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Disease Atlas · 血液 · 腫瘍

慢性骨髄単球性白血病

Chronic myelomonocytic leukemia

別名
CMML
臓器系
血液腫瘍
科目
Internal Medicine
トピック
内科学 H-32:骨髄異形成腫瘍内科学 S-41:骨髄異形成症候群内科学 L-60:骨髄増殖性疾患
鑑別疾患
骨髄異形成症候群若年性骨髄単球性白血病慢性骨髄性白血病
続発疾患
急性骨髄性白血病
治療薬
アザシチジンデシタビンヒドロキシ尿素
症状
脾腫倦怠感体重減少
検査値
絶対単球数白血球数血小板数血清トリプターゼ
適応薬
デシタビン

🧠 全体像:(CMML)は「異形成による血球減少(の顔)」と「単球を主体とする増殖(MPNの顔)」を同時に持つ、(/MPN)の代表格である。診断の入り口は持続する末梢血のひとつで、ここに 第5版(2022年)が大きな変更を入れた——絶対数の閾値が 1.0×10⁹/L から 0.5×10⁹/L へ下がり、同時に「白血球の10%以上」という相対比が必須になった。分子的には TET2・SRSF2・ASXL1 というと共通の変異を土台に、RAS 経路の変異が乗ると増殖型になる、という二段構えで理解する。

MDS でも MPN でもなく、その重複腫瘍である

CMML は(/MPN)というカテゴリーの原型かつ最多の疾患である1。の特徴(・異形成・血球減少)との特徴(・脾腫・)が同一患者の中で組み合わさる。

⚠️ CMML を「 の一亜型」と書いた資料に出会う。 の米国添付文書は、を の の亜型として列挙し、そのうちの1つとしてを挙げている。これは1980年代の に基づく承認当時の疾患区分であって、現行の 分類では CMML は ではなく /MPN である。適応の文言と疾患分類は別物として読む。

💡 診断時年齢の中央値は70歳を超え、血液腫瘍の中で最も高齢に偏る1。大多数は年齢関連の(CHIP)を土台にして発症する。

WHO第5版(2022年)の診断基準

は前提基準(すべて必須)と支持基準に再編された2。

区分 内容
前提基準1 持続する増多:絶対数 0.5×10⁹/L 以上 かつ 白血球の 10%以上
前提基準2 末梢血・骨髄の芽球(および芽球等価細胞=・)が20%未満
前提基準3 その他ののを満たさない
前提基準4 を伴う骨髄性/リンパ性腫瘍のを満たさない
支持基準1 1系統以上のの異形成(骨髄でその系統の細胞の10%以上)
支持基準2 後天性のクローン性染色体異常または分子異常
支持基準3 サブセット分画の異常(が94%超)

⭐ 必要な支持基準の数が、によって変わるところが第5版の要点である。

  • が 1×10⁹/L 以上なら、支持基準のいずれか1つ以上を満たせばよい。
  • が 0.5以上1×10⁹/L 未満なら、支持基準の1と2の両方(異形成の証明とクローン性の証明)が必要になる2。

つまり閾値を下げたぶんを、クローン性と異形成の証明で埋める設計になっている。この引き下げによって、従来「」と呼ばれていた、絶対の閾値に届かない症例群が正式に取り込まれた2。

版による違いを取り違えない

項目 第4版改訂(2017年) 第5版(2022年)
の閾値 1.0×10⁹/L 以上 0.5×10⁹/L 以上(かつ10%以上)
芽球比率による細分 CMML-0/CMML-1/CMML-2 CMML-1/CMML-2(CMML-0 は廃止)
による細分 正式な病型ではない MD-CMML/MP-CMML として正式化

