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Drug Atlas · B33 Antineoplastics / 抗腫瘍薬 · 必修

エピルビシン

epirubicin

分類
Antineoplastics / 抗腫瘍薬
商品名(日本)
ファルモルビシン
商品名(EU)
Pharmorubicin
科目
Pharmacology
トピック
B33: Drugs used in cancer treatment III (Topoisomerase inhibitors. Inhibitors of mitotic spindle)
承認適応
乳癌卵巣癌胃癌肺癌大腸癌悪性リンパ腫白血病多発性骨髄腫膀胱癌
禁忌疾患
慢性心不全
副作用
骨髄抑制悪心嘔吐
監視検査値
絶対好中球数心筋トロポニン
原因となる疾患
拡張型心筋症慢性心不全薬剤の血管外漏出

🧠 全体像(4’位の)で、機序も適応もほぼ重なるが、量あたりの心毒性がやや少なく、の上限をより高く設定できる点が唯一にして最大の差別化点。乳癌・胃癌領域で「より少し使いやすい」として選ばれる。

ドキソルビシンとの違い

項目
構造 基準 4’位の立体配置が異なる
機序 +Topo II阻害+ 同じ
心毒性 300〜550 mg/m²で急増 量あたりやや少ないの代謝が速いためとされる)。上限は900 mg/m²前後まで許容されるの450〜550 mg/m²より高い)12
主な適応 ・リンパ腫・肉腫・白血病と広汎 乳癌・胃癌が中心
骨髄抑制 あり ほぼ同程度

💡 心毒性がやや軽い理由は代謝の速さ。 を受けやすく、活性型で心筋に留まる時間がよりわずかに短いとされる。ただし「心毒性がない」わけではなく、あくまで相対的に少ないだけで、量依存性という原則は変わらない。EU SmPCは900 mg/m²を超えるとのリスクが急速に増加すると明記しており、これが(450〜550 mg/m²が目安)より高く設定される上限の具体的な根拠になっている1

適応・用法

乳癌(FEC療法などの一角)、胃癌としても)に用いられる。全身投与の通常用量は1回60〜90 mg/m²を21日ごとに静注する。リンパ節転移陽性乳癌のはこれより高く、100 mg/m²(day1に単回)〜120 mg/m²(day1・8に分割)を3〜4週ごととする1同様、生涯を記録し上限(目安900 mg/m²)を超えないよう管理する。実際の用量・上限は施設のプロトコル・添付文書で確認する。

⚠️ 適応は国によって範囲が異なる。 EU SmPCは乳癌・卵巣癌・胃癌・肺癌大腸癌の各白血病を「効果が見られてきた」幅広い腫瘍として列挙する一方、日本の添付文書(後発品)は・乳癌・卵巣癌・胃癌に加え肝癌〈TACE〉として)・(膀胱・腎盂・尿管腫瘍)を効能・効果とし、肺癌・大腸癌・は含まれないもEUはへのカテーテルに限定するのに対し、日本は全身投与も含む全体(腎盂・尿管腫瘍を含む)を対象とする点が異なる12。実地では乳癌・胃癌が中心で、リンパ腫・白血病領域は多くの場面でが選ばれる。

90 mg/m²以上は適応を問わず「高用量」の閾値。 SmPCはこの水準で有効性は標準用量と同程度でも好中球減少との強さが増すとして、骨髄抑制の合併症に特別な注意を求めている1。乳癌の100〜120 mg/m²はこの高用量域に入る。

禁忌・注意・副作用

  • 禁忌・高度の心機能低下(重度心筋不全・最近の心筋梗塞・重度不整脈・・心筋症としてEU SmPCが列挙。よりやや心毒性が少ないが、という原則は同じ)1
  • ⚠️ 生涯量はとは換算比が異なるため、他の曝露歴を含めて換算して評価する。前治療で他の上限に達している患者は禁忌に該当する1。日本の添付文書は、この限界量の目安を塩は当り500 mg/m²塩は体重当り25 mg/kg当りではなく体重当り)と具体的に示す2
  • ⚠️ 心毒性モニタリング:投与開始前に心電図+MUGAまたは心エコー(LVEF・GLS)でベースラインを取り、特にが高くなるほど反復してLVEFを評価する13。ESC心臓腫瘍学ガイドラインは高リスク患者でも併せた層別化を推奨する3
  • 高頻度:骨髄抑制脱毛悪心嘔吐(無害)
  • 重篤・まれ:・心不全(量依存性、頻度はよりやや低い)、による

