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Drug Atlas · B31 Antineoplastics / 抗腫瘍薬

デシタビン

decitabine

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬Hypomethylating agents / 低メチル化薬
商品名(EU)
Dacogen
科目
Pharmacology
トピック
B31: Drugs used in cancer treatment I (antimetabolites)
承認適応
骨髄異形成症候群慢性骨髄単球性白血病
副作用
骨髄抑制発熱
監視検査値
絶対好中球数血小板数

🧠 全体像:はと同じ「(薬)」だが、だけに取り込まれには取り込まれないという一点でと区別される(は・の両方に取り込まれる)。()と(CMML)が土台の適応だが、「が高いのに生存期間は改善しない」という一次資料の——DACOTA試験——を理解しておくと、全般に共通する限界(を変えずそのものは変えていないこと)が実感できる。

薬効群の中での位置づけ

薬剤 への取り込み への取り込み 主な適応
あり(唯一の経路) なし 成人(CMMLを含む)
あり あり(m5C修飾も阻害) 成人・小児JMML

⭐ 両薬とも最終的にはメチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)とのを作り、を誘導するという同じ標的に収束する。 はだけに取り込まれには取り込まれない点で、・双方に取り込まれると作用機序上区別される。この「取り込み経路の違い」が両薬を分ける軸である(両薬のDNMT1枯渇の速さ・強さを直接比較したデータは添付文書上にない)。

機序

flowchart TD
    A["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='decitabine'>デシタビン</span>を投与"] --> B["リン酸化を受けヌクレオチドへ活性化"]
    B --> C["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>へ直接取り込まれる<br>(<span class='jp-term jp-term-diagram' title='ribonucleic acid'>RNA</span>には取り込まれない)"]
    C --> D["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span>メチルトランスフェラーゼ1(DNMT1)と<br><span class='jp-term jp-term-diagram' title='covalent adducts'>共有結合付加体</span>を形成"]
    D --> E["DNMT1が不可逆的に阻害・枯渇"]
    E --> F["<span class='jp-term jp-term-diagram' title='deoxyribonucleic acid'>DNA</span><span class='jp-term jp-term-diagram' title='hypomethylation'>低メチル化</span>"]
    F --> G["分化・増殖に関わる<br>沈黙化遺伝子の発現回復"]
    C --> H["急速に分裂する異常造血細胞への<br>直接的な細胞傷害"]
    G --> I["造血細胞の分化異常・異常増殖を是正"]
    H --> I

💡 「非増殖細胞は比較的感受性が低い」という添付文書の記載が、この薬のを説明する。 への取り込みはS期の合成を必要とするため、細胞周期を回っていないの正常細胞は影響を受けにくく、活発に分裂する異常造血細胞・腫瘍細胞が優先的に標的になる1。

薬物動態

項目 値・特徴
半減期 約0.5〜0.6時間と極めて短い(5日間レジメンで平均0.54時間)1
明確な代謝経路は未確定だが、によるが一部を担う(肝臓に加え顆粒球・・全血にも存在)1
で全身蓄積やPKの変化はない1
患者のデータ データなし。投与する場合は過剰な毒性がないか頻回に監視する1

⭐ 半減期が1時間未満と極端に短いことが、持続静注または短時間のという独特な投与スケジュール(1時間×5日間、または3時間ごと×3日間)の理由になっている。 と同様、酵素を介した薬物相互作用は添付文書上ほとんど想定されておらず、という別系統の代謝経路に依存する点も共通する。

適応

領域 使いどころ
血液 成人の(の全亜型と国際予後判定システムのIntermediate-1〜High risk群を含む)1
血液 上の亜型の一つとして(CMML)も含まれる。⚠️ これは承認当時(2006年)のに基づく区分であり、現行の分類ではCMMLはではなく/MPN(骨髄異形成性/骨髄増殖性重複腫瘍)に分類される1

⭐ 「が高い」ことと「生存期間を延ばす」ことは別である——DACOTA試験がその実例を示す。 の骨髄増殖型CMML 170例を静注とに1対1で割り付けたでは、はが有意に高かった(63%対35%、P=.0004)にもかかわらず、のには有意差がなかった(12.1か月対10.3か月、0.83、P=.27)2。💡 進行・転化のリスクはで有意に下がった一方、進行・転化を伴わない死亡が増えており、見かけのと生存の乖離が生じている。「が高い=生存に有利」と短絡しない。