CMML-0(末梢血2%未満・骨髄5%未満)は、予後的意義が乏しいか限定的だという根拠から削除された2。

細分 定義
CMML-1 芽球+が末梢血5%未満かつ骨髄10%未満
CMML-2 芽球+が末梢血5〜19%または骨髄10〜19%
骨髄異形成型(MD-CMML) 13×10⁹/L 未満
骨髄増殖型(MP-CMML) 13×10⁹/L 以上
flowchart TD
    A["持続する<span class='jp-term jp-term-diagram' title='peripheral blood monocyte'>末梢血単球</span>増多"] --> B{"絶対数と相対比"}
    B -->|"0.5×10⁹/L未満または10%未満"| C["CMMLではない:<span class='jp-term jp-term-diagram' title='reactive monocytosis'>反応性単球増多</span>などを考える"]
    B -->|"0.5×10⁹/L以上かつ10%以上"| D["芽球20%未満・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='chronic myeloid leukemia'>CML</span>/MPN・<span class='jp-term jp-term-diagram' title='tyrosine kinase fusion'>チロシンキナーゼ融合</span>腫瘍を除外"]
    D --> E{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='absolute monocyte count'>絶対単球数</span>は1×10⁹/L以上か"}
    E -->|"1×10⁹/L以上"| F["支持基準を1つ以上満たせば診断"]
    E -->|"0.5以上1×10⁹/L未満"| G["異形成とクローン性の両方の証明が必要"]
    F --> H{"<span class='jp-term jp-term-diagram' title='white blood cell count'>白血球数</span>13×10⁹/L"}
    G --> H
    H -->|"13未満"| I["骨髄異形成型(MD-CMML)"]
    H -->|"13以上"| J["骨髄増殖型(MP-CMML)"]

診断基準はもう一つ並存している——ICC 2022

⚠️ 2022年には、第5版とは別に・の(ICC)が同じ年に公表されている3。CMML についても両者の基準は細部が異なるので、どちらの分類による診断かを示さずに基準だけを引かない。

論点 第5版(2022年) ICC(2022年)
0.5×10⁹/L 以上かつ白血球の10%以上 同じく0.5×10⁹/L 以上かつ10%以上。ただしクローン性が証明できない例では 1.0×10⁹/L 以上かつ10%超に戻り、加えて芽球増加・異形成・CMML に合致する異常のいずれかが要る
血球減少 診断要件に入れていない 診断要件に入れる(閾値はと同じ:ヘモグロビン男性13 g/dL未満・女性12 g/dL未満、好中球1.8×10⁹/L未満、血小板150×10⁹/L未満)。ただし早期例では境界値または血球減少を欠くことがあると但し書きが付く
クローン性 支持基準の1つ(によっては必須になる) 必須基準。染色体異常または10%以上の関連変異。異形成は、変異が見つからない稀な例でクローン性の代替指標になるにとどまる
芽球比率による細分 CMML-1/CMML-2(上表の比率) 同じ比率の2段階だが、があれば CMML-2 とする点が加わる
前駆病態 規定を置いていない CMUS(意義不明のクローン性)と、血球減少を伴う CCMUS を新設
の置き場所 へ移した2 小児および/またはに関連するへ移した

💡 の引き下げ・CMML-0 の廃止・骨髄増殖型の重視という大枠では、2つの分類は一致している。違いはクローン性と血球減少の扱いに集中する。 ICC がクローン性の証明を必須基準に据えたのは、現代のなら CMML 患者の90%超で反復性変異のいずれかが検出できるという観察に基づく。その結果、異形成は「クローン性の代用指標」という位置にし、変異が見つからない稀な例でだけ必要になる3。血球減少については、ICC 自身が「血球減少が明示的な診断要件に入っていなかったことが、/MPN と・反応性の非血球減少性病態との区別を曖昧にしてきた」と述べ、血球減少と血球増多の組み合わせを /MPN の要件として明文化した3。⚠️ したがって、同じ患者でも採用する分類によって診断名が変わりうる。 論文や他施設の診断名を読むときは、どちらの分類によるものかを確かめる。

分子病態:土台の変異と、その上に乗るシグナル変異

は90%超の患者に認められ、頻度の高い順に TET2 約50%、SRSF2 約50%、ASXL1 約40%、RAS 経路約30%、CBL 約15%である1。

群 代表遺伝子 位置づけ
制御 TET2・ASXL1 と共通する祖先変異。への偏りを生む
SRSF2 同じく祖先変異。P95 のが多い
シグナル伝達 NRAS・KRAS・CBL・PTPN11・NF1 後から乗る変異。増殖型の表現型と結びつく
  • ⭐ 予後との関係で再現性があるのは ASXL1 変異だけである1。他の変異は頻度が高くても単独では予後を安定して分けない。
  • ASXL1 変異を伴わない TET2 変異が、への反応の最良の予測因子である1。
  • シグナル伝達系の変異は骨髄増殖型に偏り、異形成型は血球減少と緩徐な経過を示す1。

