血病急性前骨髄球性白血病真性多血症・本態性血小板血症・原発性骨髄線維症慢性骨髄性白血病

🧠 全体像は、他ののように「1つの経路」を狙うのではなく、というdNTP合成のそのものを止めるという点でB31の中でも異質な立ち位置にある。プリンかピリミジンかを問わずDNA合成に必要な4種類のすべてを一括で減らすため、作用は「広く浅く」効く。この薬のもう一つの顔が、としての枠を超えた鎌状赤血球症のという役割で、を増やしてHbSの重合を抑えるという、とは全く異なる文脈での使われ方を理解しておく必要がある。

薬効群の中での位置づけ

系統 代表薬 標的 位置づけ
阻害 メトトレキサート DHFR/TS・DHFR・ RA〜白血病、NSCLC/と適応が対照的
②ピリミジン代謝拮抗 TS阻害/DNA取り込み 消化器癌・AML・など固形腫瘍が中心
拮抗 HGPRTで活性化→DNA/RNA取り込み 白血病維持療法・リンパ系腫瘍が中心
④RNR阻害 (プリン・ピリミジン共通の最終段階) 鎌状赤血球症のという腫瘍以外の適応も持つ

他の3系統が「特定の塩基の合成経路」を狙うのに対し、は「塩基の種類を問わない最終共通段階」を止める。 これがG1/S境界でのという比較的一様な作用につながり、での急速な細胞数コントロールに向く理由になっている。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='hydroxyurea'>ヒドロキシ尿素</span>が細胞内へ入る"] --> B["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='RNR'>リボヌクレオチド還元酵素</span>の<br>R2サブユニットにあるチロシルラジカルを消去"]
    B --> C["RNRが可逆的に不活化される"]
    C --> D["リボヌクレオチド→<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleotide'>デオキシリボヌクレオチド</span>の<br>変換が全塩基種で止まる(dATP・dGTP・dCTP・dTTP↓)"]
    D --> E["DNA合成の材料が枯渇"]
    E --> F["細胞周期がG1/S境界で停止(S期特異的)"]
    G["鎌状赤血球症での追加効果"] -.->|"HbF(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='fetal hemoglobin (HbF)'>胎児ヘモグロビン</span>)↑<br>詳細な機序は未解明"| H["HbSの重合が減り<span class='jp-term jp-term-diagram' title='sickling'>鎌状化</span>が抑えられる"]

💡 鎌状赤血球症でのHbF上昇の正確な機序は完全には解明されていないが、NO供与・ストレス赤芽球造血の誘導などが関与すると考えられている。 HbFはHbSと共重合しにくいため、HbF比率が上がるほど脱酸素化時のHbS重合・が抑えられる。この効果に加え、好中球・の減少や赤血球の改善、NOの増加もの減少に寄与するとされる。

薬物動態

項目 値・特徴
PO
吸収 経口吸収は良好
排泄 (一部は代謝を受ける)

適応

領域 使いどころ
血液腫瘍( (高リスク例の)、(TKI導入前後の急速なコントロール)、(高白血球血症の緊急減量)
(非腫瘍) 鎌状赤血球症HbF↑によるの予防、標準治療の柱の一つ)

用法・用量

PO。・鎌状赤血球症とも体重に基づく投与で、血算を見ながらを行う。鎌状赤血球症ではを目的に長期連日投与を継続し、効果判定にはHbF比率・(MCV)の上昇や血算の変化を参考にする。実際の用量は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:重度骨髄抑制、妊娠(催奇形性)
  • 長期投与では皮膚・のリスクがあり、定期的な皮膚観察を行う
  • 変化)は機序どおりの想定内の所見であり、単独では中止理由にならない

副作用

頻度 内容
高頻度 骨髄抑制(血算でモニタリング)、悪心などの消化器症状
注意 皮膚・(長期投与)、爪・皮膚の色素沈着、
重篤・まれ 催奇形性、(長期使用でのリスクは議論があるが、鎌状赤血球症での長期使用における実臨床上の懸念は小さいとされる)

まとめ

  • 阻害薬。プリン・ピリミジン共通の最終段階を止めるため作用が幅広い。
  • ・CML)のに用いる。
  • 鎌状赤血球症ではHbF()を増やし、HbSの重合・を抑えて発作を予防する——としての枠を超えた重要な適応。
  • 骨髄抑制が主な副作用。長期投与では皮膚・にも注意する。
  • は機序どおりの想定内の所見。