用法・用量

2通りのレジメンがある。5日間レジメン:20mg/m²を1時間かけてし1日1回5日間連日投与、4週ごとに反復(最低4サイクル)。3日間レジメン:15mg/m²を3時間かけてし8時間ごとに3日間反復、6週ごとに反復(最低4サイクル)1。DACOTA試験ではCMMLに対し20mg/m²/日を1〜5日目に静注するレジメンが用いられた2。からの回復に6週間を超える場合は次サイクルを延期し減量する。実際の用量・サイクル数は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

禁忌・注意

  • 禁忌:None(添付文書のCONTRAINDICATIONS節に記載なし)1
  • ⚠️ 好中球数・を含む血算を定期的に確認する。は必ずしもの進行を意味しない1
  • のリスクがあり、投与中・投与後は適切な避妊が必要
  • の骨髄増殖型CMMLでは、が高くても生存期間の改善は示されていないことを踏まえてを設定する2

副作用

頻度 内容
高頻度(50%超) 好中球減少・血小板減少・貧血、発熱1
重篤・まれ 遷延性の重度骨髄抑制、

まとめ

  • はで、と違いだけに取り込まれには取り込まれない。最終的にDNMT1との形成によりを誘導する点は共通する。
  • 半減期は0.5〜0.6時間と極めて短く、によるがの一つ。酵素を介した相互作用は想定されていない。
  • 適応は成人(の全亜型、CMMLを含む)。CMMLの分類はFAB由来で、現行分類では/MPNに位置づけられる。
  • DACOTA試験(骨髄増殖型CMML、170例)ではがより有意に高かった(63%対35%)が、・は改善しなかった——の差を生存の差と読み替えない。
  • 禁忌はなく、高頻度有害事象は好中球減少・血小板減少・貧血・発熱。血算モニタリングを継続する。

出典

  1. 1.DACOGEN (decitabine) for injection — Prescribing Information(U.S. Food and Drug Administration・2018)添付文書PDFを取得して確認した。適応が成人の骨髄異形成症候群(未治療・既治療、原発性・続発性を問わずFrench-American-British分類の全亜型——不応性貧血、環状鉄芽球を伴う不応性貧血、過剰芽球を伴う不応性貧血、移行型過剰芽球を伴う不応性貧血、**慢性骨髄単球性白血病**——および国際予後判定システムのIntermediate-1・Intermediate-2・High risk群)であること、禁忌が「None」であること、用法・用量が3日間レジメン(15mg/m²を3時間で点滴静注し8時間ごとに3日間反復、6週ごとに最低4サイクル)と5日間レジメン(20mg/m²を1時間で点滴静注し1日1回5日間、4週ごとに最低4サイクル)の2通りであること、機序(リン酸化を経てDNAへ直接取り込まれDNAメチルトランスフェラーゼを阻害しDNA低メチル化と細胞分化・アポトーシスを誘導する。急速分裂細胞に対してはDNAメチルトランスフェラーゼとの共有結合付加体形成による細胞傷害性もある。非増殖細胞は比較的感受性が低い)、薬物動態(5日間レジメン20mg/m²投与時の平均半減期0.54時間・血漿クリアランス210 L/h/m²、消失経路の一つがシチジンデアミナーゼによる脱アミノ化で主に肝臓のほか顆粒球・腸管上皮・全血にも存在する)、警告(好中球減少・血小板減少に対する血算モニタリング、胎児毒性)、頻度50%超の有害事象が好中球減少・血小板減少・貧血・発熱であることを確認した。閲覧 2026-09-05
  2. 2.Decitabine Versus Hydroxyurea for Advanced Proliferative Chronic Myelomonocytic Leukemia: Results of a Randomized Phase III Trial Within the EMSCO Network(Journal of Clinical Oncology(EMSCO network。DACOTA試験、ClinicalTrials.gov NCT02214407)・2023)新規診断の進行期骨髄増殖型慢性骨髄単球性白血病170例を静注デシタビン(20 mg/m²/日、1〜5日目)84例とヒドロキシ尿素(1〜4 g/日)86例へ1対1で無作為割り付けした第III相試験で、主要評価項目である無イベント生存期間の中央値がデシタビン12.1か月対ヒドロキシ尿素10.3か月(ハザード比0.83、95%信頼区間0.59〜1.16、P=.27)と有意差が無かったこと、奏効率はデシタビン63%対ヒドロキシ尿素35%でデシタビンが有意に高かった(P=.0004)が奏効期間・全生存期間中央値は同等であったこと、結論が「進行期の骨髄増殖型CMMLへの一次治療としてデシタビンはヒドロキシ尿素と比べ無イベント生存期間を改善しなかった」であることを確認した。閲覧 2026-09-05