臨床像と検査

  • 骨髄異形成型:貧血・血小板減少による倦怠感・が前面に出る。経過は緩徐。⚠️ はにも用いられ、初診時の値と経過中の推移の両方を追う。
  • 骨髄増殖型:、脾腫、、発熱・体重減少といった全身症状が出る。
  • ではとが同時に見える。骨髄ではで異形成単球が2色を取り込む像、の結節(CD123陽性)がとして挙げられる1。
  • ⭐ のが診断の補助になる。健常者では CD14陽性・CD16陰性のが約80%であるのに対し、CMML では94%を超えて拡大する1。この所見は 第5版で支持基準として採用された2。

炎症は「合併症」ではなく、この病気の一部である

⭐ CMML のは強い炎症性の転写プロファイルをもち、健常者とは著しく異なるサイトカイン発現を示す1。その帰結として、CMML 患者は心血管イベントのリスクが2倍を超えて高く、約20%が全身性の炎症性疾患・自己免疫疾患を併存する1。倦怠感や発熱を「のせい」とだけ読まない。

⚠️ この炎症性の顔つきが、診断そのものにも跳ね返る。単球サブセットの偏りは、活動性の自己免疫疾患やがあると評価できない。 支持基準としての適用条件にそのことが明記されている2。数値だけを見て診断に使わない。💡 CMML 自体が炎症性疾患を高頻度に伴う以上、「除外すべき」と「疾患の一部」が同じ患者の中に同居しうる——だから 第5版はこの支持基準に「既知の活動性の自己免疫疾患および/または症候群が無い状況で」という条件を明示的に付けている2。

鑑別

相手 分ける手がかり
(・炎症・) 一過性で原疾患の改善とともに正常化する。持続性と、他系統の異形成の有無を見る
BCR::ABL1 の有無。前提基準3・4で明示的に除外する
を伴う の既往が記録されていれば CMML を除外する。骨髄の所見や JAK2・CALR・MPL の高いはを支持する2
の前提基準を満たすかどうか。満たさなければ 側で考える
小児の疾患で、RAS 経路の活性化により駆動される。第5版では /MPN ではなくに分類されている
高値は CMML などでも起こる。を疑う前にを除外する

💡 との関連については、そちらのノートに委ねる。

治療

⚠️ が唯一のであるが、高齢と併存症のため大多数の患者には適用できない1。

状況 方針
無症状・低リスク 経過観察と支持療法
異形成型で血球減少が主体 (・)
増殖型で・脾腫の制御が要る ()
移植可能な高リスク例
  • 米国で承認されている薬剤はメチル化薬()だけである。しかしは50%未満、真の寛解に到達するのは20%未満にとどまる1。
  • はを変えず、疾患のそのものを変えていない1。「効いている」ことと「クローンが減っている」ことは別である。
  • の細胞減量では、105例をと(VP16)に割り付けた無作為化試験でが(60%対36%)でも中央値(20か月対9か月)でも優った。⚠️ ただしへの進展率には有意差がなかった(27%対38%)4。原著自身も「でもはにとどまり生存は総じて不良」として新薬の必要性をに書いている4。なおこれは FAB基準で登録された1996年の試験であり、現行の病型分類とは登録集団が対応しない。

⭐ 「ではをの代わりに使えばよいのか」に、現行の分類で答えた無作為化試験がある。 DACOTA試験は、新規診断のの骨髄増殖型CMML 170例を静注(84例)と(86例)へ1対1で割り付けたである(年齢中央値72歳・74歳、中央値32.5・31.2×10⁹/L、CMML-2 が33%・31%)5。

評価項目 判定
(。事象=死亡・急性骨髄単球性白血病への転化・疾患進行)の中央値 12.1か月 10.3か月 0.83(95%信頼区間0.59〜1.16)、P=.27。有意差なし
63%(53例) 35%(30例) P=.0004。が有意に高い
の中央値 16.3か月 17.4か月 P=.90。同等
の中央値 18.4か月 21.9か月 P=.67。有意差なし

💡 だけを見ると勝っているのに、では勝てなかった理由が試験自身に書かれている。 は進行・転化のリスクを有意に下げた(原因特異的0.62、95%信頼区間0.41〜0.94、P=.005)が、その分だけ進行・転化を伴わない死亡が増えた(原因特異的1.55、95%信頼区間0.82〜2.9、P=.04)5。は「の骨髄増殖型CMMLに対する一次治療として、はと比べてを改善しなかった」である。⚠️ の差を生存の差と読み替えない。 これはが「を変えずを変えていない」という上の記述と同じ方向を向いた所見である。