まとめ

  • )。機序は同一だが、心毒性がやや少なくの上限をより高く設定できる(900 mg/m²前後。EU SmPCと日本の添付文書で一致)12
  • 乳癌・胃癌が中心の適応で、ほど幅広くは使われない。通常用量は60〜90 mg/m²(21日ごと)、リンパ節転移陽性乳癌のは100〜120 mg/m²(3〜4週ごと)と高く、90 mg/m²以上は骨髄抑制・が強く出る高用量域にあたる。EU SmPCと日本の添付文書で適応の範囲が異なり(日本は肝癌・を含み肺癌・大腸癌・を含まない)、詳細は「適応・用法」を参照。
  • 依存性の心毒性という原則は変わらない。他の曝露歴と通算して管理し、ベースライン+反復のLVEF評価(心エコー/MUGA、GLS)を行う3
  • でありに注意する。

出典

  1. 1.Pharmorubicin 2 mg/ml Solution for Injection or Infusion — Summary of Product Characteristics (SmPC)(electronic Medicines Compendium (UK SmPC, EU承認内容を反映)・2024)累積投与量900 mg/m²を超えるとうっ血性心不全のリスクが急速に増加すること、禁忌(4.3)に重度心筋不全・最近の心筋梗塞・重度不整脈・不安定狭心症・心筋症・累積上限に達した前治療歴が含まれること、通常の静注用量は60〜90 mg/m²を21日ごと、リンパ節転移陽性乳癌の補助療法は100 mg/m²(day1単回)〜120 mg/m²(day1・8に分割)を3〜4週ごとであること、90 mg/m²以上は適応を問わず「高用量」として骨髄抑制・粘膜炎の強さに注意を要する閾値とされること、ベースラインでの心電図+MUGA/心エコー評価と高累積量域での反復LVEF評価を推奨していることを確認した。適応(4.1)は「乳癌・卵巣癌・胃癌・肺癌・大腸癌の各癌腫、悪性リンパ腫、白血病、多発性骨髄腫を含む幅広い悪性腫瘍」に加え、膀胱内注入による表在性膀胱癌・上皮内癌の治療とTURBT後の再発予防であることを確認した。閲覧 2026-08-03
  2. 2.2022 ESC Guidelines on cardio-oncology(European Society of Cardiology・2022)アントラサイクリン治療前の全患者にベースライン心電図・心エコー(LVEF・GLS)評価を推奨し、高リスク患者では治療前後のトロポニン・ナトリウム利尿ペプチド測定とアントラサイクリン等価換算による累積量ベースのリスク層別化を行う枠組みを示している。閲覧 2026-08-03
  3. 3.エピルビシン塩酸塩注射用10mg「サワイ」/50mg「サワイ」 添付文書(2023年10月改訂 第1版)(医薬品医療機器総合機構(PMDA)/沢井製薬株式会社(エピルビシン塩酸塩の後発品。ファルモルビシン〈先発品〉自体のPMDA掲載ページには到達できず、有効成分・適応・用法用量・使用上の注意が先発品と同一であることが求められる後発品の添付文書で代替確認した)・2023)アントラサイクリン系薬剤未治療例で総投与量が900 mg/m²(体表面積)を超えるとうっ血性心不全を起こすことが多くなること、900 mg/m²以下でも起こりうること(EU SmPCの900 mg/m²と一致)、禁忌として他のアントラサイクリン系薬剤等心毒性を有する薬剤による前治療歴が限界量(ドキソルビシン塩酸塩は総投与量体表面積当り500 mg/m²、ダウノルビシン塩酸塩は総投与量体重当り25 mg/kg)に達している患者が含まれること、効能・効果が急性白血病・悪性リンパ腫・乳癌・卵巣癌・胃癌・肝癌・尿路上皮癌(膀胱、腎盂・尿管腫瘍)の自覚的並びに他覚的症状の緩解、および乳癌の術前・術後化学療法(他剤併用)であり、肺癌・大腸癌・多発性骨髄腫はEU SmPCと異なり効能・効果に含まれないことを確認した。閲覧 2026-08-03