⚠️ との併用は、CMML の標準治療ではない。 この併用はでは強いを示すが、CMML でははるかに乏しい1。💡 理由は CMML の細胞そのものにある——単球性の、あるいは RAS 経路変異をもつ腫瘍細胞は BCL2 阻害に抵抗性で、代わりに MCL-1 に依存する。でも、投与下では低いの NRAS・KRAS クローンに由来する単球性の亜集団が選択的に生き残ることが示されている1。「で効くレジメンは全般に効く」と外挿しない。

予後

3〜5年で約15〜20%が二次性のへ転化し、転化後のの中央値は9か月未満と厳しい1。転化を説明できる新規のや既存変異の上昇が見つかるのは40〜60%にとどまり、残りの機序は未解明である。

「高リスク」を何で決めるか——CPSS-Mol

上の治療の表で「移植可能な高リスク例」と書いたが、その高リスクを決めるが要る。CMML では病型(MD/MP、CMML-1/-2)だけでは予後が分かれきらないため、と遺伝子変異を統合した CMML 特異的な予後スコアが用いられる。代表が CPSS-Mol=CMML特異的予後スコアリングシステムの臨床・分子統合版である6。

まず染色体所見と4遺伝子から遺伝学的スコアを作る。

項目 0点 1点 2点
染色体リスク群 低(正常核型・単独の -Y) 中(その他の異常) 高(8トリソミー、=3つ以上の異常、7番染色体の異常)
ASXL1 非変異 変異 —
NRAS 非変異 変異 —
SETBP1 非変異 変異 —
RUNX1 非変異 — 変異

合計点で遺伝学的リスク群を低(0点)・中間1(1点)・中間2(2点)・高(3点以上)に分ける。次にこの群と臨床3項目を合算する。

項目 配点
遺伝学的リスク群 低0点/中間1は1点/中間2は2点/高は3点
13×10⁹/L 以上 1点
5%以上 1点
依存 1点

合計0点=低リスク、1点=中間1、2〜3点=中間2、4点以上=高リスクの4群に分かれる。導出コホート214例では、の中央値が低リスク群では観察期間内に到達せず、中間1で64か月、中間2で37か月、高リスクで18か月であり、48か月時点のへの転化率は順に0%・3%・21%・48%であった6。260例の独立検証コホートでも4群の分離が再現されている。

  • ⭐ 遺伝子を入れる意義は、形態学的に軽く見える患者を拾い上げるところにある。 原著では、従来の CPSS で低リスク・中間1とされた患者の約3分の1が CPSS-Mol では中間2・高リスクへ移り、CMML-0/-1 の約40%と正常核型の同程度の割合が変異プロファイルによって中間2・高リスクに分類された6。⚠️ 芽球が少ないことも核型が正常なことも、低リスクの証明にはならない。
  • ⚠️ 依存の情報が揃わない場面では、性別別のヘモグロビン閾値(男性9 g/dL未満・女性8 g/dL未満)で代用できると原著が示している(κ=0.94)6。緊急にを決める必要があり、輸血依存がまだ確立していない患者で使える。
  • 💡 遺伝子ごとの予後的意義については、資料によって書き方が違う。 CPSS-Mol は単一の多変量モデルで RUNX1・NRAS・SETBP1・ASXL1 の4つに配点したが6、2025年の総説は研究をまたいで再現性をもって予後不良を示すのは ASXL1 だけだとしている1。スコアの構成要素であることと、単独の変異が独立して予後を分けることは別の主張である。

まとめ

  • CMML は /MPN 重複腫瘍の原型で、 の顔(異形成・血球減少)と MPN の顔(単球主体の増殖・脾腫)を併せ持つ。 の一亜型ではない。
  • 第5版(2022年)で診断の入り口が変わった。が 0.5×10⁹/L 以上かつ10%以上(旧版は1.0×10⁹/L)。0.5〜1×10⁹/L の症例では異形成とクローン性の両方の証明が要る。
  • 芽球比率の細分は CMML-1/CMML-2 の2つ(CMML-0 は廃止)。13×10⁹/L で骨髄異形成型と骨髄増殖型に分ける。
  • ⚠️ 同じ2022年に ICC という別の分類も出ている。ICC はクローン性の証明と血球減少を診断の必須要件に置く点で 第5版と重み付けが違い、CMUS・CCMUS という前駆病態も新設した。診断名を読むときは採用された分類を確かめる。
  • 変異は TET2・SRSF2・ASXL1 が土台で、RAS 経路の変異が乗ると増殖型になる。再現性のある予後不良因子は ASXL1 変異。
  • でが94%超に偏ることが支持基準の1つ(健常対照では約80%)。ただし活動性の自己免疫疾患・下では使えない。炎症は合併症ではなく病態の一部で、約20%が全身性の炎症性・自己免疫疾患を併存し、心血管イベントのリスクも2倍を超える。
  • 治療はが中心だが50%未満・真の寛解20%未満で、を変えていない。根治はのみで、大多数には適用できない。
  • ⚠️ の骨髄増殖型では、はに対してもも改善しなかった(DACOTA試験、170例)。だけが有意に高い。の差を生存の差と読み替えない。
  • +はのレジメンであって、CMML の標準治療ではない。単球性・RAS 変異のクローンが BCL2 阻害に抵抗性を示す。
  • 3〜5年で15〜20%がへ転化し、転化後の生存期間中央値は9か月未満。
  • には CPSS-Mol(染色体リスク+ASXL1・NRAS・SETBP1・RUNX1 の遺伝学的スコアに、13×10⁹/L以上・5%以上・依存を加える)を用いる。高リスク群の中央値は18か月、48か月時点の転化率は48%。⚠️ 芽球が少ないことも核型が正常なことも低リスクの証明にはならない——CMML-0/-1 の約40%が変異プロファイルで中間2・高リスクに入る。

出典

  1. 1.Chronic myelomonocytic leukemia: molecular pathogenesis and therapeutic innovations(Haematologica (Ferrata Storti Foundation)・2025)慢性骨髄単球性白血病が骨髄異形成/骨髄増殖性重複腫瘍に分類され、診断時年齢の中央値が70歳超と血液腫瘍の中で最も高齢に偏ること、3〜5年で約15〜20%が二次性急性骨髄性白血病へ転化し転化後の全生存期間中央値が9か月未満であること、90%超に体細胞変異があり反復性変異が TET2 約50%・SRSF2 約50%・ASXL1 約40%・RAS 経路約30%・CBL 約15%であること、大多数が年齢関連クローン性造血を背景に発症すること、再現性をもって予後不良を予測するのは ASXL1 変異だけであること、シグナル伝達系(とくに RAS 経路)の変異が骨髄増殖型に偏り異形成型は血球減少と緩徐な経過を示すこと、同種造血幹細胞移植が唯一の根治的治療でありながら高齢と併存症のため大半の患者に適用できないこと、米国で承認されている薬剤はDNAメチル化酵素阻害薬(低メチル化薬)のみで全奏効率が50%未満・真の寛解到達は20%未満にとどまること、低メチル化薬への反応の最良の予測因子が ASXL1 変異を伴わない TET2 変異であること、低メチル化薬が変異アレル頻度を変えず疾患の自然史を変えないこと、ベネトクラクスとアザシチジンの相乗効果が急性骨髄性白血病に比べ本症でははるかに乏しいことを確認した。あわせて、CMML の古典的単球(CD14陽性・CD16陰性)が単球全体の94%超を占め健常対照ではその分画が約80%であること(図1B の説明文)、それらが強い炎症性の転写プロファイルをもち健常者と著しく異なるサイトカイン発現を示すこと、その結果 CMML 患者は心血管イベントのリスクが2倍を超えて高く約20%が全身性の炎症性疾患・自己免疫疾患を併存すること、単球性あるいは RAS 変異のある腫瘍細胞が BCL2 阻害に抵抗性で MCL-1 に依存すること、急性骨髄性白血病でもベネトクラクス投与下に低い変異アレル頻度の NRAS・KRAS 変異クローン由来の単球性亜集団が選択的に生き残ることも同じ全文(PMC11694134)で確認した。閲覧 2026-09-03
  2. 2.The 5th edition of the World Health Organization Classification of Haematolymphoid Tumours: Myeloid and Histiocytic/Dendritic Neoplasms(Leukemia・2022)第5版の慢性骨髄単球性白血病の診断基準が前提基準と支持基準に再編されたこと、前提基準が「持続する末梢血単球増多(絶対数0.5×10⁹/L以上かつ相対比10%以上)」「末梢血・骨髄の芽球20%未満」「慢性骨髄性白血病その他の骨髄増殖性腫瘍の基準を満たさない」「チロシンキナーゼ融合を伴う骨髄性/リンパ性腫瘍の基準を満たさない」の4項目であること、支持基準が「1系統以上の異形成」「後天性のクローン性染色体・分子異常」「末梢血単球サブセット分画の異常(既知の自己免疫疾患・全身性炎症がない状況での classical monocyte 94%超)」の3項目であること、単球増多が1×10⁹/L以上なら支持基準の1つ以上、0.5以上1×10⁹/L未満なら支持基準1と2の両方が必要であること、絶対単球数の閾値が1.0×10⁹/Lから0.5×10⁹/Lへ引き下げられ従来 oligomonocytic CMML と呼ばれた症例が取り込まれたこと、白血球数13×10⁹/Lを境に骨髄異形成型(MD-CMML)と骨髄増殖型(MP-CMML)へ細分され MP-CMML は RAS 経路の活性化変異と予後不良に関連すること、芽球・前単球の比率による細分が CMML-1(末梢血5%未満かつ骨髄10%未満)と CMML-2(末梢血5〜19%または骨髄10〜19%)の2つになり前版の CMML-0 が予後的意義に乏しいとして廃止されたこと、形態学的異形成の判定が骨髄でその系統の細胞の10%以上を要することを確認した。あわせて、若年性骨髄単球性白血病が第5版では骨髄異形成/骨髄増殖性腫瘍ではなく早期小児期の骨髄増殖性腫瘍として位置づけ直されたこと("Juvenile myelomonocytic leukaemia is recognized as a myeloproliferative neoplasm of early childhood")も同じ全文で確認した。閲覧 2026-09-03
  3. 3.International Consensus Classification of Myeloid Neoplasms and Acute Leukemias: integrating morphologic, clinical, and genomic data(Blood・2022)2022年に WHO第5版とは別に策定された国際コンセンサス分類(ICC)の Table 13 が、慢性骨髄単球性白血病の診断基準として「単球0.5×10⁹/L以上かつ白血球の10%以上」「血球減少(閾値は骨髄異形成症候群と同じ。ヘモグロビン男性13 g/dL未満・女性12 g/dL未満、好中球1.8×10⁹/L未満、血小板150×10⁹/L未満)」「末梢血・骨髄の芽球(前単球を含む)20%未満」「クローン性の存在=染色体異常または変異アレル頻度10%以上の骨髄系腫瘍関連変異」「CMMLに合致する骨髄所見があり急性骨髄性白血病・骨髄増殖性腫瘍その他を除外できること」「BCR::ABL1 も好酸球増多とチロシンキナーゼ遺伝子融合を伴う骨髄性/リンパ性腫瘍の遺伝子異常も無いこと」を並べていること、クローン性が証明できない例では単球1.0×10⁹/L以上かつ白血球の10%超に加えて芽球増加(骨髄5%以上および/または末梢血2%以上)・形態学的異形成・CMMLに合致する異常免疫表現型のいずれかを要すること、早期例では境界値または血球減少を欠くことがあるとの但し書きが付くこと、CMML-0 を廃して CMML-1(末梢血芽球5%未満・骨髄10%未満)と CMML-2(末梢血5〜19%・骨髄10〜19%、または Auer小体)の2段階へ戻したこと、CMMLでは現代のシークエンスで90%超の患者に反復性変異の少なくとも1つが検出されるためクローン性の証明を必須基準に据えたこと、前駆病態として CMUS(意義不明のクローン性単球増多)と血球減少を伴う CCMUS を新設したこと、若年性骨髄単球性白血病を小児および/または胚細胞変異関連疾患の群へ移したことを確認した。閲覧 2026-09-05
  4. 4.A randomized trial of hydroxyurea versus VP16 in adult chronic myelomonocytic leukemia(Blood (Groupe Français des Myélodysplasies / European CMML Group)・1996)FAB基準による進行期の慢性骨髄単球性白血病105例(年齢中央値71歳、白血球数中央値20×10⁹/L)をヒドロキシ尿素とエトポシド(VP16)に無作為割り付けした試験で、奏効率がヒドロキシ尿素60%対VP16 36%(P=0.02)、奏効までの期間が2.1か月対3.5か月、奏効持続期間の中央値が24か月対9か月、全生存期間の中央値が20か月対9か月(P<10⁻⁴)とヒドロキシ尿素が優り、中間解析の時点で試験が中止されたことを確認した。急性骨髄性白血病への進展率には有意差がなかった(27%対38%)。抄録のみを閲覧しており全文は未取得。閲覧 2026-09-03
  5. 5.Decitabine Versus Hydroxyurea for Advanced Proliferative Chronic Myelomonocytic Leukemia: Results of a Randomized Phase III Trial Within the EMSCO Network(Journal of Clinical Oncology(EMSCO network。DACOTA試験、ClinicalTrials.gov NCT02214407)・2023)新規診断の進行期骨髄増殖型慢性骨髄単球性白血病170例を静注デシタビン(20 mg/m²/日、1〜5日目)84例とヒドロキシ尿素(1〜4 g/日)86例へ1対1で無作為割り付けした第III相試験で、年齢中央値が72歳・74歳、白血球数中央値が32.5×10⁹/L・31.2×10⁹/L、CMML-2がそれぞれ33%・31%であったこと、主要評価項目が死亡・急性骨髄単球性白血病への転化・疾患進行を事象とする無イベント生存期間であり、追跡期間中央値17.5か月で中央値がデシタビン12.1か月対ヒドロキシ尿素10.3か月(ハザード比0.83、95%信頼区間0.59〜1.16、P=.27)と有意差が無かったこと、奏効率はデシタビン63%(53例)対ヒドロキシ尿素35%(30例)でデシタビンが有意に高かった(P=.0004)が奏効期間中央値は16.3か月対17.4か月と同等(P=.90)であったこと、全生存期間中央値が18.4か月対21.9か月(P=.67)であったこと、デシタビンは進行・転化のリスクを有意に下げた(原因特異的ハザード比0.62、95%信頼区間0.41〜0.94、P=.005)一方で進行・転化を伴わない死亡が増えた(原因特異的ハザード比1.55、95%信頼区間0.82〜2.9、P=.04)こと、結論が「Compared with HY, frontline treatment with DAC did not improve EFS in patients with advanced myeloproliferative CMML」であることを確認した。抄録のみを閲覧しており全文は未取得(主要評価項目・副次評価項目の数値はいずれも抄録に記載がある)。閲覧 2026-09-05
  6. 6.Integrating clinical features and genetic lesions in the risk assessment of patients with chronic myelomonocytic leukemia(Blood・2016)慢性骨髄単球性白血病214例で38遺伝子をシークエンスし、多変量Cox回帰で CPSS 染色体リスク群と RUNX1・NRAS・SETBP1・ASXL1 の変異が全生存期間に独立して関連したこと、Table 2 の遺伝学的スコアが染色体リスク低0点・中1点・高2点(低=正常核型と単独の -Y、高=8トリソミー・複雑核型(3つ以上の異常)・7番染色体の異常、中=その他)、ASXL1・NRAS・SETBP1 の各変異1点、RUNX1 変異2点で構成され、合計0点=低・1点=中間1・2点=中間2・3点以上=高の4群に分かれること、Table 3 の CPSS-Mol が遺伝学的リスク群(中間1に1点、中間2に2点、高に3点)に白血球数13×10⁹/L以上・骨髄芽球5%以上・赤血球輸血依存の各1点を加え、0点=低・1点=中間1・2〜3点=中間2・4点以上=高の4群を作ること、導出コホートでの全生存期間中央値が低リスク群では中央値に到達せず中間1が64か月・中間2が37か月・高リスクが18か月(ハザード比2.69)、48か月時点の急性骨髄性白血病への累積転化率が0%・3%・21%・48%(ハザード比3.84)であったこと、260例の独立検証コホートでも4群が有意に分離したこと、CPSS-Mol では旧CPSSに比べ48%の患者がより高いリスク群へ移り、旧CPSSで低リスク・中間1だった患者の約3分の1が中間2・高リスクへ移ったこと、CMML-0 または -1 の約40%と正常核型の同程度の割合を変異プロファイルによって中間2・高リスクとして捉えられたこと、赤血球輸血依存の代わりに性別別ヘモグロビン閾値(男性9 g/dL未満・女性8 g/dL未満)を用いても一致率κ=0.94で同等の層別化が得られることを、PMC5036538 の全文(Results の "Development of a clinical/molecular prognostic scoring system in CMML"、Table 2・Table 3、Discussion)で確認した。閲覧 2026-09-05